スバルは8月、フォレスターを大幅改良し、俗に言う後期型(D型)となりました。
フォレスターC型を以前試乗しましたが、D型も試乗させてもらいました。
D型で公表されている主なアピールポイントはこちらです。
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●新デザインのエクステリアを採用し、SUV らしい力強さを表現
●全グレードで足回りを改良し、より快適な乗り心地を実現
●「新世代アイサイト」を搭載し、安全性能をさらに向上
●ドライバーモニタリングシステムに「ジェスチャーコントロール機能」を追加
ちなみにC型を試乗したときの感想はこちらです。
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昨年のブログ
試乗したのは、ターボモデルのSPORTグレードです。
C型でも同じターボモデルを試乗しましたが、同じグレードでもC型とD型ではけっこう違いますね。
車って、機能とか、ユーティリティ、性能で選ばれることが多いと思うんですけど、このフォレスターは自分にとっては、感性に訴えてくるものがありました。
試乗してみて、エンジンから受けるこの懐かしい感覚が、ちょっとしんみりしてしまいました。
BD/BGレガシィ、BE/BPレガシィのEJ20系の280馬力エンジンを過去乗ってきた私としては、
20年前の青春がよみがえるような、そんな気持ちになったんです。
少しインプレッションを書いてみたいと思います。
●外装について
今までのフォレスターはDセグメントなのに、車体がコンパクトに見えるせいか、Cセグメントっぽさがありました。
今回、顔つきが大胆に変わってやっとDセグっぽく見えるようになりました。
アメ車っぽくて良い。これは惚れる。
私みたいに、キャディのエスカレードみたいなSUVが好きな人はこのフロントマスクは好みに合います。
ヘッドライトの造形がかっこいい。
そしてアレイ式のアダプティブドライビングビームが採用されています。
夜、ずっとハイビームでOK。対向車がまぶしくないように自動制御してくれます。
これ私のインプ(インプはアレイ式でなく旧型のシェード式)でも使ってますが、ほんと楽ですね。
ただ、リアデザインは変更がほとんどなく、なんとなくCセグっぽいです。
先代のSJ後期型はDセグっぽくてかっこよかったのに、ここは5代目SKになって退化しましたね。
フロントが大胆に良くなったので、リアも大胆に変えて欲しかった。
●内装・機能について
アイサイトが新世代になり、見える角度がなんと2倍になったそうです。
制御も大幅に進化したみたいです。
こんな感じで、フロントガラスにぴったり貼りつくようになりました。
これで掃除するときに誤ってアイサイトカメラを汚す心配がなくなりましたね。
ただ、レヴォーグに搭載されているアイサイトXではないです。
アイサイトXは高速で50km/h以下で自動運転などができますが、フォレスターのアイサイトは新世代ではあるものの、そこまではできないです。
面白かったのが、ドライバーモニタリングシステムといって、顔を認識して状態をチェックしてくれています。
よそ見していると、前向いてね!みたいな感じで車に怒られました。
これは安全運転に貢献してくれそうですね。
また、青信号お知らせ機能が追加になります。
信号先頭でぼーっとしていると、音で信号の変化を教えてくれます。
光ビーコン付きのETC持っていると、信号があと何秒で変わるかもナビに出るようになるようです・・・すげえ。
試せませんでしたが、ジェスチャーコントロールで、手をグー、パーするとエアコンの温度を下げたり上げたりできる機能もあるそうです。
そして嬉しいのはステアリングヒーターがあること。
レヴォーグはステアリングヒーターがつきませんが、フォレスターにはあるので大変便利。
スマートリアビューミラーも、C型より大きくなって高解像度になって見やすくなったそうです。
リアカメラで写した映像がルームミラーに映るやつです。
これがあると後続の車に乗っている人と目が合わなくていいです。
そして視界が広くて開放感があって運転しやすい。
楽に運転できますし、後席もすごく広いです。
質感も十分です。
●足回り
C型よりシャキっとした印象です。硬さはそんな変わらないけど、コシが出た。
足は固めで、動きが渋い。これは新車だからだと思います。
ただ、乗り心地は悪くないです。
驚いたのは、インプと同じ感覚で運転できること。
C型に比べて何か乗りやすくなっています。
足回りが違うのか、インプと同じステアリング舵角で交差点が曲がれます。
C型だと、もう少しステアリング操作が必要だったのですが、
D型だと、インプとそんなに差がない。
あれ??なんかC型に比べて運転しやすくなってると思いました。
しかしこれが足回り変更によるものなのか、そうでないのかははっきりしません。
驚くべきことは、地上最低高135mmのベタベタ車高のインプと、220mmのフォレスターが、ほぼ同じ感覚で運転できるということなんです。
普通はこの車高なら腰高感が出るのに、それが街乗りレベルではあまり感じられません。
これには驚きました。
●エンジンについて
レヴォーグと同じ1.8Lターボエンジンで、馬力は177psと控えめながら、300Nmが1600回転で発生するというトルクフルなエンジン。
しかもリーンバーンエンジンなので、オクタン価の低いレギュラーガソリンでOKです。
エンジンフィールはC型と同じ感触です。
ただ、レヴォーグと異なり、けっこうドッカン気味のターボという印象はC型と変わらず。
これは昔ながらのターボ好きにはハマるかもしれません。
踏むとトルクが急に立ち上がる箇所があります。
レヴォーグとほぼ同じ車重でも、レヴォーグの方が加速はリニアで自然です。
これは多分CVTの味付け、特性の差なんでしょうね。
出足は、NAのインプレッサの方が自然で加速もスムーズですが、D型フォレスターも全然自然でした。
C型に試乗した時は少し出足が悪くてかったるいなぁという感覚があったのに、D型では街乗りでは特に不満を感じませんでした。
いいじゃんこれ。D型でエンジンの制御も、もしかして変わっているのかも?
