到着しました。どうやらここが撮影場所の様です。
でも坂道だし道路の端には砂利や石が沢山あるし、本音は『ここでどうやって撮影するんだろう・・・』でした。
『こちらに出来るだけで結構なので記入して下さい。』と、編集長からアンケート用紙を渡されました。
内容は自分のバイクのどんなところが気に入っているか、改造箇所や普段どの様に整備しているか、等です。
質問自体は簡単ですが、いざアンケート用紙を前にすると案外困ってしまうものです。
あそこも気に入っているし、こんなところも好きだし・・・数え出したらキリがありません。それをどう書いたらいいのか散々迷った挙句、書いた答えは『色と形』。
改造点はマフラーなんて当たり前過ぎて改造の部類にも入らないだろうと思い、『特にありません』。
(でもホントは気付かれない様に純正部品を流用しながら変えている部分もあります=姑息改)
整備については『普段の整備を含めて不具合が出たら全てお店に任せ、自分でやるのは走り終わった後に必ず行う清掃のみ』。
メンテナンスショップ『Bright Logic』。
きちんと答えられたのは最後の質問だけ。
これじゃ全く回答になってませんよね・・・きっと編集する時に困るだろうなぁ。
既に同じ雑誌社の別の取材班がネイキッド版(前に付いた風防の無いバイク)250ccの撮影をされていました。
試乗ライダーの新垣さんはそちらのを担当されるとの事で、FWは誰が試乗するのかなぁ・・・と思っていたら、バイクが1台やって来ました。
あれ?もしかしてノアさん?
ノアさんといえばMr.Bike BGというイメージでしたけど、色んな雑誌のお仕事をされてるんですね。
新垣さんもFWを見て『こりゃ懐かしいなぁ!』
驚いた事に、なんとFWをご存知でした。
新垣さん 『これ、アンチノーズ大丈夫?』
私 『これしか乗った事が無いのでわかりませんが、多分大丈夫だと思います。自分では一切整備しませんから(笑)』
聞くと少し前のレプリカの取材時、ANDF付きの車両に試乗していた際、突然フロントブレーキがロックして危険な場面があったとの事でした。
雑誌の仕事でこうした年代物のバイクに試乗されて感じるのは、本来の機能が失われてしまっている場合が結構あるとの事です。
ノアさんは『250は知ってたけど、FWに400があるとは知らなかった。』
そりゃそうですよね、知らない人の方が圧倒的に多いです。
決して恥ずかしいことじゃありませんから全然大丈夫。
むしろ知ってるとヘンタイって言われます(笑)。
新垣さんとノアさん、仕事もご一緒される事が多い様です。
撮影機材の準備が始まりました。
カメラマンさんの指示に従って編集長がバイクを移動します。
この場所に決定。
普通に撮ればこんな感じですが・・・
カメラマンさんの隣りに行って自分のカメラのファインダーを覗くと・・・
なるほど!そういう事でしたか。
カメラマンさんは脚立を使いますのでもう少し見下ろす感じになりますが、大まかにはこんな写真になります。
写真撮影の基本の一つに背景処理というものがあります。
より被写体をクローズアップさせたい時に、背景を例えば空とか壁を利用してシンプルにするという方法です。
カメラマンさんは坂道を利用して背景をアスファルトのグレー一色にしたんです。流石はプロです。
これはカメラの勉強になります!
次は下に回ってFWを撮影。
またカメラマンさんの隣りに行ってFWを撮影。
こういう写真ですね。
カメラマンさんは完全に地面に寝そべっていますので、おそらくはFWの背景は空だけなんでしょう。
しかし自動露出に設定してある自分のカメラで撮ると、背景の空が明るい為にコントラストが出過ぎてFWが暗く潰れてしまいます。
この写真はPCでかなり画像処理してありますが、オリジナルの画像ではFWが真っ黒です。
撮影する際にカメラの露出を調整すれば明るさのバランスは良くなりますが、かなり画質が粗くなってしまいます。
再びバイクの角度を変えて。
ブロックの壁が入ってしまいましたが、構図的には最初の写真と同じです。
250FWも同じ構図で撮影。
そのまま250FWの各部分の撮影に入ります。
これは世界初の250cc水冷4気筒、MQ36エンジンの撮影。
スピードメーター周り。メーターのガラスに空が写ってしまうので、レフ板を逆さにして空の写り込みを防ぎます。
これは・・・何だっけかな(笑)
250と400を入れ替えて撮影再開。
400の各部分の撮影ですが、250と共通する部分もあるので手短です。
SUZUKI初の400cc水冷4気筒、K701エンジン。
発売当時はまだメーカーの自主規制も無く、馬力競争の真只中でしたが、そんな時代に生まれながらもカタログの数値は平凡だった400FW。
しかしエンジン自体の素性が良かったのか、鈴鹿4時間耐久レースでは発売初年度にして準優勝。後の4ストロークレーサーレプリカの礎となります。
こちらはテール周りの撮影。外観上で250と最も大きく違うのがテールのデザイン。
400FWは当時流行った、ウィンカーとテールライトが一体化したコンビネーションランプ。
次はどこを撮影?
