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イイね!
2016年06月29日

第14章 シャシー調整①

今月後半は走り過ぎた。。。 ( ´△`) ※日本語化の苦労にイイネをお願いします。 (-人-)
過去の記事は、こちら

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一般的なシャシー調整でより良く速いクルマにできる、それにはレースカーのセットアップの現実と うわさの違いを知っておかないといけない。
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シャシーのセットアップとチューニングについては、あまりにも多くの混乱が広まっている。セットアップの様々なやり方でクルマが変わることは明らかであるが、それにはどこでも有効ないくつかの基本的な事実がある;あなたのレースカーの性能向上につながる単純な調整の理解から始めるのが良いだろう。

荷重移動

まず、グリップの基本的な事実。あなたが覚えておくべきもっとも基礎的なルールは、タイヤによって生み出されるグリップの大きさは、タイヤをどれだけの強さで路面に推しつけるかによって変化するということである。加えられる荷重が大きければ大きいほど、グリップも大きくなる。またその荷重が何から作り出されたかということとは関係がない。例えば、ウィングを流れる空気によってタイヤに荷重が加えられても、使えるグリップの能力は上がり、コーナリング力にもブレーキング力にも使えるし、それが駆動輪のタイヤであれば加速トラクションとして使える。
タイヤはまた、減速や加速、コーナーでの慣性の効果でも荷重を受ける。例えば、ブレーキングの減速で、荷重はリアから抜けてフロントへかかる。だからフロントにはより大きな荷重がかかるので、加速時よりも大きなトラクションを持っている。レースカーのブレーキシステムが調整できるように設計されていたなら、鍵となる考え方は、荷重増によってフロントタイヤの使えるグリップが増加した点である。ブレーキの偏り(バイアス)調整によって、クルマのブレーキシステムを合わせることができる、それによってフロントとリアタイヤの使えるグリップ差のレベルの比率を修正してみることが可能である。

偏り(バイアス)変化の方法

メカニカルということは、あなたがブレーキバイアスを変えられるということで、主にふたつのやり方がある。ひとつはリアブレーキにかかる圧力を制限する方法で、結果はブレーキ力を抑えたいものである。リアブレーキへの油圧ラインに、調整可能な圧力制限バブルを取り付ける;そして圧力を調整することで、強力な減速でかかる荷重でも一定になるようにブレーキの作動レベルになることを確かにすることができる。
もっと一般的な方法は、フロントとリアのペアのキャリパーに、別々のブレーキマスターシリンダーを使うことである。それぞれのマスターシリンダーは独立してブレーキペダルに装着される:ひとつは中央左側、もうひとつは右側。装着される場所は、バイアスバーと呼ばれる紐付けされたバーの端である、それは金属チューブの中心を通してブレーキペダルの下端に取り付けられて作動する。バイアスバーの中央の球状のベアリングが、チューブ内側に滑りながら接触する;そしてそこがブレーキペダルのあなたの足のボールからの圧力をバイアスバーに伝える場所であり、そこを通じてそれぞれのマスターシリンダーに伝わる。
バイアスバーが調整されて、正確にチューブの中心にベアリングがおかれると、ブレーキペダルにかかった圧力の50%がフロントのマスターシリンダーにかかり、50%がリアにかかる。紐付けされたバイアスバーを回して、ベアリングが中心から外れることによって、それぞれのマスターシリンダーにかかる圧力の比率が変わる。

