
いつも水曜の夜あたりになると、みんカラからメールが届く。
「なんとか宅配便」みたいなタイトルで、あなたのページがコレだけ閲覧されましたよ、みたいな。
いつもボーッと見ては消しているんだが、ふと思ったのが「なんか最近、地デジアンテナ自作したページが目に付くなあ…」
調べてみるとマイページのPVレポートってリンクから、最近/今までの閲覧数が見れる様なので覗いてみた。
確かにこの一か月ほど、急に閲覧数が安定的に増えている。
なんか面白そうだ、ってんでドコかで誰かがリンクでも張ったのだろうか。
そんな事を思ってたら、みんカラのユーザーさんからメッセージが来た。
それも1週間ほどで二人も。
どちらも「自分もやってみたいので、レクチャーして欲しい」旨の内容だった。
そもそも、現実世界の知り合いと数少ないみんカラ友達が見てる程度の、しかもブログしか書いてないページなので、不特定多数が閲覧するに耐える様な内容では無いのだが、誰かが参考にしているとなると一大事である。
良くてもシエンタユーザーが見てる程度だと思うから、適当でいい加減(笑)な日記を気楽に書けているんだが。
メッセージを頂いた方にも「特別大したコトではなく、ヘンテナに関してはネット上に山ほど情報があるので、それを参考にされた方が良いかと」みたいな返答になった。
なにしろ住んでる地域によって地デジのチャンネルが違うので、目標とする周波数も変わってくるワケで。
周波数が変わるとアンテナのサイズも変わってくるから、一律な話では無くなるし。
そうは言っても、あまりに閲覧数が安定して増えるので、ちゃんとした製作日記ぐらいは書いておかないと「ちっ、なんだよコレ、参考になんねーよ」とか思われたまま、去って行かれるのも不憫ではあるし。
んなワケで、いい加減な作り方だった自作アンテナたちを再度作り直すついでに、十分な返答を出来なかったメッセージへのお返しというコトで。
で、まず前回やったのは「目標周波数を2つ設定し、一方はフロントのダイポールアンテナで、もう一方はリアのヘンテナで受信する」だった。
それを今回は「目標周波数を2つ設定するのはそのまま、それぞれの周波数にダイポールアンテナとヘンテナを割り当て、フロント/リアとダイポール/ヘンテナを互い違いに組み合わせる」でやってみた。
まずは目標周波数が2つあるって事の説明だが、これは地域的な事情である。
一般社団法人デジタル放送推進協会のサイトを利用すると、居住地域の地デジ送信施設と送信エリアの詳細を調べる事ができる。
そのサイトから拝借した、ウチの奈良市を中心とするエリアはこんな感じだ。

基地局を選択すれば、地形も考慮した各々の送信エリアを色付きで表示してくれる。
また
こちらのサイトでは、全国の送信施設のチャンネルや出力・偏波などが調べられる。
これらによると、
大阪局:生駒山上に設置され、奈良県北部はもちろん大阪や周辺地域をエリアとし、NHK大阪・NHK教育(Eテレ)・読売テレビ(日テレ系)・関西テレビ(フジテレビ系)・朝日放送(テレ朝系)・毎日放送(TBS系)を擁する3kW出力の重要な基地
奈良局:法隆寺(松尾山)に設置され、現在はNHK奈良の放送のみを100Wで送信する基地
生駒奈良北局:生駒山上に建つ大阪局より奈良側の生駒山7合目あたりに設置され、地方チャンネルの奈良テレビを100W送信、他に大阪局とカブるEテレを0.3W、奈良局とカブるNHK奈良も10W送信を行う基地
この3つで奈良市全域をカバーしている様で(地形的な難視聴地域は各々に小さい局でカバーしているが割愛)、奈良に住んでて必要なチャンネルも網羅している。
で、NHK奈良だけを送信する奈良局は、生駒奈良北局の送信するNHK奈良とチャンネルは31で同じ(周波数)なので、個別に考慮しなくて良い。
つまり大阪局と生駒奈良北局の2つで考えれば良いワケだ。
地デジのチャンネル数と周波数帯域は、
その大小が比例して増減する。
なのでチャンネル数で目標を設定してから、周波数を調べれば良い。
上述の2局の送信チャンネルのうち、視聴したいチャンネルをまとめると、
大阪
Eテレ :13
読売TV :14
朝日TV :15
毎日TV :16
関西TV :17
NHK大阪:24
生駒奈良北
奈良TV :29
NHK奈良:31
24chのNHK大阪を除いては、それぞれ偏っているのが判る。
大阪局側のうち、Eテレはあんまり見ないし(笑)、NHK大阪の為だけに目標を中途半端にするのもアレなんで、14-17chに的を絞れば15-16chの間に目標を設定すれば良いのが判る。
生駒奈良北局側は、2つしか無いから中間の30chを目標にすれば良いのだが、どちらかと言えばNHK大阪を見たい事が多い(笑)。
悩んだ上で、少しNHK大阪寄りに27chを目標にした。
さっきのリンク先(Wikipedia)で調べれば、それぞれ488MHzと557MHzとなる。
これが目標周波数を2つにした理由である。
こんな感じで、住んでる地域やその地域でのチャンネル設定、見たいチャンネル等を考慮して周波数を選定するので、メッセージやメールで簡単に説明できないのだ。
さて、周波数が決まればアンテナのサイズが算出できる。
ダイポールアンテナはエレメント1つの長さは波長の1/4、それに短縮率を掛け合わせたものだ。
短縮率は計測機器も無いので97%固定でやっている(笑)
ちなみに毎回、波長計算に利用させてもらってるのは
こちらのサイト。
助かってます。
で、計算。
488MHzのダイポールアンテナエレメントは、614.33mm/4*0.97=148.98mm
557MHzのダイポールアンテナエレメントは、538.23mm/4*0.97=130.52mm
小数点以下まで計算するものの、そもそも特定周波数にピンポイントで合わせているワケでは無いし、そんな精度で加工したり取付けしたりもやってらんない。
なので、ココは149mmと130mmで純銅テープをカットする。
次はヘンテナの計算。
長辺は波長の1/2、短辺は波長の1/6、給電線は短辺から波長の15-20%程度あたりに取付け。
488MHzのヘンテナは長辺/短辺/給電位置が307mm/102mm/105mm、
557MHzのヘンテナは270mm/89mm/92mm
となる。
ヘンテナは作りが少々いい加減でも許容されるので、小数点以下を取っ払い整数化し、給電位置も17%計算で整数化。
結局のところ、毎回いい加減なのである(笑)
で、まずはフロントガラスにダイポールアンテナ。
今までのインバーテッドVよりは保安基準適合なのである。

