2018~2019年度版 スタッドレスタイヤ事情

2018年12月21日

タイヤ

一部地域での降雪時タイヤチェーン装着の義務化などの報道がされていますが、やはり雪道での必需品といえばスタッドレスタイヤにほかなりません。今季は暖冬だと言われていますが、暖冬のときほどドカ雪が降ってスタッドレスタイヤの恩恵を受けることが多いというデータもあります。日々進化し、性能を向上しているスタッドレスタイヤの今を見ると同時にスタッドレスタイヤの使い方を紹介します。

柔軟性、気泡、立体サイプが今のスタッドレスタイヤのトレンド

スタッドレスタイヤのグリップについて理論的な領域はほぼ確立されていて、現在はそのグリップをどうやって実現するかに注力されている状態です。スタッドレスタイヤ全体として大切にされているのが、柔軟性です。ほとんどの物質は温度が下がると硬くなりますがゴムはその傾向が強く出る物質です。ゴムが硬くなってしまうと、トレッド面の氷面追従性が落ちてしまいます。それを防止するために多くのメーカーがゴムにシリカという物質を配合しています。

氷上でタイヤが滑るのはタイヤと氷上の間に発生する水膜が原因です。この水膜を除去することがスタッドレスタイヤのグリップの決め手となります。そうしたなかで大きな役目を果たすのがゴムの中にある気泡です。気泡はトレッド表面では凹状態になり、その凹部に水膜が吸い込まれ除去されます。タイヤそのものに気泡を設けるスポンジのような構造のものや、微少な異物を混入させてその異物が取れた部分が凹部となるものなどがあります。

スタッドレスタイヤのトレッドパターンの基本構成要素となっているのがサイプと呼ばれる微細な切れ込みです。まるでカミソリで刻んだかのような切れ込みですが、このサイプのエッジが氷面をひっかいてグリップを発生するほか、サイプのすき間に水分を吸い込んで除去する効果、サイプのなかに雪が入りそのせん断抵抗でグリップを得る効果などがあり、サイプは非常に重要な役割を持っています。以前は単純な断面をしていたサイプですが、現在は3次元構造が与えられています。これはサイプによってトレッドのブロックが倒れ込むことを防止するためです。

スタッドレスだから大切なドライ&ウエット性能

雪道

スタッドレスタイヤは氷上や雪上といったウインター性能が必要だから購入するタイヤです。しかし、それだけを求めるならタイヤチェーンで十分です。スタッドレスタイヤはドライ&ウエットの路面でもしっかりとした性能を発揮できるからこそ価値のあるタイヤといえます。そのために各社ともにタイヤそのものの剛性を高める、排水用グループをしっかり設けるなどによってドライ&ウエット性能を高めています。

最近シェアを伸ばしてきたオールシーズンタイヤとは?

最近都市部でのユーザーを中心に人気を博しているのがオールシーズンタイヤと言われるものです。オールシーズンタイヤはその名のとおり、夏から冬までを1種類のタイヤで過ごせてしまうというものです。メリットとしてはタイヤ交換の手間がいらない、タイヤの保管場所や保管費用がいらないなどがあります。デメリットとしては夏タイヤ性能も冬タイヤ性能も専用タイヤに比べれば落ちることですが、普通に使っている分にはとくに不満もおきません。降雪地帯でアイスバーンが発生するような地域ではスタッドレスタイヤが適しますが、東京のようにもしかしたら降るかも知れない……という場所ではこうしたタイヤがいい場合もあります。

オールシーズンタイヤは冬用タイヤ規制時でも走ることができるようになっていることが普通で、「M+S(マッド&スノーの意味)マーク」や「SNOWマーク」がサイドウォールに刻印されています。多くのオールシーズンタイヤは、トレッドの中心付近にスタッドレスタイヤの性能を与えたものが多いので、加減速では性能を発揮しやすいのですが、コーナリングでは性能が発揮しづらい傾向にありますので、とくにコーナーでは気をつけて走るようにしましょう。


(諸星陽一)

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