金曜日に試乗を行ってきました。
N-BOX JOYターボ
3代目になってノーマルモデルからターボエンジンが無くなってしまったので
ノーマルの顔立ちが好きな私としてはある意味待望のモデルとも言えます。
画像を撮影した時はカンカン照りだったのですがこの直後に強雨が降り出し
ちゃんと撮影できたのは1枚だけだったので他の画像は転載です。
◎良かったところ
1:余裕のパワーと静かで滑らかな上質感あふれる乗り味
これは3代目N-BOXにとって同種の他車を引き離すアドバンテージであり
唯一の魅力とも言えます。
NAエンジンではさすがに登坂時にパワー不足を感じますがターボならへっちゃらですし
車体側の静音対策もあり2代目に比べてもエンジン音やCVTからの騒音や
ロードノイズの侵入がかなり抑えられているので1クラス上のクルマのようです。
2:明るい内装カラーとチェッカー柄のシート
ドアを開けた時だけでなく運転中もチラチラと視界に入るチェッカー柄のシートは
想像以上に雰囲気が良く、真っ黒クロスケなカスタムよりもN-BOXというクルマに
似合っていると思いました。
またダークベージュと黒の組み合わせのインスツルメントやドアパネルも安っぽすぎず
落ち着いたカラーリングながら室内を広く感じさせる効果があると思います。
3:雨音がかなり抑えられていたボディの静音対策
試乗中は強雨だったのですが雨がルーフを打つ音がかなり小さく聞こえました。
後ほど自分の2代目で走ると鉄板の太鼓を鳴らしているような打撃音が襲い
やはり軽自動車だなと痛感しますが
3代目はテコ入れをしたという静音対策も効果を実感できました。
×悪かったところ
1:地味で最初から汚れたボディカラー
試乗車はイメージカラーのサンドベージュでしたが晴天の下で見ても黒味が強すぎて
既に汚れたクルマに見えてしまいました。
サンドベージュというよりマッドベージュといった方が相応しい色で
洗車のやりがいのない色だなあと直感しましたね。
他に欲しい色となるとオータムイエローぐらいですが残念ながらツートンでしか選べません。
しかもルーフが黒しかないという、これまた私の好みに合わない設定です。
せめてシルバーかホワイトならまだマシだったのですが・・・
ツートンカラーは無駄に価格が上がりますし
ルーフ面が普段ほとんど視界に入らない背の高いクルマにおいては
全くの無意味だと個人的に思っています。
2:安物に見えてしまうボディデザイン
インテリアに比べて外観はかなり期待外れでした。
スペーシアギアに触れた直後だったこともあるでしょうが、SUV感を演出する黒いパーツの
使い方や表面処理とデザイン形状は
いかにコストを掛けずにそれっぽく見せるかの単なる記号に過ぎず、
ただひたすらに安っぽく見えるだけでした。
N-BOXというよりN-VANの新型といった方が相応しいですし、むしろ現行N-VANの方が
上質感のあるデザインをしています。
3:アルミホイールが標準装備ではない
これは好みの問題ですがピアノブラック塗装にハーフキャップとメッキリングが装着された
スチールホイールはパーツ構成的には凝っていますが
雨中を走った後や洗車後にいつまでも水が染み出すことが明白ですし、
カラーリングや仕上げ的に水染みだらけになることは目に見えています。
真にアウトドア志向ならスチールホイールだけで充分ですしオシャレさを訴求するなら
単純な1ピースのアルミホイールでも可能なはずです。
なんだかデザイン労力とお金の掛けどころが間違っていると思いました。
4:カスタムに比べてシャッキリ感に欠ける走り味
走りの基本はカスタムターボと同じで路面の継ぎ目や素材の変わる所を通過した際の
脚の動きやショックの収まりだけならしなやかでとても良いのですが
特にコーナリング中でそういう路面を通過した時にグニャッとした反応があり
全体的にシャッキリした走り味に調律された中で不安感と
どうにもしっくりこない印象がありました。
おそらくタイヤの扁平率がカスタムは55、JOYは65なところに起因していると思いますが
単純にカスタムと同プロファイルにすれば解決するような問題でも無さそうです。
逆に言えばカスタムの走り、乗り味が55扁平の15インチを完全に使いこなしながらも
快適性を両立しているという証拠かもしれません。
5:静音化対策にカスタムとの差がありそう
これは全くの同条件で試乗をしていないのとメーカーからは何のアナウンスもないので
ハッキリとはしませんが、静音化対策のレベルがカスタムと比べて違うような印象でした。
頭上周りのコモリ音と前方から侵入するノイズ音量が若干JOYの方がうるさく聴こえました。
6:撥水素材のシートが蒸れる
以前乗っていたステップワゴンは撥水撥油素材のファブリック素材でしたが
とにかく蒸れやすく熱が抜けにくいシートでした。
予想はしてましたがJOYの撥水ファブリックも腰や腿裏があっという間に蒸れて
汗ばんできたので見た目のオシャレさと裏腹に乗員は我慢を強いられるシートでした。
意外なことですがカスタムのトリコット表皮のシートの方がまだ蒸れにくかったですね。
7:価格が高い
一応見積もりも取りましたが希望する仕様で作ってもらったところ
同内容のカスタムターボより高くなってしまいました。
原因はツートンカラーとアルミホイールですね。
しかもそこまでやってもJOYは4スピーカーしか選べないので高い純正ナビを装着しても
音響面でのメリットはカスタムほどではありません。
また新たに装備されたラゲッジボックスの価格が上乗せされているのでしょう。
8:視認性最悪のメーター
もうこれは何度も言っているのですが運転中に必要な情報が微塵も視界に入らない
メーターの配置とフォントやアイコンのサイズ、レイアウトパターンが
全くもってドライバー視点に立ってデザインされていないGUIは他メーカー含めても
最悪のメーターだと断言できますね。
ホンダがこのメーターをやめるまで私は糾弾し続けます!
総評
1:売れ筋のSUV路線をラインナップに加え盤石の布陣で迎え撃つスキの無さ
4輪のホンダは特に日本市場において泥汚れの似合うボディ形式のクルマに消極的でしたが
今や最も売れるSUV市場を無視できず、続々とラインナップされてきましたね。
一時期スペーシアに抜かれましたが相変わらず軽自動車では最も売れているクルマですから
むしろ3代目の目玉として最初から出しておいたほうが良かったぐらい
ノーマルとカスタムとは差別化ができていると思いました。
特にノーマルからターボが無くなったのを残念に思う既存ユーザーの
受け皿にもなるのではないでしょうか。
2:アウトドアなのかオシャレなのかハッキリしないクルマの仕上がり
一見するとアウトドア志向のユーザーをターゲットにしているモデルですが
実際はオシャレ路線を向いている感が強いと感じました。
その割にボディカラーにパットしたものが無く、安物に見える外観は一体どっちを向いているのかハッキリしない中途半端さに溢れています。
メーカーのイメージ画像でも一見アウトドアでカフェに興じているようですが
服装が街中で着るようなカジュアルスタイルなのも
「どこでどういう人がこういうシチュエーションを楽しむと思ってるんだよ!」
とツッコまずにはいられません。
3代目N-BOXは不満点も数多いのですが、走りと乗り味においてはドライバーの立場としては
非常に魅力があるクルマなのは明白です。
JOYにはターボモデルがあるとのことでその出来次第では乗り換えも辞さないつもりでしたが
実際に観て触れてみるとどこかあと一押しが足りないクルマでしたね。