セッティングバイアス
ブレーキバイアスのセッティングは、あなたが最初に行なうメカニカル調整である、だからブレーキバイアスがどうやって働いているかを知らなければならない。セッティングバイアスの前に準備するためのルーチンは、最初に何週か走ることである、それでタイヤが作動する温度になる。もしタイヤが冷えていて、グリップがレースコンディションでの予想よりも小さい状況でバイアスをセットしてしまうと、全て温まった状況よりもフロントの荷重は小さくなるだろう。そして最終的に熱が入った状況では、フロントのブレーキは小さく、リアのブレーキが過大になりがちである。このようなリアにバイアスがかかった状況では過剰に刺激的になってしまう、それは避けるべき状況である。
全てが温まってきたら、直線的な停止を何度も行うべきである、それにはライン外で衝突を避けるためにミラーを注意深く確認がいる。高い速度からペダルを押しつぶし、フロントホールとリアホイールの両方がロックアップ寸前に達するまでブレーキ圧を加え続ける。オープンホイールのクルマでは、タイヤが路面を滑るタイヤのストロボ効果に気づいて、ロックアップしないようにいくぶんか圧力を弱めることが出来なければならない。それでもタイヤがロックしてしまったなら、フラットスポットを作らないように可能な限り素早く、ロックアップから抜け出るように調整する。
オープンホイールのクルマでは、あなたが腰とシートを通じて感じている何かを、自由に目で確認できるように感じる。フロントのバイアスを見ることが簡単なので - 通常、クルマは右側または左側の一方が他方よりも若干ロックしやすい傾向がある、1回か2回止まってみれば、あなたはタイヤに何が起こっているかに焦点が当てることができる。リアにバイアスがかかっていれば、リアのバイアス(=ブレーキの間のリアの飛び出し)による物理的な感覚を確認するためのテストを行なっている間、ミラーに写るリアタイヤに焦点を当てる。クローズドホイールのクルマでは、あなたは自分の感覚を信じて、ホイールからの一噴きの煙の証拠をフィードバックしなければならない。
どちらのタイプのクルマでも、ブレーキバイアスは、まずフロントタイヤがリアよりもギリギリ早くロックするように調整することを目的としている。ほんの少しフロントへのバイアスがかかるようにするのは、前後の両方が極端にならないようにより安定的にするからである。しかしフロントが多くに行き過ぎれば、クルマのブレーキ能力に妥協することになる。

バイアスとクラッチ。ブレーキバイアスをテストするときは、クルマがレースコンディションと同様に減速することを望むだろう。限界ブレーキングのほとんどの場合に、クルマはクラッチがギアにつながって減速し、シフトダウンのためにクラッチを切った瞬間は含んでいない。このような場合は、ブレーキバイアスはクラッチがつながった状態のブレーキングでセットされなければならない。ほとんどの場合は、エンジンの圧力、特にフライホイールの軽い高圧縮エンジンで、リアタイヤのブレーキングにも効果がある。だからもしクラッチが切れている状態でブレーキバイアスがセットされてしまうと、あまりにも大きなリアへのバイアスがかかってしまう、それはレースの間にエンジンの助けを借りている証拠を示したい場合である。
しかし、あるドライバーは、クラッチを踏んでいる状態やクルマがニュートラルにあるときに、限界ブレーキを使う選択をする。このテクニックに適したクルマの一般的な事例は、フォーミュラ・アトランティックであるが、それは3Gを超えるブレーキ能力がある。事実、それは早く、それほどまで早く減速するので、多くのアトランティックのドライバーは、クルマの速度変化に合わせてシフトレバーを動かすことが出来ないと考えている。そういうクルマではギアをスキップさせる、ブレーキ開始でシフトレバーをニュートラルに入れて、ターンイン直前にシフトダウンを完了させる。もしそれがレースでエンジンの助けなしに減速するなら、ブレーキバイアスは同じ状態でセットすべきである。

ブレーキターン・バイアス。 さて直線のブレーキでのバイアスが決まったら、次は同時にブレーキングとコーナリングの状況で試すときだ。もしバイアスがリアから遠すぎる可能性があるときをここで示そう。直線のブレーキングで完璧なバイアスは、ブレーキターンではリアがちょっと落ち着きすぎに偏っていることに、あなたが気づくだろう。ピッチングとローリングが両方起きている状況、つまりブレーキング&コーナリング中のことだが、イン側のリアタイヤは実質的に荷重が抜けて、リアブレーキの抵抗はリアのコーナリングトラクションが小さくなる方向に作用している、だからクルマのリアがフロントよりも若干多くスライドできる。
テスト時にこの問題を発見することは、レースの最初のラップで見つけるよりも良いことである。特定のサーキットで攻撃的なブレーキングとコーナリングが多く必要だと予想するなら、バイアスはフロント寄りに1~2回転まわすのが良いだろう。

