アライメント調整後に行うヨーレートセンサー & G センサー 0点取得の手順
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“注 意 :
VSC 装着車はシステムを正常機能させるため、アライメント調整およびサスペンション、足廻り部品の脱着・交換作業を行った場合、必ず初期化作業としてヨーレートセンサー & G センサーの0点取得を行う。 ” (写真の赤枠)
※ HYBRID 車の場合
“電子制御ブレーキシステム装着車はシステムを正常機能させるため、アライメント調整およびサスペンション、足廻り部品の脱着・交換作業を行った場合、必ず初期化作業としてヨーレートセンサ & G センサの 0点取得を行う。 ”
…と、ハイブリッド車の場合はブレーキシステムが異なるため文言が異なるのですが同じ作業を行う必要があります。
ということで、この整備手帳はヨーレートセンサー & G センサー 0点取得を実施する整備手帳です。
ヨーレートとは傾きのこと…ですよね?
G センサーは加速度センサー…でいいのかな?
アライメント調整を行った場合、エアバッグ、VSC & TRC がうまく動かない場合に作業が必要になります…って、アライメント以外ではほぼほぼディーラーでの作業になりますよね。(^^ゞ
また具体的には以下のような場合にも必ず行う必要があります。
【実施が必要な場合】
・スキッドコントロールコンピュータ (ブレーキアクチュエーター ASSY) または ヨーレートセンサーおよび G センサー (エアバッグセンサー ASSY) の交換を行った場合は、ヨーレートセンサー & G センサー 0点取得を行う。
・トランスアクスル CVT 車で、ヨーレートセンサーおよび G センサー (エアバッグセンサー ASSY) の交換を行った場合は、CVT システムの AT / CVT 学習値初期化を行い、G センサー 0点学習および CVT 油圧学習の両方を必ず行う。
・4WD 車 (=NZE184H) で、ヨーレートセンサー および Gセンサー (エアバッグセンサー ASSY) の交換を行った場合は、アクティブトルクコントロール 4WD システムの初期化作業を行う。
・ストップアンドスタートシステム付き車 (=NRE185H,NZE181でメーカーオプションのアイドリングストップ付き車) で、ヨーレートセンサー および Gセンサー (エアバッグセンサー ASSY) の交換を行った場合は、エンジンストップアンドスタートコンピューターの G センサー 0点学習情報初期化を行う。
・(ハイブリッド車の場合) ブレーキブースター ASSY (マスターシリンダー付き) 交換後は、ヨーレートセンサー & G センサー 0点取得を実施する。
【作業上の注意点】
・0点は1度記憶されるとデータが消去されるまで取り直しは行われないため、ヨーレートセンサーおよび G センサー (エアバッグセンサー ASSY) を交換した場合は、0点消去後に0点取得を行う。
・0点取得は必ず平坦な場所 (勾配率1% [0.25°] 以内) で行い、実施中は車両を揺らしたり、ドアの開け閉めなどを行わない。また、アイドリング振動を避けるため、エンジンを始動しない。 (ハイブリッド車の場合は READY ON にしない。)
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方法としては2つの方法があり、
方法 ①: DLC3 (=運転席インパネ右下…小物入れの下にある OBD-II 端子。以下 DLC3 と表記) の指定された端子を短絡 (つないでショート) させ手順を行うことでデーターを消去後、0点を再取得する方法。
方法 ②: (ディーラーや整備工場が持っている) 端末を車両の DLC3 (OBD-II) 端子接続し画面からデーターを消去後、0点を再取得する方法。
があります。
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【方法①:ヨーレートセンサー & G センサー 0点取得 (DLC3 短絡による取得) 】
※※※ 注意 ※※※
この方法はトヨタでは共通化もしれません (特に世代が同じであれば共通の可能性が高いと思われます) が、そういったところまで調べていません。 そのため他車種では実施できない場合も想定されます。 (あくまで2代目オーリスでの手順です。)
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まず道具の準備から。
作業の途中で OBD-II の2つの端子を電線でつなぐ作業が発生します。
一般的な電線でも作業は可能ですが、ここでは純正の SST※をマネした道具を作成しました。
