ポルシェ 911

ユーザー評価: 4.51

ポルシェ

911

911の車買取相場を調べる

959の魂を受け継ぐ“究極のドライバーズMT四駆ターボ” - 911

マイカー

959の魂を受け継ぐ“究極のドライバーズMT四駆ターボ”

おすすめ度: 5

満足している点
その全方位的な「完成度」と「適度なボディーサイズ感」、スカイラインR34GT-Rより約30kg(グレードによる)軽い1530kg(エアロPKG)という車重からなる「一体感」、それに加えた「リアエンジンベース電子制御AWDの"強靭なトラクション"」を「両手両足右脳左脳で操る楽しさ」にあります。

まず、VTGターボ&DFI(直噴)エンジン特有の下から上まで全回転域から発生する圧倒的なトルクとパワー、それらを6速マニュアルRRーAWDで自在に操る感覚は、他では決して味わえない特別な体験です。

アクセルを踏むと、瞬時に感じるターボラグの少なさと、その後に押し寄せる怒涛の加速。まるで地平線が手元に引き寄せられるような感覚に、毎回鳥肌が立つほどの興奮と、免許が無くなるやも知れぬ恐怖を覚えます。

さらに、部品点数を減らして軽量化され、低重心化されたエンジンレイアウトとアクティブエンジンマウント、ブラッシュアップされたPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント)の緻密な連携と制御が生む、異次元のコーナリング性能。
997.1前期ターボと比較して、フロントスタビライザーが太くなり、GT2と同径となった事によるステアリングレスポンスの鋭さが、ワインディングロードで人馬一体化したかのように自然にコーナーを駆け抜ける点です。
「ドライバーズカー」の名にふさわしく、「乗せられている感は一切無し」、自分の意思がそのまま車に伝わるような感覚が本当にたまりません。

加えて、997.2ターボはデザイン的にもタイムレスな美しさと「サイズ感」を持っており、991や992などから採用された「VW(フォルクス・ワーゲン)共通プラットフォームMMB(Modularer Mittelmotor Baukasten)」とは一線を画す、本物の「最後のタイトなポルシェ感」が漂っている点です。
どこかクラシカルな丸みを帯びたボディラインに、現代のテクノロジーがバランス良く融合している様は、まるでポルシェの歴史を凝縮したアートピースのようで、メンテナンス性、つまりは触りやすさも残っている点も大満足です。

乗って楽しい、見て楽しい、いじって楽しい・・。
さらに超希少な6速MT仕様ということもあり、ガレージに停めて眺めているだけでも酒のツマミになります。

そして何より、壊れない点です。
「直噴DFIエンジン」というメカニカルな進化がもたらす信頼性と高効率、997.1ポート噴射水冷メツガーターボの“お漏らし問題”を完全に解消した安心感は大きく、どんなシチュエーションでも信じて踏み込めるのが最高です。

究極のパフォーマンスを秘めながら、日常でも気軽に乗れるフレンドリーさ、高速道路では優雅に巡航し、スポーツモードでは牙をむくその二面性に、オーナーとして無限の喜びを感じています。

要するに、997.2ターボMTは「自分史上最高の相棒」であり、憧れの“959の再来、生まれ変わり。”とも言える存在です。
乗るたびに見えてくる景色が色付く様な感動をくれる一台です。
不満な点
基本的にはあまり無いのですが、走り好きの走り屋目線で申しますと、マニュアルとは言え、基本的に997ターボのAWDは997GT系RR2WD(GT2/GT3)と若干差別化されており、「万人が安全に高速巡行ができる事」を想定して作られている為、純正リアスタビライザーが細く「弱アンダーセッティング」となっている点が不満でした。
これは、アイバッハやH&R等の社外品で味付けを変える事ができます。(*ハード・ミデアム・ソフトと取り付け穴で調整もできます。)

また、純正のLSDでは明らかに「容量不足」を感じます。
PTM等、下手に制御が入るとリアブレーキをつまむので逆に左右に振られたりと、それだけ暴力的なトルクがあります。
制御をフルカットにしてもブレイク寸前に救おうとしてくるので、これもまたOS技研等のTCD(トラクションコントロールデフ)など社外品のLSDでオン・ザ・レールに対応できます。

997.2から進化版「S-PASM」となってはおりますが、期待していたものよりも"恩恵が感じられない様な点"はあり、やはり、加速時にリアエンジンである事を感じさせる「アゴ上がり」の姿勢を体感します。これは素性からして仕方が無いかとも思っておりました。
制御のレベルは高い位置にあるとは思いますが、基本的にピッチング、ノーズダイブ、ヨーイング、ソーイング、これらの挙動は一般的なスポーツカーに見られる慣性モーメントと基本的には大差は無い様にも感じる取れる訳です。
しかし、これにもまた「素晴らしい海外製社外パーツ」があり、まるっきりプログラミングの違う3軸補正PASMモジュール本体のPCMを差し替える事によって完全に克服でき、まるで魔法が掛かったランサーエボリューションの電子制御の様なRR-AWDターボに様変わりします。

