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2017年08月15日

クルマの電動化とマツダの戦略

クルマの電動化とマツダの戦略 先日、マツダが発表した「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」は内容盛り沢山だったため、ボクがもっとも注目する次世代ガソリンエンジンSKYACTIV-Xの話題以外にも、色々とネタには事欠きません(^_^;)。

今日のネタは最近注目度が急上昇しつつも、マツダにはあまり関係ないw電動化の話題(^_^;)。

あまり関係ないと言い切っちゃっていますが(苦笑)、マツダは別に電動化をしないと言っているワケでもないですし、全車両を電動化するとも言っていません。どーもこの電動化に関して、内燃機関をとことん追求しているマツダがなんらか言及する度に、ヤルと言えば「内燃機関一筋じゃなかったの?」とか、ヤラないと言えば「内燃機関一本で大丈夫なのか?」みたいな、ゼロかイチかの議論しか出来ない人がヒジョーに多くて困ります(苦笑)。

実は電動化に対するマツダの取り組み姿勢、今回発表になった内容は昨年12月に藤原大明w…専務執行役員殿がインタビューに答える形でほとんど暴露wwしているので、何も新しい話題はなかったのですが、、、(^_^;)。

要すれば、

・マツダの内燃機関を極めていく姿勢は今後も微動だにしない
・しかしながら世界的な電動化の流れを背景とした各国の規制に対しては対応せざるを得ない

ということなのですが、結局のところなぜ燃費規制が厳しさを増していくのかは地球環境保護の大命題が根っこにあって、電動化は飽くまで温暖化ガス(CO2)削減の手段のひとつでしかありません。その手段を取るには技術革新やら社会インフラの整備やら、必ずしも自動車メーカーだけでは対応し切れない様々な課題があるワケですが、そういった現実を踏まえた上で、動力源を内燃機関からモーターにシフトさせることが本当に温暖化ガス削減に有効かつ現実的な手段なのか?というのが論点としてあります。

これにマツダなりの考え方と対応方針が公式に示されたワケですが、このWell to Wheel視点は別に目新しいモノでも、マツダ独自の考え方でもなく、この環境問題に自動車メーカーが取り組む際には本来は絶対に外してはならない視点です。

既に述べた通りで、本来の電動化は飽くまで手段であって目的は温暖化ガスの削減なのですが、最近世間を賑わせているニュースは良くありがちな手段が目的化しちゃっている風に見えて、ボクは結構冷めた目で見ています(^_^;)。

そんな中で示されたマツダの電動化に関する考え方、取り組み姿勢は実に「地に足が付いている」という印象が強いのですが、きっとそれはボクがマツダファンだからとか思う人も居るのでしょうね(苦笑)。

まぁそう思いたい人は勝手に思っていればイイのですが、今日、話題に取り上げたいのはこの電動化に関連した欧州の規制の話です。

昨今、欧州メーカーが相次いでPHEVを発売しているのはこの欧州規制が深く関わっている(というか原因そのものw)のですが、それに加えて最近、フランスが2040年にガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を打ち出し、イギリスもこれを後追いしました。

欧州の燃費規制は2020年以降、CO2排出量を95g/km以下にせよという厳しいモノですが、日本人に解り易い燃費性能に換算すると、現在のEUモードでガソリン車24.4km/L、ディーゼル車が27.5km/Lだそうです。これが日本のJC08モードになるとガソリン車30km/L、ディーゼル車が34km/Lくらいになるそうで、なるほど確かに厳しいですね(苦笑)。

こういった規制が敷かれることが判っているので各自動車メーカーは燃費性能の向上に必死になっているワケですが、実は欧州規制にはカラクリ(抜け道かw)があって、PHEVだとこのハードルを比較的簡単にクリアできるのです。d(^_^)

こういった規制(圧力や補助金などのインセンティブ)などは、政府(政治)が社会(国家)をある思惑に沿って動かすための手段です。日本でもエコカー減税やら補助金などでハイブリッド車が急速に普及しました。

何が言いたいかというと、こういった規制の中身が良い(好き)か悪い(嫌い)かは様々な意見があるでしょうが、一旦施行されれば世の中はそっちの方向に動く(流れる)ワケで、まぁなるようにしかならないし、なるべくしてなる、という世界です。

ボクは欧州の社会の温暖化ガス削減への非常に強いモチベーションがどこから来ているのか?がいまいち理解出来ていない(^_^;)のですが、従来のエンジン車にほとんど達成不可能なくらいのハードルを課す一方、PHEVにすれば非常に緩い燃費計算式が適用されるとなれば、メーカーは当然PHEV車のラインナップ拡充に走るのは自明の理です。

ここでマツダが言及したWell to Wheelの議論に戻るのですが、PHEV車の普及が進めば本当にCO2排出量は減るのか?という疑問がひとつd(・・)。

既に市販されている複数のPHEV車の実燃費を少し注視していたのですが、トヨタのプリウスの実燃費を上回る物は皆無に近く、良くて同レベル、悪いと燃費性能に優れたコンパクトカーの純エンジン車と大差ないくらいです。

無論、予め充電したバッテリーが枯渇しない短距離の使用のみとなれば燃料を全く燃やさない(CO2排出はゼロ)となるのですが、全く逆に予め充電をせずに普通のガソリン車のような使い方をされてしまうと、普通のハイブリッド車程度の燃費性能しか出ません。つまり購入したオーナーの使い方ひとつでどっちにも転んでしまう危うさを秘めています。