作ったのは太さが 0.5SQ の電線の切れっ端に 050型TS端子のオスを両端に取り付けただけのものです。(050型TS オス端子はパーツレビュー未掲載)
ちなみに ODB-II コネクターには 050型TS端子が使われているわけではありませんのでご注意を。(ODB-II のオス端子とサイズが近かったのがこの端子を選んだ理由です。)
※SST (Special Service Tool = 特殊工具。) ここでは本来であれば品番 09843-18040 ダイアグノーシスチェックワイヤ No.2 を使います。 これ電線にオス端子が付いていて、単純に2分配・3端子の電線です。今回は2つの端子をつなぐだけなので写真のようなものを作れば十分なのですが、本物は他のモード (例:テストモード) でさらに追加で 13番 (配線色:桃 TC) へ差し込む場合があるため、分岐する形をしています。
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●ヨーレートセンサー & G センサーの 0点記憶消去
○参考
・(ハイブリッド車のみ) ブレーキブースター ASSY (マスターシリンダー付き) を交換した場合は、リニア弁オフセット学習中にヨーレートセンサー & G センサー0点取得を行う。
・(ハイブリッド車のみ) テストモード移行時、ブレーキブースター ASSY (マスターシリンダー付き) 内のスキッドコントロールコンピュータはプリクラッシュセーフティシティセンサーと通信を行い、プリクラッシュセーフティシステムの搭載有無を判定している。そのため、テストモード移行後はテストモード状態を5秒間保持する必要がある(プリクラッシュセーフティーシステム付き車)。
1. IG OFF にする。
2. パーキングブレーキを ON にする。 (ハイブリッド車を除く)
3-1. (トランスアクスル CVT 車 & ハイブリッド車) シフトレバー P ポジションにする。
3-2. (トランスアクスル M/T 車) シフトレバー N ポジションにする。
4. ACC ON → IG ON ※にして、約3秒間待ち、インジケータランプ (=メーターの警告ランプなど) のイニシャルチェックが終了することを確認する。
※エンジンはかけない。
5. (写真) SST※を使用して、DLC3 (E11 (HV:H8) コネクター) の12番 (配線色:水色 TS) ←→ 4番 (配線色:白地に黒線 CG) 端子間を8秒間に4回以上短絡 ←→ 開放させる。
【注意】
・故障の原因となるため、コネクターの接続位置を絶対にまちがえない。
(SQUARE 注:これが怖い方はディーラーで端末を使っての作業がおすすめです。もしくはミスをしないように写真のように他の端子穴を最初にテープなどでカバーしてしまうのも手です。コネクターの向きはコネクターの形状が台形なので間違われることは無いかと思いますが、★で示したように長い辺側の角には穴がある (2カ所) ため、必ず確認を行ってください。)
・0点記憶消去を実行した場合、スキッドコントロールコンピュータ (ブレーキアクチュエータ ASSY) 内に記憶されているシステム情報が消去され、53 (エンジン ECU 通信線異常) が出力される。
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また、
・スリップインジケータランプ … ①
・ABSウォーニングランプ … ②
・ブレーキウォーニングランプ … ③
が点灯し、この状態で走行すると、39 (G センサー0点未補正) を記憶して、異常コードを出力する。
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6. (点滅が確認できたら15秒以内に) IG OFF にする。 (この時の点滅状況の動画はこちら →
https://youtu.be/6S2eE1NDsV4 )
【注意】
0点消去後、シフトレバー N または P ポジションで IG ON のまま15秒以上経過するとヨーレートセンサー 0点のみ記憶される。 この状態で走行すると、39 (G センサー 0点未補正) を記憶して、異常コード※を出力する。
つまり、このままエンジンをかけないこと、走行せず次の手順に移れば OK かと思います。
これでヨーレートセンサー & G センサーの 0点記憶が消去されました。
引き続き次の作業に移ります。
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●ヨーレートセンサー & G センサー の0点取得
1. IG OFF にする。
2. パーキングブレーキを ON にする。 (ハイブリッド車を除く)
