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2011年12月09日 イイね!

プリンス・マイラー(T440)・・・の残骸

近所のスクラップ・ヤードに、プリンス・マイラーが入っていたので部品をギンバイしてきました。

こちらがそのプリンス・マイラーです。



え?「なんだこの鉄クズ」ですって?

紛うこと無きプリンス・マイラーですよ!

ほら、この特徴的なフロント・グリルで一目見てマイラーだってわかるじゃないですか!?



え?どこがグリルかわからない?

ちなみに生前の姿?はこんな感じです。



このマイラーは地元の農家で眠っていた個体で、引き上げ時には
地中に半分埋まっていたそうです。

フレームと、プリンス製1900ccG2エンジンと、国産商用車初となるプリンス製5速ミッションは
海外に輸出する為に外され、キャビンの残骸だけが捲れ上がった状態で残っていました。

エンジンは鉄として売るのかと思いきや、東南アジアで新たなボディを与えられ
第二の人生を送るとのこと。

凄い、の一言。

同じ農家にクリッパーもあり(おそらくはT650系?)、それも引き上げてきたそうですが
そちらは既にヤードを旅立っていました。

ホントはエンジンやミッション、メーターやステアリングがプリンス・ライトコーチに使えるので
丸車の状態で抑えておきたかったのですが、残念ながら一足遅かったです・・・。


残骸から辛うじて回収したゴミ・・・じゃなくて戦利品の数々です。

東芝製・純正シールドビーム・ヘッドライト(遠目)×2 ホーンリング メーターパネル 灰皿 
グローブボックス・リッド ライトスイッチ ヒーターコントロール・パネル Fターンシグナル・レンズ 
ルームランプ・レンズ 車輛銘鈑 ラジエーター・キャップ クラッチマスター・キャップ 
燃料フィルター 各種スイッチ・ノブ 各種エンブレム トヨタ純正ヒューズ レシート



酷い状態のキャビンを漁って、これだけの部品が取れたので良しとしましょう。


エンジンルームにビス留めされている車輌銘鈑です。

「プリンス 形式:T440HG-1 原動機形式:G2 
最高出力:91PS/4800rpm 車両番号:T440G-1611」



スカイライン/グロリアと共通のエンジンはもちろん、国産商用車初となる5速ミッションが
海外に送られたのは痛かったです。
ちょうど、知り合いのスカイラインスポーツ・コンバーティブルのオーナーがG2型エンジンの
部品を欲していたので、抑えておきたかったのですが・・・

2代目マイラーは1965年7月に登場、日産との合併により1966年8月以降の生産分には
車両銘鈑の一番下が「プリンス自動車工業株式会社」から「日産自動車株式会社」へと
変更されます。
1967年にはエンジンがプリンスG型から日産H/R型に換装され、フロントグリルの意匠も
変更されました。
なので、この個体は1966年8月~1967年のMCの間に製造された車輛であると推測されます。


「PRINCE」の文字と社章、十字のモティーフの彫刻が美しいホーンリング。
ステアリング自体はひん曲がってしまっていたので回収を諦めざるを得ませんでした。



このホーンリングはずっと欲しかったので、多少キズついているものの嬉しかったです。

このパーツひとつだけでも、商用車だからと云って貧相だったりチープなデザインを良しとせず
瀟洒なデザインを与えたプリンス技術陣の心意気が伝わってきます。


グロリアやスカイラインと共通の意匠を奢られた、繊細なデザインの扇型メーターパネル
クリッパーやライトコーチにも同じメーターパネルが与えられましたが
日産との合併後、コストダウンを目的に、単純で味気ない長方形に変更されてしまいます。



右側が水温計、左側が燃料計で中央には積算距離計がありトリップメーターは備わりません。
4つの警告灯はターン、パーキングブレーキ、オイル、充電で
速度計の中央にはハイビーム表示灯があります。

フルスケールは130km/hで、本来はガラスが入っていますが
ダッシュパネル自体が歪んでいたため、取外す時に割れてしまいました。


ボンネット先端のエンブレムは「 P R I N C E 」のR・I・N・Eだけ残っていました。
両フェンダーに備わる「MILER」のエンブレムもMIだけ残っていました。
合併後に後付けされた「NISSAN」のエンブレムも一応?外してきました。



後ろにあるのはスイッチ・ノブやシガーライターです。


グローブボックスの蓋です。
クローム仕上げのMILERというエンブレムが飾られています。
文字の間には、プリンス車に共通する梨地加工が施されており、大変美しい仕上がりです。



