Motor Fan 1990 FEBRUARY Vol.44 No.2
第28回東京モーターショーで発表されたマツダのモデルの試乗会が行われた。今回用意されたモデルはいずれもいつかは市販化へと言ったモデルで、明日にでも発表されるものもあれば、こういったコンセプトで‥‥‥といった表現にとどめたモデルもある。しかし、すべて完成度は非常に高く、ぜひ市販を、と望みたいものばかりだ。
乗り手をワクワクさせる要素を持ったクルマ
安定方向の足まわり
JARIの高速周回路に隣接するESVコースで試乗した。パイロンがちょろっと並んでいるだけで、道らしきものが無い広場での試乗なので一般の路上とは感触が違うが、色々な走りをしてAZ550のポテンシャルを探ってみた。
ハンドリングは安定方向に振ってあった。リヤのグリップ限界は高くブレーキングとハンドルの切込みをうまく使ってやっと滑り出す程度だ。滑り出してもコントロールはやさしく、ミッドシップだからと言って振り子のようにリヤが出ていってしまうことは無い。たとえ滑ったとしても大げさなカウンターステアを当てなくてもグリップは回復する。
普通の走り方ではフロントが先に滑り出す。このときの試乗車はタイヤがだいぶ摩耗してショルダーが無くなっていたので、そのせいもあるかもしれない。それにしてももう少しフロントのグリップを高めた方がこのクルマらしく走れると思う。これは相対的なもので前後のグリップバランスの問題だから、いまのレベルからリヤのグリップを減らしても問題ないと考える。
応答性も過敏にはしていないようだ。しかし、もう少しリニアリティがあると良いと思った。
具体的にはハンドルの切り始めはややダルである。クルマそのものが軽いし捩るような弾性感はないが曖昧な所がある。もう少しステアリングマウント類の剛性感をアップした方が手ごたえもすっきりとすると思う。
30度くらい切り込むと少しシャープさが出てくる。回答性もよくなってノーズもクイクイと曲がってくれるようになる。
しかし、90度くらいになると再び鈍さが顔を出す。この頃になるとコーナリング状態になっているから、どちらかというと応答性がダルというよりフロントが逃げているという感じになる。
パイロンの間をくぐってレーンチェンジのように走ってみた。パイロンピッチが短いのでかなり急なレーンチェンジである。ハンドルをちょうどシャープに反応するところを使うとキビキビと動ける。
するとロールが少し気になった。左にレーンを移る時にはまず右にロールし、レーンチェンジ後は左にロールする。このクルマのルックスにしてはロール角は大きめだが、ロールすること自体は問題ない。ただロールの仕方が頭が大きく振られるような感じになるのが嫌だった。振られた後の戻りも遅く感じられた。ロールセンターが低くて重心が高いクルマのようだ。そういえばミッドシップにマウントしたエンジンと一緒にアルトのフロントサスペンションも移植してあるから、ロールセンターは低いかもしれない。フロントサスペンションもドライブシャフトこそないがアルトのものであるという。ロール軸と重心点の関係がうまくないのか。
ダイレクトなシフトフィールを‥‥
重心と言えば、ガルウィングのドアがかなり重いようでルーフ付近の重量はかなりあるという。この影響で頭が振られるような慣性の強いロールを感じたのかもしれない。
まぁこの辺は煮詰めていけば気にならないレベルに持っていけるだろうし、まだコンセプトカーの段階でこれだけ走ることができたのだから期待できる。
コクピットが狭いのでドライバーズシートはややセンターを向いているらしいが、運転していて全く気にならなかった。ペダルレイアウトもほとんど問題ない。ただシートのリクライニングが出来なかったので、ステアリングからは少し遠かった。その分シートを前にスライドすればいいのだが。腕の長いイタリア人の体形にフィットしそうだ。
ついでにリクエストしておくと、シフトフィーリングはもっとダイレクトな感触が欲しいと思う。FF用をミッドにしたのだから取り回しが大変なのは解る。しかし、ここまで思い切ったスタイリングにしたのだから、スタイルに見合った味付けにしてもらいたい。
味付けといえば、排気音も研究して欲しい部分だ。マフラーの改良でいいエキゾーストノートになると思うがいかがなものだろう。
このクルマの欠点はミニスカートの女の子が乗り降りしにくいところだ。エッそこが楽しみだって?そりゃ中年好みでしょ。発売すればミニスカートで乗り込む方法なんてハウツウものの企画ができるかも。
モーターファン 1990年2月号 p166-168より抜粋
こうして見るとAZ-1とAZ550SPORTSではエクステリアでも結構異なるところがありますね。
まずは何と言ってもリトラクタブルライトでしょう。開けた時の表情は丸ライトという事もありちょっとファニーですよね。
フロントボンネットエアインテークも造形がちょっとシンプルです。
サイドミラーもピタローニのベビーターボちっくな形で、取り付け位置も異なります。
ワイパーアームもダブルリンクとコストがかかっていますね。
リアも反射板が別体だったり、マフラーが2本だしで運転席側に開口していたり、給油口が運転席側のエアインテーク部に隠されていて、市販型とは左右逆な部分ですね。
センターアンテナも後ろ側に付いていて感じが少し違いますね。
走りのインプレッションではロールの仕方が頭が振られるような感じがしたり、シフトフィールがイマイチだったり、排気音のチューニングをリクエストされたりしていましたが、市販型もおんなじ不満がある気がします(^^ゞ (個人的感想)
小早川隆冶さんが(FD3S主査)RX-7はシフトフィールを良くするために『開発スタッフを一人突っ込んだ』と言っておられましたが、AZ-1でも是非してほしかったorz
AZ550SPORTS TYPE A これからもレポートしていきます!
☆☆☆☆☆☆ AZ-1生誕20周年ミーティング ☆☆☆☆☆☆
2012年10月7日、広島県安芸郡府中町マツダ本社内にて開催
参加受け付けは
8月1日~31日までとなります。
詳しくは下記のリンクへ!
Posted at 2012/07/27 23:20:52 | |
トラックバック(0) |
AZ550 | クルマ