
インプレッサスポーツD型(後期型)の変更点について、
過去2回のブログで外装・内装をそれぞれ紹介してきました。
↓
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外装の変更点まとめ
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内装の変更点まとめ
今回は「
機能面」でのD型変更点を紹介します。
これがまた大胆にいろんな個所に手が入っています。
マイナーチェンジでここまで変えるか?と思うほど。
●燃費
2Lモデルは変わりません。
1.6i-Lモデルは、約0.8~1km/Lほどダウンしました。
マイナーチェンジで燃費が悪くなったのは意外なことかもしれませんが、おそらく次に記載するエンジンの一部変更によるものと思います。
●エンジンの変更(1.6L車のみ)
2Lグレードは変更ありません。
1.6Lグレードは、エンジンの出力特性の見直しがあり、加減速時の制御が変わりました。
さらに、FB16ユニットのエンジンにマウントされているエアコンのコンプレッサーが固定容量型から、なんと、
可変容量型に変わりました。
スバルのエアコンは固定容量型が主流です。
エアコンがONになると、「
カチ、ガー、カチ」という固定容量型エアーコンプレッサーの、マグネットクラッチの作動音がエンジンルームから響き渡ります。
他のメーカーの車は可変容量型が主流なのでこんなことは起きません。
このため、他メーカーからスバルへ乗り換えたら結構びっくりしますよ。
スバル乗りの方は昔から慣れているので気にならないという・・・
私もスバルばかり乗り継いできたので気にはならない(汗)。
こんな形のコンプレッサーが、エンジンの上についてます。
スバルは、
フォレスター、レヴォーグ、XVも全部「カチ、ガー、カチ」です。
レガシィだけがフラッグシップ車種ということで可変容量型だったのですが、それがエントリーモデルのインプレッサ(G4含む)と、XVの1.6L車に採用されました。
可変容量型になると、コンプレッサーが常に作動している状態になるのでこの「カチ、ガー、カチ」がなくなります。
これは
大きな改善だと思います。
可変容量型のメリットは、エンジンの負荷やエアコン温度により細かなエアコン制御ができるようになり、結果として馬力ロスを必要最低限で済ますことができます。
1.6L車はエアコンON時にパワーダウンが顕著ということもあり、採用されたのでしょう。
ただ、常時コンプレッサーが動作するので、デメリットとして燃費が若干悪化してしまったのだと想定します。
ただですね、馬力ロスが減る分、カタログ燃費は落ちても、逆に実燃費は向上するのではと思っています。
2L車は残念ですが変更はなく、固定容量型のままです。
D型インプレッサの実車(2L)のエンジンルームを見させてもらったら、今まで通りValeo製の固定容量コンプレッサーがついていました。
↓
2Lグレードの燃費ダウンは基準的に厳しかったのか、FB20ユニットはXVのe-BOXERとも共用が多いので難しいとか、何かしら変更できない理由があったのでしょう。
●サスペンションの仕様変更
フロントサスペンションのコイルスプリングの形状・レート変更、およびショックアブソーバーの減衰力の調整が行われました。
実車(2.0i-Lグレード)で比べてみるとこんな感じです。
↓
前期型(A~C型)フロントサスペンション
後期型(D型)フロントサスペンション
コイルスプリングの形状が荒巻きになり、バネレートを下げて乗り心地はよりソフトな方向にセッティングされているようです。
ショックアブソーバーのストラットの下皿の形状が変わっており、ロアスプリングシートの形状も点から面で接する形式へ変更となっています。
他に、リアもコイルスプリングとショックアブソーバーの品番がD型で変更になっていました。
ショックアブソーバーの品番は同じ2Lでもグレード別に品番が違いました。
2.0i-Lが20365FL400、2.0i-Sが20365FL410でした。
さらに、フロントクロスメンバーとリアサブフレームの溶接が見直され、強度が高まっています。
これらサスやボディの変更は
STIのエンジニアが参画し、改良に携わったそうです。
