前回のブログで、じゃあ何故S2000はあのようなステアリング特性なの?いったいどうすれば・・・
と、貴島先生の動的感性工学概論を読みあさってると興味深いのがあった
以下、コピペしてかいつまんでいくと

(画像は拝借)
コーナリング中、駆動輪には既にSA(スリップアングル)がついてる
アクセルを踏むと駆動力の中心の合力が重心より外側に向いて働くことでヨーモーメントを発生させ、その力がヨー角を増大させる
FRもFFも旋回状態では、遠心力によって内輪よりも外輪の接地荷重が大きくなっている
駆動力は接地荷重が大きい外輪のほうに大きく発生する
実際には、重心からもっと離れたタイヤの位置で、重心点を軸として車体を回そうとするヨーモーメントが発生していることになる
これが「アクセルを踏むとクルマのヨー(自転)角度が増える」理由
しかし、駆動力を起源とするヨー角の発生には、当然、上限がある
ヨー運動は重心点を軸とした回転ですから、前輪にも後輪にも、ヨー角が増えた分と同量のSAが増加する
その結果として増加する後輪のCF(コーナリングフォース)は、駆動力によるヨーモーメントを打ち消す反対方向の力として作用する
だから、駆動力によるヨー角の変化は後輪のSAを超えることができない
一方、速度が上がることで遠心力も大きくなり、それに対応するCFを発生するためのSAも増加する
ですから、駆動力による後輪SAの増加分と、遠心力の増加によって必要となる後輪SAの増加分が一致した時点でヨー角は安定する
ヨー角の増加量=後輪SAの増加量
で、ここにステアリング特性が表れてきます
後輪SAの増加分と同量のSAが前輪でも増加するので、そのSAで発生するCFが、その速度で前輪が必要とするCFに対して、多過ぎたり少なかったりすることになる
前後輪が必要とするSAが異なる場合は、ヨーの変化が前後輪のCFのバランスを崩すことになり、それを補正するために、ステアリングを切り増したり切り戻したりしなければならない
つまり「後輪SA-前輪SA」が、0か正か負かが問題になる

(画像は拝借)
NS特性車は前後輪にヨー角と同じ量のSAが増加しても、そのままの舵角で加速前の公転軌道を旋回でき
US特性車は、本質的に後輪のSAが少ないうえに、速度が上がるにつれて後輪SAよりも前輪SAが大きくつく必要があるので、車体の進行方向が外側に膨らみ、ステアリングを切り増して、前輪にヨー角以上のSAをつけなければ、これまでと同じ軌道を保てないことになり
OS特性車は、後輪SAがもともと大きいうえに、前後輪にヨー角分のSAがつけば、前輪のSAが過剰となり、内向きに巻き込みます。なので、ステアリングを切り戻し、前輪SAを減らさないと曲がりすぎてしまう
その加速状態からアクセルを少し戻し、一定の駆動力にとどめると、ヨーモーメントは、その時の遠心力とSAがついたことによるCFがバランスし、定常円旋回状態になる
アクセルを踏み込んで加速して、一定量増やせば、更にSAがつくところでバランスする
車体に固定されている後輪のSAを車体ヨー角とみなして、自転的視点から言い換えれば、ステアリング特性とは、車体ヨー角の変化で生じる前後輪のSAのバランスの違いと言い換えることができる
初期型S2000の加速旋回でのリアのトーインの変化量は大きい
アクセルONで駆動力を起源とするヨー角の発生
↓
後輪SA(バンプトーイン)の増加
↓
後輪の車体ヨー角の増加
↓
以上の事からS2000の旋回姿勢はOS特性となり感覚的に操縦性の中心、旋回軸は後ろ寄りと感じる
個人的はステアリングはニュートラルが好ましいのでどうにかしたい
リアのSAを減らさないといけない
対策としては
①ストロークの少ないダンパーにスプリングのレートを20Kg/mm級にしてストロークさせない
②フルピロにする
③後期メンバー仕様に変える
寿命を考えてのストリート用だから③以外選択肢がないな
貴島先生は
腕に覚えがあって、クルマを振り回して走りたい人には、アクセルを踏み込むほど内向きの視界変化を強めるOS特性が歓迎されるかも知れませんが、王道はひとつです。「ストリートでベストなステアリング特性はNSである。」というCOOLな判断は、動的感性工学的なアプローチでも変わりません。
COOLです、先生。
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S2000 | クルマ
Posted at
2016/05/12 21:10:05