カーボン素材は鉄の1/4の重量で10倍の強度
クルマに使えば30%の軽量化が出来る
航空機では普通になったカーボン素材は、なかなかクルマへの採用が普及しない
量産車で本格採用しているのはアルファロメオ4C位
4Cも生産台数でいば大した台数ではない
一方部分的にカーボンを採用している例は数多いが、多くが高額スポーツカーである
カーボンボンネットやルーフへの採用が多い
運動性能への効果は高いが軽量化は限定的となる
各メーカーが目指すには
キャビン部と駆動部品のカーボン化
キャビン部は絶対的な重量軽減が出来るうえ
強度アップによる安全性の向上、更にはカーボンの優れた振動減衰特性による乗り心地の改善である
この特性より、BMWの7シリーズは、かなりの部分がカーボン化するらしい
一方、大衆車にカーボンの採用が進まない最大の理由はコスト、そしてリサイクル性
カーボン素材、つまり 炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、複数枚の炭素シートを重ね、その間に樹脂を挟み込んで(流して)作る
炭素シートも均一性の高いものから、不均一のものまでピンキリ
その重ね合わせ方や樹脂の充填の仕方にもノウハウがいる
従来の樹脂は熱硬化型
ようは型で整形した後に焼入れをして固める方式
現時点では最も進んだ製法で、整形品質も高い
ネックはタクトタイムが長いこと
つまる整形時間が数分かかる
数多く作るには多くの設備導入が必要となり、結果コスト高になる
4Cの生産台数が限定的な理由もこれ
そして、熱で固めた後の修正が難しく、微小な不具合を補修して使う事が出来ない
これもコスト高につながる
当然、衝突して壊れたボディを治すのも難しく、リサイクルのハードルも高い
リサイクルの問題は社会問題になりかねない
そこで、最近技術開発が進んだ のが熱可塑性CFRP
こちらは熱で柔らかくなり常温で硬くなる素材を使ったもの
余熱で温めておきプレス加工する
プレス機は高額になるがタクトタイムが短くなり、再加熱で柔らかくなるので補修やリサイクルが可能となる
この技術で先行しているのは帝人
2018年にはGMの量産車への搭載が決まっている
それ以外のメーカーはNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)との連携で、同じ性質を持つ炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)を開発、先行する帝人を追う
更に最近注目なのが駆動部品へのカーボンの採用である
駆動部品が軽量化されれば慣性ロスが減り、駆動損失低減により効率がアップ
ドライブシャフトの採用例はあったが、最近はギアまでカーボンで出来る技術が開発されている(TORY)
これらは耐熱性が必要な為、熱硬化型カーボンである
今後カーボンの普及は間違いないかといえば、必ずしもそうでない
それは従来の鉄素材の進化と、その加工シミュレーション技術、接合技術のシミュレーション進化である
スズキが最近の新型で1割以上の軽量化を達成し業界はビックリ
カーボンと鉄、更にはアルミ複合素材も含め勝者はまだ決まっていない
追記
元エンジニア、現マーケッターでありプランナーであるサンナナが衰えてきた脳トレ用に、電車通勤時にこんな(小難しい)コラムを書く事にしました。
返信は週末になりますが、よろしくお願いします。
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《エンジニアリングとマーケティング》 | 日記
Posted at
2016/06/01 08:20:52