純正シートのホールド性しかり、この車は良くも悪くも「基本装備を上回るパワーを持ってしまっている点」を感じますので、アグレッシブに運転するドライバーにとって、捉え方によっては「アン・バランスな車」という事も言えるのかも知れません。

つまり、大袈裟に言えば、
「吊るし(フルノーマル)で乗るには少々危険を感じる車」
だと思います。
*PSMをONにしてノーマルモードでいれば、比較的おとなしい方向性ではあると思いますが、OFFにしてスポーツモードにした方が遥かに楽しい車です。
総評
一言で言えば、
「うぁ・・・、こんなに良いんだ・・・。」
と、思わされる車です。

日本人として、なんとも言えない「敗北感に襲われる」と言うか、ドイツは「匠の国」と呼ばれるだけあって、フィルディナンド・ポルシェ博士をはじめドイツ人は"本物の天才の集団"なんだなと痛いほど感じさせられる、リフトアップして下廻りを覗き込めばさらに納得させられる様な、そんな悔しさで嗚咽の出るような車です。

この997.2ターボ3.8DFI6MTに対し、日本人である自分が感じた「ネガティブ要素を払拭する一連のカスタマイズ」をある程度まで施した結果、「世界で唯一無二のドライビング体験」を手にしたと言えます。

標準仕様でも圧倒的なポテンシャルを誇るものの、このモデルに極限までのパーソナライズを加えたことで、満足感は次元を超えました。

外観のサイズ感や暴力的な加速とは対照的な愛らしい目をしたそのギャップ、「美尻と頭脳」、「クラシカルとサイバー」の融合、バサルトブラックメタリックの怪しげなボディに、固定式2枚羽ウイングを備えた純正エアロキットPKG。・・
これらが放つ“走るための真剣さ”に陶酔させられ、カスタマイズやチューニングはおろか、人生の生き方に於いてもさらなる「やる気」にさせて頂きました。

空力を考慮して変更した前期型GT3RS純正サイドミラー(後期型はユーロの規制強化で大型化)や、別注ゴールドのポルシェアロイのスポークをくり抜いた様なデザインである日本製エンケイ1ピース鍛造ホイールを加わえ、視覚的な「速さ」と日本のプライドを演じる一台へ、さらに、ウクライナから取り寄せたヴィンテージ感のある964時代の浮き出るようなトリッキーで大好きなフォントであるターボサイドデカールと73カレラRSをリスペクトしたデッキリッドデカール、ポルシェレーシングの歴史的サプライヤーエンブレムが織りなすディテール、唯一無二の個性を出したい等と、色々なパターンのスタイルを考えさせてくれる楽しい車です。

走行性能においては、これ以上の満足は考えられません。
「3ペダルのマニュアル」ということでの楽しさもさることながら、997ターボS(2ペダルPDKのみの設定)と同じタービンであるが故にECUチューンで同等かそれ以上のパワーを発揮出来る点、カーボンエアガイド&フィルター、EDLCキャパシタ、そしてフューエルキャタライザーが生む鋭いスロットルレスポンスと滑らかな加速感。これに加えて、メカニカルLSD(TCD)やモノボールキャンバープレート、S-PASMのプログラム変更によるコーナリング時の安定感は、まさにスポーツカーの域を超え、魔法のじゅうたんの様なフィードバックを実現しています。

RRレイアウトからくるブレーキング素性の性能も圧巻で、そこへセラミックカーボンパッドとスプリントポジション2ピーススリットローターの組み合わせにより、制動力と耐フェード性を格段に向上させ、ステンメッシュホースがペダルフィールをさらに正確にし、どんな速度域でも安心感があります。

内装も地味ではあるものの「触れるたびに満足」を感じさせるレザーステッチが随所にみられる仕上がりです。そこに特注ステアリングやショートスローシフター&ロングエクステンション&ウエイトノブ、SR7アルカンタラシートを加えて、さらに運転の楽しさを手のひらで実感させました。

実用性と快適性も兼ね備え、BOSEサウンドシステムとカロッツェリアサイバーナビゲーション、GPSレーザーレーダー探知機が、長距離のツーリングをより充実させる装備として機能させております。

そして何より、これだけのアップグレードを施しても、997.2ターボMTの本質的な「ドライバーズカーとしての魅力」は揺るぎないことです。

ステージ1のチューンにより、さらなるパワーを手に入れつつも、日常的な使い勝手の良さが損なわれることはなく、週末のドライブからちょっとした買い出し、さらにはガレージでただ眺めて1杯の酒を傾ける時間に至るまで、すべての瞬間が至福そのものです。