灰皿には蛇の抜け殻が付着していました。
キャビンを住処にしていたのかも知れません。
とりあえず金運アップでも祈っておきましょうか。



屋外にある灯油タンクの下側に付いているフィルターです。

じゃなくて、プリンス車に共通のガラスボウル式燃料フィルターです。
自分のグロリアは高年式のプラスチック製汎用燃料フィルターに交換されており
ずっと純正品が欲しかったので、割れずに残っていて良かったです。

ガラスボウル式フィルターは、キャブレターのガラス窓と同じようにガソリンが
美しく見えるので、機能的にもルックス的にも素晴らしいです。

綺麗に清掃して交換したいと思います。



グローブボックスの中に入っていた、請求明細(給油レシート)の半券です。

右上に「1960~39」「1960~42」とありますが、マイラーの年式から考えると
古すぎるようにも思えます。
用紙自体の印刷年度でしょうか。

出光系列のスタンドで、金アポロ(ハイオク?)赤アポロ(レギュラー?)という表記があります。

また、今では見かけなくなった「混合油」の表記もありました。
60年代中頃には2ストローク・エンジンも分離給油式となり、混合油は徐々に消えていきましたが
それ以前はどこのスタンドでも、混合油の給油機が設置されていました。



住所が「白糠郡音別町市街」というアバウトさがステキです。
小さな集落なので、当時は家屋の数も少なかったのでしょう(今も多くはない)。

電話番号が「110」というのも凄いです。
市街局番もまだ2ケタの時代です(釧路市内は1965年2月12日から3桁に移行)


フロントのターンシグナル・レンズです。
上が右側、下が左側ですが退色のため「マイラーってホワイトレンズだったっけ?」と
迷ってしまいました。



他の車種との共通性があるのかはわかりません。


グローブボックスの中にあったヒューズです。
プリンス純正なら狂喜乱舞ですが、残念ながら?トヨタ純正でした。
マイラーなのにニッサン純正ですらないという不思議・・・。
中にはきちんと新品のヒューズが入っていましたので、トランクに入れておきます。



当時のボックスアートは美しいデザインと色調のモノが多く、単体でも充分に鑑賞に堪えうる
レベルに達しています。
個人的には、皇室との深い縁を持つプリンスの”溜色”のボックスアートが最も美しいと思います。

昭和49年製(1974年)の1円玉も出てきたので、少なくともその頃までは現役だったと思われます。
最低でも7~8年間は使用されていたと思われ、プリンス車の耐久性の高さの
証明の一助となるものでしょう。


今回、回収した部品はほとんどがグロリアには使えず、コンディションも決して良いとは
言えないモノばかりなので、あまり実用には供せないと思います。

しかし、インダストリアル・デザインの粋とも云える美しいメーターやホーンリングは
オブジェとして部屋やガレージを彩るものとして活躍するでしょうし
割れていようが欠けていようが、貴重なパーツに変わりないので
取れるパーツはすべて回収してきた次第です。

※本日のレックス

部品取りから降ろした550エンジンのテンショナーを外して交換してもらいました。
これで異音が止まれば良いのですが、果たして??
なんとか年内に車検を取りたいですが、どうなることやら・・・・
Posted at 2011/12/09 22:00:41 | コメント(10) | トラックバック(0) | プリンス・マイラー | クルマ
2011年12月07日 イイね!

レックス車検、3年振りの公道復帰へ!

2004年の3月、我が家にスバル・レックス(K22)がやって来ました。
市内の中古車屋に並んでいた車輌で、昭和49年7月登録でワンオーナー・フルオリジナルでした。
内外装・機関とも程度極上、走行距離も1万5千キロという信じ難いコンディションです。

高校卒業寸前に見つけて、就職祝いというカタチで両親から戴いたクルマです。
当時既にビートルが手元にありましたが(これは老オーナーから無償で譲っていただきました)
生意気にも2台を複数所有することになりました。

それからは車検を切らさずに乗っていたものの、2008年11月5日に滝川市内で
フロントブレーキに異常発生。
ピストンが固着し戻らなくなり、引き摺りを起こしパッドが全摩耗。
地元のクルマ屋さんに助けを求め、搬送車で帰宅したものの
オーバーホールの為のシールキットが無いので分解整備できず、今まで修理できずにいました。

