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2017年01月02日

書籍 ”ミッドシップスポーツカー” (その23)

ミッドシップスポーツカー

館内 端 ・ 折口 透

株式会社グランプリ出版

1984年1月17日 初版発行



◆第1部 ミッドシップの理論的考察

ミッドシップの理論的考察  舘内 端

【第3章 ミッドシップの特性】




6.ミッドシップとサスペンション/ステアリング

 ミッドシップのサスペンションやステアリングは、今まで述べてきたミッドシップの特性、そしてそれに伴うタイヤ特性を考慮に入れて設計されることになる。
シャープさを失うことなくリアのグリップの高いサスペンションが求められるだろう。

 サスペンションの形式としては、ミッドシップの特性を活かす意味で前後ともダブルウィッシュボーン式が使われる。
特に、低いノーズ形状を可能にするためには、フロントにはダブルウィッシュボーンが適している。
一方、ミッドシップのオーバーステア傾向を考えるとリアには性能の高いサスペンションが求められるので、フロントがダブルウィッシュボーンであれば必然的にリアもダブルウィッシュボーンとなる。

 横置きエンジンでは、リアにダブルウィッシュボーンを採用しにくい。
スペース的な理由からである。
この場合、リアにマクファーソン・ストラット式を採用するのであれば、フロントにもストラット式が望ましい。
また、ストラット式であればFF、FRとのパーツの共通化も図れ、コストダウンできる。

 コンプライアンスは、ミッドシップといえども乗心地と操縦性のバランスを取る意味で重要だ。
前後方向のコンプライアンスは大きく横方向に小さなものが要求される。
コンプライアンスが大きくしかもアライメント変化の小さなダブルウィッシュボーンという新たな技術開発が必要だ。
また、これまでのFR以上にトーアウト方向の変化の少ないリア・サスペンションが必要である。
その意味からもミッドシップにセミ・トレーリングアームは不向きだ。

 ミッドシップの特性を生かすには、ロール剛性を高くする必要がある。
しかし、乗心地とのバランスがあるためサスペンション・スプリングの強化には限界があるので、スタビライザーがいっそう強化されることになるだろう。

 ショックアブソーバーも当然強化されることになるだろうだろうが、前後バランスではFFやFRと異なったものとなる。



 スプリング、スタビライザー、ショックアブソーバーの最終的な熟成はFF、FRとは異なり、従来からの手法は通用しないだろう。
シャープなターンインを生かしつつ、そこからしっかりとリアがグリップするようなセッティングが求められる。

 スペースを考えたサスペンション設計の自由度からいえば、エンジンやトランスミッションおよび補器類から解放されるフロントは、サスペンション形式の選択やジオメトリー設計で比較的自由だ。

 ステアリング・システムには、ラック&ピニオン式がやはり求められるだろう。
重量配分と慣性モーメントを考えると、ミッドシップでは同じラック&ピニオンでもFF、FRに比べてシャープさは増す。

 フロントが軽いために、ミッドシップの操舵力や保舵力は小さい。
したがって、ギア比が小さくできる、パワーステアリングの必要がない、キャスター角を増大できるといったメリットがある。
ダイレクト感があり、シャープなステアリングが可能だ。
これは、ミッドシップの大きな利点である。
また、ミッドシップのドライビングの魅力も、優れたステアリング系からくるものが大きい。
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Posted at 2017/01/02 14:41:54

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