ドライバーが調整できるバイアス。 バイアスバーを回転させる回数で調整する機構のシステムでのバイアス調整では、なんどもピットに出入りして、その度毎にタイヤを温めなければならないだろう。バイアス調整のもっと良いシステムは、多くのクルマで使われているが、バイアスバーにケーブルでつながったドライバー用の調整ノブをダッシュボードに設置しているものである。それによってコース上では、1アクションで自分のためのバイアス調整を行なうことができる。
もしあなたが、熱を入れてクールダウンするたびにグリップが落ちていったレースタイヤで走るならば、このドライバーが調整できるバイアスを使って、セッションを通じて使う多くのタイヤを節約できるだろう。このシステムの別の利点は、レース中でも状況の変わったときにバイアスを再調整できることである。もちろんこのシステムが強みとして十分信頼できると考えているチーフクルーがいるだろう。

縦の荷重移動

縦の荷重移動は、荷重が前後に移動したときに起こる。加速時には、荷重は後ろへ移動する。減速時には、荷重はフロントへ移動する。一般的に信じられていることとは対照的だが、荷重移動の量は変えることが出来ない、ショック・スプリング、アンチロールバーなどの調整やサスペンションによるアンチダイブやアンチスクアットジオメトリーでは変わらない。ブレーキ時のフロントへの荷重移動の大きさは、次の3つで決まる: 1)車の重心CGの高さ(重心が高い車は、低い車よりも荷重移動が大きくなる) 2)車のホイールベース(短いホイールベースの方が、長いホイールベースのクルマよりも荷重移動が大きくなる) 3)クルマがどれほど強く減速したか(3Gで減速したクルマは、1Gで減速したクルマよりも荷重移動が大きくなる)

重心CG
まず重心CG(質量の中心)の簡単な定義: それはクルマのバランスする場所であり、その1点でクルマをケーブルで吊り上げたとしても、完璧に水平なのでフロントもリアも、横方向へも落ちていかないだろう。図14-1のように、重心につけられたケーブルによって垂木から3通りのやり方がクルマを吊った。クルマの重心がケーブルに吊られている限りは、クルマはロールも首振りもしないし、たとえあなたがサイドを弾いても変わらない。


技術的には、重心CGはクルマの質量が集まった地点を表す。重心CGの重要なのは、コーナリングやブレーキング、加速などで作られる全ての慣性力は、この中心点に作用するように振舞うことである。ホイールベースと減速が同じときに、ブレーキングでの重心CGの荷重移動の効果を見てみよう。図14-2の両方のクルマは、同じホイールベースで同じ1Gde減速している。よって両方とも、重心CGには減速で200ポンドかかる。
上図の重心が高いクルマは、重心に伸びる垂直のレバーは、中心からフロントタイヤの接地面までと同じ距離で、重心にかかる200ポンドの力は、フロントタイヤに200ポンドの荷重を作り出す。下図の重心CGの高さが半分のクルマは、重心にかかる同じ200ポンドの力で、たった半分の100ポンドのフロントへの荷重になる。


ホイールベース
さぁ、重心CGの高さはここで止めて、ホイールベースを変化させてみよう。図14-3のように、左図のショートホイールベースのクルマは、地面から重心CGまでの距離と重心CGから接地面までの距離が同じであるクルマに、重心CGに200ポンドの力がかかった結果、フロントタイヤに200ポンドの荷重がかかる。
それより2倍の長さのホイールベースがある右図のクルマでは、重心CGから接地面までの距離は重心の高さの2倍である、だから重心CGへの200ポンドの力はフロントへの100ポンドの荷重となる。


減速率
私の昔の物理教授は、授業を始めるときにこう言っていた"昔のニュートンは言った、F=MA(力F=質量Mx加速A)"と。2Gでブレーキングしているクルマは、1Gでブレーキングしているクルマの2倍の慣性力を生み出している。よって減速を弱めることで、荷重移動の大きさを小さくすることができるだろう、しかしそれではあなた自身がめげてしまう。あなたは、減速率を最大にするような強さを取らねばならないだろう。

ブレーキングでの調整

シャシー調整の最も一般的な誤解は、重心高やホイールベース以外の調整でトータルの荷重移動が調整できるということである。それはできない。
しかしあなたが荷重移動を小さくしたいと思っている、なぜならグリップは荷重によって増加する(つまりタイヤにもっと荷重がかかるとき)だが、それとその効果を小さくしたいと(垂直の荷重をグリップに変えるタイヤの能力の技術的な測定は、タイヤの摩擦係数またはCFと呼ばれる)現代のレースタイヤはこのジャンルで良くなり続けているが、それでもまだ慣性による荷重移動を小さくするのに良い方法がある。現実的な範囲で重心CGを低くして、ホイールベースを長くすることでできる。
ハードブレーキングでのリアからフロントへ移動する荷重の大きさは簡単には変えられない。しかし、荷重移動をふたつの面で変えることは出来る:1)荷重の変化に対応して、どれぐらいサスペンションが動くか 2)タイヤ接地面にどれほど早く荷重をかけるか

