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2016年11月09日 イイね!

書籍 ”ミッドシップスポーツカー” (その3)

ミッドシップスポーツカー

館内 端 ・ 折口 透

株式会社グランプリ出版

1984年1月17日 初版発行


◆第1部 ミッドシップの理論的考察

ミッドシップの理論的考察  舘内 端

【第1章 ミッドシップの世界】


2.ラリーカー

 ランチア・ラリー、ルノー5ターボ、プジョー205といったミッドシップのラリー車があり、83年秋の第25回東京モーターショウで発表されたトヨタのSV-3(注:本書籍刊行の5ヶ月後の、'84/6 トヨタより一般市販車としてデビューした、初代MR-2のこと)もラリー世界選手権への出場が噂されている。
かつてのランチア・ストラトスのように、これらのラリー車はミッドシップの傾向が強まるようだ。


 現在のラリー世界選手権では、それに出場できるクルマのカテゴリーとしてグループBの規約がある。
年間200台の生産台数を満たさなければならないというこのレギュレーションは、確かにミッドシップ・ラリーカーの出場をむずかしくしてる。
炉遊山者としてミッドシップを持つメーカーはほとんどないからだ。
しかし、ラリー車にもミッドシップが有利であるならば、この種のラリー車は増加するわけであり、それは量産ミッドシップの潮流を刺激することになる。
モータースポーツと量産車との関係がより緊密になるわけで、楽しみだ。

 ラリー車も、決められた距離を短時間でしかも故障することなく走り切る点では、レーシングカーと同じ性能や特性が要求される。
ただし、路面状況は複雑であり、ターマック(舗装路)のみならず、ダート、雪路、アイスバーンまでのあらゆる状況にクルマは対応できなければならない。
操縦性よりも安定性や限界時の挙動のマイルドさが求められる場面も多い。
必ずしもミッドシップが有利であるとは言い切れない面もある。

 そこに登場してきたのが、高い踏破能力を持つ4WDである。
これまでの4WDは、ジープに象徴されるように、スピードよりも悪路での強さを求めたものであった。これにラリーで要求されるスピードをつけ加えたのがアウディ・クアトロであり、このコンセプトはDr.ポルシェのミッドシップ・アウトウニオンに匹敵するほど優れたものだと思う。
予想通り、アウディ・クアトロは圧倒的な強さでラリー世界選手権を席巻している。
特にダートにおける強さは圧倒的だ。

 しかし、整備されたターマックや雪の少ない場合モンテカルロ・ラリーなどにおいては、ミッドシップのランチア・ラリーが一歩リードする。
路面のμが高い場合では、4WDのメリットは出にくくむしろそのデメリットである強いアンダーステアが災いするようだ。

 過熱気味のラリー世界選手権において、4WDのアウディ・クアトロとミッドシップのランチア・ラリーの戦いは、プジョーの設計者にひとつのことを決断させた。
それは、4WDの優れた踏破能力とミッドシップのシャープな操縦性とのドッキング、すなわちミッドシップ4WD車のコンセプトである。

 実践への登場が間近のプジョー205ターボ16は、発表された段階ではDOHC4バルブ・ターボ・エンジンを横置きでミッドに搭載し、センターデフを持つフルタイムの4WDである。全長3825mm、全幅1674mm、ホイールベース2540mmという、全長に対してホイールベースの長い、つまりオーバーハングの短いシャシーを、320ps/8000rpm、35kgm/5000rpmというXU8T型1775ccエンジンで引っ張るわけであるが、このクルマには多くの可能性が詰め込まれているような気がする。
時に可能性はトラブル・メーカーでもあるわけだが、これを克服することがプジョー205ターボ16の使命であり、将来のクルマの可能性への勇敢なチャレンジではないだろうか。

 レーシングカーでは、ミッドシップはすでに完成された技術であるが、ラリー車では、それが4WDと組み合わされることで、まだ未知の領域にある。どちらかといえばラリー車の方が市販車に近いわけだから、そこからの技術のフィードバックには大いに期待できるだろう。

 ミッドシップは、4WDという古くて新しい駆動方式を手に入れることによって、また新しい時代を迎えそうである。
Posted at 2016/11/09 22:20:17 | コメント(1) | トラックバック(0) | 書籍 | 日記

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「@てぇかむ#低燃費化 さん 記事の内容だと、今回の極小さな部材追加での燃費に対する効果については触れていなくて、部材取り外して突起構造の空気抵抗等による摩耗とかを確認し、再び単品での効果が持続的であるか?みたいな、材質選定といった初期的な確認なんですね。」
何シテル?   01/25 12:54
メカニズム解説とか、技術的な話題が大好きです。 ホンダ ビート(若葉色メタリック)はボデーがコチンコチンで脚は柔らかめで峠寄りの街乗り仕様です。 ...
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