しかし、こういった規制を上手く使わなければ内燃機関から電動化車両へのシフトはなかなか進みません。純電気自動車ではないものの、モーターとバッテリーを搭載したクルマが多数、開発されれば、モーターの高効率化、バッテリーの軽量化や容量拡大、低コスト化といった技術革新が促されることになります。

つまり規制当局が短期的に温暖化ガス削減効果が限定的でも、中長期的にはEVシフトが促進されるように仕向けるために、戦略的にPHEV車に対する規制への抜け道を作ったとすれば、これは非常に理解し易い話ではあります。

ではありますが、ここで二つ目の疑問d(・・)。
PHEVは予め充電しなくても走りますが、折角なので充電する人も当然居るでしょう(笑)。そんなクルマが急速に普及したら、それに伴って増加する電力需要に対して、欧州各国の発電能力は大丈夫なんでしょうか?

そう考えれば、いきなりEVに行かずに間にPHEVをカマして、普及に伴って増える電力需要の推移を見ながら発電能力の増強を段階的に進めていく、なんてシナリオは現実的とも言えます。もしPHEVの充電による電力需要の増加が危機的状況になったら「充電禁止」の号令を掛けても消費者は困りません。これがEVだったらクルマが使えなくなるのでそーはいきませんけどね(^_^;)。

こんな風に考えるとフランスが2040年には内燃機関の販売を禁止するという政策は、そこに至る今後23年間はPHEVをカマせるシナリオとセットであるならば、なかなかに周到なプランに見えます。なぜならば、、、

こちらの図は、国際エネルギー機関(IEA)が公表している2014年のデータを下に作成した世界の発電供給量割合ですが、フランスを見て下さい。
石炭、石油による火力発電量は既に全体の1割を切っています。つまりフランスでは自動車が全てEVに切り替わればクルマが排出するCO2がそっくりそのまま無くなる一方、発電によるCO2の排出も既にわずかとなっており、電力供給量を増やすために火力発電所を増やすなんてアホなことwさえしなければ、温暖化ガスの削減を達成できます。しかも図を見ると判る通り原子力発電の比率が非常に高いですが、他国を見ると脱原子力に動く国は多いです。わが日本も震災による原発事故の教訓から稼働している原発は少なく、原子力による発電量は非常に少なくなっています。
フランスの原発推進派(笑)からすれば、温暖化ガス削減の命題をダシに使って原発の維持・推進を図るには、そう遠くない将来にクルマをEVシフトさせるという政策は実に都合が良いとも言えます(苦笑)。

他方フランスの動きに追随したイギリスですが、発電供給割合を見るとまだ6割以上を火力発電に頼っており、フランスとは事情が全く異なることが判ります。この発電供給割合を自然エネルギーなど温暖化ガスを出さない方式に変えていかなければ、早い話がEVシフトしてもCO2を排出するのが個々のクルマから発電所に変わるだけ(苦笑)で、温暖化ガスの削減はフランスのようにはいきません(^_^;)。

ってな具合にフランスとイギリスの二国を取り上げても事情は全く異なるワケですが、一律PHEV推奨/内燃機関に厳しい規制なんか敷いちゃって、欧州(メーカー)は大丈夫なんでしょうか?というのも大いに疑問(^_^;)。

ちょっと振り返っても、温暖化ガス削減の大命題で年々燃費規制を厳しくする一方、欧州はディーゼルの排ガス規制が日本や米国に比べて相対的に緩かったワケです。結果燃費性能に優れるディーゼルが大量に普及しましたが、それが引き金になったと思われるパリやロンドンなど都市部の大気汚染は深刻なようですね。

これはそういう規制によってなるようになった結果です。そりゃそーですわな(^_^;)。

逆に日本や米国は過去の公害の教訓やら、某元都知事のパフォーマンスwやらで、排ガス規制を緩める(より正確には、厳しくしていくペースを緩める)ことをしなかった結果、ガソリンハイブリッドやら、本当にクリーンなwディーゼルの登場といった技術革新を促しました。

欧州の厳しい燃費規制+PHEVの抜け道w、という政策にディーゼル普及と大気汚染みたいな、同じような轍を踏んでしまうようなアラは果たして無いのか?なーんて思っておるワケです。今度は大丈夫なんでしょうね?とねd(^_^;)。

そして欧州メーカーは当然、足元の欧州域の市場に向けてPHEVの普及に励むワケですが、世界は欧州だけではありません(笑)。上図を見れば発電の大半を火力に頼っている国も多く、自動車の普及自体が拡大中の国もあります。PHEVやEVに注力するのも結構ですが、そういった国で内燃機関のクルマの普及がもし急拡大したときに、純内燃機関の燃費性能が劣っていたら、温暖化ガス削減には貢献できませんよ(苦笑)。

つまり、温暖化ガス削減という命題に対して、欧州や先進国だけ見ていては判断を間違うんじゃないの?とか思ったりもするワケですね。大体、各国の発電事情なんて自動車メーカーがどうこう出来る話じゃありませんし。

こんな風に視野を広げてみると、
・マツダが内燃機関の効率改善を最優先
・電動化技術の導入を段階的かつ適切な方法で
というのが、イチ自動車メーカーが取り得る、取るべき施策として、実に地に足が付いているように見えるのです。
ブログ一覧 | SKYACTIV | 日記
Posted at 2017/08/15 18:57:04

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