この車は「自分が求める理想のポルシェ像」を実現しただけでなく、車との対話の中で新たな行動や発見や感動を提供し続けてくれる、唯一無二のパートナーです。

先ず、国内の市場はおろか、世界の市場ですら売りに出ている個体を見つけ出す事は困難を極める事になるでしょうが、もしも見つけたのならばそれはほぼ「奇跡」です。
迷わず購入する事をお勧めします。
銀行でマイカーローン上限MAXを組んででも、その「ユニコーン」を手に入れるべきであると考えております。

私は絶対に売りません。ですが・・
「ポルシェ959Sかブルース・カネパの959SCと交換しない?」と言われてしまったら、その心は揺らいでしまうかも知れません。笑


一生の乗るつもりの「強い絆を持った相棒」です。兎にも角にもイチオシの車です。
デザイン
5

勿論、人それぞれ好みは「十人十色」でしょうが、私はポルシェAGが自社株の大半を保有していた頃の「純粋な"ポルシェ社製最後のモデルが997"」であるという事実を贔屓目で見ていようとも、それらを度外視したとしても、
「ポルシェがギュッと凝縮された最高に纏まったデザイン」
であると考えております。

全長、全高、全幅、のサイズやバランスしかり、前後左右のトレッドが極めて正方形に近いフォーメーション、その全てが「完璧なもの」として目に映るからです。

内装のデザイン一つ取っても、素朴さの中にさりげなくレザーとステッチ、アルカンターラのルーフが上品にあしらわれており、決して嫌味の無い雰囲気に好感が持てます。

「ドライビングに集中する為のコックピット」として、最低限の物以外は徹底して省いている様にも感じる、実にジェントルな空間であると感じるのです。

そもそも自分は生え抜きの「元アンチ911」の幼少期、青春期を過ごした者でありまして、ポルシェはジェームスディーンの356や550、モビィーディック(クジラ)の935、956、962C、961、959、928、パナメリカーナ等への憧れを持っていた究極のへそ曲りで、「人々が囃し立てる911(930や964)」にはどこか対抗心があり、「ポルシェに乗ろうと決意」したのも水冷四駆ターボMTの959がキッカケでした。

930・964の可愛らしいデザインからポルシェの世界に入った訳でもなく(953は好きでしたが)、路面や天候を選ばずに爆走するハイテク959が世に出るまでは、F40と悩んだとはいえ、むしろフェラーリ512BBやクンタッシュQBのファンであった位であるからなのです。

こと997ターボに関しましては、リアバンパー下部のインタークーラーから空気が抜けるダクトフィン形状が、「959を彷彿とさせる点」に目がハートとなった訳です。

そもそも、初の水冷911ターボである996ターボが出た当時、周りではかなりのブーイングが聞こえておりましたが、私は密かに「いや、いいじゃないのよ。・・最高だよ、959みたいで。・・」と思っており、あの「サイドダクト」と「リアバンパーダクトフィン」の形状になんとも心をくすぐられたもので、友人達で「家鍋」をしに集まった時の自分の夢の話で「996ターボに乗りたい」と話したくらいでした。

それくらい、この点は自分の中では"ハイライト"です。
目が丸型である点が好きである点も、930や964の「真円」ではなく、959と同じ「楕円」である点も大きかったです。

また、自身の997.2ターボにはオプション設定の「エアロキット」というノーマル形状とは異なる「フロントリップ」と「固定式リアウイング」がボディー同色塗装で装着されており、何百時間もの風洞実験から生まれたデザインを有している点も気に入っております。

純正ノーマルのフロントリップは真下にストンと下がる形状の物が採用されており、このリップを含めたエアロ部分はボディー一周全て「ABS樹脂の素地で未塗装」となります。
また、ノーマルの羽は「油圧式リアウイングが一定の速度以上でせりあがる」構造になっておりますが、このユニットは非常に重く、壊れる事でも悪名が高く、値段も高いのです。

対してオプションのエアロキットパッケージでは、ノーマルのリップよりも少し「前へとセリ出た形状」のものとなり、併せてエアロばボディー一周同色でペイントされております。
塗装面にすることで滑らかにして空気抵抗を低減させる狙いがあると考えられます。
また独特のデザイン形状を持った「2枚羽固定式リアウイング」は油圧ユニットが無い分非常に軽量で、壊れる事もなく、ボディー後端の重量を削減する事によって走りへの影響もあるとされております。