3-1. シフトレバー P ポジションにする。(トランスアクスル CVT 車 & ハイブリッド車)
3-2. シフトレバー N ポジションにする。(トランスアクスル M/T 車)
4. (写真) SST※を使用して、DLC3 (E11 (HV:H8) コネクター) の12番 (配線色:水色 TS) ←→ 4番 (配線色:白地に黒線 CG) 端子を短絡する。
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5. (このページの動画) ACC ON → IG ON にする。 ※エンジンはかけない。
6. (写真 / このページの動画) 約5秒間車両静止状態を保ち、①スリップインジケータランプがテストモード表示 (0.125秒点灯、0.125秒消灯の点滅) になることを確認する。
(SQUARE 注:IG ON から5秒経過すると (2眼メーターの場合) マルチインフォメーションディスプレイに “TRC OFF しました” が表示されました。この時の動画はこちら →
https://youtu.be/G-P6bfWgYTM ※このページに表示される物と同じ動画です。)
【注意】
・シフト位置 N または P ポジション以外でテストモードに移行すると、36 (ヨーレートセンサー 0点未補正) および39 (Gセンサー 0点未補正) を記憶して、異常コードを出力する。
・0点が消去された状態で走行すると、36 (ヨーレートセンサー 0点未補正) および39 (Gセンサー 0点未補正) を記憶して、異常コードを出力する。
・36 (ヨーレートセンサー 0点未補正)および39 (Gセンサー 0点未補正) もしくは53 (エンジンECU通信線異常) を出力した場合、0点記憶消去から再度実施する。
参 考 :
・0点取得終了後、コンビネーションメータ ASSY 内の表示はテストモード表示に移行する。
・IG ON 直後、インジケータランプのイニシャルチェックと同時にヨーレートセンサー & G センサー の0点が取得されるため、①スリップインジケータランプがテストモード表示になっていれば (=点滅していれば)、0点取得は終了していると判断する。
・(ハイブリッド車の場合) テストモード移行時はテストモード状態を5秒間保持すること。テストモードを5秒未満で終了した場合、ダイアグノーシスコード U023A が出力するおそれがある。テストモード終了後ダイアグノーシスコード U023A が出力した場合は、再度テストモードに移行して5秒間保持し、その後ダイアグノーシスコードを再確認する (プリクラッシュセーフティシステム付き車)。
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7. IG OFF にして、DLC3 の12番 (TS) ←→ 4番 (CG) 端子を開放する。 (=配線を取り外す)
これで、ヨーレートセンサー & G センサー 0点取得の作業が完了しました。
ちなみにディーラーに頼んで端末で作業する場合は…
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【方法②:ヨーレートセンサー & G センサー 0点取得 ( GTS※ による取得) 】
※Global Tech Stream. PC にインストールされた (する) トヨタの診断用プログラム。車両との接続には専用の機器も必要。(診断機と PC との接続は USB らしいですが。)
車両に端末を接続して行う方法です。
●ヨーレートセンサー & G センサー の0点記憶消去
○参考
・(ハイブリッド車のみ) ブレーキブースター ASSY (マスターシリンダー付き) を交換した場合は、リニア弁オフセット学習中にヨーレートセンサ&Gセンサ0点取得を行う。
・(ハイブリッド車のみ) テストモード移行時、ブレーキブースター ASSY (マスターシリンダー付き) 内のスキッドコントロールコンピュータはプリクラッシュセーフティシティセンサーと通信を行い、プリクラッシュセーフティシステムの搭載有無を判定している。そのため、テストモード移行後はテストモード状態を5秒間保持する必要がある(プリクラッシュセーフティシステム付き車)。
1. IG OFF にする。
2. パーキングブレーキを ON にする。 (ハイブリッド車を除く)
3-1. シフトレバー P ポジションにする。 (トランスアクスル CVT 車 & ハイブリッド車)
3-2. シフトレバー N ポジションにする。(トランスアクスル M/T 車)
4. GTS を DLC3 に接続し、IG ON にする。
