新ミドリーヌ号に乗り替えてまだ日が浅いですが、忘れない内に比較をしてみようと思います。
初代ミドリーヌ号である意味一番秀逸なのはステアリングの手応えかもしれません。
乗り始めた直後にも書きましたが、細身のラヴァリナレザー張りの感触が良いのはもちろんですが、中立付近からの遊びも少ない上に非常に滑らかでかつ手応えもしっかりあるという素晴らしさです。
そしてその手応えもステアリングの戻し方向でも滑らかな上にしっかりあるので、コーナリングに入る際に切り込む時だけでなく、クリッピングポイントを過ぎてアクセルを開けながらステアリングを戻す時も手応えが楽しめるのです。
当時のE90系の3シリーズや他のBMW標準車はおろか、これに匹敵ないし上回るのはポルシェの後輪駆動スポーツ(911、ケイマン、ボクスター)くらいといった印象です。
以前
B3GT3にお乗りの方とご一緒した時も「アルピナってステアリングを戻す時にも楽しめるって、他にはなかなか無いよね〜」と意見が一致したので、このステアリングの手応えは本当に素晴らしいと思っています。そしてもう一つ大切なのは
この素晴らしいステアリングの手応えが、24万Km走っても少しも劣化しなかった!!
という事実です。ステアリング系の部品の精度がよほど良くなければこんな事は無いのでは、と思ってしまいます。ずっと以前に乗っていてステアリングの手応えが全然無かったトヨタの2.5Lのチェイサーが、パワステのフルードをダメ元で新品に交換しただけでかなり良くなった(交換前は最悪でグダグダだったとも言えます)事がありますが、ノーメンテで24万Kmも高水準を維持したのは非常に立派だと思います。
D3Sのステアリングの手応えは標準のBMWよりはずっと滑らかですがD3Biturboの域には達していません。これから慣らしが済んでも向上する部分では無さそうなのでちょっと残念です。ただ、4WDである事、運転支援でステアリングアシストなどの駆動補助機構が入っている事などを考慮すれば、フリクションなどの面でD3biturboの滑らかさに届かないのは物理的に納得出来ます。
そしてこのステアリングの手応えのせいもあり、コーナリングの際に本当にステアリングが一発で決まります。例えば前に乗っていた(ツーショット写真の左側の)BMW 135iクーペと比較しても、本来コンパクトで振り回しやすいと思われる135iが6気筒のN54エンジンを搭載しているために鼻先がやや重く(実は両車とも前輪荷重は790Kgと全く一緒!)、コーナリングアプローチでは135iがしっかり荷重をかけてやや慎重に切り込まないと綺麗に曲がってくれなかったのに対してミドリーヌ号はスイッと素直に曲がった上に、予想よりカーブがきつかった場合でもステアリングの切り足しでグイグイ曲がる車でした。
乗り替える前には「車体も大きくなるし幅も5cm広くなるので運転しづらくなるかな」と思っていたのですが、実際には逆に小さい車に感じてワインディングでもしっかりライン取りが出来ました。おまけに図太いトルクが瞬時に呼び出せるので、知らない道でも不安なく楽しめる車でした。
以前
広島にお邪魔してBMW乗りの方達とご一緒した際も、皆さんで乗り合わせて地元の道を走らせていただいた時に、様子見で抑えて走っていたにも関わらず助手席の130i(自然吸気6気筒)乗りの方が「えーっ、そんなスピードでコーナーに入るのですか!」と驚かれた事があります。
エンジンに関しても、デビュー当時はBMW唯一のディーゼルエンジンでしたがMT仕様だと5200回転、AT仕様でも5000回転まできっちり回る気持ち良さで、なおかつ2ステージツインターボなので低速からもディーゼルの太いトルクが楽しめるという秀逸なエンジンでした。比較の性能曲線からも読み取れるようにBMWだけではなく他社のディーゼルエンジンのパワーカーブはピークに達するとそこからはかなりパワーが落ちて行くためレブリミットまで回す意味はあまり無いのですが、D3Biturboだけはピークを過ぎても落ち込みが少なく、レブリミットまで綺麗に回ります。
ガソリンエンジンとは趣が違うので好みの問題もあるかと思いますが、本家のBMWのF世代にディーゼルエンジンが投入されてからも、試乗をしてもD3Bturboの方が低速側も高速側も気持ち良く回りトルクも太いため8速ATなどの進化はあっても標準のBMWディーゼルに買い替える気は起こりませんでした。3シリーズもG20世代になってツインターボ化したので実力的にはほぼ追いついたかな、という印象を持ちましたが、それでも明確な優位性は感じないまま新ミドリーヌ号への買い替えになりました。
乗り心地に関しても同世代のE90の3シリーズに比べると二回りほど太いタイヤを履いているにも関わらず明らかに良かったです。ただこれはこの時期のBMWがランフラットタイヤの導入期だったせいもあるかもしれません。それでも、非ランフラットのミシュランのPS2に合わせたセッティングやダンパー、ブッシュのチューニングにアルピナならではのノウハウがあったようですね。
シートについても一見廉価版と思えるファブリック仕様ですが(敢えての選択です)、その当時の本革のダコタレザーに比べると当たりが柔らかでしっかり沈み込む感触があり、ホールドも良かった
です。冬場でも冷たくなくて快適でした。最近のBMWやアルピナだと(というか、他メーカーでも)ファブリック仕様が選べないのは本当に残念です。安易な人工皮革やアルカンタラ生地に走っているのはシート本来の機能から考えると最適とは思えません。
そして純正のiDriveではなく大改造でダッシュボードに埋め込んだパナソニックのカーナビでしたが、この当時としては高解像度で地図やTVも見やすくて高性能でした。iDriveの純正モニターと同じ場所なので見やすい上にモニター画面のすぐ下のボタンで操作出来、タッチパネルにもなっていたのでかなり便利でした。TVの番組表などもきちんと我が家のBlu-rayレコーダーと一緒の表示や操作になっており非常に扱いやすかったです。
おまけにミドリーヌ号はステアリングリモコンも装着したので、運転中は目線を下に落とさずに全ての操作が出来てストレスがありませんでした。純正のiDriveより操作性が良いくらいでした。更に手持ちのガラケーが同じパナソニック製だったため携帯との連携も万全でした。新ミドリーヌ号のカーナビは運転中はほとんどの操作が出来ない上に手持ちのガラケーとは連動せず(Bluetoothで認証画面までは行くのですが、そこから繋がらないという情け無さ!)、最悪の出来です。本当の評価はiPhoneに変えてCarplayなどと繋げた時ですね。
D3Sの本当の評価は慣らし運転が終わり、iPhoneとの接続が出来てから(これは多分来年春です)になりそうですが、改めて初代ミドリーヌ号がどれだけ優秀だったかを痛感しました。ALPINA D3Btiruboにお乗りの皆さん、大切にしてあげて下さい。
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ALPINA D3 Biturbo | 日記
Posted at
2022/09/13 06:28:27