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2024年12月04日

「古株アルフィスタ達が"邪道"と呼んだ傑作...アルファ159 JTS Q4 Ti 2010最終型限定車ホワイトエディションの真価と情熱」

「古株アルフィスタ達が"邪道"と呼んだ傑作...アルファ159 JTS Q4 Ti 2010最終型限定車ホワイトエディションの真価と情熱」
レビュー情報
メーカー/モデル名 アルファロメオ / 159 (セダン) 3.2_JTS_Q4_Q-トロニック_TI_RHD(AT_3.2) (2008年)
乗車人数 4人
使用目的 仕事
乗車形式 家族所有
総合評価
おすすめ度
5
満足している点 "異彩の美学が生む満足感"
その独特で刺激的な個性と、意外性のあるパフォーマンスに尽きます。
この車が持つ特性を言葉で伝え尽くすのは難しいのですが、実際に運転席に座りアクセルを踏み込んだ瞬間から心が踊るような「楽しさ」が広がります。

連続可変バルブV6 DOHC 3200cc直噴NAエンジンは、スペック以上の楽しさと、粘り強い加速感を提供してくれる心臓部です。アルファロメオ独自の「ツインフェーザー」技術による吸排気バルブの可変タイミング機構と、11.25:1という高圧縮比が生み出すパワーとレスポンスは、アクセルペダルを操作するたびに、ドライバーと車がシンクロする感覚を味わわせてくれます。

そして、この回転域で奏でられるサウンドが実に見事で、まるで音楽のように心地よいハーモニーを響かせます。
純正マフラーのままでも「これで十分」と思わせてくれる音色と音量は、この車がただの移動手段ではないことを物語っています。

さらに、ロック比率43:57の可変AWDシステムを中心としたシャシー設計も、「GM FIATプレミアムプラットフォーム」と言う、159・ブレラ・スパイダー(ピニンファリーナ)のみに設定されたシャーシーであり、この車の満足度を大きく引き上げています。

通常走行時のFR寄りの配分から、状況に応じて瞬時に前後トルクを最適化することで、あらゆる路面状況でも驚くほど安定した走行性能を発揮します。「FR寄りの挙動でありながら、AWD特有の安定感を提供」してくれるこの設定は、路面状況問わず、カーブをスムーズにクリアする楽しさを実感させてくれるものです。

Ti専用のサスペンションとブレーキシステムも秀逸で、ビルシュタイン製のダンパーとアイバッハ製のコイルスプリング、レッドのブレンボキャリパーが生む絶妙な乗り心地と制動力は、ドライバーに自信とやる気を与えてくれます。

片輪が浮きそうなほどタイトなコーナーでも、LSDが力強く働きながら、さほど重さを感じさせずに滑らかに旋回し、ドライバーに対して「どんなコーナー(カーブ)でも絶対に曲がりきってやるからな。」という信頼感を与えてくれます。

また、この車の装備とデザインにも大きな満足感を覚えます。スピード違反対策のクルーズコントロールは勿論、アルミパネルを使ったコックピットやエッジと曲線が織りなす内外装の細部までこだわり抜かれた仕上げ、そして「ジョルジェット・ジウジアーロ」氏の手による美しいボディーラインは、ただ見ているだけでも心を奪われます。

特に、ホワイトエディションの輝きは、光が当たることによって影が生まれる為、そのコントラストが目を引き、所有する喜びをさらに高めてくれる要素です。

総じて、この車はDTM時代のアルファロメオの天敵"独オペル(アメリカGM傘下)"と手を組み、世界に台頭する「大御所ドイツ勢」へ打倒を掲げた、という意図を込められて真剣に作られた、アルファロメオの新たなる挑戦心が詰まった一台です。

性能面でもドイツ車に真っ向勝負を挑みつつ、どこか「イタリア車らしい」味わいを残しているところがまた魅力です。
「欠点さえも許せてしまう」ほどの愉しさを提供してくれるこの車は、まさに所有者に「満足以上の何か」を感じさせる不思議な存在であると言えるでしょう。
不満な点 あえて"欲を言うなれば"、これらの点もある種の「新世代のGM・OPEL・コラボレーションのアルファロメオらしさ」と捉えれば、愛嬌とも言えるのですが、冷静に評価するならば以下の点が挙げられます。