それからは車庫の中で寝かせ、ときたま外に出して日光浴させたりはしてましたが
関係各所の協力のおかげで部品が揃い、実に3年振りの車検取得となりました。



今までヤフオクで集めた部品は
Fブレーキパッド、Fブレーキホース、Rブレーキホース、クラッチディスク、メーターケーブル 
ブレーキシュー、Rブレーキカップキットなどです。

550の部品取りも2台購入したものの、両車とも錆が酷すぎて使える部分は殆どありませんでした。
いくらタダとはいえ、コンディションを冷静に判断してからじゃないとダメですね。

フロントブレーキはブレーキホース、パッド、シールをすべて新品に交換。
マイナー車の部品を苦労して集めた甲斐がありました。

シールキットはセイケンで、ハイラックス/ランドクルーザー用とありました。
ちょうど径がピッタリでレックスに使う事が出来ました。
何年頃のランクルなのかは不明ですが、結構古いのは確かです。



夏タイヤは当時モノのブリヂストン・スカイウエイH(5.20-10)です。
サイドウォールのリブ、バイアスタイヤならではのギザギザパターン、正面から見た時の
頼りない細さ、ちょっとしたカーブでもキャキャキャと鳴く貧相さなどが最高のタイヤです。

4年間で1万キロに満たない程度しか履きませんでしたが
さすがにサイドウォールのヒビ割れが進行し、いつバーストしてもおかしくないので
車検専用タイヤとして現役は引退させます。

雰囲気的には一番好きなのですが、長距離走行・高速走行が多くワインディングも
ハイペースな自分の乗り方を考えると、素直にラジアルにしとくべきだと思いましたんで・・・

今度から履く夏タイヤは、ウチにゴロゴロ転がってる10インチのどれかです。



以前装着していた冬タイヤは、引き摺りを起こした右前のみ段ベリが発生し使えなくなりました。
なので奮発して新品タイヤを購入しました!
ブリヂストン・ブリザックPM-10(145/80R)です。

主治医の倉庫で眠っていたタイヤです。
20年前くらいのモノでしょうか?
これまた骨董品ですね、オビが付いてる!(笑)



そして・・・人生初となるアルミホイール購入です!
純正鉄チン+純正キャップ以外には興味の無い自分でしたが、ついにアルミデビューです!

ブランドはインパルで、裏側にはプロメッシュ・グループC Jrと刻印がありました。

インパルという名前は聞いたことがありましたが、アルミのブランドには全然詳しくないので
よくわからないというのが正直なトコロです。
定番のゴールドメッシュというのでしょうか?

ただ、仮組みしたらウィールの色が車体色とマッチして予想以上に良いカンジ(個人の感想です)
だったのと、ビックリするほど軽量だったことから
バネ下重量の軽減や燃費の向上も期待できるので履いてみることにしました。



これは夏タイヤに組み合わせます。
インパルの10インチ/PCD100は珍しいらしいです。

明日、満を持して車検に挑戦です。

・・・が!帰る直前に突如としてエンジンから異音が!
ウォーターポンプか、テンショナーあたりがイカれたっぽいです。
逆に考えると、工場に入っているうちに問題点が発見できて良かったとも言えます。


待ちに待った、3年振りの公道復帰です。
早く乗りたくて仕方ありません!
シフトチェンジのイメージトレーニングは充分です(笑)

来週から日産・札幌ギャラリーにてスカイライン・スポーツとS54Bが展示されるので
それを見に行くのが最初のドライブとなりそうです。


スバル・レックスCMソング
よしだ たくろう「僕らの旅」



振り返ってみるのもいいさ

道草食うのもいいさ

僕らの旅は果てしなく続く

ときには疲れた体を

木陰に横たえて 思いにふけるのもいいさ

旅はまだ続く(共鳴レック­ス)


いろんな人に会うさ

いろんな事があるさ

僕らの旅は果てしなく続く

知らない街で愛を見て

ふと立ち止まり 心の置き場があれば

それもまたいいさ(共鳴レック­ス)
Posted at 2011/12/07 21:12:04 | コメント(15) | トラックバック(0) | レックス | クルマ
2011年12月01日 イイね!

