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2017年01月02日

書籍 ”ミッドシップスポーツカー” (その13)

ミッドシップスポーツカー

館内 端 ・ 折口 透

株式会社グランプリ出版

1984年1月17日 初版発行



◆第1部 ミッドシップの理論的考察

ミッドシップの理論的考察  舘内 端

【第3章 ミッドシップの特性】

ミッドシップは、操縦安定性からいうとFFやFRとはかなり違うクルマである。
まずそれはステアリングの軽快さに現われるが、しかしミッドシップといえどもクルマにかわりがあるわけではなく、基本的にはFFやFRと同じ理論でその走りを語れる。
ミッドシップの特性を詳しく調べることで、走りに関するミッドシップ像を明らかにしてみよう。


1.コーナリング特性

 ミッドシップが、FF、FR、RRと最も異なる顔を見せるのはコーナリングにおいてであろう。
ここでは、なぜ違うのかという原因解明、理由づけはさておき、現象にスポットをあてることで、FF、FR、RRとミッドシップの違いを浮き彫りにしてみようと思う。

 クルマのコーナリング特性を決定するものにはいろいろある。
諸元である全長・全幅・全高・ホイールベース・トレッドといったクルマの大きさ、車重、重量配分で示される重さとその配分そしてサスペンション特性(ジオメトリー、スプリング、ショックアブソーバー、スタビライザー)、空力特性(揚力とその前後配分)などである。

 したがってFF、FR、RR、ミッドシップというレイアウトの違いだけでは、コーナリング特性について語り尽くせない面がある。
ミッドシップに注目していえば、FRに近いものもあるしRRに近いものもある。
そこで、ここではレイアウトの違いによる基本的なコーナリング特性について述べてみようと思う。

 ミッドシップもそれぞれのクルマによって微妙にコーナリング特性が違うことに注意したい。



①コーナリング特性の概略
 コーナリング特性を示すものとして、アンダーステア、オーバーステアというステア特性がある。
アンダーステアは、コーナーの外へ外へと向かう特性で、ステアリングの切り角を一定にしておくと次第に旋回半径が大きくなることで知れる。
オーバーステアはこの逆で次第に旋回半径が小さくなるものだ。
アンダーステアとオーバーステアの中間にはニュートラルステアがある。
旋回半径が一定の特性である。
リバースステアというのは、ステア特性が逆転するもので、アンダーステアだったものがある時点からオーバーステアに転ずるものがそうである。

 大切な点は、これらのステア特性はゆっくりと加速しつつ旋回するときに現われる特性であることだ。
急激なアクセルオンやアクセルオフ、ブレーキングといったことによるステア特性ではない。
あるいはコーナー進入時の特性でもない。
いわゆる過渡特性を示してはいないことに注意したい。
定常円旋回をしたときのステア特性について、レイアウトによる違いを考えてみよう。

 一般的にはFF→FR→ミッドシップ→RRという順にアンダーステアが弱くなる。
あるいはオーバーステアに近づくといってもいいだろう。
サスペンションの味つけによる違いは当然あるわけだが、レイアウトと駆動方式(前輪駆動、後輪駆動)に注目してみると(それがステア特性を決定する基本因子なのだが)、アンダーステアの強いFF、オーバーステアの強いRRの中間的な存在としてミッドシップを考えることができる。

 FFは終始アンダーステアを保つ。
強いアンダーステア特性を極力消したFF車が多くなったが、基本的には駆動力をかけるほどアンダーステアが強まる。
限界に追い込むと必ずアンダーステアになるといってもいいだろう。

 FRはアンダーステアからオーバーステアにリバースする傾向を持っている。
しかし、定常円旋回でこのようなリバースを示すクルマはかなりのハイパワー車であり、ほとんどのクルマはアンダーステアに終始する。FFと同様に車速が高まり横Gが大きくなると強いアンダーステアを示す。
ただし、一瞬のきっかけによってはFRはオバーステアに変化するが、FFはアクセルを踏めばアンダーステアになり、この点に関してはFFとFRには明確な違いがある。

 RRはオーバーステアである。これとてもアンダーパワーなクルマであればアンダーステアに終始する場合もある。
しかし、同じ後輪駆動であってもFRに比べるとRRはオーバーステアの傾向が強い。



 オーバーステアは安定性が悪い傾向にあるわけだが、FF車が増加しRR車が衰退した背景にはスペース効率の良否とともに安定性に優れたFFと安定性の悪いRRという操縦安定性の違いもある。

 ミッドシップはFRとRRの中間的な性格を持っている。レイアウトやサスペンションの味つけによって、FRに近くなったりRRに近くなったりする。
終始アンダーステアを保つ場合もあれば、リバースする場合もある。
ハイパワーになるほどRRに近づきリバースステアの傾向が強まるといえる。
ステア特性の変化が激しいという性格を持っているが、いかなるクルマでもそうであるが、これは定常円旋回テストではなかなかつかみにくい。
他のクルマと同様に、ミッドシップもその過渡特性が重要だ。
また、過渡特性においてこそミッドシップのコーナリング特性は明確になるといってもいいだろう。

 そこで、次にコーナーへの侵入から脱出までをそれぞれにわけてミッドシップのコーナリング過渡特性を考えてみよう。
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Posted at 2017/01/02 13:27:00

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この記事へのコメント

2017年1月2日 14:11
文中の「これらのステア特性はゆっくりと加速しつつ旋回するときに現われる特性であることだ。
急激なアクセルオンやアクセルオフ、ブレーキングといったことによるステア特性ではない。あるいはコーナー進入時の特性でもない。
いわゆる過渡特性を示してはいないことに注意したい。」より

なるほど、自分は考え違いしてましたね。(^_^;)
コメントへの返答
2017年1月3日 0:15
一般的によく解説されるのは、定常円旋回中に徐々に速度を上げて行ったときの挙動で、アンダー,オーバーを判断するとか言われますね。

この過渡特性って言う言葉を適切に使った説明文として、最初の愛車に載っている時この本を購入して判り易いなと思ったのが、今回の一連の書籍紹介したいと思った理由です。

長文で、スマホからだと読み返しがし難いのが難点なんですが、3回ぐらい読むと頭に知識として残ると思います。

あとは、実践したりして、”なるほど”と経験をすれば、他人に説明できるレベルになると思いますョ。
2017年1月3日 0:38
そうですね。ミッドシップの特性を理解するのに役立ちます。と言っても、一度読んだだけでは理解するまでいきませんが(^_^;)
コメントへの返答
2017年1月4日 9:22
PCやスマホの文章って、あまり頭に入らない傾向があると思っています。

自分は、気に入った文章があれば、画面キャプチャしたり、テキストでコピーしてから、印刷掛けて、紙媒体にして読み返したりしますね。

以前、Y!オクだったか、amazonだったかで検索かけたら、数件引っ掛かった記憶があります。

大きな公立図書館で自動車関係の書籍が充実している処だとひょっとして蔵書してあるかも知れません。


ただ、初版が1984年なので、それなりの傷み具合だと思いますけどね。

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「@サカビー 短い間でしたが、都田オフミ楽しかったです。またいつかどこかでご縁があれば♪」
何シテル?   07/13 13:10
メカニズム解説とか、技術的な話題が大好きです。 ホンダ ビート(若葉色メタリック)はボデーがコチンコチンで脚は柔らかめで峠寄りの街乗り仕様です。 ...
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