H56的ATコンピューター修理②内部&病巣追撃編
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
今日から12月、
日に日に気温も下がってきましたね。
気温が下がれば機嫌を損ねるアレも続出してるのではないでしょうか?
そんな訳で今回も前回に引き続きATコンピューター修理編で~す。
前回の整備手帳ではケースを開頭しただけで終わってしまってましたが‥今回からは病巣内部へと進みたいと思います。
ただ、毎度お馴染みのパターンなのですが…書いてる輩がアホなんで…途中で話が大きく脱線する場合があります(笑)
その為に作業内容が滞る場合が多々ある事を御了承下さい。
おっと!内部を弄る前に下準備をしておきます。
って言うのはこのATコンピューターが完全密閉式の為にどうしても上部からのアングル画像になりがちです。
実験機として特化させたATコンピューターなので少々作業効率を落としても内部を初めて見る方に深さと奥行きを把握し易いようにしてみました。
まず、サンドペーパーを作業台の上にひいてATコンピューターの切断面を当て込んでシコシコ平坦に削り仕上げておきました。
もう一点、直接的には関係ないのですが切断した表面の[側]?の裏面部分も同じくペーパーで平坦に仕上げてと・・(これが大変だす‥)
2
次に
今から新たに投入する電解コンデンサと元々取り付けてあった導電性高分子アルミ個体コンデンサとの比較をしてみましょうかね。
導電性高分子アルミ個体コンデンサは大きい方で本体が約6㎜・下部に樹脂の台座があるので基盤からの総高さは8㎜程度で低い&コンパクトに収まってますね~。
対して電解コンデンサは本体のサイズが約11㎜と既に導電性高分子アルミ個体コンデンサの全長を上回っています。
次に削って仕上げたケースの縁を《内側》から基盤までの高さを計ってみると15㎜をちょっと切るくらいの余裕があります。
注意して欲しいのは内部の高さ15㎜なる寸法はあくまでアバウトな寸法です。
切る人or使う道具によってバラツキが出るので参考程度に留めた方が良いかと‥
ケースとコンデンサ上部に1㎜程度の空間を確保するとなると‥端子の高さを2㎜弱ほどに留めてコンデンサ全長を13㎜弱で作ればちょうど良い寸法なのでは?と考えました。
まぁ、15㎜をちょっと切る寸法が[余裕がある]とみるか[余裕が無い]とみるかは人によって判断が違うかと思いますが
個人的な見解では[余裕がある]と思います。
それと電解コンデンサの極性は端子が長い方が+極で短い方が-極です。
これをニッパーでカットして基盤に投入します。
その際、切断したら極性が分からなくならないか?と、心配になるかと思いますが電解コンデンサ本体側面に(-極)側が白く塗ってあるので大丈夫!
カットした後は白く塗ってある方が-極で何も塗ってない方が+極だと解釈して下さいな。
3
画像使い回しで申し訳ないのですが(笑)
それでは《栗》の製作にとりかかります。
まずは症状の重い6J07号機を改め《タマ6J07改》に生まれ変わらせるぜぃ!
用意したのはハンダゴテ一式。(コテ30wと40w・ヤニ・ハンダ[電子工作用]・ハンダ吸着線)
ラジペン・ニッパー・ドライバー・カッター・
基本これだけ‥(爆)
「コイツやる気あんのか?」とお叱りの声も聞こえてきそうですが‥そもそも道具を持ってないからしゃ~ないやんかーい!(逆ギレ中)
まだコンデンサは必要ありませんよ(注・いきなりコンデンサを取付ようとしても100%成功しない)。
ここで必要なのは基盤側端子に[予備ハンダ]を入れる作業です。
作業にかかってすぐで申し訳ないのですが
《《ここがATコンピューター最大の難所です!》》
これを成功させれば後はラクチンですので。
まず、ハンダ吸着線をハンダゴテで基盤に当て込み端子表面の古いハンダを除去します
・・・ん?