ホールデン プレミア/ステーツマン・ドゥ・ヴィル

今回は、オーストラリアの自動車メーカー「ホールデン」を御紹介すると共に
その車種の中でも特に「プレミア/ステーツマン」について取り上げます。

GM傘下のホールデンは日本ではマイナーな存在ですが、最高級車である
ステーツマン・ドゥ・ビルを、いすゞが輸入し「いすゞステーツマン デ・ビル」という名で
自社ブランド車として販売したことがあります。

マツダはインターミディエートのプレミアのボディのみを輸入し、自製のロータリーエンジンを
搭載した上で「ロードペーサー」として販売したことなど、日本とは少なからぬ関わりがあります。

またホールデンもGMグループ内の国際提携の一環として、いすゞ車を輸入し
ホールデンのディーラー・ネットワークを通じて販売していました。

これは英国連邦の一員であるオーストラリアが右ハンドル圏であることが、同じ右ハンドル圏で
ある日本にとって、輸出・輸入のいずれに於いても有利であることから生まれた提携でした。

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それではまず、おおまかにホールデンの歴史を御紹介致します。

ホールデンはオーストラリア唯一の民族系メーカーで、その創業は1856年に遡ります。
創業当初は自動車ではなく、その前身とも云うべき馬具の製造を行っていましたが

時流に合わせて1925年には自動車の生産を開始します。
この頃は自動車がまだ「馬無し馬車」と呼ばれていた黎明期です。

1931年、世界各国への進出を積極的に推し進めていたGMの傘下企業となり
まずはシボレーのノックダウン生産を開始しました。
1940年代に入るとノックダウン生産の経験を基に、より国情にマッチした
独自モデルの開発・生産へと移行していきました。

広大な国土を持ち、なおかつその殆どが未開の荒野(アウトバック)であるオーストラリアの
国情にあわせて、大柄なボディに大排気量という組み合わせのクルマが求められましたが
それらの成り立ちは、良く似た環境を持つ当時のアメリカ車の性格と非常に近いものでした。

オーストラリアに於いては、その国土の広大さゆえに公共交通機関があまり発展しておらず
クルマはステータス・シンボルなどではなく、必要不可欠な生活必需品であり
比較的廉価なクルマが主流となっています。

民家ひとつない荒野でのトラブルは生死に関わる問題なので、高級であることや高性能である
ことよりも、頑丈で修理が容易であることが求められています。

戦後、GMグループ間に於ける車種の相互供給が進み様々なモデルが生産されるようになります。

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さて、日本との関係が最も深かった1970年代のホールデンのラインナップを御紹介致します。



こちらは小型車のトラーナです。
同じGMグループの英国ヴォクスホールのヴィヴァをベースとして、ホールデンで独自デザインの
ボディを被せたトラーナですが、そもそもヴィヴァ自体が西独のオペル・カデット(カデットC)を
ベースとしていた為、GMファミリーの一員らしいスタイルを持っています。



その顔付きや全体のフォルムからは、シボレー・シェビーⅡとの近似性も感じられます。

トラーナは、1967年のデビュー時点では1.2ℓのOHV4気筒のみでスタートしましたが
1970年に2.6ℓOHV6気筒が追加され、1974年にはオペル製1.9ℓSOHC4気筒が追加。
さらにOHV6気筒エンジンに加え、OHV・V8の4.2ℓ及び5ℓまでもが搭載されました。

寸法的にはトヨペット コロナ・マークⅡとほぼ同じに過ぎない小さなボディに
5000ccという大排気量の組み合わせは、アメリカ車的な性格と云えるでしょう。

1975年からはワールドワイドTカー、オペル・カデットの日本版である
いすゞジェミニを輸入するようになります。

1976年には4気筒車が独立モデルに昇格、サンバードというペットネームを与えられます。

1978年には西ドイツのオペル・コモドーレが導入され、1979年にトラーナが、
続いて1981年にサンバードが消滅しました。

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トラーナの上位モデルとして、インターミディエート(中型車)に相当するプレミアがあります。
マツダ・ロードペーサーのボディ・シェルはこれを使用しています。

日本でも御馴染みの顔付きですが、ロードペーサーではなく本国仕様のプレミアです。



リヤはかなり傾斜を付けたセミ・ファストバックスタイルで、パーソナルな性格が強調されています。
ステーツマンではCピラーが起こされて、明確なノッチバック・スタイルを採用しています。

標準ウィールベースのプレミアは、オーナードリブンのパーソナル・カー/ファミリー・カーとしての
性格を強調するスタイリングで、ロング・ウィールベースのステーツマンは後席を重視した
ショーファードリブンと、役割分担を狙っていたことがわかります。

この角度から見ると、フロント・ドアに比してリヤドアが短いのがよくわかります。



ホールデン プレミア(1975年モデル 型式HJ)