ポルシェはこれら「エアロキット」リリースのアナウンス時、「ノーマルの車両と空気抵抗値を同等としながらダウンフォースのみを生み出すデザイン形状とした」と自信に満ちており、旧型の前期997.1ターボ(3.6L)にも「正規ディーラーからパーツ装着を受け付ける」としました。
とは言え、パーツ代と塗装と装着で300万円程したとも言われており、装着した方は皆無に等しいのではないでしょうか・・。
と同時に、ポルシェはノーマル形状の「油圧ユニットの故障」から逃げたかったのではないかと、勘繰ってしまいます。

「"最新のポルシェは最良のポルシェ"と言われていた時代の最終形態」として、『997』は「ポルシェAG黄金時代最後の寵児」とも言えるアイデンティティーを有したデザインであると感じます。
2012年、ポルシェAG旧経営陣が刷新され、
「"最新のポルシェは最良のVW.AG"」
となった今、"997"はまた新たな価値をジワリと生み出したのではないかと考えております。
走行性能
5

キーシリンダーにキーを入れると"シャコッ"と電源が目覚め、オモチャのペダルの様に軽いクラッチを踏んでから、オンに回すのも非常に軽く、まるでただのボタンスイッチのように簡単に、呆気なくクランキングします。

エンジンの掛かりからアイドリングにかけては、
「あぁ、今(現代)の車だな。・・」
という感覚があり、このDFI直噴3.8Lエンジンはとても静かに、ピタッと落ち着いてアイドリングします。

ある種、997.1ターボの前期型ポート噴射式3.6Lメッツガーエンジンの「ガウーッガルガル」と吠える様なスタートの荒々しさは無く、「キュルキュルバヒューンンン」というような実に大人しい、拍子抜けする様な静かさとでも申しましょうか、同じ997ターボとは思えない、全く違う乗り物のエンジンをかけた様な感覚です。

好きか嫌いか千差万別あるとしても、この時点で、工業製品として「万人に進化した」と感じさせる、思い込ませる、植え付ける"演出"はあるのだと思います。

空冷時代から使われていた併せブロックの強靭な「GT1ブロック」を捨て去る事には、ポルシェも勇気がいる事であっただろうなとも思いますが、その分、その上を行こうと重心を下げたり軽量化に勤しんだりと努力し、頑張って設計したエンジンであるとも感じ取れる物です。

「荒々しさの中にしなやかさがある」ポート噴射式3.6Lメッツガーブロックエンジンに対し、この直噴DFI3.8Lエンジンは「下から上まで一貫してしなやか」という印象で、エンジンをモーターと表現すべきかと悩む程です。

とはいえ、3000rpm位から「確かにポルシェのフラット6だ。・・」という事が室内に届くサウンドで明確に分かってきます。
「ヒィーッコーゥッ!」と叫ぶタービンのスプール音なども、ポート噴射時代よりも鋭くスパッとキレがある様なサウンドで、それらはエアクリーナーなどをハイフローな物に変えたり、リサキュレーションバルブをアルミビレットに変えると如実に分かりますが、PCM(コンピューター)のバージョンも変更になった事によって、より制御が繊細で緻密な物になっている事が感じ取れると思います。

PSM(ポルシェ・スタビリティー・マネジメント)をONのままにしておけば、アクセルレスポンスもダルな傾向で多少は大人しいのですが、余計な制御は外したい、車の深い所まで、素の状態を愛したい私にとっては「PSMは障害という壁」以外の何者でもありません。

街乗り以外の大抵の場合、PSMは「OFF」です。その方が車自体も「タガが外れて」気持ち良さそうに元気に走ります。

これを、3ペダルのマニュアルスティックシフトで操る気持ち良さと、下からギュンギュンと立ち上がるブースト圧の快感と恐怖が隣り合わせであることとを、どの様に表現すれば良いか悩みますが、"操作ミスが許されないジェット機"に乗っている感覚があります。

機械工学的に「直噴エンジンはターボと相性が良い」と言われておりますが、まさにそれをそのまま"体現"しているような車です。

"ワープ"や"瞬間移動"と表現すべきか、前方に走る全ての車が「パイロン」に見えてくる様な狂気を感じるのです。

フルノーマルであっても最初は、目の中の黒目が左右に分かれて「軽い脳震とう」の様な感覚に陥り、「こんな物、常識的に一般人に売っちゃダメだろう!」と思わされましたが、次第に慣れてゆきます。

Hパターンのシフターも、シフトストロークは短くはない(純正オプションクイックシフターもありますがやや重い)ものの、標準の物でも適度な遊びがあり非常に軽くて素早いシフトが可能で、フィーリングはとても良いです。
私はヤグラごと変えるオールアルミのクイックシフターに変えておりますが、純正ノーマルのシフトフィールも好きです。