1. 車両重量が重い
このモデルの重量は約1.7トンと重く、エンジンの力強さやシャシーの設計でその様には感じ辛い点もあり、この問題はある程度緩和されているようにも感じますが、AWDである為致し方無いとは言え、それでももう少し軽量に作って頂きたかったです。

2. 燃費の悪さ
3.2リッターV6エンジンの排気量とフルタイムAWDから予想できる通り、この車の燃費は悪い部類に入ります。街乗りではリッター6~7km、高速道路でも10km/Lを超えることは稀です。ハイオクガソリン価格が高騰する中では、ある程度の覚悟が必要です。
この点は感覚的に割り切る必要があり、「楽しさの対価」として受け入れられるかどうかが所有者の判断に委ねられる部分です。

3. 狭い後部座席ともう少しのトランク容量
外観デザインの美しさを重視した結果、後部座席のスペースがやや窮屈で、背の高い乗員には不向きな設計になっています。また、トランク容量も決してだだっ広いとは言えず、家族で長期の旅行や荷物が多いシーンでは不便さを感じることがあるかもしれません。その点、トランクスルーが付いており、リアシートがフルフラットとなる点は評価できます。

4. パーツ供給がやや不安
アルファロメオは近年、信頼性が向上していると言われるものの、世間様からは「壊れやすい」という昔のイメージを完全には払拭できていないような気が致します。
このモデルでは、大きな故障は非常に少ないものの、エレクトロニクス系の細かいところ(抵抗入りLEDバルブ挿入でも稀に警告灯がついたり消えたりする事がある)は指摘できることがあり、突然のエラーメッセージや細かなトラブルに直面することはありますが、そこまで気にする物でもないと思います。

また、独自のパーツ入手ルートを持たず、ショップや専門店やディーラーに任せっきりである限り、部品の供給が遅れがちになったりで、故障時の修理に時間がかかる場合があるかもしれません。

イタフラ系を扱うショップさんは、ディーラー系を含めて、ある種「のんびりしている所が多い」イメージ、印象があるので、せっかちな方はイライラしてしまうケースはあるかも知れません。

私の様に自分でできる範疇ではサクサクDIYしたり、パーツを見つけ出したり、腕利の職人さんと仲良しである場合は全く関係無いとは思います。

5. 取り回しの悪さ
AWDの為、ステアリング切れ角は少なく、やや重い(剛性感があるとも表現できますが)点は否めません。
狭い道や駐車場では取り回しに苦労すると感じる場面は、ドライバーによってはあると思いますが、すぐに慣れるといえば慣れます。

以上の不満点を挙げましたが、これらはあくまでも「しいて言えば」と言う範疇であり、この車の魅力や独特のキャラクターを凌駕するほどではありません。
むしろ、こうした不便さやクセもアルファロメオを選ぶ楽しみの一部と捉えられる方には、それさえも愛すべきポイントになるのかもしれません。
総評 「激情を纏う、最上の異端児。」
アルファロメオ159 JTS 3.2 V6 Q4最終型ホワイトエディションは、一言で言うならば、あくびが出る様な退屈なセダンとは一線を画す、セダンであってセダンではない「エンスージアストの心に火をつけるイタリアン"放火マスターピース"」です。

連続可変バルブと直噴技術で精緻に仕上げられたNA-V6エンジン、FR寄りに調整された可変AWD、そして「ビアンコ(ホワイトの意)」の装いで、光と影のコントラストを醸し出すボディーラインの特別感。
この車には、一見相反する要素が共存しています。

「激情と洗練、荒々しさと緻密さ。」

「邪道」との声もあれば、逆に「ドイツ車を凌駕した」とまで賞賛された過去を持つこの車両は、正に「イタリアン・ダークホース」です。

その由来となる心臓部、GM製エンジンをベースにアルファ独自にヘッドチューンされたこのV6は、純粋なアルファV6ファンからは異端視される一方、車好きの探求心を刺激する「グローバルなエンジニアリングの結晶」とも言えます。

ドライビングフィールは、3.2リッターながら兄弟エンジンのキャデラック系3.6リッターを凌ぐパフォーマンスを実現したショートストローク高圧縮比のエンジンは、3800rpmで最大トルク、6200rpmで最高出力を発揮し、スロットルのレスポンスや回転フィールには官能的な喜びがあり、特に中高速回転域では、ドラマティックなサウンドを奏でます。