シートを外して内部の撮影です。
ヘルメットホルダーが左右に付いている事や、蓋付きの小物入れがある事も編集長には驚きだった様です。
スピードメーター周りの撮影。
250との違いはギアインジケーター。400はメーター中央に液晶パネルがあり、入っているギアが数字で表示されます。
これは撮影する際にキーに付けてあるキーホルダーをどうするか?です。
私はシンプルな方が好きなので革製のヨシムラキーホルダーのみ付けています。
カメラマンさんの判断で付けたまま撮影する事になりました。
もう少しレフ板傾けて・・・とカメラマンさん。
カメラマンさんは本当に細かい事に気を遣って撮影されます。
この日は朝から風が強く、少し風が吹くと直ぐに枯葉が舞い落ちてきますので、それらを取り除きながらの撮影。
小石もどかしたり、タイヤの土を払ったりと本当に繊細な作業です。
これにて車両の撮影終了。
次は・・・人の撮影。
もしかしたらこういう事もあるかと思い、おめかししてきました(笑)
サーキット走行では着用が義務付けられていますが、一般ライダーでいうおめかしとは革ツナギの事。
女性のおめかしと根差すところは同じですが、違いは安全面も確保されるところでしょうか。
ポーズは言われた通りで。
それじゃいきますよ~。
カメラが上からなので、下から見上げる構図。
真正面からだとこんな感じになります。
これ年賀状に使おう!
お腹ぱんぱんです。言い訳ですけど寒くてツナギの下に3枚着てますから(笑)!
そしていよいよ場所を移動して試乗&撮影。
一夜城の駐車場に一旦移動します。
ここからはノアさんが250FWに乗ります。
出発。
5分も走らない場所に移動。ここが試乗&撮影ポイントの様です。
箱根は家から近いので時々走りに来ますが、この道は初めて。全然知りませんでした。
自分が走る訳でもないのに、何故かちょっと緊張してマス。
どんな道なんだろう・・・ちょっと下見に行って来ます。
結構アップダウンが続き、タイトなカーブが続きます。道幅はそんなに広くありません。
それより落ち葉が・・・落ち葉ってかなり滑るんですよね。
いよいよノアさん、400FWで出撃。
下からノアさん来ました。
最初はゆっくり。
よく見るとヘルメット越しにノアさんの視線がカメラの方を見ています。
さあ!撮影開始。
来たっ!さっきとはエンジン音も全然違います。
舞い上がる落ち葉!
いわゆるセオリーラインとは違います。
簡単に言えばアウト イン アウトではなく、センター センター イン。
どうしてそういうライン取りにしているのかというと、カーブの出口に向かう時にインからアウトへラインを走るとバイクが起き上がってしまい、迫力のある写真が撮れないからです。
センターのラインをキープしようとすると、必然的にバイクは寝かしたままになります。
限られた道幅、カメラマンさんとの距離、スピードの全てが計算された走り方である事がよく解ります。
カーブの大きさ、上り下り等の道路状況に合わせて撮影モードに自分の走りをその場でアジャスト出来る、それがプロなのでしょう。
もう1回。
さっきより少しペースアップしています。
安全なラインを走りつつ、絵的に綺麗。プロです。
走り終わったノアさん。この顔。
ノアさん 『全然普通に良く走る。まだ走りたい。』
編集長 『まだ並走している写真も撮るので・・・』
ノアさん 『あ、そっかぁ・・・』
ちょっと残念そうなノアさんでした。
編集長が250と400の並走している写真が欲しいとの事で、急遽走る事になりました・・・。
先ずは編集長とノアさんが見本を見せてくれます。
こんな感じかぁ・・・出来るかな。
ダメだ・・・足並みを揃えなきゃ。
もう一度。
スピードを落として。
さっきよりは差が無くなった。でもまだダメ。
もう一度・・・。
揃ってきた。
これだ!大体要領が掴めました。
やっと出来ました。ノアさん、何度もすみませんでした。
実際に走ってみると私が路肩側を走る訳ですが、かなり砂利が浮いています。前輪を砂利に取られて何度もガードレールに突っ込みそうになりながら、どうにか編集長の絵コンテに近い写真が撮れました。
終了!
記念に。皆さん、お疲れ様でした~。
編集部の方が帰られて休憩。
その後、清水の250FW乗りの方を撮影。
それじゃあ私もちょっと・・・(笑)
相変わらずヘタだなあ(笑)!
昔からの走り方が抜けません。なかなかノアさんの様に走れませんが、何度か走ればなかなか良い撮影ポイントになりそうです。
いやいや、本当にお疲れ様でした。陽も傾いてきたので帰りましょう。
農道を下って行きますと、眼下には西陽に黄色く染まる小田原の街並み。
右端に小さく小田原城も・・・
バイパスの分岐と相模湾。ある意味、この光景が小田原で一番印象的なのかもしれません。
今日も無事故で家に到着。これが一番大切ですね!
さあ、マフラーが熱いうちにいつもの清掃開始(笑)!
写真の構図、撮影時のバイクの走り方等、得る物の多い1日でした。
Special thanks for・・・
取材の話しを下さったスギチュウさん
撮影前の限られた時間に整備をして下さったBright Logicさん
無くした部品を見栄っ張りな私の為に譲って下さったveryさん
部品の情報を教えて下さったwatterさん
大切な用事が翌週に控えているにも関わらず撮影して下さったELVISさん
皆さんの助けがあってこその湘南FWです。
ありがとうございました!