例年、選考委員の諸先生方の選考には多分に文句を書いてきたカーオブザイヤーですが、今年は難しい。
と同時に、今年の一台を選ばなければならないとなると、今年のようなケースは或る意味、お気の毒と思いました(^^;)。
言うまでも無いですが、
ホンダS660と
マツダ・ロードスターです。
もしボクが選考委員だとしたらS660がイヤーカーでロードスターが次点です。
ちなみに諸先生方が選ぶイヤーカーの予想もS660。これは最後に理由を述べます。
悩ましいというかお気の毒と書いた真意は、選ばれた一台は良くも悪くも長く記憶(記録にも)残りますが、
2位以下はほとんど記憶に残らないからです。それが僅差でも大差でも。ということは、もしも甲乙付け難いと散々悩んで苦渋の選択?をしたとしても、それは半年と経たずに忘れ去られてしまいます。そして後年、場合によっては「アイツらなんでアノ車を選ばなかったのか?」なんて文句の種にもなるワケですが、そのときにはもはや「甲乙付け難く僅差で」などという経緯は誰も知りません(苦笑)。
さて、d(^.^)
ボクがイヤーカーにS660を推す理由は細かく見ると色々あるのですが、、、
・軽自動車でありながら、専用設計の本格スポーツカーであること
・本格派でありながら、いたずらに速さを追及していないこと
・多くの顧客に向けて「走る楽しさ」「クルマを持つことの喜び」を訴求している点
といったところ。
日本で発売間近の新型シビックTYPE R、来年デビューする新型NSXと、スポーツカーに多くが期待する「速さ」を備えたラインナップも用意する一方で、全く逆に速さを敢えて求めず「楽しさ」と多くの人に対して「求めやすさ」を追及したのがS660というワケです。
加えて「若者のクルマ離れ」が叫ばれて久しい昨今、その「若者」を開発責任者に大抜擢した異色の開発ストーリー。
と、ここまでエポックメイキングな要素が揃えば、華のあるオープン・スポーツカーでしかも日本独自規格の軽自動車ということとも相まって、すんなりイヤーカーに選出されてもなんら不思議はありません。
と・こ・ろ・が、、、d(^_^;)
コレに強力なライバルが存在するから悩ましい(苦笑)。
ロードスターもS660と同様に、敢えて速さを求めず楽しさを追求したクルマという共通点があります。
開発責任者が旧型より遅いと明言してますしw。しかし歴史のあるロードスターはデビュー時期が前後するとはいえS660の後追いなどでは決してなく、むしろこちらの方がパイオニアです。
今回のND型は初代のNA型の持っていた価値に回帰しているとマツダは謳っていますが、そのNAロードスターがデビューした1990年前後は正に国産車のパワーウォーズ真っ盛りという時代。R32GT-Rや初代NSXが280psのパワーユニットを搭載して欧州スポーツカーと真っ向勝負を挑んだ最中です。1.6Lでたったの120psしかないNAロードスターは、当時の各社スポーツカーはおろか、セダンなどの普通のクルマwは元より、下手をしたら1.3Lターボを積んだスモール・ホットハッチにすら遅れを取りかねない程度の動力性能でした。しかしそんなロードスターが爆発的に売れて、当のマツダを含む多くの自動車メーカーが「ライトウェイト・オープン・スポーツカーの意外な需要」に気付いたという歴史があります。
結局多くのライバルが生まれ、そして消えていった中で未だに生き残ってギネスブックの記録を更新し続けるマツダ・ロードスターの真の価値とは一体なんだったのか?