このフィールを支えるのが、精密なギア比を備えた日本のアイシン製6速AT「Qトロニック」。
パドルシフトを駆使しながら攻める走りでは、古き良きイタリア製とは一味も二味も違う信頼感と共存し、ドライバーに絶対的なコントロールを委ねます。

また、前後トルク配分をダイナミックに変化させるAWDシステムにより、コーナリングでの一体感とバランスは中々秀逸な物であり、片輪が浮くようなタイトコーナーすら涼しい顔でクリアし、LSDが奏でる「ゴゴゴ」という音は、ドライバーの心を熱くさせます。

日常と非日常の融合・・。Tiグレード専用のディティールを演じる影の立役者、ビルシュタイン製サスペンション、アイバッハのコイルスプリング、レッドのブレンボキャリパー、これらは、車好きが求める「視覚的快楽」を満たしつつ、走りの質感を高める絶妙なアクセントです。
内装のステッチやシートのサポート性能は、まさに「ドライバーズカーとしての本気度」を感じさせ、レーシーさとラグジュアリーの絶妙なバランスを保っています。

イタリアン・チャームとして、無駄に回転数を引っ張ろうとする官能的なDレンジのセッティングや、手動操作で雪道のサイドブレーキングドリフトでの遊び心も忘れさせない、「燃費」という単語が霞むほどのドライビングプレジャーは、まさに「車に求める全て」です。

そして、最も軽い塗装であり、レーシングカー(Cupカー)のベースカラーでもある「ビアンコ(白)」という色彩をまとったこのモデルは、目の前にあるフィールド全てに対し、攻めの姿勢作りにさせてくれるマジックのような力を持っています。

他では容易に得られない独自の存在感と感動を提供する、「ドライバーズカーの隠れた宝石」であると感じます。
荒削りな中にもエンジニアリングの粋を感じるこの一台は、単なる移動手段ではなく「ドライバーの感情と対話する」存在です。

この後継モデルが現れない今こそ、この"異端児の価値"を再確認する時ではないでしょうか。・・・
項目別評価
デザイン
☆☆☆☆☆ 5
自分が初めて「世界一カッコいいセダン」だと思わされた車です。

「Ti」の名を冠したこの車は、ミラーのアルミニウム感で違いを主張し、車高の低さを含めて心を揺さぶるデザインの結晶です。
大袈裟に言えば彫刻を眺めるかのように、その外装からはアルファロメオ独特の情熱と誇りが漂っています。

その直線と曲線の緻密なディテール、そして走りにおける「主張」は、ただの車という枠を超えて、見る者に独特な印象を残します。

デザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロの手による傑作であり、ボディラインに忘れがたい印象を与え、サイドビューにおける力強いウィンドウラインと盾のグリルは、見る者に一瞬でその異国性を感じさせる点が気に入っております。

特に「Ti」グレードのサイドスカートは、車体の低重心と空力をさりげなく主張し、走行性能の高い期待感を引き立てる一方で、パナスポーツの様なワタナベの様なスポークの隙間に忍び込むように配置されたレッドのブレンボキャリパーはアクセントとなり、スリットローターと併せて走りの情熱と予感を視覚的にも語りかけてきます。

アルファロメオ159特有の大胆でありながら精緻なラインの数々は、"芸術的感性"をくすぐられる物がございます。

内装にも、このクルマが誇る“イタリアらしさ”が存分に表現されており、ドライバーを迎えるインテリアは洗練されていながら、「よし!行くぞ!!」と言う気持ちをグッと引き寄せるような力強さを感じさせます。
特に「Ti」グレードの専用シートは、深いサイドサポートとパンチングレザーが融合し、運転者に程良くも最高のフィット感を提供し、さらにレッドステッチで縁取られた"アルファロメオ"のロゴが、ドライバーを包み込むように、情熱と「レースの歴史」をしっかりと感じさせてくれます。

また、センターコンソールにあしらわれた本物のアルミパーツは、手に触れるたびにそのメカニカル感が伝わり、マニアックなこだわりを感じさせます。

シフトレバーやパドルシフトが作り出す操作感も絶妙で、トルクコンバーターでありながら、中々のレスポンスを提供してくれます。
その操作性とフィット感は、「ドライビングのために作られた歴史的空間」と言えるのかもしれません。

