レッドブル、翼を授ける相手が違うんじゃよ!
ウェバーじゃなくて、ヴェッテルに勝たせてあげて欲しかった…。
嗚呼、アブダビまでタイトル獲得の夢を繋いでほしかったのぅ。
ともあれ、ライバル2名の脱落にも助けられて、14位スタートから5位に入賞したバトンが初のワールドチャンピオン獲得と相成った。
ヴェッテルが敗れたことは残念だが、この結果には素直に祝福を送りたい。
いままで走らないクルマで散々苦労してきたけど、漸く苦労が報われた。
前半戦の圧倒的な勢いが、すっかりナリを潜めてしまったお陰で、バトンの戴冠にうだうだと文句を言う人たちが居るけれど、ポディウムに登れなくても着実にポイントを獲得してきたバトンの磐石ぶりは、近年まれに見るほどに競争力が接近した今シーズンにおいて、十分にチャンピオンに値するモノであったと断言する。
特に、チームメイトとRBRの二人にポイントを詰められ始めた終盤戦でも、初戴冠のプレッシャーに負けず取り乱すことなくポイントを上積みできた点は大きい。
昨年、一昨年とタイトル決定が劇的であったために、バトンの戴冠にインパクトがないように感じるけれど、やっぱりタイトル獲得に相応しいドライバーはバトンであったのだ。
改めて、ワールドチャンピオン獲得おめでとう。
そして、消滅寸前だったチームをコンストラクタータイトル獲得にまで導いたロス・ブラウンと、バリチェロはじめチーム関係者全員に祝福を。
…まあ、今年のタイトルが、ややしょっぱい決まり方だったことは否定しないけれども。
以下雑感如例。
その1
ヴェッテル無念
鈴鹿でタイトルへの希望を繋いだヴェッテルの挑戦は、猛烈な雨に襲われた予選で事実上終わってしまった。
一旦小康状態になったかと思えば、いつの間にか豪雨になると言う不安定な降り方をした雨に、文字通り足元をすくわれて、まさかのQ1敗退。
ウェバーが予選2位を獲得した事を考えても、通常のコンディションであれば、フロントローを獲得できたはずであった。
決勝15番グリッドからスタートしたヴェッテルは渾身の走りで順位を上げていったが、4位入賞が精一杯。
最終戦を待たずして、ヴェッテルのタイトル獲得の夢は破れた。
残念極まりないが、ヴェッテルの言葉を借りれば、これも人生。
タイトル獲得こそ果たせなかったが、トラック上で最も輝く才能の持ち主の一人である事は、今季のパフォーマンスで十分に証明できた。
来期のタイトル獲得を目指して、ニューウェイ先生とがんばったらいいよ!
あと、今回の結果でRBRのコンスト2位が決定したのは喜ばしいことよね。
そう思っていないとやってらんない。
その2
恵まれないバリチェロさん。
04年以来の母国GPのPP獲得で、優勝に最も近かったバリチェロさん。
家族(余談だが、DNAの強さを如実に感じさせるご家族であった)も応援に来たし、もちろんクルマは速いし、すわ遂に母国初優勝なるかと期待されたのだが、うんざりするほどの速さを誇ったウェバーにトップを奪われてからはジリ貧。
遂にはクビサもかわされ、せめてポディウムをと望んだ終盤にはハミルトンにもオーバーテイクされる始末。
さらには、オーバーテイクされたときに、ハミルトンのFウィングが右リアタイヤに接触してパンクすると言う嬉しくないオマケつき。
結果、8位フィニッシュと言うがっかりな結果に終わってしまった。
なんなのだろうか、このインテルラゴスとバリチェロの相性の悪さは。
一回くらい、バリチェロに母国優勝させてくれたっていいじゃない。
来年は、今年ほど競争力に恵まれた環境になさそうなだけに、今回勝てなかったのは痛恨だなあ。
その3
クビサ、今季初ポディウム
開幕戦で見えかけたポディウムをヴェッテルと絡んじゃった所為で逃して以来、走らないF1.09で苦労していたクビサが、漸くポディウムに帰ってきた。
今回は、ウェバーが他を圧倒する速さを見せていたので、2位ポディウムという結果は今得られる最高の結果といって差し支えなかろう。
