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2007年06月29日

マルチリンクサスペンション 4

マルチリンクサスペンション 1
マルチリンクサスペンション 2
マルチリンクサスペンション 3
から続いています。

ここまでが、マルチリンクの基本的な考え方とハブの統制の仕方になる。

しかし、もう少し細かく観察すると5本のリンクでハブを支えると言う単純な構造であるが、それぞれのメーカーによりリンクの取り付け位置、長さ、角度、たわみの許容などに設計思想と、実験部隊が走り込んだ経験が反映されているのが面白いところだ。

この間まで所有していたCクラス、現在所有しているクラウンアスリート、レガシィの違いを見るとそこに各社の理想と妥協が見え隠れする。

マルチリンクサスに限らないが、サスを見て一番大きくてダンパーが付いているアームをロワアーム(正式にはスプリングリンク)と言い、なるべく長くしてダンパーはレバー比(ハブが1動く時にダンパーも1動くのがレバー比1で、アームの支点に近づくほど動きが小さくなる)の関係からハブのすぐそばに配置するのが基本となる。

ベンツはこの基本に忠実で、ダンパーをスムーズに動かすためなるべく垂直に使い、かつハブの近くに付けるためバネとダンパーを分けて、車体側への取り付け点も外に出してハブの直近に連結して理想的な配置を目指している。

他にもバネとダンパーを分ける効果は、それぞれ最適な硬さのブッシュを入れて、入力を分離することができるし、整備時にも別々に外すことが出来るというメリットがある。

これに対して、クラウンはロワアームが1クラス下のCクラスと比べても短く、またバネとダンパーを同軸にして(コストダウン)ハブ側への干渉を避けるためアームの中央部近くに付けられている。

スカイラインは、この点は忠実に上手く設計されているが、クラウンのこの設計は商品価値を何におくかと購入者の求める運動性のを見切っているためだと思う。

しかしチューニングで多少の変更は出来ても、基本設計の持つ癖は簡単に消すことが出来ないので、レクサスまでのプラットフォームの展開を考えたならばここはもう少し頑張っておきたかった点だと思う。

このため、ハブの動きに対してバネとダンパーの動きは小さくなり、小さい入力に対して正確にダンパーが動き難くなってしまう。

この対策として、モノチューブダンパーとして初期はガスで吸収しようとしているが、部品価格の制約なのか細めの物を使ってしまったため、計算通りの効果が発揮できていない。

あと9mmくらい太い物を使用すれば、油量も増えるしぐっと良くなると思うがここに原資を振り分けられなかったのだろう。ここだけは、レクサスは改善されている。

私が最近幾つか見たマルチリンクサスの中で上手い設計は、V36スカイライン>W203メルセデスベンツ>E90 BMW>B6 VWパサート>BL レガシィ>GRSアスリート=GSかな。

この間に入る車も多くあるが、上はいずれも運動性能としては比較的上位に入ってくると思う。
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Posted at 2007/06/29 22:51:23

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この記事へのコメント

2007年6月29日 23:34
Ichiさん、サスペンションの解説とても分かりやすくていつも読ませてもらってます。ダンパーとハブの動きの関係が良く理解できました。1:1に近づけるということはダンパーのストロークも大きくなり、初期動作の摩擦抵抗も小さくしなくてはならず、コスト的にも厳しいのですね。また、ボディ設計上もばねとダンパーを最適位置に置くのは大変な事なんだと理解しました。
そういえば、昔のプジョー405の後輪はトーションバーを使って省スペース&ストロークを大きく取ってましたが、最近はこのタイプが見られません。なにか理由があるのでしょうか?
コメントへの返答
2007年6月30日 21:28
こんはんは!
ダンパーは1:1で動く場所の方がストロークが大きく、設計の性能を出しやすいので本来は精度を落とせて安くできます。
逆に少ししか動かないのに、その中で動き始めは摩擦が無くて急激に減衰力が大きくしなければならない場合は、設計上では良い数値が出ても摩擦が効いたりして実際はよりお金をかけて精度を上げないと難しくなります。
なので1:1にするのが基本です。
トーションバーはオペルでも最新のアストラなどで用いられて、素晴らしい足になっています。
トーションバーが減ったのは雑誌が、独立懸架が高級でトーションバーはダメだと書いたせいで、消費者が着色した食品が良いと思って買うような物だと思います。
特に小型FF車の場合、トーションバーは位置決めが正確で剛性があるので、インリフトを許容して使うと、ホットハッチに合った足になります。ただ、最新トレンドは405ではなく、ゴルフGTIのような足なのでしょうね。
2007年7月1日 13:55
詳説、いや~本当にタメになります!

ストラットは構造的にも安いからってのは知ってましたが,
自分はてっきりサスの進化ってダブルウィッシュボーンからマルチリンクへなってきたのかと思ってました(某社の○ティと同時期の初期○リュードのムカシのTVCMを見てた影響?)

さすがキッチリ車格を出すトヨタ、やっぱり見えないところでもレクサスと差別してたんですね!
筒長とか取付が合えば、GSのに取替えようかなぁ・・(願)
コメントへの返答
2007年7月2日 0:01
こんばんは!マニアックな話題を読んでいただきありがとうございます(^-^)

乗用車のサスとしては、マルチリンクが到達点だと思いますが掛けられるお金によって他の形式も残っていくでしょうね。
プレリュードはダブルウィッシュボーンと言うかホンダはF1のイメージで、スポーツ車はダブルウィッシュボーンて感じのCMでしたよね。

私はノーマル主義なのでサスとか手は入れないので製品があるか判りませんが、替えるなら車高調がないビルシュタインのノーマル置き換えにして、3万km毎くらいに交換するのが良いと思います。

GS用が付けばアスリートの物よりも良いですが、国産車の純正品は10万キロくらい交換しないことを前提に作られているのでどうしても耐久性重視で微少領域での動きが悪いですから

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年齢と共に、車に求めるものも速さから快適性に変わってきたような気がします。 冬は、おいしいお酒を求めて、スキーなどに飛び回っていますがアウトバックでなく、...
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