前期型はフロントサスが硬い、跳ねる、沈み込みが甘いという意見がWeb上の記事や動画で見受けられました。
開発陣も同じことを考えて、ちゃんとネガを消してきたというわけですね。
●アイサイト・ツーリングアシストへの変更(全車標準)
これがエンジンについで大きな変更点です。
アイサイトver3から、俗にいうver3.5にアップグレードされました。
レーンキープ機能(車線中央維持機能)が、今までは車速が60~120km/hでしか使えなかったものが、0~135km/hの全車速に対応しました。
さらに、今までは道路の白線を左右両側で認識しないと機能しなかったのですが、
片側車線だけの認識でもOKになり、さらに車線が見えない時でも60km/h以下であれば先行車を認識して動作するようになりました。
これにより、例えば渋滞中はアクセルもブレーキも踏まなくても
車線中央を維持しながら追従が可能です。
これはドライブが本当に楽になると思います。
このインプレッサのアイサイトツーリングアシストは、フォレスターSK系(2018年~)と同様の
最新版がついています。
レヴォーグ(VM系)のツーリングアシストより新しいので、次の2点も加えて良くなっています。
追従クルーズの上限速度が従来の
114km/hから135km/hに変更されています。
(高速道路の上限速度が一部上がったため)
※ 135km/hに設定すると、実測で120km/hぐらいになるようです。
また、レーンキープ機能(車線中央維持機能)の利用中、ステアリングから手を離して一定時間経つと警告音が鳴りレーンキープがキャンセルされるのですが、そのキャンセルされるまでの時間が伸びました。
従来の
20秒から45秒に伸びています。
キャンセルされるまでの時間が大幅に伸びたことで、安全性が高まりました。
手放ししても、レーンキープが続く限り最大45秒自動で走れてしまうことになります。
※ 手放し運転のための機能ではないので、手は離さず運転してください。
これらの点で、現行VM系レヴォーグよりも高機能なアイサイトがおごられています。
こんな高機能な運転支援システムが、この値段で手に入るのは、
おそらく全世界どこを探してもスバルしかないのではと思います。
アイサイトツーリングアシストは、全車標準装備です。
最低グレードの1.6i-L Eyesight(税込200万円弱)にも、オプションでなく
標準でこれがつきます。
これがすごい・・・おかしい。どうかしていますね。
●アダプティブドライビングビームの追加
前期型はハイビームアシストのみでしたが、後期型はさらにLEDヘッドライト内のシェードで可変に照射範囲を制御する方法に変わりました。
オートハイビームで走る際、対向車や先行車の状態をアイサイトのカメラが認識して、部分的に相手がまぶしくないようにLEDヘッドライトを制御します。
LEDにシェードをかけて部分的に影を作ってくれるので、対向車や先行車がくる度にロービームへいちいち切り替えする必要がなくなります。
夜間、ハイ・ロービームの切り替えはかなり手間ですから、便利な機能がついたなぁと思います。
私の住んでいるような田舎ではかなり重宝しそうです。
高速や山道を普段走る方にもぴったりの機能ですね。
●フロントビューモニタの追加(オプション)
今までは助手席側のサイドビューだけドアミラー内のカメラで確認できていましたが、今度はフロントグリル内のカメラで前方も確認できるようになりました。
コンビニで頭から駐車する際の車輪止めの確認や、見通しの悪い狭い道から出る時など大いに役に立ちますね。
後は車道から歩道に入る、出る際の縁石の確認にも役にたっています。
これがすごい便利。例えば歩道と車道の間に段差があるところで、フロントが見えるので、切り替えしがすごく楽になりました。
こちらなぜか兄弟車のXVでは搭載が見送られました。
インプレッサのみの装備となります。
●運転席シート、ドアミラーポジションメモリー機能の追加
これは便利ですね。
疲れてリクライニングした時、元に戻すのにメモリーがないと苦労しますから。
これがあればワンタッチで元の位置に戻せます。
車体側に2個記憶できて、アクセスキー(2個)にも登録できるので、
最大4人分まで記憶できますね。
運転席ポジションだけでなく、ドアミラー位置まで一緒に記憶してくれます。
複数人で運転する場合はとても嬉しい機能ですね。
