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2021年07月27日

東海道本線 旧揖斐川橋梁と周辺の煉瓦アーチ群

2021年7月22日木曜日、岐阜県大垣市と安八郡安八町の境界を流れる揖斐川に架かる東海道本線旧揖斐川橋梁と周辺の煉瓦アーチ群を巡ってきました。

旧揖斐川橋梁は、明治20年(1887年)に供用を開始され、明治41年(1908年)に東海道本線の複線化のために二代目の橋梁へと切り替えられたことにより、鉄道としての供用は廃止されました。その後は、道路橋として利用されて現在に至っています。

名神高速安八スマートICから揖斐川の堤防道路を走り、現地へとやって来ました。


まずは、旧揖斐川橋梁の穂積駅側の橋台を覗きます。


この橋台の特徴は、橋台下部にあるアーチ環の内側の煉瓦の積み方がフランス積みであることと、焼過煉瓦と赤煉瓦の2色を使用したポリクロミー(建築などに施された多色彩色装飾の意。)であることです。


河原から見上げた旧揖斐川橋梁。以前に訪れた時はクリーム色に塗装されていましたが、現在は鳶色に塗装されています。 これは往時の塗色を復元したものだそうです。


旧揖斐川橋梁を渡る前に、さらに上流に架かる樽見鉄道の揖斐川橋梁も見物します。この橋梁で使用されているトラスは、静岡県のJR御殿場線(丹那トンネル開通以前の旧東海道本線。)に設置されていたものを転用したものです。


一旦、旧揖斐川橋梁の下へと戻り、ここからすぐ間近にある旧橋梁の橋脚へ向けて薮漕ぎをします。


深い草むらと茨の棘に悩まされながらも橋脚の近くへとやってやって来ました。


橋台と同じように橋脚の下部にもアーチ環がありますが、アーチの内部は一般的なイギリス積みで、ポリクロミーも施されていません。


次の橋脚へと向かおうかと思いましたが、更なる薮の深さにこれ以上進むのは諦めました。


旧揖斐川橋梁の正面に来ました。この橋梁は国の重要文化財に指定されていますが、東海道本線開通当時の長大橋梁が設置位置も変わることなく残っていることが理由の一つだそうです。


鉄道の場合、前述の樽見鉄道揖斐川橋梁のように、最初の設置場所で鉄道としての供用が廃止されると、他の路線へ転用して活用するのがよくあるパターンですから、旧揖斐川橋梁は珍しい例と言えます。

全景も撮っておきます。


それでは全長325.1mの橋を渡っていきます。隣の現揖斐川橋梁と見比べると、橋梁内側は明らかに狭い規格です。


トラスに取り付けられている銘板。イギリスのパテント・シャフト・アンド・アクスルトゥリー社により1886年(明治19年)に製造されたことを示しています。


先ほど訪れていた橋脚の真上に来ました。眺めると私が付けた踏み跡がはっきり見えます。往復したルートを白線で印しました。


橋梁の各部構造材をピンで留めています。


すぐ下流に架橋されている現在の東海道本線揖斐川橋梁。揖斐川橋梁としては三代目となり、1961年(昭和36年)に供用開始されました。


大垣駅側へと渡り切りました。


旧揖斐川橋梁の延長線上から大垣駅方面を眺めています。ここからは、築堤沿いに煉瓦アーチ群を巡っていきます。


揖斐川の主流のほとりに立つ橋脚。


旧揖斐川橋梁の橋脚は、煉瓦造円形井筒2つを上部でつなげたタイプですが、写真の橋脚が一番その特徴を見ることができるものなので、本当はここまでたどり着きたかったですが、やはり冬じゃないと無理でしたね。

それでは築堤にある煉瓦アーチの1か所目、宮東橋梁です。こちら側は線路の北側で、築堤のうち、開通当初から存在している部分のはずです。


宮東橋梁は、明治25年(1892年)に鉄道庁が発行した「鉄道線路各種建造物明細録第一編」では1連の煉瓦アーチと記されていますが、現在は水路用と人道用が並列した2連アーチとなっています。