運転席側に488MHz用、助手席側に557MHz用を配置。
画像の縮尺の関係で運転席の方が短く見えるが、給電端子の大きさで判る様に実際には運転席の方が長い=波長が長い=周波数が低い。
次に右後クォーターウィンドウに557MHz用ヘンテナ。
左後クォーターウィンドウに488MHz用ヘンテナ。

受信する3局は全て水平偏波なので、ダイポールは横倒し、ヘンテナは縦置き。
ヘンテナは短辺方向が偏波方向なのである。
さて、いつもの計測場所に移動した上での結果である。
前回の最終結果と比較してみると、
NHK奈良:76→82
Eテレ大阪:83→81
毎日放送:82→83
朝日放送:81→83
関西テレビ:82→83
読売テレビ:82→82
奈良テレビ:80→70
NHK大阪:80→81
NHK京都:43→36
KBS京都:42→33
サンテレビ:11
狙った放送局はほとんど変わっていないが、これは前にも書いた様に何をやっても代わり映えしないので、地形的にも機器的にも飽和した限界だと思う。
奈良テレビが下がったのはNHK大阪を強化する為に目標を27chにズラした結果なので予想通り、京都系の2局については考慮していないので当然。
ちょっとビックリしたのは、兵庫県神戸市を中心とした、奈良では受信不可能なサンテレビの電波を初めて拾った事だ。
当然ながらワンセグがコマ送りになる程度でマトモに視聴は出来ないのだが、受信可能チャンネルのポーリング操作で放送局名が表示されたこと自体が初めての事なので、なんかヘンな方向でアンテナが強化されたのかも知れない(笑)。
「なーんだ、変化無しかい」と思うかも知れないが、今回の作り直しで「どうしてもワンセグに切り替わる地域が大幅に減った」のと、代わりに「今までフルセグ受信出来ていたがワンセグに切り替わる地域が出来た」のも変化として現れた。
もちろん素人がいい加減に作っているアンテナが、万能かつ優秀な動作をするはずが無いコトを考えれば、これぐらいソコソコに電波を拾ってくれて実験で遊べたコトを差し引くと、なかなか優秀なアンテナじゃ無いかと自賛するのも悪くないと思う。
まあ、とりあえずコレで納得して頂くということで…地デジアンテナ自作の仕切り直しは終了なのである。
けど、まだ純銅テープは25m以上残ってるんだけどなあ(笑)
<オマケ>

ついでに
こないだいい加減な長さで作ったFM-VICS用フィルムアンテナも、波長(奈良:87.4MHz)に合わせて80cm強の折り返しアンテナで作り直してみた。
今まで市街地から外れたりすると、最新情報への更新時間が飛んだりしていたのだが、バリバリに受信するようになったので効果はデカかったりして。
なんでいつもメインの作業より余興の方が効果が大きいのか。
これもナントカの法則なんだろうか。