従来のアルファロメオとは一味違った、どこまでも感情を揺さぶるそのデザインは「スピードと情熱と歴史の象徴」として、この一台に触れるすべての人々が自然とその魅力に引き寄せられる様なところを感じます。
走行性能
☆☆☆☆☆ 5
私もそれなりに「アクの強い」「そこそこ激しい」乗り物を乗り継いできたので、正直、ステアリングを握るまではどこか「舐めていた」ところがありました。

ましてや、同じ「四駆セダン」であり、このジャンルの"雄"でもあるランサーエボリューション(CT9A)のステアリングも握っていた経験者です。

しかし、実際にその走行性能に触れると、明らかに「日本の道路が標的」ではなく、「アウトバーン」をはじめとした「欧州の大きく開けた広大な路面をターゲット」として作られた車だということを"痛感"させられました。

NAとターボの違いもある上、速い遅いは別として「質感はランエボ(CT9A)よりも遥かに上」と断言できます。

「打倒ドイツ勢」を掲げて開発されただけあり、その本気度と走りは"スペックを超えた魅力"を秘めています。

まずはそのエンジン性能で、NA3.2LのV6エンジンは驚くべきことに、私にとっては親近感の湧くGM製オールアルミエンジンブロックをベースとしつつ、アルファロメオならではの息吹をヘッドに吹き込まれた一台で、ダイレクト噴射と連続可変バルブ機構(ツインフェーザー)による吸気・排気タイミングの巧妙な制御が、エンジンの特性を独特なキャラクターへと押し上げているのです。

コンピューターチューンを施し、スロットルコントローラーをインストールし、レースモードで最も激しいレスポンスにして、全ての制御を外せば、6500rpmまで間髪入れずリニアに吹け上がり、中間域3800rpm周辺でのスロットルのコントロール感は「懐の深さ」と「脳内モルヒネの大量分泌」を感じさせるものです。

加速フィールの伸びやかさ、そしてその回転数で奏でられる、テッツォプレミアムスパイラルライトウエイトマフラーのエキゾーストサウンドは"腹の底"から心地よく、助手席のコ・ドライバーをも巻き込んで楽しませてやみません。

さらに、その走行性能を引き立てるのが、全輪駆動(AWD)の特性です。
トラクションを余す事なく効率的に地面に伝える為、明らさまに「前へ前へと突進しようとしている感」があるのです。

やや大人しいとさえ感じる、この車の馬力とトルクのスペックで、ここまで粘り強い加速感を得られるとは「想定外」の事であり、F43:R57の基本ロック比率によるステアリング操作はやや重いものの、剛性感が伝わってくる図太さ、切れ角は少いものの、クイックさが伝わってくるレスポンス、運転する者にはしっかりとしたインフォメーションと、ドライビングプレジャーが与えられます。

まるで道路に吸い付くようなグリップ力と、コーナリング時の鋭さは、フルタイム可変AWDならではの安心感をもたらし、直線での加速と同じくらい、カーブでもその粘り強さを感じさせてくれます。

進行方向に迷いがない、どっしりとした「車体感覚」があり、ステアリングを切った瞬間からボディー剛性の高さが伝わってくるようです。

155、156時代のアルファロメオの"お豆腐に乗っている感覚(これはこれで面白いFFなのですが)"とは「まるで別物」です。

如実に、"質実剛健"な「独逸・オペル」を感じます。

特にTiグレードの魅力は、繰り返す様にビルシュタイン製サスペンションとアイバッハのコイルが搭載された物ですから、「低重心」と「フロント対地キャンバー」が絶妙にAWDバランスと共存しているので、タイトコーナーであろうがRの長いコーナーであろうが、どこまでも挙動が安定方向のインフォメーションがあり、LSD(リミテッド・スリップ・デフ*恐らくヘリカル)によって峠の凄まじい高低差のタイトコーナー立ち上がり加速時の際には「ゴゴゴッ」と車体は強烈な横Gに耐えながら、狂おしく駆け上がって行く感覚が非常に面白いのです。

Q4ならではのトルク配分可変式センターデフの特性もスムーズなトルク配分を生み出し、アンダーステアの心配は「ほぼ皆無」です。

シフトフィールも良好と言え、アイシン製の6速AT「Q-トロニック」は、パドルシフトとフロアシフトを兼ね備え、コーナー手前でシフトダウンした際の反応も許容範囲内のスムーズさ、シフトダウン時にあえて「アクセルを入れてブリッピング」させて楽しむということまでやってのけるのです。