ばね(スプリング)
クルマのフロントに柔らかいバネを装着すると、ブレーキングの200ポンドの荷重移動でノーズが2インチ下がった。フロントに固いバネを装着すれば、地上高の変化は1インチに制限されるだろう。荷重が同じなので、それは荷重変化に対する反応のフロントが下がらなくなったということである。もしフロントがまったく沈まないことを望むなら、フロントサスペンションを溶接して、200ポンドの荷重に対してまったく変化しないようにすることもできる。それでもなお荷重はフロントで増加する。バネは決めているものは、荷重に対応してどれぐらいサスペンションが動くかということである。

ショック
ショックアブソーバー、もっと正確にはダンパーは、バネが吸収したエネルギーのコントロールを助けることが主な役割である。バネは優秀なエネルギー倉庫である。バネが路面のおうとつによって押されたり、バネの荷重変化で押し込まれたときは、動きの初期のエネルギーを保管し、反対方向へ吐き出す。 コントロールがなければ、バネは最初の振れから何回も伸び縮みを繰り返すだろう、それは一回のサイクルでわずかなエネルギーしか失わないからである。レースカーでは、サスペンションの動きとタイヤの接地面の荷重の変化が、バネが路面のおうとつや慣性荷重の変化がコントロールされていない(弱めない)ようにイメージされている。だからクルマはその場で完全に跳ね上がり、ほぼコントロール不能である。

動きに抵抗するショック。ショックは、バネのように車重を支えることはない。バネは一般的にバネ定数で語られる:つまり、ある力で押されたときのバネの縮む長さである。例えば200ポンド/インチのバネは、200ポンドの力で1インチ縮む。対照的にショックアブソーバーは、ゆっくりと動かせば、小さな力で伸び縮みする。しかし動きの速度が上がるとショックアブソーバーの動きへの抵抗力は増加する。
ショックアブソーバーをスプリングサスペンションに追加しても、クルマが動かないなら荷重を支えることはまったくない。ショックがないシステムと同じ地上高になるだろう。しかし、サスペンションが動き出せば、伸び縮みへのショックの抵抗力は、クルマのハンドリングに実在する影響がある。

デコボコとはね返り。ショックは、動きに対し2方向の抵抗力を持っている。それは縮むときと伸びるときである。サスペンションにバネが縮む力がかかった時は、ショックもまた縮む。ショックが縮むときは、"バンプに入る"と呼ぶ。もし荷重がサスペンションから抜けたときは、バネは長くなり、ショックは伸びる - これは"リバウンドに入った状態として知られている。多くのレーシングカーのショックアブソーバーは、バンプ側とリバウンド側の抵抗力を調整できる。

荷重移動の速度と動き。ショックアブソーバーつきの機構では、縮む抵抗が非常に小さいときは、タイヤにかかる負荷は比較的ゆっくり、あたかもショックがないのと同じように動作する。もしショックが縮む抵抗が大きいときは、タイヤにかかる負荷は素早く、本質的にバネではなく直接的にショックから伝わる。究極的にはショックのセッティングは、タイヤにかかる負荷の大きさや、負荷に対応したサスペンションの動く大きさでは決定しない。それは、接地面に負荷が加わる速度と、負荷が加わったときのサスペンションの動く速度で変えるものである。
硬いバンプのセッティングは、コーナーでの動きを遅くし、荷重移動を速くする。やわらかいバンプのセッティングは逆で - サスペンションが速く動くようになり、負荷が抜けたときの変化する時間が長くなる。
リバウンド時も同じである。硬いリバウンドのセッティングは、クルマがコーナーの後、負荷が抜けたときにサスペンション機構がゆっくりと動くように作用する、しかし接地面の荷重の抜け方はもっと急になる。やわらかいリバウンドのセッティングは、サスペンションが素早く動くようになり、接地面の荷重の抜け方はもっと緩やかになる。