エンジン:直列6気筒 OHV シングルキャブ 3298cc 92.1×77.8mm 9.4:1
137ps/4400rpm 26.8mkg/2000rpm

ボディ:モノコック 4ドア・セダン 最小回転半径:6m
駆動方式:RWD 3段MT/AT コラム ステアリング:ボール循環式

サスペンション:前 独立 ダブルウィッシュボーン/コイル 後 固定 4リンク/コイル
ブレーキ:前 ドラム サーボ 後:ドラム サーボ タイヤ:6.95-14

寸法:全長4840×1880×1370mm ウィールベース:2819mm トレッド:前1510 後1530
燃料容量:75ℓ 車輌重量:1390kg 乗車定員:6名 最高速度:155~165km/h

インターミディエートのラインナップは、セダンが下位グレードからベルモント/キングスウッド/
プレミアとなっており、2ドア・ハードトップクーペと4ドア・セダンの2種のボディが用意された
モナーロには、スポーツモデルたるGTSが設定されています。
モナーロ・クーペには、ラクシュリーなLSとスポーティーなGTSの2グレードが用意されています。

エンジン・ラインナップは、小型車のトラーナと共通のOHV6気筒の2834cc/118psがベルモントに、
キングスウッドとプレミア及びモナーロLSクーペには3310cc/135psが設定されています。

スポーツ・グレードのモナーロGTSセダン/クーペには
オーストラリア製4146cc/185psのV8・OHVエンジンが奢られています。


こちらがスポーツグレードのGTSで、4ドアセダンと2ドア・ハードトップクーペの2種がありました。

ブラックアウトされたライトベゼル、ウィンドウサッシュ、フロント・グリルで睨みを効かせ
5スポーク・ウィールやレーシーなストライプで飾っています。
フロントフェンダーには、高性能を主張する3連の放熱スリットが刻まれています。



リヤビューでは、2ndカマロのようなトランクと一体化したリヤスポイラーが特徴的です。



アメリカ車に倣って、毎年デザインを変更するイヤーモデル制を採っていた為
顔付きは頻繁に変更されました。
こちらは丸型2灯ヘッドライトを採用したキングスウッドです。



インターミディエートには4ドア・セダンと2ドア・クーペ、ステーション・ワゴンに加え
セダン・ピックアップなど、豊富なボディ・バリエーションが用意されていました。

こちらは、オーストラリアで人気の高いステーション・ワゴンです。
このボディに13Bロータリーを載せれば「ロードペーサー・ロータリーワゴン」が作れます。



プレミアはオーナー・ドリブン向けのファミリーカーであり、装備類も決して豪華とは云えません。
4840mmという全長に対して、ウィールベースは2819mmと比較的短めなことがわかります。

センチュリーの全長4980mm/WB2860mm、プレジデントの全長5280mm/WB2850mmと
比して短く、後席重視のショーファー・ドリブンとしては不向きであったと言わざるを得ません。

また、前席を優先した作りとなっており、日本に於いて競合することになるセンチュリーや
プレジデントが後席を広くとっているのとは正反対でした。

マツダが、それでもステーツマンではなくプレミアのボディを選んだのには
センチュリーを大きく越え、プレジデントに迫らんとするステーツマンの巨体が
日本国内での販売に不利であることや、オリジナルのV8エンジンと比して低速トルクに
劣るロータリーエンジンとの適正を鑑みての判断であったと推測されます。

プレミアの車重が1390kgなのに対し、ステーツマンでは豪華装備の増加も影響して
1575kgとかなり増加しています。
ちなみに豪華装備で満艦飾としたセンチュリーは、ボディサイズはプレミアと
ほぼ同じながら車重は実に1875kgにも達します。

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そして、ホールデンの旗艦として君臨する最上級車種が「ステーツマン」です。

ステーツマンは、インターミディエートであるプレミアのウィールベースを延長し後席の
居住性を向上させ、内外装を豪華に仕立て上げたモデルです。



リヤも独自のデザインが施され、プレミアの台形に対して
よりフォーマルな印象を与える縦長のテールレンズとなっています。

緩やかに傾斜した平坦なトランク・リッドが、ピンと張ったリヤフェンダーの峰を
強調する効果を発揮しています。

縦長のテールレンズは、キャディラックやオールズモビルといった高級車の象徴とも云うべき
デザインで、ホールデンの最高級車に相応しい格式高いアピアランスを魅せています。