スロットルコントローラー(後付け)をレースモードに設定すれば、「連スロの様な鬼のレスポンス」で、まるで"ターマックラリーカー"に乗っているような気分に浸れます。

加えて、ブレンボ製のキャリパーと、RE71RSという高性能タイヤが持つ圧倒的なグリップ力が、さらにその走行性能を支えています。

マスターバックと前後ブレーキバランスも非常に良く考えられた味付けで、ABSが作動する領域は奥深く、ハードブレーキングをしても、石を踏むような感覚はまるで無し、絶妙に踏みしろをコントロールできる、確実に制御できる感覚が得られます。

本当に驚かされた存在で、確かに、他のドイツ勢のライバルたちが持つ圧倒的な数字に並ぶものはないのかもしれませんが、それを感じさせない「ドライブの楽しさ」と「ナメてもらっちゃ困る」感に溢れており、圧倒的に「手中に収めやすくて扱いやすい」一台です。

駆け抜ける喜びに満ちたその走りは、まさに「異色の名車」と呼ぶにふさわしいもので、真のアルフィスタの心をも打ち抜く、どんな路面状況でもその愉しさを決して諦める事のない、自分にとっては最高の車です。

究極を言えば、「エンツォ・フェラーリが憧れたメーカー"アルファロメオ"」、その歴史とプライドを"ほのかに感じる事のできる稀有な車"です。
乗り心地
☆☆☆☆☆ 4
硬めか柔らかめかという問いに対して、この車は「硬め」寄りの設定です。勿論、「タイヤによる違い」「空気圧設定の違い」により多少の誤差はあるものの、その硬さは単なる不快な硬さではなく、洗練された引き締まった印象を与えてくれます。

それは、主に、ゴルフRやアウディーSシリーズ、欧州を代表するプレミアムなミディアムクラスを「強く意識した味付け」となっており、前項でご説明しました通り、使用されているショックアブソーバーやコイルメーカーのサプライヤーを見れば何となく予測が付くかと存じます。

ボディー剛性も、その辺りのゲルマンの競合を強く意識した「イタリアの民芸品らしからぬ意外性」を感じ、路面の凹凸を上手くいなしながらも、足元から確実にドライバーへ伝へてくるその感覚に一体感を得られ、反応の良さを感じさせてくれます。

サスペンションストロークの縮み側の初期入力は多少ゴツゴツと硬い印象はありますが、伸び側がソフトに追従するので、路面のうねりの途中の中間域ストロークでは好感が持て、車が地面を掴みながら太くてエグりのキツイステアリングを通じて無駄なく入力を伝えるくるような、インフォメーションを与えてくれます。

この、「しっかりとした硬さの中にも柔軟さを感じる足」は、スポーティな走行性能を重視しつつも、長距離ドライブでも意外にも疲れにくく、快適さも秘めています。

この絶妙なバランスは、アルファロメオ159「Ti」ならではの魅力と言えるのかもしれません。

静粛性についてですが、心地よいエンジン音であるV6エンジンの力強いサウンドはさておき、「デザイン優先で作られた」事から、"風切り音"はまあまあ盛大だと言えます。

これに関しては、「なるほどな」と、クスクスと笑い飛ばしてあげるべきですね。

車内の静けさを保ちたいのであればレクサスなどに乗るべきだとも思うので、「ドライバーズセダン」に乗っているという事実と実感、心地よい高音を響かせたドライビングを特別なものにしてくれる相棒を欲する方にはオススメ致します。

走行中、「ついBGMの音楽を消したくなる車」、「BGMはエンジン音」、という方には打ってつけの車です。

振動に関しては、多少ブルブルカタカタする事もありますでしょうが、そんな細かい事は気にせずに路面の状況や加減速のタイミングを見計らってブレーキング、シフトダウン、スロットルオン、シフトアップを楽しむ「NAピュアスポーツセダン」で、むしろその微細な振動をも、車との一体感をより深めてくれるとも言えるのです。

スポーツカーの様なフィーリング性能と、程よい快適さを兼ね備えた稀有な存在、その乗り心地、適度な静粛性、野生的な振動とのバランスは、"159 JTS V6 3.2 Q4 Tiでしか味わえない"、「一緒にダンスを踊るかのようなスポーツセダン」です。
積載性
☆☆☆☆☆ 3
この車の積載性について語ることは、一見するとデザイン優先のNAメカチューン的パフォーマンスセダンにおいて不要と思われるかもしれません。