クラッチはブースター付きである為、子供の頃に乗ったオモチャのペダルカー、ないし、スポーツ自転車の軽目のギアを踏み込む位に軽いので、とても楽です。

ノーマルタービン、ノーマルマフラーで吸気系だけ少し、そしてコンピューターチューンのステージ1だけチョロっと、これで約550〜570馬力程度か、冬場にオーバーシュートしても600馬力には満たないそれ以下、トルクは70〜75kgくらいか、車重1530kg程、この数値だけを見ると、現代のスーパーカーに比べて車重はやや軽い傾向ではあるものの、馬力やトルクは今やさほど驚く程の数字ではないのかも知れません。

しかし、ポルシェ911というのは誰もがご存知の通り「リアエンジンレイアウトのRR」で、最も重たいエンジンが後ろにある為「信じられないようなトラクションが掛かる」のです。

恐らく、皆さんがポルシェ911にハマるのは「この点」であり、他の車では到底味わえない様な面白みと、理屈では言い表せない速さ、加速感があったりします。

さらにそのトラクションが逃げようも無い電子制御AWD、アクティブに動くエンジンマウントとなる997.2ターボは、クリッピングポイントから出口に向けては、怪物に背中を蹴り飛ばされるように駆け抜けるので、「世界一速いのでは?」と勘違いさせられる程です。

まるで「"フロントエンジン"の700〜800馬力級」のチューニングカーに乗っているかの様な"錯覚"におちいるのです。

これに、電子制御式ダンパー(PASM)、これらの制御モジュールに手を加え、PCM(車載コンピューター)を介してPTMとの連携をはかると、正に「忍者」の様に路面をスケートして行く訳です。

とは言え、腕に覚えのある方はおろか、ブロのドライバーでさえも、この997.2ターボの3ペダルマニュアルを操るにはソコソコの勇気と共に中々手を焼く事になるとも感じますし「オオオオッ!!」と唸るか、雄叫びをあげる車である事は間違い無いとも思います。

それにつけても、こんなマシンにホールド性が弱くて滑る、クーラー付き本革シートを標準で着けて平気な顔で売ってしまうポルシェにはビックリします。
「いつも6〜7割位でドライブを楽しんでね♪危ないから♪笑」
と言われている気分になります。
ホールド性の良いレカロ等のセミバケットへの変更は"必須"な様な気が致します。

「Nマーク」のポルシェ指定の純正ピレリーP-ZEROタイヤも、熱が入ればまあまあですが、やはり全体的にグリップレベルがマシーンに対して"追い付いていない感覚"もありました。
こんな私でさえも、即座に国産ハイグリップか、ミシュランのカップ2辺りを入れることをオススメしたくなります。

全く、ポルシェは「これにもGT2RSやGT3RSと同じようなロールケージやセミバケットシートやミシュランタイヤを入れて売らなければいけないでしょう!」と思わされる、実に考えさせられてしまう程、非常識や危険を感じる車です。

つまり「標準装備の本革シートやN指定タイヤなどを遥かに上回る走行性能を持ってしまっている危険な乗り物」であるとも思いますので、「理性をしっかりと持った方」ないし「分別のある方」、「それ相応に対策をこうじられる方」にとっては"最高以外のなにものでも無い車"だと、強く感じます。
乗り心地
5

まるで「金庫に乗っている」様な剛性感と安心感を感じ、気がつくとOXXKm/hという即検挙の様な速度域に達していたり、それを感じさせないボディー基礎構造が「本気と書いてマジ」であると痛感するのです。

この流線型の「ライオンの檻」の様なボディーは、その点で「足がしっかりストローク仕事をこなす」という嬉しい2次的効力を伴うので、非常に快適であると言えます。

ノーマルでも十分なのですが、やや「リアエンジンを感じる挙動」は良くも悪くも残っており、これはノーマルモードであろうがスポーツモードであろうが体感できます。

これが「911に乗っている感」として"良き方向"へ捉えるのであれば、そのままノーマルで乗るべきであると思います。

私は、この挙動があまりにも以前から乗ってきた車達と異なるという点、あるいは、ビスカスカップリング式AWDの空冷最終型「993ターボ」に乗っていた頃にも感じた"違和感"として残っていた為、余計に997.2ターボのS-PASMをはじめとしたアクティブエンジンマウントとの統合制御に「期待をし過ぎていた」と感じてしまう部分でもありました。

このRRベース特有の挙動をもう少し和らげたいと考える方向性でしたので、「S-PASMモジュールを全く別物のプログラミングがなされたモジュールを輸入して変更」し、"全く違う車"へと導き出しました。

ノーマルのS-PASMモジュールの「スポーツモード」はかなりハードです。ただただ硬いだけでツッパリ感もあるので、初めての方はビックリされると思いますが、これらを、3軸(3D)制御モジュールに変更するだけで、あからさまな変化を体感できると思います。