話は変わりますが、インプレッサ、2Lエンジン(FB20)は、正直ノーマル状態でもエンジン音がうるさいんですよ…
冬の朝のアイドリングとか、排気音も周りに気を遣うレベルですね。ノーマル純正マフラーなのにですよ。そこだけ残念です。
フォレスターの1.8Lターボエンジンは、それに対し排気量の差とは思えないほど静かです。
エンジンがなめらかにまわっている感触を受けます。
インプレッサに搭載されているFB20エンジンは、個人的にはEJ20系には及ばないと思っています。
出力特性や、街中での扱いやすさ、トルクなどはもちろん新開発のFB系がよいのですが、体に訴えかけてくる、官能的な部分はやっぱり昔のスバル車がよかった。EJ20にはかなわない。
まず回転のなめらかさであったり、振動や音の面でFB系は、EJ系やCB18に劣ります。
エンジン詳しい方ならわかると思うのですが、FB系エンジンはコンロッドを斜め割形状にしちゃったのが良くなかったと思います。
コンロッドが左右対称にならないので、水平対向エンジンの振動を打ち消しあうというメリットが失われていたと思います。
EJ系は水平割なのでバランスも強度も良かった。
CB18は、そのEJ系と同じ水平割に戻っているようです。
CB18エンジンは、EJ系を思い起こさせる、良いエンジン。
スバル歴20年の私がそう思います。
●総評
C型に乗った時はインプの方がやっぱいいなと思い、インプの良さを再認識したのですが、
D型に乗った時は「あれ、なんかインプと同じ感じで乗れて、楽だ」と印象がかなり変わりました。
フォレスター、いい車になりましたね。
今まで眼中になかったのに、昨年C型に乗らせてもらった時から気になり始め、D型で確信しました。
この車は、いい車であると同時に、自分の今の走行スタイルにも合ってる。
若いころは、インプで峠を攻めていたことや、首都高をレガシィの280馬力をカリカリにチューニングしてかっとばしていたこともありました(もちろん制限速度内)。
ただ、年を重ねて私も40歳を過ぎました。
この年になると、車高があって乗り降りが楽だったり、街中でゆったり乗れる車の価値の良さがよくわかります。
昨今のSUV人気もあいまって、
フォレスターD型は現状、スバルの中で最高の出来の車だと思います。
さて、このフォレスターに載っているCB18直噴ターボエンジンは、EJ系に似ています。
エンジンをかける音も、回転をあげていったときの音も、似ている。
少しディーゼルみたいな音も混じるけれど、回転はなめらかだし、扱いやすそうなエンジンです。
そして往年のスバル乗りには懐かしい、ドロドロという排気干渉の音が復活しています。
いわゆるボクサーサウンドです。ノーマル状態でも、かすかに聞こえます。
20代のころの、青春を過ごした時代がよみがってきて、懐かしくて涙出そうになります。
もうこれだけで、おなかいっぱいです。
●今後の予想
もしかしたら、来年のE型でSTI Sportグレードが追加される?かもしれないですね。
レヴォーグ、インプレッサとSTI Sportグレードが出たので、フォレスターにも期待してしまいます。
もし出るとしたら、こんな構成でスポーツグレードの標準価格330万円に、+68万円の、398万円ぐらいででると妄想してみます。
↓私の予想だとこんな感じ。
あくまで予想です。
・FA24型2.4L直噴ターボエンジン(275ps/350Nm) & 専用オイルクーラー
・STI Sport専用外装色(WRブルーパール、または、セラミックホワイト)
・STI Sport専用エクステリア(STIフロントグリル、大径マフラーカッター、STIリアエンブレム)
・STI Sport専用足回り(STIチューニングサスペンション & 19インチBBS製鍛造ホイール & ブレンボ社製ブレーキ)
・STI Sport専用インテリア(STI専用メーター、レッドステッチ内装、STIロゴ入りステアリング)
・STI専用RECARO製バケットタイプシート(オプション選択)
自分がもし若かったら、こういうSTIグレードが出るのを待って買うだろうなぁと思います。
STIが出ないようなら、ウィルダネスというアメリカでは売っているオフロードクロカン向けが出るかもしれないですね。
両方出たら面白いですよね。
ただ、自分はもう若くないので、普通のグレードで十分満足です。
マイルドハイブリッドのe-Boxerモデルは乗れませんでしたが、できたら一度乗ってターボとの差をまた書いてみたいです。
フォレスター、いい車過ぎて泣けた。
以上、フォレスターD型の試乗インプレッションでした。