5. GTS画面より、[シャシ] → [ABS- VSC- TRC] → [作業サポート] → [バックアップメモリ消去] を選択し、バックアップメモリ消去画面 (ハイブリッドはヨーレート・Gセンサ0点消去) を表示させる。
項目名:バックアップメモリ消去
項目名:ヨーレート・Gセンサ0点消去 ※ハイブリッド車
6. バックアップメモリ消去を実行する。
【注意】
バックアップメモリ消去を実行した場合、スキッドコントロールコンピュータ (ブレーキアクチュエータ ASSY) 内に記憶されているシステム情報が消去され、C1203 (エンジンECU通信線異常) が出力される。
また、ABS ウォーニングランプ、ブレーキウォーニングランプおよびスリップインジケータランプが点灯し、この状態で走行すると、C1336 (G センサー 0点未補正) を記憶して、異常コードを出力する。
7. IG OFF にする。
参考:
・(ハイブリッド車の場合) 0点消去後、シフト位置Pポジションで IG ON のまま15秒以上経過するとヨーレートセンサー 0点のみ記憶される。この状態で走行すると G センサーの0点未補正異常を記憶し、ダイアグノーシスコードを出力する。
【注意】
点消去後、シフトレバー N または P ポジションで IG ON のまま15秒以上経過するとヨーレートセンサー 0点のみ記憶される。 この状態で走行すると、C1336 (Gセンサ0点未補正) を記憶して、異常コード※を出力する。
※この異常コードは作業上出力される物なので対処は不要です。
逆に出力されないと作業がいまどこまで進んでいるのか、車両の状態がどんな状態にあるのかがわからなくなります。
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●ヨーレートセンサー & G センサー の0点取得
1. IG OFF にする。
2. パーキングブレーキを ON にする。 (ハイブリッド車を除く)
3-1. シフトレバー P ポジションにする。 (トランスアクスル CVT 車 & ハイブリッド車)
3-2. シフトレバー N ポジションにする。(トランスアクスル M/T 車)
4. GTS を DLC3 に接続し、IG ON にする。
5. GTS 画面より、[シャシ] → [ABS- VSC- TRC] → [作業サポート] → [チェックモード移行] を選択し、チェックモード移行画面を表示させる。
項目名:チェックモード移行
6. チェックモード移行を実行し、テストモードに移行する。
7. テストモードに移行してから約5秒間 (ハイブリッド車は3秒間)、車両静止状態を保ち、スリップインジケータランプ(ハイブリッド車はさらに ABS ウォーニングランプ、ブレーキウォーニングランプ (黄)) がテストモード表示 (0.125秒点灯、0.125秒消灯の点滅) になることを確認する。
【注意】
・(ガソリン車のみ) シフトレバー N または P ポジション以外でテストモードに移行すると、C1210 (ヨーレートセンサー 0点未補正) およびC1336 (Gセンサー 0点未補正) を記憶して、異常コードを出力する。
・(ガソリン車のみ) 0点が消去された状態で走行すると、 C1210 (ヨーレートセンサー 0点未補正) および C1336 (Gセンサー 0点未補正) を記憶して、異常コードを出力する。
・(ガソリン車のみ) C1210 (ヨーレートセンサー 0点未補正) および C1336 (Gセンサー 0点未補正) もしくは C1203 (エンジン ECU 通信線異常) を出力した場合、0点記憶消去から再度実施する。
・(ハイブリッド車のみ) シフト位置Pポジション以外でテストモードに移行すると、ヨーレートセンサーおよび G センサーの0点未補正異常を記憶し、ダイアグノーシスコードを出力する。
・(ハイブリッド車のみ) 0点未補正異常を記憶し、ダイアグノーシスコードを出力した場合、0点記憶消去および0点取得を再度実施する。
参 考 :
・0点取得終了後、コンビネーションメータ ASSY 内の表示はテストモード表示に移行する。
8.IG OFF にして、通常モードに移行する。
9. GTS を取りはずす。
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以上が、車両に端末を接続してヨーレートセンサー & G センサー 0点取得を行う方法になります。
ショップなどが持っている端末や診断機などでもできる場合がありますが、一番間違いないのはディーラーにお願いすることだと思いますね。(手順が異なったり、選択メニューが表示されない、表示が異なるなどもあるようです。)
作業をされる場合は自己責任でお願いします。
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