みっどじゃむさんの愛機アルトFを試乗させてもらうことになりましたので、その感想を書いていこうと思います。
2WD 5AGS車 Fというグレードは、アルトの中でも、もっとも廉価なモデルで、非常に安いというのに、スズキが今、一押しで搭載しているミッション、AGSを搭載しているモデル。
AGSに関しては、下記リンクを参照。
auto gear shift
オートギアシフトの頭文字を並べたもので、簡単に言えば、5速MTのクラッチ操作を、電動油圧アクチュエーターで制御し、2ペダルで、シフト操作はATのままでありながら、MTのようなダイレクト感があるミッション。
何がすごいか。というと、ATのミッションありきで作ったのでなく、MTミッションをベースに作ったこと。
さて、みっどじゃむさんのアルトFをさくっと分析してみましょう。
基本的に、ノーマルのまま…。
ホイール交換(NA8ロードスター純正6J)、タイヤ交換(ピレリP1、155/65R14)
運転席シート交換(EK9純正レカロ)+シートレール
オーディオみっどスペシャル
アライメント再計測…等々
…詳細は、
ここを見てください(丸投げ)
まず、外観。
真っ赤な外見(ピュアレッドZUZ)が、とても綺麗で、いい意味でアクの強いフロントマスクが、攻撃的な印象を受けます。
Cピラーのラインは、最近のスズキのクルマ(イグニス)にも踏襲されているので、その原型になったモデルとも言える。
オーナーのみっどさん曰く、プラットフォームは、同じらしいです。
車重は、最近の軽にしては、恐ろしく軽量な620kg(2WD・5AGSモデル)
新規格の中でも、トップクラスの軽さです。
しかし、ボディ剛性は、すばらしいモノがあります。
その最たるものがドアの開け閉め。
ヴィヴィオも、その当時、剛性の高いボディと言われてましたが…、ばぁん!って締まりますが…。
バンッ。と重い音がするのです。
それだけ、大きな開口部であるドア部分にもきっちり補強が入っていて、ボディ剛性が高い。と言えます。
乗り降りに関して…。
身長170cmの私ですが…。
交換してある運転席は、ポジションが下がっているとは言え、乗り降りにつらみはないです。
純正シートの助手席は、非常にスムーズな乗り降りとなります。すっと腰掛ける感じで座れる。
適度な高さに硬さの純正シートと思います。
5ドアモデルだったのに、リアシートのインプレッションするのを忘れたのは痛恨の極み…。
-ロードインプレッション
コースは、道の駅手作り村作手からの豊川方面へ抜ける国道301号線の峠道。
エンジンパワー、トルク、ハンドリング、ブレーキと総合的に見るには、ちょうどいいところと思います。
まずは、エンジン。
新開発のR06A型自然吸気エンジン。
DOHC12バルブ、給排気VVT付きです。
驚くのは、自然吸気でありながら、アイドリングから3000rpmまでの実用域のトルクの大きさ。
もちろん、ノイジーなエンジンサウンドは押さえ込まれていて、スムーズな加速でありながら、かなり静かです。
38<52PS>/6,500rpm、63<6.4kg・m>/4,000rpmの数字的には、平凡な数字であるが、体感トルクとしては、より大きく感じます。
そして、回していくとVVTが効いて音が変わるポイントがあり、ぐわぁぁぁーっと盛り上がってくる感触も、乗り手にやる気を与えてくれます。
次は、新開発のAGS
シフトノブを見るだけでは、ただのATです。
極普通です。
シフトボタンをおして操作をする、極ありふれたATのシフトノブです。
MTをベースに作っているものの、ATに近い作りにしてあるので、クリープ現象が起こります。
なので、乗ってると、ただのATと思えるぐらい自然な制御です。
Dレンジに入れて、普通に加速させてみます。
インパネのスピードメーターの右側に、Dの時でもシフトポジション(~速)が表示されます。
1速でアクセルを開ける、一定の回転数で、2速にオートシフトアップ。
クラッチが切れ、シフトを上げて、クラッチをつなぐ。という操作をアクチュエーターがしてるのを感じます。
クラッチが切れて、シフトを上げるとき、アクセル踏みっぱなしでもエンジンが吹け上がらないように、エンジン回転を抑えます(きっと電スロが閉じてると思います)その時、一瞬エンジンブレーキがかかると言うか、加速Gがぱったりと途切れ、またドンッとクラッチをつなぐフィーリングがします。
自然なフィールを出すには、多少の慣れ…、ギアが変わる時に、一瞬アクセルを抜いて駆動を消すと、変速ショックがなくなります。
次にマニュアルモード。
マニュアルモードへは、Dレンジから左へスライドさせて、マニュアルモードへ。
今までのマニュアルモード付きAT/CVTは、シフトアップが奥へ、シフトダウンが手前という違和感の残る操作ですが、このAGSは、シフトアップ手前、シフトダウン奥の自然な感触です。
<スズキ
走行、環境性能解説ページより画像使用>
シフトアップは、Dレンジのシフトフィールと変わりません。
そして、マニュアルモードは、このシフトダウンこそに最高の価値があると思います。
まず、シフトダウン操作をする→ブリッピングして回転を合わせてギアを落とす。
シフトアップと同じでクラッチ操作をしてるはずなのに、それはもう速く、なめらか。
シフトアップの時と違い、変速ショックがありません。
峠の下りを走らせたので、前走者との距離感を保つのに、エンジンブレーキを多用しましたが、車間に合わせ、シフト操作をしてエンジンブレーキを使う。
これが実に気持ちいい。
ふぉん!と吹け上がり、ギアが繋がる。
ドライブしていて、実に楽しい!