NDロードスターは、この問いに対するマツダの回答であると同時に、マツダという世界的には小さな自動車メーカーが生き残っていくために必要な、自社製品が持つべきエッセンスをもっとも色濃く反映したモデルでもあります。
このクルマに対する高評価も枚挙にいとまがないくらいで、S660というライバルが存在しなければ文句無しにイヤーカーに選出されて不思議じゃありません。
というワケで、両車甲乙付けがたいこの2台のオープン・スポーツに、無理矢理でも何でも甲乙を付けねばならんから悩ましい(苦笑)。
そこでボクが何でS660を推すのか?といえば、誤解を恐れずに端的に言えば「S660が軽自動車だから」という事になります。
これには説明が必要ですね(^_^;)。
勿論「軽自動車だからS660の勝ち」などという単純な理由ではありませんょ。S660は軽自動車という枠組み(規格)の中で、スポーツカーとして妥協の無いクルマ造りがなされています。仮に800ccくらいのエンジンを載せて軽の規制に縛られない海外に出しても、全く問題ないどころか各国のジャーナリストや顧客には絶賛されるであろうと予想できるくらいのクルマの出来です。先ず軽自動車でこのレベルのクルマ造りをしたことが高評価のポイントです。次にホンダが軽に拘った理由が「より多くの人にスポーツカーを楽しんで貰うため」である点。S660が技術研究所の企画コンペから生まれた製品であることは有名な話ですが、選考過程でトップ3に残った企画が全て軽のスポーツカーであったという事が示す通りで、会社の方針でも商品戦略でもなんでもない。「軽のスポーツカーをお客様に届けたい」というのは、本田技術研究所に勤めるエンジニアたちの願いでもあったのです。しかし当然のことながら軽自動車は日本市場の独自規格ですから、このクルマは日本市場でしか手に入りません。少なくとも現時点では。
となれば、このS660というスポーツカーを評価出来るのも日本の市場のみということになります。
一方でロードスターは販売される世界の全地域で評価されることが可能です。
甲乙付け難いこの両車を天秤に掛けて、ボクが若干S660の方に傾けたいもっとも大きな理由がコレなのですが、実は一方で「ホントにそれでイイのかょ?」と後ろ髪を引っ張るもう一人の自分が居たりもします(^^;)。
なぜならS660は軽規格に拘ったが故でしょうが、オープン・スポーツカーとしては類希な個性を持ちながら、自動車に求められる実用性という面では、もう劣悪というか失格と云われても仕方がないレベルです。オーナーは自動車というよりは「ヘルメットを被らなくても良い大型二輪車」みたいな感覚で、所有というか付き合わなければならないでしょう。
この点は、S660が心底気に入って購入された方には別に致命的な欠点にならないとボクは思っているんですが、ちょっと気になるとか、興味がある程度の顧客にとっては意外に高いハードルになってしまうと考えています。
このS660の実用性の低さ(ラゲッジスペースの欠如、小物入れの少なさ、オープンにする煩雑さ)はけっしてホンダのフォルトではなく、軽規格の枠内で本格的なエンジニアリングを行ったあくまで結果でそうなったワケですが、日本市場の「より多くの人の選択肢に入るように」と軽自動車に拘りながら、結果的にそれがこうした「多くの人が気軽には手を出し難い」要素を内包してしまったというのは、もう皮肉としか言いようがありません。
その点についてはロードスターは優秀というか、極めて真っ当に出来ています。オープンスポーツカーに乗りたいと思い立った人があまり深く考えずに購入に踏み切ったとしても、自動車としての実用性という点で大きな不満を持つことは少ないでしょう。
そもそも、オープン・スポーツカーというのは嗜好品であって実用品ではありません。その観点から云えばナンセンスな論点で、ファンやオーナーにとっては「実用性をスッパリ切り捨てた割り切りの良さや拘りの強さ」は、全く逆に魅力として映る場合すらあります。
そう、ひとりの顧客として「どっちが欲しい」という命題であれば、恐らく議論にもならないような話なんですが、購入する気の無い第三者がイヤーカーとして「どっちか選べ」と思うから、S660のこの欠点をどう捉えるか?と悩むワケですょ(^^;)。
で、天秤に載ってほぼほぼ釣り合っている両車を眺めてウンウン唸った挙句、一円玉一枚wをS660の方に載せようかな?とというのがボクの選考です、、、(^^;)。
実用性の低さ?それがどーした!?(爆)
最後にCOTY2015の予想がなぜS660なのか?について。
先ずマツダが過去3年でCX-5とデミオで2回受賞していることが選考委員の方々の"心理的"な面でマイナス要因になるという点がひとつ。「またマツダ?」というのはどーなのか?なんていう余計な心理ですね。
そしてこのCOTYの受賞に際して自動車メーカーから選考委員に対して行われる接待攻勢がどうなのか?という話があります。マツダがこれに力を入れてきたという話(噂)はあまり聞きません。多少はやっていると思うんですが、、、
一方でトヨタ、日産、ホンダ辺りではデビューしたモデルの「COTY取りたい度w」によっては相当に強烈なようで(苦笑)、CR-Zで2010年受賞以来久しく遠ざかっていて、一昨年フィットで賞を取り損なっているホンダが主たる選考委員に熾烈な接待攻勢を掛ける事は想像に難くありません(爆)。投票結果は公表されますから誰がどのクルマに何点入れたかが丸判りになる以上、接待を受けちまった諸先生はホンダに嫌われたくない
(否、また接待を受けたい、かw)限りはS660に高得点を入れるでしょうから、ホンダが競り勝つ可能性が極めて高いとボクは見ました(苦笑)。
ホントはね、こんな裏の話など知らなければ無邪気(純粋)にどっちが選ばれるのかとワクワクドキドキするんでしょうけど、お○鹿な選考委員の或る自動車評論家が余計な事を暴露しちゃうもんだから仕方がない。まぁボクの中ではCOTYの権威は既に失墜しているので何が選ばれよーがどーでもイイんですが、そんな諸々も含めて何が選ばれるのかを「予想」するのは、こうしてブログネタにはなりますね(^_^;)。