うちは妻も乗りますのでこの機能は本当に助かります。
●リバース連動ドアミラーの追加
ギアをRに入れた時にミラーが下を向いてくれる機能ですね。
助手席側だけ動作、運転席側も両方動作というように自分で設定変更できるそうです。
●ドアミラーオート格納機能
ドアロックでミラーが格納されて、アンロックで展開されます。
今までオプションでしたが、標準になりましたね。
鍵が閉まっているか開いているか目で確認できるので便利です。
●自動ドアロック、アンロック機能の追加
車速が20km/h以上になると自動的に全ドアのロックがかかります。
降りるときは運転席を解除すると全ドアが開く仕組みです。
他のメーカーでは一般的ですが、ようやくスバルも導入しました。
昨今、運転中や停車中に物騒な事件が増えているのでありがたい機能ですね。
設定でON/OFFができますので、不要な人はOFFにもできます。
●リヤシートリマインダーの追加
後部座席を一度あけてからエンジンをかけた場合、降りる際に後部座席に荷物の置忘れがないか警告してくれる機能です。
以上となります。
また、公表されていない内容として、
電動パワーステアリングの特性が変更となっています。
前期型にあった重さがとれて、よりクイックになっているようです。
また、ブレーキは初動の効きがA〜C型はかなり強めだったのですが、D型から初動はマイルドになり、踏んだだけ効くという味付けに戻っています。
全体を通すと、D型は機能面で大幅な変更があったことがわかると思います。
特に1.6L車のエンジン変更(エアコン)、アイサイトツーリングアシストの搭載、足回りの変更が目玉な変更点かなと思います。
もともとの機能面の充実度が高かったのがマイナーチェンジでさらに良くなってしまい、お得感が半端ないですね。
本当に機能は充実していて文句のつけようがないですが、
改善して欲しいところもあえて挙げてみます。
・スマホのワイヤレス充電(Qi)ができないところ
・ステアリングヒーターがないところ
・ファブリックシートにシートヒーターがないところ
・Wi-Fiホットスポットがないところ(米国版はある)
レザーシートにはシートヒーターがついています。ファブリックも難燃性の素材だと思うのでつくと思うのですが、スバルは火災防止面での安全を取っているようです。
今後の年改でさらなる機能改善に期待したいですね。
インプレッサスポーツのD型の変更点、3回のブログに分けて、
外装、内装、機能の順で紹介してきましたが、全部あわせると変更がてんこ盛りで相当なブログ量になってしまいました。
おすすめは2Lモデルです。
もちろん1.6Lモデルと、両方どちらも試乗して気にいるほうに決めた方がいいと思います。
D型からは1.6Lは、1.6i-Sという外見がかっこいいグレードも用意されたのでそちらもお得感あります。
普通は上位の2Lグレードのほうが装備も良いのに、今回は1.6L車の方がエアコンが良くなったという珍しい変更もありましたので。
↓写真は1.6i-S
私も1.6Lでもいいかなぁと最初は思っていたのですが、結局2Lを選びました。
スバルグローバルプラットフォーム(SGP)の性能をフルに堪能するなら、試乗した結果やはり2リットルあった方がそれを十分に引き出せると感じたからです。
(試乗したのはマイナーチェンジ前のモデルです)
そして、もしかするとこれが新車で「
水平対向エンジンNAの2L」が買える最後のチャンスになるかもしれないと思ったのもあります。
↓写真は2.0i-S
2L NAのBOXERエンジンは今後出てくる2030年燃費規制をクリアするのはまず無理だと思います。
そしてCAFE規制からもうNAのみの2リットル車はもう出せなくなるでしょう。
現に、兄弟車のXVは2L NAエンジンが廃止になり、e-BOXERのハイブリッドのみとなってしまいました。
今後は電気自動車に完全に移行する前の過渡期として、ダウンサイジングターボ、ハイブリッドが主流となるでしょう。
その中で、次期インプレッサでは2LのNAエンジン(FB20)が残るとは思えません。
2Lエンジンに今回手をいれなかったのは、そのような理由もあるのではないかと個人的には思っています。
納車されたら、ハイブリッドになる前の、純粋な水平対向BOXER NAエンジン、最後となるかもしれない貴重な2L NAエンジンを楽しみたいです。
それでは!