しかし、アルファロメオはその美しいデザインの中に、意外な実用性を秘めています。車好きでありながら日常の生活も大事にしたい、そんなドライビング好きにこそ、この車のさりげない積載性が心に響くでしょう。

まず、トランクスペースはリアシートトランクスルーで全て寝かせる事ができ、あえて、「トランクスペースで響くマフラーサウンドが聴きたい」という理由だけで倒す事すらあります。

アルファロメオ159の後ろ姿の美しさに目を奪われると、そのデザインがスペースを犠牲にしているのではないかと思うかもしれませんが、意外にも容量は405リットルを誇ります。

この数値がどのくらいかというと、家族旅行用の中型スーツケースなら3つ、さらに小型のバッグもいくつか詰める余裕があります。

「週末のロードトリップ」なんて言葉が似合うかどうかは分かりませんが、この車に逆らわず、「君に合わせるよ」という気持ちの持ちようで良いと思います。

単なるドライブをスポーティーなものへと演出してくれる車ですから、その楽しみ以上に、積載もと求めるのはある種の欲張りかもしれませんし、最低限の実用性は有しているパートナーとして見るべきなのでは?と感じます。

後部座席を倒すと「重心位置が下がる」ので、エキゾーストサウンド轟きやすくなるだけではなく、多少「コーナリングのフットワークが軽くなった印象」を得る事ができます。

その瞬間、このアルファロメオ159 JTS V6 3.2 Q4 Tiは「実用的なスポーツカー」という肩書きを堂々と背負うことになるでしょう。

トランクの開口部も広く設計されているため、思いがけず大型の荷物も「どうぞお乗りください」と言わんばかりにスムーズに収まりますし、トランクフロアー下にも細やかな収納スペースが隠れております。(テンパータイヤのスペースに小物入れ的なトレーが綺麗に収っております。)

この点は、スポーティな車では意外と軽視されがちですが、159はその点でもユーザーを裏切りません。

勿論、荷崩れ防止のゴムネット、それらを引っ掛けるアンカーなども四角に取り付けてありますので、荷物を積んでも適度に「攻めの走りができる」のが、ドライバー心理を理解してくれている、設計者の配慮だとも感じております。

車内には驚きがあり、助手席グローブボックスには「車検証や取り扱い説明書のオーナーズブックを入れるスペースは無い」のです。これには笑えますが、トランクにそれを固定するマジックテープがあります。

かろうじて、室内にはドアポケットやセンターコンソールなど、小物収納スペースはあるものの、全てが「デザイン優先」で小さい物ばかりで、ドリンクホルダーは1名分のみです。(笑)

社外品をつければ良い話で、そういったグッズをドライブがてらに買い物する楽しみはあるのでしょうが、私はこの内装デザインをも阻害したく無いがために一切取り付けてはおりません。

センスが問われるところと言えそうです。

積載性を考える際にこの車がSUVやワゴンのようなスペースモンスターではないことを忘れてはいけません。

この車に「積めるだけ積む」というのは、どこか似合わない気もするので、「なるべく軽量化」するように最低限のものしか積んでおりません。

それよりも、何を積むかを考えさせてくれる、誰を乗せるかを考えさせてくれる、美しい花束、特別なワインボトル、週末の冒険のための旅道具・・。

そんな、あなたの物語のために選ばれたアイテムが似合うのです。

その積載性は、ただのスペース以上に、あなたのライフスタイルや「情熱を運ぶためにデザイン」されています。

何よりも、そのトランクに何を詰めるかを考えるたび、この車と過ごす時間がより愛おしく感じられるはずです。
燃費
☆☆☆☆☆ 3
この車を選ぶ方々が、私同様に燃費だけを追求しているとは思えません。
しかし、燃費性能がまったく関心の外にあるかといえば、それもまた違います。アルファロメオの魅力は、ドライバーに「数字以上の満足」を提供すること・・。燃費性能においても、それは例外ではありません。

まず、この車の公称燃費は、市街地走行で約6〜7 km/L、高速道路では8〜9 km/L程度です。
今どきのハイブリッドや電気自動車と比べると、確かに燃費効率は控えめです。

