昨日、滋賀県のニュースで取り上げられました!
NHK大津放送局 HPより
議員が自治体の職員に対して行う要望や働きかけ、いわゆる口利きのうち、違法や不当なものを排除するため、やりとりを記録に残す仕組みを導入した滋賀県内の8つの自治体のうち、5つで、やりとりの記録が全くないことが、各自治体への取材でわかりました。
議員などの公職者が自治体の職員に対して行う要望や働きかけ、いわゆる口利きのやりとりを記録する仕組みは、ルールを逸脱して職員が情報を漏らしてしまい、事件に巻き込まれるケースを防ぐために、導入する自治体が増えていて、県内では、滋賀県、大津市、草津市、長浜市、東近江市、彦根市、守山市、それに、高島市の8つの自治体で導入されています。
このうち大津市では、昨年度だけで、議員や企業、市民からの要望や働きかけなど、3000件を超えるやりとりが記録される一方、滋賀県、長浜市、東近江市、彦根市、守山市の5つの自治体では、この仕組みを取り入れたあと、やりとりの記録が全く残されていないことが、各自治体への取材で分かりました。
これらの自治体では、残すべき記録として、違法や不当な内容や契約や入札に関係する内容に限るといった要件を設けていて、担当者からは、不当かどうかの線引きが難しいという声もある一方、仕組みがあることで、不当な口利きを排除する効果が出ているとしています。
自治体と地方議員の関係について詳しい、龍谷大学法科大学院の本多滝夫教授は、「行政と議員のやりとりを記録し公開することで、行政に対する信頼も高まる。情報公開を進めるためにも重要な仕組みで、全てのやりとりを記録するのが望ましい」と話しています。
【口利き記録とは】
口利きを記録する仕組みは、自治体の職員が、議員から要望や働きかけを受けたとき、議員の名前ややりとりの内容、日時、その後の対応状況などを、文書として残しておく制度です。
議員による口利きが原因となって、自治体の職員の不正につながってしまったケースをきっかけに、条例や職務規程で導入する自治体が増えています。
議員とのやりとりを、原則として、すべて記録する自治体がある一方、記録に残すべき要件を定め、職員が「不当な要求」と受け止めたときに限って、記録するとしている自治体もあります。
また、残した記録をインターネットで公開したり、定期的に概要を発表したりする自治体もあります。
【記録一切なしの理由】
滋賀県では、平成15年に摘発された県議会議員らによる汚職事件で、議員からの口利きに応じた職員が、懲戒処分を受けたことをきっかけに、違法、不当な口利きを排除しようと、平成16年から「職務に関する働きかけについての対応要領」を定めて、議員とのやりとりを、記録に残すこととしました。
ただ、県の仕組みでは、記録を残す前提として、原則として、口利きをした議員に、改めて内容を文書で確認する必要があります。
議員の同意や了解が得られなかった場合は、そのことを含めて記録に残します。
この仕組みが導入されて以降の12年間、滋賀県では、口利きの記録は1件もないということです。
一方、大津市では、記録を残す際に議員の同意や了解を得るなどの要件はなく、原則として、すべてのやりとりを残すこととしていて、昨年度、3206件の記録が残されています。
滋賀県人事課の和泉純司主幹は、「相手の同意を得ることは、かなりハードルが高いが、すりあわせではない。記録は0件だが、制度が一定の抑止力になっている」と話しています。
これについて、口利きに詳しい、日本大学の岩井奉信教授は、「記録する際の要件を設けると、口利きを受けた現場の職員の考え方次第で、判断が分かれることもありえる。口利きがあった場合は、すべて記録すべきだ」と話しています。
【採用働きかけの記録も】
大津市は、平成24年に、議員などからの要望や働きかけがあった際のやりとりの記録を、原則として、すべて残すとともに、上司に報告することを定めていて、昨年度は、口利きに関する3206件の記録が残されていました。
このうち、ことし1月の記録では、大津市の竹内基二市議会議員が、市長や職員らが参加した新年会の場で、教育委員会の次長級の50代の職員に、知り合いの男性を、公立学校の臨時職員として、採用してほしいという要望をしていました。
要望を受けた職員は、やりとりを記録に残しながら、内容を担当の部署に伝えたうえ、上司への報告を怠っていたということです。
議員の知り合いの男性は、採用試験を受験し、不合格だったということです。
NHKの取材に対して、竹内市議会議員は、「酒の席でどこまで話をしたかはわからないが、記録に残っているのであれば、話はしたかも知れない。試験を受験せずに採用してほしいと求めることはできないし、私が採用できる立場でもないので、記録を見て驚いている」と話しています。
そのうえで、竹内議員は、「このように記録を残す仕組みは、議員活動を制約する。いいことか悪いことか考えながら、ふだんから、より注意しなくてはいけないと感じている」として、仕組みそのものに対して、懸念を示しています。
一方、大津市教育委員会の船見順政策監は、「議員であれ誰であれ、採用について、第三者が関与しようというのは、不当な要求だ」としたうえで、「好ましくない要望があった際には、毅然と対応できればいいが、難しいケースもある。
口利きについて記録する仕組みは、組織として情報共有を図って対応し、職員個人を守ることにつながると認識している。今回の件では、職員の側にも、認識不足で反省すべき点もあり、仕組みについての理解を深めていきたい」と話しています。
【第三者の議員に情報伝達】
一方、ことし3月、大津市に対して、建設業者が求めていた土地の開発許可の手続きの進み具合や、担当している職員の名前を、直接関係のない市議会議員からの求めに応じて、複数回漏らす、不適切な対応があったことが分かりました。
大津市では、後日、内部で注意喚起を図ったということです。
大津市都市計画部の玉井義文部長は、「議員を含めた第三者に対しては、個人の特定につながる情報の提供は、慎重にする必要があり、一般的な問い合わせと区別して、対応していくことが重要だと感じている。今回の件は、手続きの進み具合に関する状況について伝えただけとは言え、そこでくい止めなければ、より詳細な内容を教えるよう求められたり、迅速な対応を求められたりするおそれが強まってしまうため、好ましくない」と話しています。
11月01日 14時04分
Posted at 2016/11/02 07:54:59 | |
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