以前から気になっていた「内圧コントロールバルブ」を2台とも入れてみました。
名前は大袈裟ですが、ただのワンウェイバルブです。
ワンウェイ、つまり一方向にしか中身を通さないバルブです。
ピストンの上で爆発した燃焼ガスがピストンリングとシリンダー内側のライナーとの隙間を通過してクランクケース内に漏れてしまうそうなんですが、
つまりクランクケース内には有害なガスが充満してしまいます。
ブローバイガスです。
エンジンのクランクケースの上側のシリンダーではピストンが上下しますが、
ピストンが上がるとクランクケース内の気圧が下がり、
ピストンが下がると中の空気が圧縮されて内圧が上がります。
クランクケース内の圧力が高くなりすぎると、
高まった圧力でピストンが下がる邪魔をし、吹け上りが悪くなるんだそうです。
昔は有害ガスなんてお構いなしで大気に放出していましたが、今はそういう時代では無いので、クランクケースからエアクリーナーにホースを繋いで、クランクケース内の圧力が高まった時の勢いで、内部のガスがエアクリーナーに送られ、
インジェクターから送られる燃料と一緒に、再度燃焼されるようにします。
が、先ほど書いたように、クランクケース内はピストンの上昇時に圧力の下がった(負圧)状態になるため、一旦エアクリーナーに送ったはずの有害ガスが負圧のせいでクランクケース内に戻ってしまい、またピストンの動きを妨げるんだそうです。
それは同時に、エンジンブレーキの効きも高めるそうです。
ノーマルのエンジンはそういう状態が常です。
そこで登場するのがワンウェイバルブで、
それをクランクケース内の内圧の上昇を防ぐために使うと、「内圧コントロールバルブ」と呼ばれます。
私は昔に首を傷めたことで、最近は右肩から肘に掛けて神経痛が出るようになりました。
エンジンブレーキが効いて身体がカクンと前に動いてしまう事で、神経痛の痛みが増し、バイクに乗ることが苦痛に感じた時がありました。
さっきも書きましたが、内圧の上昇はエンジンブレーキの効きの強さでもあります。
つまり内圧コントロールバルブを組み込むことでエンジンブレーキの効きを弱める事が出来るということなので、それは私には必要かも、と思い導入してみました。
実際に組み込んでみて、明らかにエンジンブレーキの効きに影響が出ました。
先ず、エンブレの効き始めの、カクンと車体が動く動作が、マイルドになります。
例えばノーマル状態ではエンブレで肩の位置が前方向に1秒掛かって3cm動くとしたら、
バルブを組み込むことで1.5秒掛かって2cm移動する、という印象です。
カクンとではなく、スッっと移動する感じで、身体がとても楽です。
それと同時にエンジンブレーキの効き自体が弱まり、やはり身体への負担が減りました。
このおかげで、ちょっとしたアクセルオンオフによる車体のピッチングが減少し、一般道での操作性が非常にスムーズになりました。
これがサーキットでの単独走行なら、積極的にピッチングを使って重心移動してバイクをコントロールするのに良いかもしれませんが。
そして吹け上りですが、明らかに気持ちよくスムーズに回転上昇します。
更にエンジンの振動が、例えばドンドンドンだったものが、プルプルプルに変わり、ハンドルに伝わる振動が細かくなります。
音も非常に静かになります。
静かになって、内圧コントロールバルブ内の、ガスを一方通行にするための蓋が動いている音が聞こえます。
サスペンションもバイクを別物に変えましたが、このバルブも大きく雰囲気を変えました。
しかも私にとって良い方向に。
欠点は、クランクケースから排出されるブローバイガスに含まれるオイルが、バルブ内に溜まり、いずれバルブ内のガスを戻らなくするための蓋の開け閉めが渋くなったり、
氷点下になった時にオイルが固まってしまい、ガスがエアクリーナーに流れなくなるとクランクケース内の内圧が上昇し続け、クランクケースとカバーの隙間を埋めるガスケットが有害ガスで傷み、そこからガスが漏れるという本末転倒な状況になるかもしれないそうです。
そういう寒冷地を走る方の中には、電熱線でバルブを温める工夫をしている方もいるそうです。
私は常に屋根付きの2階のガレージに置いているので、普段はオイルが凍結する可能性は無いですが、氷点下になるような時期にツーリングに行って、氷点下の状態に長くバイクを置いておくなどする場合は気を付けないといけないかもしれません。
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内圧コントロールバルブ | 日記
Posted at
2023/01/10 02:58:29