しかし、この3.2リッターV6エンジンが奏でるシンフォニーのようなエグゾーストノートや、多少の雪雨など何のそのな4輪駆動(Q4システム)が生み出す安心感を考えれば、天国にも地獄にも持っては行けないお金や燃料という名のエネルギーが惜しみなく消費されるその理由に、心底納得、否、無理矢理自分を納得させるはずです。

燃費の自己満足度、これこそが159 JTS V6 3.2 Q4 Tiを語るうえでの真のキーワードです。

単なる「燃料節約」にとどまらず、「この燃料が生み出す走りの歓び」こそが、この車を選ぶ理由になります。

ガソリンスタンドで給油中に、ふと「確かに頻繁だな」と思う瞬間があったとしても、その後のエンジンスタートとともにすべてが吹き飛びます。笑

アクセルを踏み込んだときのレスポンス、カーブでの正義感溢れる正確な挙動、そして何より路上で感じる特別感・・・、これこそが燃料の使い道に対する納得感を生み出すのです。

アルファロメオ159 JTS V6 3.2 Q4 Tiの燃費におけるもう一つの特徴は、ドライバーに対して明確な「選択」を提供している点です。

エコなドライビングを心掛ければ、センターインフォメーションメーターでトリップA、トリップBで燃費アベレージの数字とニラメッコしながら、少しでも改善することは可能です。

例えば、高速道路でクルーズコントロールを活用した滑らかな走行や、タイヤ空気圧を高めてみたり急加速を控えた穏やかな街乗りなどです。

こうした工夫を取り入れることで、「この愛車でもやればできる」という小さな自己満足を味わえるのです。

面白いことに、この燃費性能は愛車との対話を生むきっかけにもなります。「次はどんな道でどれだけ効率的に走れるだろう?」と考えるうちに、ただ移動するだけの車が、あなたの生活の一部に溶け込む存在に変わっていくのです。

アルファロメオ159 JTS V6 3.2 Q4 Tiの燃費性能は、数字以上に「燃費を楽しむ」という新しい価値観を提供してくれると見るのです。

最後に、この車の燃費を語るとき、重要なのは「愛」と「理性」のバランスです。
もし純粋な燃料効率だけを求めるならば、選択肢は他にもあります。
しかし、エモーションが込められた走り、そしてそのすべてを支える美学を享受する歓びは、この車だけが提供できるものです。
燃費の数値を超えた満足度が、ここにあります。

ちなみに私の最高アベレージは9Km/Lで、10Km/Lは幻の数字となっております。
価格
☆☆☆☆☆ 5
「アルファロメオ」・・その名前を聞くだけで心が躍るクルマ好きは少なくないでしょう。

あのトップギアの名司会者であった"ジェレミー・クラークソン"も、長年にわたり、アルファロメオへの情熱と複雑な感情を抱いてきました。
彼はアルファロメオの車を愛しながらも、その欠点を痛烈に批判するという独特のスタンスで知られています。そんな中、

"You can't be a true petrolhead until you've owned an Alfa Romeo."
(アルファロメオを所有したことがなければ、真のクルマ好きとは言えない。)

という言葉を放ち、アルファロメオの車が単なる移動手段ではなく、感情を揺さぶり、愛憎入り混じる体験を提供するという彼の考えが込められています。

"Alfas are designed to be great cars, but they end up being great stories."
(アルファは素晴らしい車として設計されているが、最終的には素晴らしい物語になる。)

ジェレミーらしいユーモアと皮肉を交えたこのコメントは、アルファロメオの所有体験が単なるドライブではなく、人生のエピソードを生むものであることを象徴しており、これは実に味わい深い的を得た言葉であり、そのような車であると感じます。

私はこの159 JTS V6 3.2 Q4 Tiに限らず、全てのアルファロメオ全車、全てに通じて思う事は、

「こんなにコストパフォーマンスの良い楽しい車は世界中を探しても他には無い!」

と思えるほど、"遊べる車"であると思います。

新車当時、この159 JTS V6 3.2 Q4 Tiというエモーショナルなイタリアン・サルーンは、税抜価格¥565万円で販売されていました。

これにはアルファロメオならではの華やかなデザイン、精巧なエンジニアリング、そして特有の官能性がぎっしり詰まっています。
些細なオプションで価格は軽々と税込¥600万円を超えることもあったでしょう。
それでもこの車を選ぶオーナーたちは、「ただの移動手段以上の何か」を求めていたのです。