横の荷重移動

クルマがコーナリングフォースを発生させているときは、実際にはクルマは横方向に加速しているのである。このとき慣性は、クルマが向きを変えるのを妨げて、重心CGからターンの外側に向けて力を加えている。あなたがその力をコントロールすることができ、それに伴い相当の荷重が内側のタイヤから外側のタイヤに移動する、しかしそれはあなたが考えているものとは異なっているだろう。ブレーキングと同様に、荷重移動する大きさは重心CGの高さとシャシーの幅(ホイールベースではなく)、そして重心CGに加わるコーナリングフォースで決まる。

重心CGの高さ
図14-4で、両方のクルマの幅は同じである - つまりタイヤの中心から中心まで同じ幅である。上図は高い重心CGである。この場合、重心CGの高さは、中心線から接地面(X)までの距離と同じである。もし重心CGに200ポンドの力が加われば、外側のタイヤは200ポンドの力で下向きに押される。
下図のクルマは重心CGが低く、高さは先ほどの半分である。重心CGに慣性力で200ポンドの力が加わったとき、100ポンドの力だけが外側のタイヤに加わる。内側のタイヤへの影響は逆で - どちらも慣性力で重心CGに加わった力によって荷重が抜ける。



もし重心CGが同じで幅を変えても、荷重移動を変えられる。図14-5の左図のクルマは幅が狭く、200ポンドの慣性力の全部がタイヤに移動するだろう、それはレバーアームが等しいからである。
幅を広げると、右図のクルマの場合は、中心線から接地面の距離が重心CGの高さ(X)の倍であり、同じ200ポンドの力でもたった100ポンドの荷重移動しか起きない。


コーナリングフォース
横の荷重移動は、コーナリングフォースを小さくすることで重心CGの慣性を減らして、変化させることも出来る。しかしあなたは決してそうはしないだろう - コーナリングフォースが小さいということは、つまりコーナリング速度が低いことだから。

なぜ変えるのか?
その鍵は、幅やホイールベース、重心CGの高さ変更の短さであるが、減速やコーナリング、加速時の荷重移動の大きさを変える方法は何もない。出来ることはただ、クルマの荷重変化を調整することだけで、それによってクルマの最適パフォーマンスを出すことである。その意味で、ブレーキング時には、フロントとリアタイヤが両方とも適切なバランスでブレーキングに寄与するように、ブレーキバイアスを正しく決める。"正しく"という意味は、フロントもリアも適切な役割以上の仕事をさせないようにすることである。もしリアタイヤにその荷重比率とグリップを超えるブレーキング力を出すように要求すれば、そのクルマに可能な減速にはならないだろう。
コーナリングでも同様のことが言える。フロントとリアタイヤには、それぞれが受けている荷重に応じてクルマの向きを変える役割であるべきである。
もしクルマのリアの両輪が適正な比率以上の仕事をしなければならないとすれば、クルマのハンドリングに苦労するだろう。もしフロントの外側のタイヤがコーナリングの荷重移動の大半を受けなければならないなら、そのグリップ力に無理を強いることになり、クルマはアンダーステアになるだろう。もしリアタイヤへの荷重移動が不適切であれば、そのグリップ力は妥協の産物となり、クルマのリアは過度にスライドする - 常にオーバーステアが楽しめる状態である。あなたはクルマの荷重移動を制限することで、低くワイドなクルマを走らせて、タイヤがベストなCF値内でベストパフォーマンスを保つことを望むだろう。
それでもなお、たとえあなたがクルマの設計について何かをしたとしても、コーナリング中は内側から外側へ荷重が移る。それを小さくしようとすることはできるが、なくしてしまうことは出来ない。だから、コーナリングフォースを最大にしようとするときは、常にクルマの設計から来る現実的な変更は、幅と重心CGの高さだけである。

コーナリング調整

設計者がクルマを投じた後でも、クルマのフロントとリアの地上高を低くすることで、容易に重心CGを下げることができる。重心CGを低くすることで、全体の荷重移動を小さくなるが、あなたの望みは、クルマを低くしても通常の範囲のピッチング(前後方向)とローリング(横方向)の動きが、コース上で底を打つことがないシャシーだろう。もしそうなってしまうと、タイヤの荷重は突然抜けてとんでもない事がハンドリングに起きる、だからシャシーは底つきしないだけの低さを維持するのである。
今、コーナリングで限界の荷重に起こることを仮想のクルマで見てみよう。ピットレーンでの待機中は、図14ー6のクルマは、車重1000ポンドで、フロントタイヤに400ポンド、リアタイヤに600ポンドかかっているとする。このクルマは左右対称である。つまり左側の重さと右側は同じ重さである。だから総重量の1000ポンドは、左に500ポンド、右に500ポンドかかっている。