更に、1ピースアルミタワーバーを挿入したり、リチウムイオンバッテリーをインストールして軽量化したり、スタビライザーをリアだけ太いものへ変更、アッパーマウントを賞味期限付き純正ウレタン挿入式から6061航空宇宙アルミ素材のピロボール式へ変更して、更に足のストロークを活かす仕様とした次第です。

この様な内容を聞くと、かなり「硬い乗り味」をイメージするかと思いますが、むしろその逆で、スプリングやショックアブソーバーは純正のままを使用しておりますし、ノーマルモードでは、大袈裟に言えば「ロールス・ロイス」の様な乗り心地です。笑

そして、スポーツモードなどにするまでもなく、ノーマルモードでもギャップの多い首都高や峠やウエット路面でもガンガン攻め立てる事ができる様になっております。

むしろギャップや凸凹の多いロケーションでは、ノーマルモードの方が遥かに良いと感じる事すらあります。

この輸入品の社外PASMモジュールは、「Gフォーステーブル」「ブレーキングプレッシャーテーブル」「アクセレーションテーブル」「スピードテーブル」「ステアリングテーブル(パフォーマンストラクションマネジメント)」「ショックアブソーバーキャリブレーションテーブル」「ベロシティー(サスペンション移動速度)テーブル」「セッティング(サスペンション減衰セレクトモード)テーブル」の合計8つの"パフォーマンステーブル"で『加減速GやコーナリングGフォースメントを統合制御させる仕組み』となっているのです。

このプログラマーとは、2006年のデイトナ24時間レースから2013年のIMSA GT3カップ・チャレンジに至るまで、選手権タイトルを獲得してきたレーサーとそのエンジニア、技術者、プロドライバーのチームで、過去10年にわたりさまざまなプロフェッショナル・レース・シリーズでサスペンション・エンジニアリングの水準を高めることに貢献したそうで、ポルシェ・カップカーでの長年の成功から収集したレースデータと知識を駆使し、4本個々のショックの減衰レベルをほぼ「リアルタイムで制御するアルゴリズムを開発」した結果、生み出されたものとなっております。

また機会があれば詳しく取り上げますが、とにかく、自動車のエンジン系コンピューターチューニングと同様に、サスペンションコンピューターチューニングも「プログラマーの腕次第」という様なところがあるという訳です。

こういったハイテクなチューニングを施す事が出来る点も、この997.2ターボMTの魅力となっております。

この様なハイテクなソフトウエアの利点にかまけず、ハード面でも純正ホイールよりもさらに軽い1ピース鍛造ホイールを巻き、リアは11J〜12Jへ変更、タイヤを305〜345へワイド化、ハイトを前後ともに上げ、前後のタイヤサイズ誤差(回転半径)を純正に合わせつつ(電子制御AWDである為)、レーシングスリックのタイヤの様に「分厚く」し、空気から窒素へ変更するなど「乗り心地と走りを両立させる様」細々したところまで配慮したセットアップとしました。
積載性
4

AWDであるが故、フロントアクスルファイナルドライブ(フロントデフ)が装着されておりますので、2WDの997に比べますとトランクリッドスペースは狭くなります。

しかし、イベント徘徊用のキックスケーターや1人掛けアウトドアチェアーも入りますし、リアシートにジャングルジム(ロールケージ)も無く、かろうじて人が座れるスペースがあります故、背もたれを倒して更に荷物を積み込むことも可能です。

なんと驚くことに、997.2ターボにもルーフにポルシェ純正オプションである「ベースキャリアを装着」する為のアタッチメントの爪が隠されており、そのキャリアに更にポルシェ純正オプション品である「バイクキャリア」や「スキー・スノーボードキャリア」や「ルーフボックス」を搭載する事が可能なのです。

ただ走るだけの要素ではなく、他で遊ぶツールも積載できるスーパースポーツなどは世界中を見渡しても中々無いので、この遊び心を忘れないポルシェには脱帽と言わざるを得ません。・・
燃費
3

フルノーマルの状態(リア305タイヤ・オープンないし純正ヘリカルLSD)での燃費は、アベレージ8.4〜8.9km/L位の燃費で、「四駆ターボ」としてはソコソコ許容範囲内であると思います。

これにコンピューターチューンや諸々のライトチューンを施し、リア345のミシュランCup2タイヤにOS技研LSD(機械式トラクションコントロールデフ・TCDインストール)と、盛大に転がり抵抗が増えた状態での燃費アベレージは7.7〜7.9Km/Lとなっており、これは致し方無いのかなといったところです。

ついつい気持ち良くてアクセルを踏み込んでしまうのでこの様な数値となっておりますが、もしかすると「我慢強い乗り方が上手な方」であれば、もう少し増えるのかも知れません。
価格
3