時は流れ、中古車市場では現在でもアルファロメオの存在感は独自の形で輝き続けていながら、とてもリーズナブルに魅力的なモデルが多数、手が届く範疇にあります。

この159 JTS 3.2 V6 Q4T Iに関しては、年式や走行距離、状態によりますが、¥200万円を超えない範囲が目安となっています。

もはや、極めて良好な状態のものや、希少な仕様となったTiなどのモデル、6MTのV6エンジンQ4はなりをひそめ、絶滅寸前虫の息です。

ヨーロッパにはありそうなものの、実は、V6エンジンのQ4は本当に見つからないのです。

実は意外にも日本は稀少モデルが多数輸入された「アルファロメオ天国」であったりもするのです。

これに加えて「巨大市場アメリカに輸出されなかった車」である為、特に数が少ないQ4システム搭載モデルやオリジナルのオプションが豊富な車両は、海外の一部の超マニアックなコレクターの間では密かに高く評価される傾向があります。

これは、映画007「慰めの報酬」で、悪役のマフィアが駆る黒い159 JTS V6 3.2 Q4 Tiが、主役であるボンドの2WDアストンマーティンDBSを悪路で追い詰めるシーンに心打たれた者達が多数世界に存在している影響もあり、オーナーズクラブやエンスージアストの勢力は海外でも根強いものがある為です。

Q4(フルタイム4WD)システムを備えた点では、特に過酷な自然環境の中におかれている車好きには注目され、重宝されます。

この構成は、アルファロメオが単なるデザインブランド以上であることを証明するものであり、走行性能の面でも評価が高いのです。

そのため、希少性という点では、特にこのV6エンジン搭載モデルは将来的なクラシックカーとしての価値を秘めていると海外フォーラムの一部メンバーの中で囁かれているのです。

市場に残る車両が減少する一方で、その独特な魅力を理解するエンスージアストの需要が続くため、適切にメンテナンスされた個体と価格は最低ラインで安定するか、輸出案件で上昇する可能性も0ではないのです。

カスタマイズの楽しさもまたアルファロメオの魅力の一つです。
中古車価格がそこまで高くないので、程度の良い中古パーツを探して自分でDIYを楽しんでみたり、サーキットへ思いっきり走りに行ってみたり「自分だけの一台」を作るための投資額も抑えながら遊ぶことも出来なくは無い車です。

その為、アルファロメオの下取り価格は全般的に、他ブランドの主流モデルと比較すると安く叩かれてしまう傾向にありますが、そんな事は気にしないで「ガンガン乗って遊ぶ車」だと思うのです。

これはこの車の"本質を捉えている"と言えます。
アルファロメオを所有するというのは、「単なる資産価値以上の何か」を求める体験だと言えます。

ですから、定期的なメンテナンスと愛情を注ぎ、自分でしっかりと世界中から情報やパーツやトラブルシューティングの情報を掴んで、パフォーマンスを保つことを楽しみながら乗り続けることができます。

専門店との付き合いや、そのショップやスタッフなどの人間性に疲れたり、嫌気がさして降りる事もあるかもしれません。

非常に気持ちはわかるのですが、それは本当に勿体無いことなんです。

そこは、もう一踏ん張り、自分自身でリサーチしつつ、自分のスキルでなんとかした時の喜びは、他車種では味わう事はできません。

維持費については、イタリアンカー特有の個性が時折「財布のエクササイズ」を求めてくる場面もあるでしょう。

ただし、それすらもこの車の持つストーリーの一部として楽しむのが"アルフィスティの流儀"です。

新車当時の価格から現在の中古市場に至るまで、常に「ただの車ではない」という特別な価値を提供してきたと感じ、憂鬱な仕事へ向かう道すらも、ひと時の楽しみと興奮を与えてくれます。

市場価値や希少性を超えた情熱と美しさを体現するこの車は、単なる移動手段ではなく、人生のパートナーとなる存在です。

その価格以上に豊かな経験と、運転の歓びを提供してくれる、それがこの車の真髄です。
その他
故障経験 ・リアバックフォグライトの球切れ
・リアバックフォグレンズ内部の溶け
・リアブレーキランプの球切れ
・ギアセレクターマニュアルモード(+−)とパーキングポジションを読まなくなった(*シフター側に付いている基盤の故障)
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Posted at 2024/12/05 00:49:16

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