絶滅危惧種の保護活動

最近良く行く鞍掛峠。

道幅も広く、景色は壮大で、車通りも少ない。

会社の疲れを吹き飛ばすのにもってこいの道である。

昨日は天気もよく、路面も乾いていたため、定時で切り上げて飯も食わずに峠へ向かった。

三重側から入り、つづら折りのコーナーを抜ける。

バッテリー変更で軽くなったノーズは、果敢に車をインに向ける。

新品のエアクリは新緑の空気を吸い込み、ピストンを急かし立てる。

最高の気分のままに頂上のトンネルでVTECの快音を楽しんで、

下りコーナーに向けてゆっくりとハンドルを右に切った。



をぉぉぉっ！！


落ちとる！！


そこで目にしたのは我がプレリュードと血を分け合った兄弟、トルネオユーロRが苦しそうに路肩に鎮座する姿だった。

車がこちらを向いているため、上りから見たら山側の右コーナー。

６０cmほどの深い溝に左両輪を落とし、にっちもさっちも行かないようだ。

肩を落とすオーナーらしき青年の周りには人だかりが出来ている。

一度はそのまま下って様子を見たが、やはり同じH22Aを積む同志である。

往復して脇に停車し話を聞くと、対向車がセンターを大きくはみ出してきて、よけようとハンドルを戻したらこうなったそうだ。

相手はとっくにいなくなっているし、ケーサツを読んだら逆にこっちがよからぬ疑いをかけられ面倒になりそうである。

JAFやロードサービスは呼んで無いそうで、どうやらこのまま無理やりトラックで引っ張り出そうとしているらしい。

救助に停まってくれた土建屋らしきおじちゃんたちは

「ちょっと先に現場があるでよ。ワイヤーでも持ってくるか？」

と、息をまいている。

が、、、、

それって廃車になっちゃうんじゃない！！？？＾＾；

左はどっちも溝に落ち、山側のコンクリ壁とKissしているし、オイルパンやフレーム、アームなんかも着地中。

これはいかん！この世からまた一台H２２A搭載車がいなくなる！

↑というかトルネオRが絶滅危惧種

と思い、オーナーにクレーンを呼ぶように進言。

山の中過ぎてケータイが通じないオーナーを乗せ、三重側まで戻る。

クレーンを呼ぶのはこれで人生２度目。

「セリカの時には確か１万くらいだったよ。」と慰めになるかならんかわからん言葉をかけながら、クレーンを待つ。

ギャラリーたちはクレーンが来るとわかり、ほっとした表情を浮かべながら三々五々、現場を後にした。

事故ったときの、周りの人の温かさとはなんと有難いものだろうか。

この国に生まれたことをうれしく思った。



あたりは日もどっぷり暮れた山中。

空には満天の星だが、そこに佇むのはムサイ男二人。

ロマンスのかけらも無いばかりか、たまに山から降ってくる小さな落石に、ポルターガイストなんじゃないかとビクビクする。

気分を紛らわすために、車談義を一通りしゃべり終えたくらい、１時間半程待っただろうか。

車専門でも何でも無い、フツーのクレーン屋さんが来た。

引き上げ作業料はコミコミ４万だそうだ。

２１時を回った山中で、大の大人４人分の工数と考えたら安いもんだが、私の言った１万円とはかけ離れた金額(ぬか喜びさせてゴメンヨ。）に少々我を失いながらも、

青年は覚悟を決めたようで、クレーン屋さん達に身を委ねた。

仕事はとても丁寧で、車を気遣いながらワイヤーをかけてくれた。

また、私が「ルーフにワイヤーかけちゃだめ！」といったら、ホイールで上げてくれたためにダメージは最小限ですんだだろう。




無事に大地に降り立ったユーロRたんは、あいにくフロントのトーがあさっての方向を向いていたので、

毒を食らわば皿までじゃ！と思い

「タイロッド、叩こうか？」とロッドエンドプーラーを工具箱から取り出したが、

ロッドエンドでなくタイロッド自体がグンニャリ逝っていたため、手持ちの工具に限界を感じ、このままテンパータイヤで帰すことにした。

（今思えば逆側のタイロッドを思いっきり伸ばせば、トーゼロに近づけれたなと思うと悔しい。）

山を降りるまで付き合い、近くのコンビニで別れた。

最後に彼は、

「直して乗りますよ。」

と笑顔で言ってくれた。



これでひとつ、絶滅の危機に瀕しているH22Aを野に放つことが出来た。

本当は体調が思わしくなく、今日は峠はやめておこうかと思っていたが、きっと神様がめぐり合わせたのだろう。

鈴鹿のディーラマンだといっていたので、今度はプレちゃんがお世話になるかもしれないな。

そんな不思議な夜だった。

うちに帰ったらバタンキューだった。



P.S.

SiR-Tさん（ひらひら。さん？）からもらったエアクリはサイコーでした！

あんま変わらん？とか言ってごめんなさい。ちゃんと乗ったら全然違いました。

ペダルに軽く足を乗せていてもスゥーっと加速します。平坦な道も下り坂に感じます。というか、純正エアクリ汚すぎでした・・・。

これで燃費がさらに良くなるぞぉ！

とってもうれしいサプライズプレゼントをどうもありがとうございましたm(__)m