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2017年01月02日

書籍 ”ミッドシップスポーツカー” (その15)

ミッドシップスポーツカー

館内 端 ・ 折口 透

株式会社グランプリ出版

1984年1月17日 初版発行



◆第1部 ミッドシップの理論的考察

ミッドシップの理論的考察  舘内 端

【第3章 ミッドシップの特性】



③ミドル・オブ・コーナー
 コーナーの中央部で、コーナリング姿勢が決まりアクセルを踏み始め、脱出に向かうまでの様子である。



 コントロール性からいえば最も安心できるのはFFである。
アクセルを踏めばクルマは外に向かい、緩めれば内側へ向く、FFのクセが弱くなったFF車がふえてきたが、それはアクセルを緩めたときに内側に向くタックインが弱くなっただけであり、駆動力を与えるとアンダーステアが強まる傾向は基本的に変わっていない。
ターンインで強いアンダーステアが出るのは、けっして好ましい特性ではなく、むしろコントロールのむずかしさに結びつく。
しかし、ミドル・オブ・コーナーでアクセルを踏むと外に向かうというFFの特性は、スピンに対する恐怖感が薄くコントロールのしやすさというメリットになる。
したがってしっかりとサスペンション・チューニングが施されたFF車は、ときにパワーのあるFR車よりも速く走れることになる。
パワーコントロールという高度なドライビング・テクニックを身につけていない場合では、このミドル・オブ・コーナーの扱いやすさによってFF車の方が速く走らされる。

 FRはコーナリング速度によって違った性格を見せる。
正確には横Gによる。
同じ旋回半径のコーナーであればコーナリング速度が高いほど横Gは大きくなり、コーナリング速度は横Gの平方根に比例する。
横Gが低い場合には弱アンダーステアを示し、横Gが高くなるほどアンダーステアは強まる。
ミドル・オブ・コーナーでのFRの基本的な特性だ。
しかし、限界に近いコーナリング速度(横G)であると、FRの姿勢変化はアクセルに敏感になる。
アクセルを踏み込んでいくとオーバーステアが強まり、スピンに至る場合も往々にしてある。
しかし、FFと異なるのはアクセルを踏み込むことで姿勢を内側に向けられる点だ。
いわゆるパワースライドが可能である。
これを上手に使うとFFよりも速くコーナーを脱出できるが、ロスにつながりやすい。
また、加速のトラクションはFFよりも大きく脱出には有利である。

 RRは、FRよりもアクセルに敏感である。
ミドル・オブ・コーナーではスピンをいかに防ぐかが、RRのポイントになる。
スピンも、内側に巻き込んでいくというよりも、リアが外側に出ていくようなスピンの仕方である。
また、スピンが始まってしまうとそれを止めるのがむずかしい。
 ミッドシップはFFとは大きく異なるが、FRやRRとは似た性格をミドル・オブ・コーナーで示す。
FRとRRとミッドシップが異なるのは、スピンの急激さ、スピンの速さである。
進入スピードが高すぎたり、アクセルの踏み込み量が多いと、急激なスピンを起こす。
流されながらスピンするというよりも、その場で回転してしまうようなスピンだ。
これがミッドシップの欠点であり、コントロールのむずかしいところである。

 しかし、サスペンション・バランスが優れていれば、進入速度の高さを生かして高いスピードを保ちつつミドル・オブ・コーナーをクリアすることができる。
高度なドライビング・テクニックを身につけると、ミッドシップはFF、FR、RRに比べて高いコーナリング速度が可能である。

 進入時に故意にリアを滑らせたり、パワーでリアを滑らせたりといった姿勢コントロールでミッドシップを扱うのは、基本的には誤りであろう。
スピンに対して繊細な神経でクルマをコントロールするというドライビング・テクニックが求められる。
もっともニュートラルステアに近いミッドシップは、前後タイヤのグリップ力を殺すことなく使えるので、コーナリング限界も高いといえる。

 ミッドシップをコントロールするにあたっては、ミドル・オブ・コーナーでのアクセル・コントロールがキーポイントになるだろう。
もちろん、そのためにはターンイン時のスピードのしっかりしたコントロールが前提になる。

 ミドル・オブ・コーナーでの限界が高いことは、なかなか限界を探れないことにもなる。
そのような比較では、ミッドシップは限界の低いFF、FR、RRに比べてコントロールがむずかしいということもできるだろう。

 ターンインからミドル・オブ・コーナーにかけての様子を調べてみると、例えばターンイン時にアンダーステアが強く(前後のサスペンション・バランスの不良によって)、その後のフロント・タイヤが急激にグリップすると、スピンしやすいというのもミッドシップの特性だろう。

応答性の悪いタイヤを装着した場合にはミッドシップはかなり扱いづらいクルマになりそうだ。

 サスペンション・タイヤといったコーナリング特性を決定する要素の良否、アンバランスさといったことが、FF、FR、RRよりも敏感にミドル・オブ・コーナーで影響する。
ごまかしのききにくいクルマというのが、ミッドシップの性格のひとつだ。
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Posted at 2017/01/02 13:46:47

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