アイドリングでは、バッテリーは充電されない？（後編）

続きです。

（４）アイドリングでは充電されない・・・は、昔の自転車のハブダイナモをイメージしているから？

昔のスーパーカー自転車だとライトが4灯とか6灯式とかだったりするんで、一生懸命漕がないとライトが暗かったですが、このイメージを引きずっている年輩の方が多いように思います。
オルタはダイナモ（＝直流発電機、発電量は回転数にのみ依存）と違って、フィールド電流を制御することで発電量を調整できます（もちろん最大量は回転数に依存しますが）

40年近く前の86年式のデボネアVの定格90Aタイプでも、修理書を見るとオルタ回転数はエンジンのアイドル回転数700～750回転✕1.6倍＝1,120～1,200回転で、この時点でmin25Aは出せます（温感時）
アイドリングだけなら消費は10Aもいかないので、余裕で充電できます（A/Cをつけていてもmax20Aぐらいで、それでも普通に充電できるように設計されています）


（５）ネットは嘘だらけ？

例えば知恵袋で、「ディーラーのサービスマンから2〜3日に一度15分程度アイドリングするとバッテリーは大丈夫と言われたが、ネットで調べるとアイドリングで充電するなら1時間は必要となっている。15分のアイドリングで本当に充電できるか？」との質問に対し、大半は厳しいとの意見で、「15分程度の充電量はほんの少し。スマホのような小さなバッテリーでも、15分の充電で何%進むかを考えれば（車の大きなバッテリーならもっと掛かると）容易に想像できるはず」などと、全く的を得ない素人回答がBAになっていました。

仮に2.5日放置した場合、暗電流は0.24～0.72Ah✕2.5＝0.6～1.8Ah、スターターでの消費が（温感時の4倍としても）0.08Ahで、合計0.68～1.88Ah。
バッテリーの充電状態とか充電制御とかもあるので一概に言えないにしても、15分のアイドリングで平均4Aで充電するとしたら、1Ahが充電されるので、ディーラーのサービスマンの話は、まあ大筋で合っていると言えるでしょう。

サービスマンも様々ですが、彼らの話の方が、誰が言ったかわからないネットの情報よりも信頼できるのは当たり前ですよね・・・


ちなみに、（４）で書いた通り、オルタが正常な限りアイドリングで発電量が足りないことはないので、
アイドリングでも走行中でも、充電電流は全く同じです（非充電制御車の場合）


カーメディアあるいは業者系のサイトにも、「アイドリングではダメで、走行してエンジン回転を上げると早く充電できる」といった嘘が平気で書かれています。
基本的に、外注ライターが安くで請け負ってコタツ記事（コピペ）を書くので、コピー元が間違っていると、ネット上に誤りが蔓延するという状況です（もっとも、自動車評論家でも解っていない人が結構いるようですが・・・）
なので、官公庁や業界団体、あとはマトモな企業のHP以外は当てにならない内容が多いです。

だから、それらを鵜呑みにして「アイドリングでは不十分、走らないと十分には充電されない」なんて吹聴すると、（詳しい人からは）知ったかさんとか半可通などと笑われますからご注意を。