足回り/ブレーキ/ボディなど
やはり、なんと言っても軽い。
動きが実に軽快。アライメントの見直し、純正タイヤからタイヤを交換していることも相まっているとは思いますが、それを含めても、スイスイ走れる。
ロールの発生も、収まりもよく、いつまでもふわふわした柔らかいものでなく、しなやかながらも引き締まっていて、ノーマル車高のままでも、気持ちよく峠を走れます。
ボディの剛性感もとても高い。ショックがしっかり路面を捉え、いなすためには、しっかり受け止められるボディが必要なのですが、軽いというのに、ボディが軋まない。
減速帯を踏みながら、細かいピッチングが入る状態でのブレーキも実に安定している。
軽く、そして強いボディを作る。
削れるところは、徹底的に軽くしてる。
あとで分かるのですが、フェンダーが鉄板ではなく、樹脂製になっている。
他にも軽量化できる素材に置き換えられているところや、シャシに高張力鋼板や超高張力鋼板を使用し、強度が高く、軽い素材に置き換えられている。
ブレーキのタッチに関しては、初期タッチが強すぎず、踏み込んで行くと効く、ごく自然な感触。
他社では、初期制動が強いものがあるか、アルトの柔らかいタッチは、ドライバーだけでなく、同乗者にも優しいものです。
電子デバイス類に関して…。
ABS、トラクションコントロールシステム、横滑り防止装置まで搭載されていて、Dレンジで走行する際は、エコドライブインジゲータまで付くという…。
最近の軽自動車のハイテクっぷりには驚かされます。
…もちろん、公道を走行しただけなので、デバイス類が制御入るところまでの操作はできてないので、評価できませんが…。
いざという時に介入してくるデバイス類が装備されていることで、乗り手には安心感があるのではないでしょうか…?
ドライビングポジション等
運転席に収まった時、目に見えるものの質感が非常にいいと感じました。
色の組み合わせに関しては、好みがあるかもしれませんが、私には、とても明るく映り、ユニセックスな感触を受けました。
男性でも、女性でも、違和感なく、爽やかな印象を受ける。
インパネ周りは、黒やグレーという固定観念もありがちですが、色合いを変えるというものも新鮮で良いものです。
明るい色を使うと、フロントウインドへの映り込みも考えられますが…。
その心配もなく、視界は良好。
メーターは、大型のスピードメーターに、シフトポジション表示、距離計、燃料計。
黒い部分に各警告灯類が配置されていて、非常に見やすい。
AGS搭載モデルであるので、タコメーターがあれば良かったかな。と悔やまれるが、なかなか専用メーターを付ける。ともいかなかったのかも知れません。
アイポイントの高さがほどよく、ボンネット先端の見切りも良く、乗りやすいようにうまくまとめてあると思います。
後方視界も、意外と悪くないのですよね。
乗ってて、すごく普通。
助手席後方もよく見える。
-総合的な感想
普段から、古いヴィヴィオにしか乗ってなかったのではありますが…。
近年の軽自動車の質感の高さに感動します。
走る、止まる、曲がる。の基本的な部分の性能は、普通車にも遜色ないのではないでしょうか…。
確かに、エンジンパワーは、知れたものです。
しかし、小さいパワーをいかに無駄なく出力し、そして路面に伝えるには、どうしたらいいのか。を、丁寧に考え、突き詰めていっていると思うのです。
あとは、安かろう、悪かろうの妥協感があまり感じられない。
エンジンのVVTしかり、AGSしかり、電子デバイス類しかり…。
実際に走らせてみると、実に楽しい。
ワクワクする。新しいメカニズムに触れるわくわく感もありますが…。
純粋に車を走らせる楽しさが、アルトにはある。
今、マニュアルに乗る。なワークスを否定はしないが、乗り出し100万掛からないこの基本中の基本グレード、アルトFのFF、5AGSモデルで、目一杯遊ぶのもいいカーライフであると感じました。
ちょっとだけ本音。
個人的には、このクルマ、本当に面白いと思った。
AGSが悪評で、アルトは、MTがいい。と言う人ほど、これに乗ってないのかな?とも思った。
面白くないのは、面白くないところを探しているから。
まぁ、評論するのであれば、いいところ、悪いところ、全てを見なければならない。
しかし、酷評するのであれば、なぜだめなのか、どうなればいいのかも書けばいい。
ダメだと言うだけの評論は、評論じゃない。ただの悪口だ。
そんなことしか書けないようでは、評論とは言えない。