皆さんは転倒された事、ありますか?
私は1回、2回・・・二桁には届いていませんが、それなりにあります。
自分の大切にしていたバイクで転倒すると身体の痛みや修復にかかる費用よりも、精神的なダメージの方が遥かに大きいです。
ついさっきまで綺麗だった愛車が、その一瞬を境にボロボロに・・・。
すいません、思わせぶりな書き方をして・・・400FWは無事です(笑)。
最近すっかり秋めいてきました。朝晩はすっかり涼しくなり、空が高く感じます。
この時期になると、必ずフラッシュバックのように甦ってくるんです。あの瞬間の感じ、匂い・・・。
1984年9月23日、日曜日早朝。
当時、大学1年。
9月7日に中型自動二輪免許を取得、中古車ではありましたが翌週には晴れて念願だった赤黒のGS250FWを手に入れ、それは夢の様な毎日を送っていた矢先のこと。
土曜日は授業が無く、毎週末は連休でした。軽音楽部に入っていたため、ほとんど毎晩練習です。しかも先輩方が早い時間帯の練習なので、当然1年生は深夜の時間帯ばかり。
その日も深夜1時から3時までの練習。その練習が終わってから下宿に戻り、同居していた地元が同じで高校からの友人と静岡に帰省がてら、日本平に行くことになりました。友人の愛車は赤白のCBX400F。
下宿を出たのは4時前。この時期の4時はまだ真っ暗。夜明け前の暗い1国を静岡に向かって走る2台。
日本平は静岡と清水の間にある山で、日本平パークウェイというアップダウンの続く峠道があり、走り屋には恰好のスポットです。
日本平に到着したのは、ちょうど明るくなった頃。免許を取ったばかりで走りも全く興味がなかったので自分は走らず、“おでんやコーナー”という有名な場所で、友人が走るのを見ていました。
中には出たばかりのGSX-Rのレーサーをトランスポーターに積んできて、タイムを計っている人達までいて、当時の私には全くのアナザーワールド。完全にアウェーです。
30分ほど走った友人が戻って来たので、一服して日本平から下りることにしました。
特にスピードを出していた訳ではありません。流す程度の速度で下っていきます。
中腹の辺りの緩やかな右コーナー。一瞬ラインがアウト側に・・・免許を取って半月も経たない当時の私には、それを修正出来るほどの余裕はありませんでした。もちろんブレーキも間に合わない。
幸い右コーナーのアウト側、つまり道の左に車が何台か入れる位の空き地があったので、そこに突っ込みました。
しかし世の中、甘くはありません。草が生えていて解らなかったのですが、土がかなり柔らかくて凸凹していたためにハンドルを取られ、あっけなく転倒。
右コーナーだったので車体は右に傾いた状態で進入したのですが、転倒と同時にハイサイド状態となり、今度は左側に吹っ飛んだ勢いで私はFWから放り出され、空き地をゴロゴロと何回も転がりました。
アゴ紐が緩かったせいかヘルメットも頭から外れ、転がっていきます。空き地には小さな岩も沢山あったようで、手足はもちろん、口の辺りや腰を強く打ち付けました。
かなりの痛みでした。しかしそんな痛みより・・・直ぐに立ち上がって横倒しになったFWに駆け寄ります。
さっきまで綺麗だったFWの姿はもうどこにもありません。カウリングは側面が割れ、歪んだ状態で辛うじて車体に付いている、という感じ。タンクもカウリングが当たった所はべっこり凹んでいます。メーターも割れて中の白い基盤が剥き出し。全体が土で汚れたFWは見るも無惨な姿です。
口の中が切れていたので血の味と、辺りに充満する漏れたガソリンの匂い、そしてボロボロになったFW・・・。
異変に気づいた友人が直ぐにUターンしてきてくれ、何とかFWのエンジンを掛けてくれました。
私が壊れたFWで走る事が無理と思った友人がFWに乗り、私が彼のCBXを運転して下まで下ります。
前を走る壊れた自分のFWを見ながら、どうか直って欲しい・・・と、ただそれしか考えていませんでした。
写真が事故現場。ちょうど車を止めている辺りです。撮影したのは昨年、2012年9月23日の日曜日。そうです、昨年は1984年と日にちと曜日回りが全く同じだったのです。
あの瞬間から28年経った同じ23日の日曜日、同じ時間、その場所に立ってみました。
当日は生憎の雨でしたのでFWではありませんでしたが、感慨深いものがあります。
今ではすっかり木が生い茂っていますが、当時はまだそれほど木も高くなく、もっと開けた感じでした。
普通に走っていれば別に危険でも何でもないコーナー。
深夜の練習による寝不足と、ほんの一瞬の気の緩みが招いた事故です。一寸先は闇とはまさにこの事です。
毎年この時期になると思い出すほどのトラウマになっていますし、給油する時のガソリンの匂いを嗅いだだけでも思い出します。
当時はお金さえ出せばいくらでも新品の部品が手に入りましたし、修理も可能でした。しかし今では部品が手に入りません・・・。
もちろん安全という意味でも転倒は出来ません。
気をつけて走りましょう!
Posted at 2013/09/25 01:30:48 | |
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