
日テレ系列の秋田放送で今朝9時半前から1時間、テレビ東京の「カンブリア宮殿」が録画放送されていました。
業界問わず偉業を成し遂げた偉人や政財界人がキーマンとしてゲスト出演されて、作家の村上龍さんやタレントの小池栄子さんと対談するという番組内容ですが、今回はスバルこと富士重工業の森郁夫社長がゲスト出演されていて、現行レガシィのアイサイトや走ることの追求、軽自動車の自社生産からの撤退経緯などを中心に紹介されていました。
最初の20分程度はアイサイトの秘密と開発秘話。1年間に発生した事故のうち、4割以上が注意散漫による追突事故や対向車との衝突事故。これに加えてドライバーの高齢化でペダルの踏み間違えによるコンビニ突っ込み事故なんかも発生している現状を何とか軽減させたい、という開発者の思いから実現されたのがアイサイトだそうです。
ちなみにカメラが2個である理由は、左右の視野角が異なる人間の眼に近づけるため。これによって人や物を問わず、前方との距離を分析してペダルの出力をコントロールしたり、車線の左右偏りをきめ細かく監視できているんですね。
さらにクルーズコントロールを併用することで走行中、前車との距離を一定に保って追従走行することも可能になっています。
自動化に頼りたくないからアイサイトは要らない、と過去に言った自分。軽視しすぎていたみたいで正直済まなかった・・・。
最も感心したのは、
”走り"の追求。
"走る"ということに何を追求するのか、といきなり質問されても僕じゃ簡単に返せない、クルマに関する質問のなかでは難しい部類に入ると思います。村上さんも同じでなかなか答えられないでいる時、森社長はこう答えていました。
ワインディングを如何に快適に走り抜けることができるか、と。
なるほど〜って思いました。確かにタイトなコーナーが続くワインディングでは遠心力に負けたせいで、乗員の身体が傾き不快な思いをしますよね。スバルはエンジン単体の高さが低く、製造コストが高い水平対向エンジンにあえてお金を掛けることで低重心が実現し、遠心力軽減に繋がっているわけですね。それに水平対向ですから、一般的な直列エンジンのような上下振動が少ないことも快適性向上に繋がっています。
さらに、走りへの追求とともに挙げられるのが、技術至上主義的な社風。戦闘機「隼」生産の旧中島飛行機時代から続いていて、ほんの僅かな設計差で人命にダメージを与える飛行機作りだからこそ妥協を許さない、といった徹底ぶり。まさに現在の富士重工業の礎といえますね。
スバルでは走りの追求と技術至上主義を「初心」と位置付けているようです。この初心を再認識させるべく、
スバルでは栃木県佐野市のテストコースに森社長や幹部の方々が定期的に集まって、スバル360やサンバー、アルシオーネ、初代レガシィなどといったの過去の名車に乗って走っているそうです。
最後に、軽自動車自社生産からの撤退。
これは僕が一番聞きたかった話題ですが、クルマ好きである方なら日本市場が頭打ちである現状は周知の通り。従ってスバルを生き残らせるためには海外に目を向ける必要があることから、頭打ちの日本市場にしか存在しない軽自動車の自社生産をやめて、経営資本を普通車に集中させる・・・森社長はこのように答えていました。
アメリカ工場であるSIA(Subaru of Indiana Automotive Inc.)の工場立ち上げに関わった経験を持つ森社長。スバル360に代表される軽自動車で確立したスバルのクルマづくりに水をさすような形から、2008年春の撤退発表当時はスバリストを中心に批判や惜しむ声が相当あったものでしたが、発表から3年経った今思えば森社長の決断は正しかったでしょう。仮に軽自動車を無理に自社生産したツケでスバルが潰れていたら、今よりもっと多くの人が悲しんでいたはず。僕も現在の愛車であるBP9レガシィに、もしかしたら乗れなかったのかもしれません。
この番組、自動車業界最下位のスバル…と番宣していました。
ちょっと失礼じゃないかと思ったりしましたが、アイサイトをはじめとした(最下位ながらも)自動車メーカートップクラスの技術を持っていたり、単に流行りに左右させないドライバー目線のクルマ造りをするスバル=富士重工業の企業姿勢。これが現に認められて、
リーマンショック後のアメリカ市場では格上のメーカーを後に回してスバルだけ唯一、増収増益に繋がっています。
今回の番組のお陰で富士重工業の企業姿勢を再認識できましたし、現スバル車オーナーであることに僕は誇りに思います。
Posted at 2011/04/02 23:11:35 | |
トラックバック(0) |
クルマ:スバル | クルマ