こちらは水路用。


こちらは人道用。中央付近には支保工が設置されています。


現在の揖斐川橋梁へと架け替えられた際に増築された築堤部分は、コンクリート製のボックスカルバートになっています。


築堤の南側へと出てきました。人道用・水路用ともにボックスカルバートになっています。


橋梁名の銘板。


次は、喜内前橋梁。「鉄道線路各種建造物明細録第一編」には1連の煉瓦アーチと記されていて、変更はないようです。




こちらも内部がボックスカルバートから煉瓦アーチへと変化しています。




そして、中央部分は支保工で補強されています。


北側へと出てきました。


3か所目は無名の煉瓦アーチ。グレーチング蓋をかぶせられているので、わかりにくいですね。




4か所目。ここの煉瓦アーチ群では著名と言える甲大門西橋梁です。「鉄道線路各種建造物明細録第一編」には木桁橋梁と記されています。


なぜ著名なのかというと「ねじりまんぽ」だからです。「ねじりまんぽ」になっているのは、煉瓦アーチが築堤に対して直角ではなく斜めに設置されているから。






煉瓦積みのねじり具合はきつめと言えますかね。




南側へと出てきました。この橋梁からは揖斐川橋梁の架け替えによる築堤の増築の影響を受けていないため、両面とも煉瓦積みのままです。




5か所目は乙大門西橋梁です。同じ名称を使う場合は、識別のために頭に甲・乙と順番に付けています(現在なら第一・第二でしょうか。)。


この煉瓦アーチは内高が低いです。


制限高1.6mとあり、私の目線に合わせて写真を撮るとこんな感じになります。


「ねじりまんぽ」である甲大門西橋梁から近い場所にありますが、ここは築堤に対して直角に設置されているので、煉瓦アーチは普通の積み方になっています。


築堤の南側へと出てきました。甲大門橋梁と同じく、スパンドレルが赤煉瓦で、アーチ環が焼過煉瓦で積まれていて、アーチ環が強調されています。




ちなみに、乙大門西橋梁も「鉄道線路各種建造物明細録第一編」には木桁橋梁と記載されていますが、どのタイミングで木桁橋梁から煉瓦アーチへと改築されたのかは不明です。

可能性として、一つ目は明治24年(1891年)の濃尾地震による震災からの復旧工事、二つ目は東海道本線の複線化工事が考えられるでしょう。

乙大門西橋梁から揖斐川橋梁を眺めています。揖斐川橋梁の架け替えにより、築堤を右側へ増築したことがよくわかります。


ついでなので、乙大門西橋梁からすぐ近くにある樽見鉄道東大垣駅へ来ました。




かつては石灰石列車を運行していた名残りで、列車行き違いのためにホーム長よりも長く線路有効長が取られています。


旧揖斐川橋梁まで戻ってきました。この煉瓦造橋台は、二代目揖斐川橋梁のものです。明治41年(1908年)に供用開始され、昭和36年(1961年)に三代目の揖斐川橋梁が供用開始されたことにより廃止されました。


さて、旧揖斐川橋梁から穂積駅側へ向かうと、2つ目の鉄橋である犀川橋梁までの間に4か所の煉瓦アーチがあります。最後にそのうちの2か所を見物します。

甲中吹橋梁。ここも「ねじりまんぽ」の煉瓦アーチになります。こちらは築堤の南側になります。




この橋梁は甲大門西橋梁よりも大きな煉瓦アーチなので、ねじり具合はやや緩やかに見えます。








北側になります。


最後は乙中吹橋梁。南側は揖斐川橋梁の架け替えによる築堤の増築の影響で、ボックスカルバートで延長されています。






内部の煉瓦アーチは一般的な積み方です。


北側へと出てきました。ここは高さ制限を超える車両が突っ込んでこないように、両方の出入口とも鉄骨で強固にガードされています。


まあ、軽トラなら全然問題ないでしょうが、乗用車やワゴン車でも突っ込む人は突っ込んできますからねぇ。

今回は訪問は以上となります。


この辺りの煉瓦アーチ群は、6~7年前に西岐阜駅から大垣駅までの間を何回かに分けて歩いてチェック済みですが、ガラケーで撮った写真なので、今回はちゃんとしたカメラで撮り直して回った次第です。

同区間でまだ撮り直していない煉瓦アーチがあと13か所ありますが、もし行くのであれば冬になってからですかね。草ぼうぼうの場所が多いですから。
ブログ一覧 | 東海道本線 鉄道・廃線跡 | 日記
Posted at 2021/07/27 21:42:29

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