しかも、オーバーヒート気味になったエンジンを労わりながらのポディウムだったという事実が、結果により箔をつける
どうしようもない駄馬であったF1.09をここまで仕立て上げたヒンウィルのスタッフたちの功労は勿論だが、今回の結果は、やはりクビサの腕があってこそのものだったのではないか。
この勝負強さが、来期、疲弊したルノーでどう発揮されるのか、今から楽しみだ。
その4
マクラーレンの勝負強さ。
ヴェッテルと同じく雨翻弄され、コヴァライネン17位、ハミルトン18位と低迷したマクラーレン。
決勝でも、序盤のクラッシュに巻き込まれ、早々にイレギュラーなピットを強いられるなど、苦戦必死な筈のレースであった。
しかし、ここでただで転ばないのがマクラーレンの名門たる所以。
早々にピットを強いられた事を逆手に取り、タイヤローテーションをさっさと済ませ、ハードタイヤで実質の1ストップでハミルトンをポディウムに送り込むと言う素晴らしい仕事を見せた。
無論、ハミルトンの素晴らしいパフォーマンスがあってこその結果だが、こう言う勝負強さは他のチームには真似できない所だ。
だから、うっかりロリポップ上げちゃって、コヴァライネンにフューエルホース引きずらせちゃった事は大目に見てあげて。
その5
スーティル、超残念。
多くのドライバーが雨に翻弄される中、水を得た魚の如きパフォーマンスで、見事3番グリッドを獲得したスーティル。
イタリア以来の好結果を期待していたのだが、1周目でトゥルーリと絡んでリタイヤ。
ヴェッテルは勝てなかったし、スーティルは1周目で消えちゃうし、散々なGPじゃないか!
と言う個人的見解はさておき、トゥルーリはスーティルにマジギレしてたけど、ぶっちゃけアレはトゥルーリに非があるように思えてならない。
確かにアウト側に十分なスペースを空けていないのに、後方を注意してなかったスーティルにも非はあるけれど、縁石に乗り上げてバランス崩して突っ込んだのは貴方ですよ、ヤルノさん。
結果的にアロンソも巻き込んじゃったし、怒りたいのはこっちだよ!
と再びどうでもいい個人的見解を示してみたり。
その6
可夢偉のデビュー戦。
鈴鹿でのクラッシュで背骨にヒビが入ったとかそんな理由で欠場を余儀なくされたグロックに代わり、F1デビューを果たした小林可夢偉。
結果は10フィニッシュ。
今のTF109の競争力なら入賞くらいはして欲しかったところだが、そこらへんはいきなりのデビュー戦だったし期待しすぎか。
結果は兎も角、肝心のレース内容は荒削りなポイントが散見されたものの、バトンを相手に果敢な攻防を見せたり、大先輩のフィジケラをオーバーテイクしてみたりと、大いに見るべきモノのある内容であった。
と言うか、ぶっちゃけ見ていて楽しいドライバーである。
不振を極めたとは言え、伊達にGP2で揉まれた訳ではない様だ。
どう少なく見積もっても、ウィリアムズの0Pドライバーより、遥かに光るものが有るように感じる。
実際、関係者の評価も良かったようなので、この勢いで来期のシートを獲得してくれれば、面白い存在になりそうだ。
それにしても、カート時代から速かったけど、その時以上に良いドライバーになったねえ。
おじさんは感慨深い。
決勝後の記者会見で、記者の質問に対してウェバーが綺麗に今季をまとめてくれた所為もあって、すっかりブラジルが最終戦だと思い込んでしまったけれど、よくよく考えたら今年はあと1戦残っていたのだった。
と言うわけで、次は最終戦アブダビGP。
なんかもうタイトルも決定しちゃったし、見るほうとしてはモチベーションが上がりづらいのだが、最終戦だけ見逃すわけにも行くまい。
なんやかんやと喧しい外野を黙らせるためにも、バトンには王者に相応しいパフォーマンスを期待したい。
と言うのは建前で、タイトル取れなかった鬱憤を晴らすためにも、ヴェッテルが大暴れしてくれることを願って止まない。
あと、アロンソとスーティルもポディウムに上がってくれたら、もう思い残す事はないよ。
いろいろな意味で胸のすくようなレースを期待しつつ終筆。