911の事を調べ始めて見ると、とてもユニークなクルマだった。
まず誕生年が私のそれとほぼ同じ、親近感が湧くと同時に歴史があり世界中で愛されているクルマだという事を知る。
モノを溜め込む性格からハムスター症候群と命名されてしまう
大戦中のティーガー戦車にも繋がりを見出せてオタク心は興味深々。
時代の趨勢に合わせて弛まなく進化を続けている懐の深さ。
また車体の構成そのものに大いなる矛盾を抱えつつ知恵と技術でそれを跳ね返して来たという正にロマンを感じさせる技術陣の熱き魂にしびれる。
かなり古い写真ですがサブフレームがあのメッサーシュミットのエンジンマウントと同じような作り
彼等の几帳面さは変わらないようす
古くから空力も考えられている、993の方が964よりリフトが強いとは意外だった。現代はコンパクトカーも空力を設計要素に加えてきている。
僕もこの本から俄然興味が湧いてきた。
量産ポルシェはキャンバーが寝ていない、実車の特徴が数値でも確認出来る
初めに心を奪われたのは993ターボ。
その後ろ姿に心を乱された。
しかし実用車としての機能も必要な私の生活スタイルに空冷は如何にもそぐわない、クルマが可哀そう。当時既にコレクター車の領域に入っていた993は候補から外れた。クルマのありがたさに人間が追いついていない。
しかし、996はどうにもしまらない。月並みだがヘッドライトもテールライトもピンとこない。販売台数を強く意識し何となく乗用車っぽい方を向いているように感じる。IMシャフトの事も気になった。
996の涙目。 カレラ4だけは良いなと思った4Sだったらばなお良し
このバンパーダクトが好きで真似っこバンパーがレガシィ用に売られてたので気を引かれた事を思い出した
997後期 堪らない後ろ姿・・・なんと愛らしい。
IMS問題も解決した997後期しかないかもと思い始めていた頃。
例の友人を誘ってポルシェセンターに出かけて行った。
そこの次長が大変丁寧な対応をしてくれる方で、乗ってみない事には始まらないと言う。出たばかりの991Sがあったのでお借りして試してみた。
高速も走ってみよと言われ少し回してみると。
991S お借りしたのは濃紺・・・ふふふ
加速もいい!姿勢も常にフラットで剛性感も文句なし。ブレーキもRRのおかげかグンと後ろから沈みこむように姿勢を崩さずに止まる。内装も評判程はチープさを感じない、というか冷たい静粛感が心地いい。
色々やって試してみたら、ほんとによく出来ているクルマで文句のつけようがなかった。
だけど。 だけどそれだけだった・・・・。
あまりにも出来が良すぎて、ワクワク感がない。
やる気も起きない。
あれほど毎日考えてきたクルマだぞ、何とか言え~と内なる心に問いかけるも全く反応なし、、、伝わって来るものが、、、えーっと、、、、、ない。
ロマンがない。
正直にその気持ちを伝えると、その気持ちはよく判ると言われた。
あなたの思っているようなロマンを希求するのなら旧車の方向を見ないと答えは見つからないだろうとも。
なんてこった・・・・。
決定打だと期待していただけにショックは大きい。
振り出しに戻ってしまった。
あと20年して電気のクルマだらけになった頃に993を探しに来る事を心の中で誓って、そこを後にした。
あんな素晴らしいクルマを前にして何も感じられない。
そもそも僕のロマンとは何なんのか解らなくなってきた、、、。
お前は自分の心の声が聞こえないのか? ご、ごめんなさいっ。
そうしてまた漂流が始まった。
つづく。
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2019/12/28 22:43:55