ハンダを除去・・・
んん~?・・・
だからハンダを・・・・・・。
せやからハンダを・・・・・。
おんどりゃハンダを・・・・。
ごらぁ~!(;`皿´)
ハンダゴテを基盤端子に当てまくってんのに全然溶けへんやんかーい!
ハンダが溶けないから吸着線に古いハンダが吸われない‥。
ふぃ~!これには参った‥。
端子表面のクリーニングのですらこんなに難儀するとなると‥
これではこの作業工程で挫折する人が続出しそうなくらいの難易度やね~(苦笑)。
ようするにアレだ!
ハンダが溶けてくれないそもそもの原因は《熱が基盤側に伝わらない》からだ。
付けたつもりのコンデンサが基盤から容易にポロリと外れるのは端子側に熱が伝わっていない証拠‥。
先がおもいやられるなぁ~。
4
んで!
いきなり《栗》完成~!
たった5個のコンデンサをハンダ付けするのに要した作業時間はゆうに1時間半以上・・・(-"-;)
「こりゃ‥また‥なんちゅう作業効率の悪さだ‥!」
が、しかーし!
これでたまキチ終わりませぬ。( ̄3 ̄)
このグダグダな作業を強いられた結果‥。
アホなオッサンが得た情報量は凄まじく
簡単に解決方法を探り出したのさぁ~(≧∇≦)♪
その過程で《3速ホールド病の発症原因》まで突き止めたりましたわい!ガハハッ、( ̄∀ ̄)v(ドヤ顔)
決して作業内容を省略した訳ではございませーん。
ここから《栗鼠》のコンデンサ交換時に怒涛の巻き返しです。
前記したようにハンダゴテを当てても基盤側へ熱が入りにくいのがハンダ付けや古いハンダの除去を阻害していると記述しましたよね?
じゃあ、《何で熱が伝わりにくいのか?》って言う超基本的な事に気付くだけで解決への時計は一気に回る事になります。
それは偶然発見しました。
ハンダに熱が入らずイライラしながら延々とコテ先を基盤に当てていた時です。
表面のハンダが少し溶け始めた頃、作業を急ごうとテーブルに置いてあったATコンピューターを手に持って‥近くまで引き寄せたんです。
その瞬間!
せっかく溶け始めていたハンダがまた固まってしまいました。
「あれ?」
「何だ今のは?」
「・・・?」
「これって‥」
「もしや‥」
慌ててATコンピューターをひっくり返してみました!
5
大急ぎでATコンピューターひっくり返すと裏面は一枚のアルミ板で覆われています。
ひっくり返しつつ、コテ先を基盤側に当ててアルミ板を触るとアルミ板から猛烈に熱を逃がしています・・・!
この放熱性たるやマジ凄まじく
最初から熱伝導率のすこぶる良いアルミですけど‥普通に考えればその熱伝導率の良さが幸いしてハンダゴテの熱がアルミ板全体に伝わる筈だと思いがちですが‥。
それが驚くべき事にこのATコンピューターのアルミ板は殆どコテ先裏周辺部だけにしか熱を伝えていません‥。
基盤側から熱を奪ったアルミ板は猛烈に熱を空気中へと発散してしまいます。
そうか!テーブルに置いたままの作業(裏面のアルミ板がテーブルに密着した状態)では若干だけど熱の放出が抑えられる為にちょっとだけハンダが溶け出したんやな!
これを浮かしたまま(空間を作ってしまったり)してしまうとせっかくの熱がアルミ板によって空気中に拡散されてしまう為に基盤温度が下がるんか!
よし、これで基盤に熱が伝わりにくい根本的な仕組みが理解できたっす!
更にこの時点で3速ホールド病の発症の謎がおぼろげながら解けてきました。
んじゃあ、
自分の仮説が正しいか実験しよう
これはどうかな?
アホなオッサンはおもむろに冷凍庫からアイスノンを取り出し、その上にATコンピューターを置いてみる。
すると・・・
あぁ‥やっぱり‥(-_-;)、ATコンピューターはアルミ板を介してまず真っ先に《《基盤》》から冷やされとるわ(^_^;)
はい、
今のでピンとくる方なら分かりますよね?