この車が新車で販売されていた当時、1ドル=¥77円という、今では考えられないような「円高」でした。

とは言え、その当時は新車のベース車両価格税抜き¥2035万円、「オプションで儲けるシステムを構築した元祖であるポルシェ」と言われている911ターボに、メーカーオプションカラーのバサルトブラックメタリック、エアロキット、ボーズサウンドシステム、サンルーフ、クルーズコントロール、クーラー付き本革シート、スポーツクロノパッケージやらを選択し、一体「合計税込みいくらになるというんだよ・・。涙」と、これを正規ディーラーで買うなんて"遥か彼方の夢の車"で、枕を濡らす日々でありました。

「やっぱりポルシェ911は空冷だろう」と苦し紛れに空冷至上主義を装い、「993ターボ」を買う事に焦点を定めました。

これが"功を奏し"、ギリギリ「空冷ポルシェ高騰」の手前の頃で、アメリカから個人売買で、とある有名人選手が乗っていた「993ターボ・エクスクルーシブパッケージ(オーダーメイド特別仕様)」を、ローン途中であったアメリカ人オーナーから格安で個人輸入したのです。

しかし「ビスカスカップリングAWD空冷993ターボ」は、ドライビング感覚とそのパッケージングに納得が行かず、「水冷ターボエンジン電子制御AWDの959」とは条件が合わず落胆し始めたのです。

既に新車でデビューしていた991.1ターボは、「サイドハンドブレーキが無くなりボタンパーキングブレーキとなって巨大化したATしか無いVW.AG100%傘下の車」になった事実にも幻滅し、全く興味がわかず、
「やはり後期3.8Lの997.2ターボMTしか無いな・・。」
と、新車で買えなかったあの"悔しさ"が沸々と湧き上がってきたのです。

この時、既に中国バブルから「空冷ポルシェ911(MTのみ)の爆騰」も始まっており、現在のスカイラインGT-RをはじめJDMの高騰などは全く無いというような時代で、「価格高騰の元祖」との肌感が強い「空冷ポルシェ911(993)ターボ」を欧州へ「輸出販売」して、"為替の差益と合わせた資金"を得たのです。

「よーし!997.2ターボMTを買うぞ!」と意気込んだのも束の間、これが全く見つからないのです。
日本はおろか世界中で探しましたが、「皆がPDKの2ペダルに飛び付いた年代」だけあって、数年に1度出るか出ないか、出たと思えば消えて無くなるのです。

できれば「日本へ輸出された欧州仕様」と思っておりましたが、それはワガママが過ぎる現実となってゆき、日を追うごとにジリリと値段は上がってゆきました。

ドイツ語に翻訳して交渉した1台しかり、マカオで見つけた1台はフランス語に翻訳して交渉しましたが、彼らは「輸出なんて面倒くさい」のです。地元や近隣国に買い手が見つかれば、手のひら返しに切られてゆきました。

イギリスで見つけた右ハンドルのキャララホワイト&ブルーレザーでスポーツクロノ無しの珍しい個体は、エージェントを雇って現地で写真を何十枚も撮って頂き、動画も送って貰いましたが、流石、雨の多い国で下回りはグサグサな上、すぐに他に売れてしまいました。

ドバイにはあるのではないかと探しましたが、全くの0台。・・

日本でも過去数年間たった2台だけお目にかかる機会があり、1台は関西で標準仕様のGTシルバーを見つけて新幹線に飛び乗りましたが、純正ノーマルショックが無くB16車高調仕様、フロントデフからのオイル漏れ、デッキリッド油圧ウイング故障でオイル漏れ、リアパッドセンサー配線の切れ、エアロダイナミックフィンが外れて無くなっているような状態、関東で見つけた1台は雪国で走っていたサビサビ&B16車高調仕様、ロベルタカップリングが装着されており、なんとトランクフロアーに穴を開けてユニットが取り付けられている様な始末で、本当に泣きたくなるような状況のものでした。

もう、アメリカ仕様でもいいやと妥協しようと思った時には「ASK」の価格表示、ましてや時代は1ドル=¥106円と既に「円安」方向へ傾きつつあるような状況で、当然、ユーロ、ポンド、はそれ以上の価格です。

もう病気がちな日々を送るそんな中「やっと見つけた」のです。それは、委託販売を専門とするギャラリー展示販売をするようなお店に「日本の正規ディーラー車」が個人売買で出たのです。

記録簿を調べると、海外メーカーのアクションカメラメーカーで有名なGoProの日本国内正規販売代理店名義で輸入されたもので、VINナンバーとオプションコードから「展示車・デモカー」としてポルシェ社が生産した1台でした。

これを発見した日は店舗定休日で問い合わせが出来ず、眠れない一夜を過ごし、朝一番で電話をして何気ない涼しい声で「現車確認がしたい、良ければ決めます。」とだけ伝えました。