1Gのコーナリングフォースがかかると、重心CGと幅から200ポンドの荷重が、内側のタイヤから外側のタイヤに移動する。図14-7ではコーナリングで、外側のタイヤには700ポンドの荷重がかかっており、一方で内側にはたった300ポンドの荷重しかない。


簡単な調整によって、あなたは外側のフロントやリアのどちらでこの荷重移動を受けとめるかを決めることができる。それには3種類の調整がある:バネレート、アンチロールバー、またクルマの地上高の上げ下げによるロールセンターの変更である。

バネ
バネレートがクルマのコーナリングバランスにどのように影響するかを描き出すため、極端な場合に起こることを考えてみよう。図14-8は、フロントのバネとショックを取り除き、硬い棒に変えたものである、つまりフロントサスペンションを固体にした。
図14-8で、クルマがコーナーに差し掛かり、荷重移動したとき、全ての200ポンドの荷重は外側のフロントタイヤにかかるだろう(シャシーは変形しないものとする)、なぜならフロント端でクルマがロールする動きを抑えるからである。外側のリアタイヤは、それにはまったく寄与しないので、結果もともとのグリップ力は100%残っている。全ての付加荷重が外側のフロントタイヤにかかるので、リアへのCF値は失われることになり、結果としてリアタイヤ以上のスリップアングルで使われる。この場合、クルマはアンダーステアになる - おそらく全てがアンダーステアになり、外側フロントは絶望的なほど過剰に使われる。


ここで、クルマのフロントにショックとバネの機構を戻して、リアサスペンションを固体にする。コーナリング時には、図14-9のように、全ての荷重移動は外側のリアタイヤにかかるので、リア端には大きなスリップアングルを作り出す - これがオーバーステアの定義である。


ここに示されているのは、世界で最も硬いバネで、一インチ当たり100万ポンドかそれ以上のバネレートを持っている。誰もそんなものを貧弱なクルマに付けないだろうが、原理を示す助けになる。それ以外の全ては同じである、硬いバネはロールへの抵抗力を強くして、クルマが持っている荷重移動をより大きく受け止めるだろう。フロントに硬いバネ(バネレートを高める)とアンダーステアが強くなる。柔らかいバネ(バネレートを低くする)と、フロントのロールへの抵抗力が小さくなる、それでコーナリングバランスはアンダーステアから離れていく。
リアは、硬いバネはオーバーステアへの傾向が強くなるが、やわらかいバネは反対に変化する、つまりオーバーステアの傾向が弱くなり、アンダーステアの傾向が強くなる。
バネの簡単な注意:柔らかいバネには、その方向のグリップ力を強くしなければならないが、柔らかいバネはタイヤのグリップに影響するので、どの程度のロールが受け止められるかに注意しておかねばならない。あるサスペンションの設計は、他の方式よりもずっとロールに敏感であり、あるポイントを越えると接地面に悪影響が出始める。バネレートを柔らかくしてグリップを稼ぐ努力は、サスペンションのロール限界によってグリップを失う結果もなりえる。
これらのガイドラインは、多くのハイテクを利用した現在のクルマには決定的である空力の効果は無視している。ダウンフォースがコーナリングバランスに優勢的に効くクルマや速度では、バネの主な役割はクルマの底の姿勢を保って、ダウンフォースのバランスを作り出す範囲に留めることである。

