さて、MEGANEMAN CUPからだいぶ時間がたちましたが、あの時から色々考えていることを書こうと思います。
間違ったことを書くのもいけませんので、私が愛読している
教科書を参考に。。。
ただ、私の読解力の乏しさゆえ、教科書持参でも間違ったことがあるかもしれません。
興味がある方は是非、手にとって読まれることをお勧めします。(普通のカー雑誌が避ける技術的な解説が載っています)
さて本題です。
私がアライメント調整をとあるショップにお願いした際、「FFのリアはトーアウトにしないと曲がらない」といったようなアドバイスを受けました。
FFに乗るのは初めてだったため、そういうモンなのかと思いつつも、なんか引っかかりを感じたために結局純正よりちょっと緩めのトーインに仕上げてもらいました。
果たして本当にそうなのか。ちょっと教科書をあさってみました。
そのまえにおさらい。
車はどのようにしてコーナリングを開始し①、維持し②、収束するか③
その基本的メカニズムはこんな感じです。
①コーナリング開始
・前輪に舵角を与える
・前輪にスリップアングルが付き、タイヤの進行方向に対して横方向の力(横力)が発生する
・このうち、車両の方向に対して直角方向の分力がコーナリングフォース:CFとなり、進行方向後ろ向きの分力が走行抵抗となる
・フロントに発生したコーナリングフォースにより車両にヨーモーメントが発生し回頭を始める
②コーナリングの維持
・車両が回頭を始めると、車両自体は慣性にしたがってまっすぐ進みたいのに、後輪は回頭によってイン側へ切れ込もうとする。
・これにより後輪にもスリップアングルが付き、CFが発生
・前後のCFが等しく、またこれらの総和が遠心力と釣り合っているときに車両はコーナリングを維持できる
③コーナリングの収束
・コーナーを収束させるために前輪の舵角を減らす
・前輪のスリップアングルが減少し、それに伴ってCFも減少
・前輪のCF<後輪のCFとなり①とは逆方向のヨーモーメント発生
・車両の進行方向と後輪の進行方向が一致するに従い後輪のCFも減少
・コーナリングの収束
と、ざっくり書くとこんな感じ。
で、話を戻してリアトーの話。
上記の話から、車両旋回性能を上げるにはCFを多く発生させることが重要だと言うことがわかります。(車重を軽くして遠心力を小さくするという方法もあります)
基本的に、タイヤのグリップ限界を超えるちょっと前あたり(曖昧だなぁ^^;)まではスリップアングルとCF(ホントは横力だと思うけど割愛)は比例関係にあるそうです。
つまり、蛇角が多ければそれだけ多くのCFを発生できます。
余談ですが、ステアリング反力の基となるセルフアライニングトルクは、一定の舵角以上で急減少します。
このため、コーナリング中に「ステアリングが軽くなった!」となると旋回力が落ちたように感じ、ハンドルを戻したりしてしまいますが、
実際に最大CFが発生するスリップアングルはもう少し高い位置に存在します。
この領域をステアリング反力だけに頼らず感じ取れるセンスを磨けば、より高い次元のコーナリングが出来るのだと思います。
また脱線を、、、
ということでリアにトーアウトをつける=旋回時のリアのCFを減らすということになりかねません。
リアのCFが少ないということはフロントのCF>リアのCFという状況になりやすく、フロントの舵角を大きくとると途端にヨーモーメント発生→スピンという状況になってしまいます。
となると旋回を安定して維持するために取れる方法は一つ。
フロントのCFを減らさざるを得ません。これはつまり車両全体のCFを減らしてしまうことになるのです。
これはなんと勿体無い。
もちろん、リアにトーインをつけることでコーナリング開始時にヨーモーメントを発生させるのに大きな力がいるようになります。
それは感覚的にアンダーステアを感じさせるものかもしれません。
しかし、後輪には生憎、操舵機能がありません(除く4WS)
乗り手に違和感を感じさせず、かつ直進時に走行抵抗となったり、タイヤを偏磨耗
させない程度にトーインをつける。
これがセオリーなような気がした今日この頃です。
昔はFFのリアタイヤなんて無くてもいいと思っていた時期がありましたが、FFのリアタイヤってすごく大事な働きをしてるんです。
もうちょっと掘り下げて書きたかったのですが、長くなってしまったのでこの辺で。
P.S.
今日のブログではちょっと乱暴な書き方をしてしまいましたが、FFのリアトーを0もしくはアウトにしても走り方によっては有利になる場合があります。
例えばミニサーキットなどでタイトコーナーばかりが続く場合、旋回を維持しなければいけない時間はほんの僅かです。
つまり上記の①~③の間の②の状態が極端に少なく、ヨーモーメントをすばやく立ち上げ、出口ですばやく舵角を戻すようなコーナーではとても有利に働くとおもいます。
また、フロントのCFを減らす方法は舵角を減らすだけではありません。
FFの特徴はなんと言っても舵取りタイヤと駆動タイヤが同一なこと。タイヤに駆動力を与えればCFのキャパシティーを喰う事ができ、スピンを抑制したり旋回を収束できたりします。これはFFの特徴です。
つまり、クルっと回ってドカンと飛び出す走り方。(加速による荷重移動でホイールスピンが起きるのでそんなにうまくはいきませんが)
ero師匠がコーナー出口でFRのごとく早くアクセルを開くことができるのにはそんな秘密があったのです(え?ホントはトー0だった??^^;)
またこれとは逆に、ヨーモーメントの不足を感じた際、後輪だけに制動力をかけて(サイドブレーキ等)後輪のCFを減少させる方法もあります。
これがイソボン師匠の「必殺!アンダー殺し!」
これもトータルのCFは下がりますが、低速のコーナーでは有効な手段かとおもいます。
ようは何がいいたいかというと、その人がその場所を走って一番速いセッティングがその人にあったセッティングということ。
頭でいくら考えても、答えは出ませんので、実践が何よりということです。
ただ、FFのリアはトーアウトだという一方的な意見があまりに多かったため、ちょっと考えてしまった次第でございます。
いろんなセッティングを試し、自分のスタイルに合ったアライメントを見つけたいものです。