もう、どれだけ程度が悪くても自分で仕上げれば良かったと、日本国内で2台もスルーしてしまった事を崖から飛び降りたくなる程後悔していたからです。

その委託オーナーさんも販売会社も、まさかそんな「希少な車」であるかなど知るよしもなく、私も涼しい顔で当たり前のように見に行き、「絶対に買うつもりで用意した手付金を握り締め」ている事を"ポーカーフェイス"で隠しつつ、「迷っているフリ」をして、値引き交渉を成功させました。

この時点で自動車オークション価格での991.1ターボS(PDKのみ設定)の相場価格より、世界の997.2ターボMT末端価格は遥かに高かったので、「"しめたっつッ!!"」と心の中でガッツポーズを決めたのは言うまでもありません。

全ての契約が終わった後、販売店の担当の方にいきさつ等々、色々な事を教えてあげると、目を丸くして悔しそうな顔をしておりました。

現在では、更に探すのが困難な時代に突入し、ロックダウンや異常な「円安」を機に日本国内から根こそぎ名車が消えて無くなったタイミングで、海外に全て流れたと見て間違いありません。

計約6000台生産された997.1ターボのMTですら日本国内では虫の息、計約10000台生産された997.2ターボ&ターボS(2ペダルPDK)ですら指折り、計約1000台の997.2ターボMTがそう簡単に見つかるはずがないのです。

見つけられる確率はほんの数%だと換算できますが、もしあったとしても「とんでもない金額」を言われることは「火を見るより明らか」になってしまいました。

私は日本国内で、997.2ターボ3.8LのMTに乗っている方とは「未だに1度も」出会った事がありません。

そんじょそこらの「にわかポルシェマニア」どころの騒ぎではなく、「ポルシェマニアのマニアの中での"ド・変態"が目をつける車」だと感じてなりません。

世界のポルシェフォーラム経緯から「売ってくれ」とオファーが来たりしますが、販売を断ると「私の時間を返せ!」と逆ギレられたりもします。
そういう「激アツ」な方が欲しがる車なのです。

"ガレージクイーン(乗らずに仕舞い込む車)"として現在爆騰中で有名な限定500台であった最終メッツガー3.6Lポート噴射式ターボエンジン2WDの「997.2GT2RS」、そして、限定600台生産の最終メッツガー4.0Lポート噴射式NAエンジン2WDの「997.2GT3RS4.0」、そして、"普段使い"されていて、現在の残存数がこれらを下回る数になっている可能性が高く、全くの未知数、程度もボロボロな物ばかりになってしまった"ポルシェ911ターボ史上最後のMT"、直噴DFI3.8LダーボエンジンAWDの「997.2ターボMT(エアロキットPKG)」・・・

現在、世にあるポルシェ、はたまた世にあるクルマの中で『最も値付けが難しい車』だと感じるのは私だけでは無いはずです。

少なくとも自分は「ブルース・カネパ」が造るコンプリートカーである"ポルシェ959SC"に乗り換えられる程の値段でない限り、売るつもりは全く有りません。※$2,920,000 USD(¥4億3800万円)爆!笑 ←半分以上本気の本物のド・変態です。w
故障経験

納車当時はいつもビクビクして乗っておりましたが、これが全く「壊れない」のです。物凄く「タフな車」で、海外でも"丈夫な車で丈夫なエンジン"だとして称賛されています。

*但し「997.2ターボ6MT」に限ります。

「PDK」は加熱によるメカトロニクスユニット(油圧制御システム)の内部コンポーネントのバルブやソレノイド不良、油圧漏れ等が挙げられております。
症状としてはシフトチェンジの遅れやギアが入らない、不安定なシフト挙動等、クラッチ交換が出来ず、アッセンブリ交換を指摘されるケースもある様です。
PDKのクラッチ交換は海外でもできるショップが限られており、シフトの不具合やスリップ感がある場合は注意が必要です。
その他、PDKユニット周辺のオイルが漏れ(主にシールの劣化や高温による損傷)、過熱問題(高温警告ランプの点灯やトランスミッションのパフォーマンス低下)、電子制御ソフトウェアの問題、予期しないシフトダウン、ギアがロックする、または車両がリムープモード(セーフモード)に入る等(PDK制御ソフトウェアのバグや互換性問題)が報告されております。
其々、ディーラーでのソフトウェアアップデートが必要であったり、トランスミッションオイルクーラーのアップグレードや冷却システムの点検が有効とされております。


レビュー一覧へ

レビューを投稿する

マイページでカーライフを便利に楽しく!!

ログインするとお気に入りの保存や燃費記録など様々な管理が出来るようになります

まずは会員登録をしてはじめよう

PVランキング

注目タグ

最新オフ会情報

ニュース

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)