アンチロールバー
サーキット向けにセットアップされている多くのクルマには、アンチロールバーがフロントとリアに装着されている。アンチロールバーの調整は、クルマのバネを変えるのと同じ効果がある - アンチロールバーの変更で、ロールへの抵抗力が変化する。
アンチロールバーは、荷重移動が減速や加速による前後(縦方向)の時には何の効果もない。アンチロールバーは、旋回軸にはフリーで、サスペンションの左側と右側が同じ力で同じ方向に動くときには、何の抵抗も作り出さない、つまり直線的なブレーキングや加速しているときである。
アンチロールバーは、クルマがロールする動きにだけ抵抗力を発生させる。つまりアンチロールバーは、車がロールしたときにだけ効くバネだと考えても良い。アンチロールバーがロールに対抗して作り出す抵抗力は、主に2つの方法がある。第一は純粋にレバーによるものである。ラウンドバーがシャシーに取り付けられることで、サスペンションが動くときに自由にバーが動く。ブレーキング時には、フロントバーは単純にサスペンションが縮む(バンプに入る)のに合わせて回り、両サイドのサスペンションは同じように動く。
コーナリングの負荷がかかると、クルマは外側へロールする。内側のサスペンションはシャシーに対して倒れこみ、外側では縮む。このときに、アンチロールバーはねじれる。アンチロールバーの外側の部分は起き上がって、内側は倒れこむ。アンチロールバーは、それ自体がトーションバーとして動き、ねじれに抵抗することで、ロールへの抵抗力を生み出す。

アンチロールバーの調整

アンチロールバーによる抵抗力の大きさは、バーの直径を変えることで変更できるが、それには時間がかかる。もっとも簡単な方法は、バーに作用するレバーアームを変えることだ。シャシーに取り付けられているバーの旋回軸から、バーがサスペンションアームにつながるリンクまでの距離によって、抵抗力が決まる。この距離を長くすれば、ロールに対する抵抗力は小さくなる。距離を短くすれば、ローに対する抵抗力は強くなる。
例えば、図14-10では、旋回軸から12インチで作用して、バーが5度傾くための力は、旋回軸から6インチに調整されたときの半分の力ですむ。レバーアームを縮めるように調整することは、バーを硬くすることであり、ロールへの抵抗力を増やして、車が受け止めなければならない荷重移動の大きさを増やすことである。だからアジャスターを動かすことで、レバーアームが長くなればバーはやわらかくなり、外側のタイヤで受け止める荷重移動は小さくなる。


そうやって関係づけられている。言うならば、アンダーステアのクルマがあるときは、バーのセッティングを変えることで調整が済ませられる。それにはふたつの選択肢がある。フロントバーを調整してロールへの抵抗力を小さくするか、リアバーを調整してロールへの抵抗力を大きくすることである。フロントのロールへの抵抗力を小さくすることで、ロールの動きに対して、もっとリアが抵抗することを強いられる、つまり外側のリアタイヤにかかる横方向の荷重移動が大きくなる。ロールへの抵抗力を小さくするということは、同じコーナリング力に対して、もっとロールするということになる。それがOKであることもOKではないこともあり - 別の問題が持ち上がる可能性もある。ひとつは地上高の問題がある:もしクルマが非常に低ければ、理由は重心CGを低くするためだが、余分にロールすることでシャシーのフロントの外側が地面に近づいていき、地面に当たってしまうかもしれない。もし底つきすれば、バーの調整で増加したグリップは、底つきでフロントの荷重が抜けてしまい、グリップ力がなくなってしまうかもしれない。
タイヤの接地面への危険な効果は、別の大きな問題である。クルマがロールすることで、サスペンションのジオメトリーだが、タイヤとある範囲でつながっているキャンバーは、ある量までのロールまでである。しかし、そのポイントを超えれば、タイヤは突然トラクションを失うだろう。クルマに許されているロールを大きくすることは、サスペンションの動きの限界に近づくことでもある、それが超えたときは即座に崩壊する。他にも考えることは多くあるが、全ての物事は見えているよりもずっと複雑であると思うべきである。
多くの話から、あなたはバーをやわらかく使うべきではないと考えるかもしれないが、ポテンシャルの問題を知る限りは、弱いロール抵抗力を避ける理由はない。事実、横方向への荷重移動によってサスペンションが大きく動くことができるクルマは、外側のタイヤの荷重がゆるやかになる、その理由はサスペンションが動く時間がかかるからである。変移することで唐突さは弱くなる。それでクルマは、突進するのではなく、傾きながらコーナーに入っていくように感じられる。また、もしコースがデコボコ(bumpy)なら、コーナーにあるデコボコには、クルマのロールへの抵抗が大きくなったとしても、柔らかいサスペンションが効くだろう。
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Posted at 2016/06/29 16:33:15

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