切り立ったリヤ・ウィンドウは、セミ・ファストバックのプレミアよりも落ち着いた格式高いもので
ショーファードリブンにとって重視される、後席のヘッドクリアランスの確保にも役立っています。
また、プレミアよりもロングデッキに見せる視覚効果も持ち合わせています。



彫りの深い2分割グリルや、奥まった位置にレンズが収まるテール・レンズの配置は
1970年型オールズモビルの影響が感じられます。



こちらは1971年型ポンティアックで、独立したグリルや4灯を離して配置するヘッドライトなどは
当時GMが好んで採用したデザインでした。
GM傘下のホールデンもその例外ではなく、同じ系統のデザイン・トレンドを身に纏っています。



以下の2つの動画は、ステーツマンのアドバタイジング・フィルムです。
まずは1971年~1974年までの、2分割グリルを備える前期型(HQ)です。

いすゞステーツマン デ・ビルは、この前期型がベースとなっています。
オーバーライダーが備わらないことから、ステーツマン ドゥ・ビルと思われます。



続いては、クラシックな角型センターグリルを与えられた74年以降の後期型(HJ~HX~HZ)です。

この車輌はステーツマン カプリースで、もともと豪華な仕上げのステーツマン ドゥ・ビルに
エアコンディショナーやパワーウィンドウなどを標準装備とした最上級モデルです。

前後バンパーに、大きなオーバーライダーが備わっている点が識別点です。



ホールデン ステーツマン・ドゥ・ヴィル(1977年モデル 型式HZ)

エンジン:V8 OHV シングルキャブ 5044cc 101.6×77.77mm 9.7:1 
235ps/5000rpm 44.3mkg/3400rpm

ボディ:モノコック 4ドア・セダン 最小回転半径:6m 
駆動方式:RWD 4段MT/3段AT コラム/フロア

ステアリング:ボール循環式 サスペンション:前 独立 ダブルウィッシュボーン/コイル
後 固定 4リンク/コイル ブレーキ:前 ディスク サーボ 後 ドラム サーボ

タイヤ:6.95-14 寸法:全長5180mm×全幅1880mm×全高1370mm 
ウィールベース:2895mm トレッド:前 1510 後 1530

燃料容量:75ℓ 車輌重量:1575kg 乗車定員:5/6名 最高速度:170~195km/h
ドゥ・ヴィル:10,813オーストラリア$ カプリース:15,819オーストラリア$ 

ベースとなったプレミアのWB2819mmに対して、ステーツマンではWBが2895mmとなり
76mm延長されていますが、全幅や全高に変更はありません。
延長された76mmは、後席のゆとりの為に費やされています。

サスペンションや機関系も基本的にも共通となっており
主な違いは装備面や外装の装飾品に集中しています。

エンジンは下位モデルとも共通するワイド・バリエーションで、直列6気筒OHV2.8ℓ/3.3ℓ
及びV8 4.2ℓ/5.0ℓが用意されていました。
トランスミッションはGM製ターボ・ハイドラマティック3段ATを組み合わせています。

タイヤはドゥ・ヴィルがE78S14、カプリースがFR78S14を奢っていました。

ステーツマンは4ドア・セダンの1ボディで基本となるドゥ・ヴィルと、より上級志向の
カプリースの2車種が設定されていました。
ボディそのものは基本的に共通ですが、カプリースは前後にバンパー・オーバーライダーが
備わる為、全長が26mm長くなっています。

バリアブル・レシオのパワーステアリングは両車とも標準装備ですが、豪華仕様の
カプリースには、さらにエア・コンディショナーとパワーウィンドウが標準装備となります。

いすゞステーツマン デ・ビルは日本での販売を鑑み、オーバーライダーが備わらず全長が短い
ドゥ・ビルをベースに、最高級車に相応しいカプリース用の各種豪華装備を標準としています。

日本ではまず見かけない車種であり、認知度も低いですが
本国豪州では高い人気を誇り、現存車も多く確認されています。

精巧な造りのミニチュア・カーも販売されています。



それでは、ここで御紹介したホールデン・オリジナルのモデルを踏まえた上で
”国産版”である、いすゞステーツマン デ・ビルとマツダ・ロードペーサーを御紹介致します。
Posted at 2011/12/01 00:03:58 | コメント(11) | トラックバック(0) | GM | クルマ

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何シテル?   08/30 16:13
戰前から昭和40年代頃迄の自動車を趣味として居ります。 2輪・3輪・4輪、國産車/外國車の何れも興味の対象です。 此の他の趣味としては、艦艇及び航空機が在り...
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