盆踊り！

shifoさんのブログ（おっと、正確には(運)さん　←）のおかげで，30年近く前の出来事を思い出し，当時受けた衝撃が甦って頭から離れなくなってしまったので，早く忘れ去るためにも，ここに書くことにします．






"Orgy Of The Dead"

作品に登場する夜の魔王（？）によると
「恐怖のあまり気を失ってしまう」のだそうな．

今にして思えば，別の意味で気を失ってしまいそうです．


いかんせん日本公開は30年近く前，元々の製作は1965年だそうですから，最近のホラー映画のような特殊効果は望むべくもありませんが，あの手この手で，観るものを恐怖に落し入れます．

例えば...

冒頭，車で墓場へ向かうカップル，

「怖いわ，引き返しましょうよ」

なんて棒読みの会話を交わしている窓の外は真っ暗．
でも次の，引きで車の走行を映しているカットは，真っ昼間．
で，次の車内は再び夜．

昼と夜を瞬時に行き交い，冒頭から観る者を不安な気持ちにさせます．




また，↑に書いた魔王は，その台詞を口にする際，視線が定まらず，

まるでカメラ後方の，カンペを読んでいるようで

魔王の恐怖感を煽り立てます．


ネタばれになるので詳しくは書けませんが，

どうやってもそうは見えない，半裸の死霊のねーちゃんたちが全編，ひたすら踊り続けるだけだなんて，口が裂けても言えません．


しかしラストは，今にして思えば，結構啓示的なものです．

シュールな踊りを見せてくれた死霊（なのか？）のねーちゃんや魔王たちも，日の出とともに消え去るのですが，この逸話，日本神話の天岩戸伝説を彷彿とさせます．

天岩戸の前で肌もあらわなアメノウズメが神懸かりの舞を披露すると，アマテラスが岩戸から現れ，世の中に光が戻る．

30年後に新しい発見があるなんて，なんて奥が深い作品なんだ！


もしこの映画を観たいと思った方がいるのなら，一言忠告しておきます．









観るな！


早送りボタンの準備をお忘れなく．