アーシングが流行ったのは、2000年代の始め頃だったと思います。
当時の自分はいわゆるメカ音痴でした(例えば、DOHCやマルチリンクの構造がどうとかいう類の蘊蓄はあったが、実際に車いじりとなると、せいぜいオイルやタイヤの交換、オーディオの取付ぐらいだった)
ただ、車いじりに興味が出てきた頃で、オートメカニックという雑誌を読んで参考にしていたのですが(※1)、当然のようにアーシングについてもしばしば特集していて、「アーシングの秘密は(確か0.02V程度の)電位差にある」とかもっともらしい記事を載せていたので、当然自分もやってみた訳です。
で、とりあえずは基本であるバッテリーとボディを繋ぐアースケーブルを1本設置して試走したところ、「まずエンジンの掛かりが良くなったし、アクセルレスポンスもパワーも上がった。おまけにオーディオの音も澄んで聞こえる」と言う具合に、思っていた以上に良かったので、更に効果があると書かれていた箇所に軒並みアーシングをして「お~、もっと良くなったぞ!」と満足して、しばらくその状態で乗っていました(※2)
ですが、車検に出す前に(配線だらけで少しみっともなかったので)一旦外したところ、何の変化も感じられず???
・・・それ以来、この手のオカルトチューニングに手を出すことは二度となくなりました(笑)
さて、今回はその時のリベンジ(?)ということで、ちょっと大げさな表題ですが、アーシングについて真面目に考察しようと思います。
(1)アーシングの概念
アーシングについてネットで調べると、以下のような答えが出てきます。
まずは検索トップで出てきた、CAR NALISM(カーナリズム)のページから
「アーシングとは、車で電気を使う部分にスムーズに電気を流すために、バッテリーのマイナス極から各部に電気抵抗の低い線を繋げる事を言います。ライトやプラグなどに流れた電気は消費された後、車体を通してバッテリーに戻るのですが、マイナス極側にアーシングケーブルを追加して、直接バッテリーに戻す方法がアーシングと言われるものになります(中略)元々はレーシングカーなどレースに勝つために活用されていたアーシングですが、現在は一般の新車にも取り付けられています。」(※3)
次はRIZOIL(ライズオイル)のページから
「アーシングとは電気の流れを手助けするためにバッテリーのマイナスに各部から線をつなぐことです。バイクや車の発電された電気はバッテリーに行きバッテリーのプラス端子から各部所に流れていきます。流れた電気はライトやプラグなど電気を消費して、マイナス端子へ戻ってきます。消費された電気が戻るときバイクや車のボディを通って帰ってきています。」
ご丁寧に、図解で電気の流れまで説明されています(下図)
割と有名どころのメディアで言うと、カーネクストが運営するCAR ME(カーミー)から
「アーシングとは、自動車の電気系統にあるマイナス極への抵抗を軽減させて、電気の流れをスムーズにする方法です。もう少し詳しく説明すると、バッテリーから出てくる電気をボディを通して戻すのではなく、アーシング線を追加して直接バッテリーに電気を戻す方法です。」
お次は、更に有名なグーグルが運営するRESPONSE(レスポンス)から
「通常クルマはボディ1~2カ所から、バッテリーのマイナス端子にケーブルが接続されている。電装品やエンジンなど、各パーツはボディにアースケーブルをつなげている。いわばボディ自体が大きなアースケーブルになっていて、最終的にボディからまたバッテリーにアースケーブルでまた電気を戻しているわけである。チューニングのアーシングは、このボディを介して戻している電気を直接戻そうというもの。エンジンから直接バッテリーにケーブルを引いたり、ボディの違う場所からもバッテリーに直接ケーブルを引くのだ。」
ちなみに、こちらだけ記名記事になっていましたが、書いたのは自動車雑誌編集部出身という自動車ジャーナリストでした。
以上の全てに共通しているのは、「電源であるバッテリーに電気を戻す」というものですが、一見すると正論に思えますが、先のライズオイルが掲載していた下の図を見て、どこかおかしいと思いませんか?
(続く)
注釈
※1
この雑誌が今思えば「ダメなお手本」の典型で、オカルトパーツの広告を載せるだけでなくPR記事も書いていたり、肝心の車いじりも、例えば「ブレーキパッドが鳴かないようにグリスを塗りまくれ」みたいに書かれていたりと、我流整備が多いダメメカニック本でした。
※2
当時は形から入るタイプだったので、わざわざこの為だけにロブスターの圧着工具を買って配線を加工して取り付けたため、その分の期待効果が入ってしまったのだと思う。
※3
ちなみに、この続きを読んでいくと「一般的な電気はプラスとマイナスを接続して電気を流すのですが、車の場合は各部からのケーブルをプラスとマイナスの両方に接続するのでケーブルが2本必要となります。コストが掛かる事や断線の可能性も出てきます。そこで、電気を通す事ができる車体の金属をマイナス端子代わりとし、バッテリーのマイナス端子と電子機器の間で中継します。家電にも漏電防止などのためアースケーブルが備えられていますが、繋げていなくても家電製品は稼働します。しかし、車の電子機器の場合はアースケーブルがなければ作動しません。その為、車のボディがマイナス端子の代わりになります。」と書いてありました。
思わず読み返しちゃいましたが、さすがに直流と交流の区別が曖昧な人がアーシングの記事をまとめちゃマズイでしょ(だいいちアースの役目は漏電防止じゃないので、それ以前にまとめ能力にも疑問が・・・AIの方がマシ?)
というより、こういう中身のないページがトップで出てくる検索サイトって一体何なの??
Posted at 2024/05/02 19:17:18 |
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