元々コンデンサは寿命がある部品です。
それと《熱》にも弱い&《寒さ》にも弱い厄介な特性を持っています。
基本的にコンデンサが快適に作動する適温は20度から25度前後を差すみたいですが…これが外気温10度を下回るとコンデンサの能力が著しく落ちる‥。
コンデンサの主な仕事は一種の蓄電機能なので‥容量抜けを起こし始めたコンデンサに追い討ちをかけるように気温が低くく能力が落ちたまま起動させようとすると 必要最低限の電圧すら確保する事ができない状態に陥ります。
このネタはPCの世界では常識みたいで‥ 外気温10度以下の環境下でPCを立ち上げようとするのはHDDの破損や電源ユニットの起動不良等を招く恐れがあるので結構危険な行為だそうです。
いゃ~、驚きです‥ たった10度以下でですよ!
6
これではっきりしました。
全国的に初代パジェロミニユーザーを悩ますATコンピューターの3速ホールド病は内部基盤のバグや機械的な部位が病巣ではなくて
基盤と密着してるオーバースペック気味なアルミ製ヒートシンクが外気温を拾ってそのまま基盤に伝達してしまう為にコンデンサの温度を乱高下させてしまうのが原因です。
乱高下と書いたのは自分の考えではATコンピューター内のコンデンサの寿命を著しく縮めてしまうのは冬季ではなく《夏期》にあると睨んでるからです。
夏場の締め切った車内の温度は皆さんも想像できるかと思います。
その暑い車内でATコンピューターのアルミ板はその特性から周りの外気温と同調してる筈です。アルミの温度=基盤の温度だと解釈してみて下さい。
この状態からエンジンスタート!
コンデンサは特性上、自らも発熱します。
この際、基盤へ向かう熱と密閉された空間内に放出される熱と別れると思われます。
内部に滞留したままの熱は密閉された空間故に放熱性が悪く外部温度より内部の空間温度はかなり上昇傾向にあるのではないでしょうか?
コンデンサが弱るのは外気との差が+10度以上からとの説もあり。
もしそうならコンデンサは自ら発した熱で自己崩壊を招いてるのか…。
コンデンサに耐熱温度が設定されている事からも内部温度上昇の差が高ければコンデンサには致命的‥1夏でかなりの容量抜けが発生すると思われます。
そう言えば温暖な地域では容量抜けが末期状態になるまで分からない事例がありまして‥。
これがすごく厄介で‥ 夏場に発症した3速ホールド病は発症と同時にコンデンサの蓄電能力はほぼゼロ近くにまで容量抜けが進んでる為に発症と同時にいきなり重症度が高く‥ 温暖な地域ではATコンピューターを温めても全くダメです。
既にコンデンサの寿命が尽きた=もう使い物にならないのでコンデンサ交換に踏み切らないと何をやっても復帰しません。
今まで沖縄や奄美にお住まいのパジェロミニ・Jr.のオーナーさん数名から何回か変速不良の相談を受けてましたが‥
その当時は発症と共に何故か重症化している理由も仕組みも分かりませんでした。
今更ながらオーナーさんには申し訳ない気持ちと共に ATコンピューター裏のアルミ板から始まった病巣の発症理由が今まで謎だった事を見事に点からと線へと結び付けていきます。
気持ちわるぅ~!
7
念の為にもう一度考えてみる。
病巣と発症原因はコレだと80%くらいは思ってますが…。
この検証説には自らの仮説も織り交ぜてるのでもう一度誤りがないかアホな頭で考えてみる!
あ、さっきのPCの話がにわかには信じられないor興味のある方は《寒冷地PC作動不良》で検索してみて下さい。(ウジャウジャ出ますよ~笑)
で、その時PC作動不良を調べた時に己の目を疑ったのが電源ユニットの起動不良の項目。
記述によると電源ユニット内部のコンデンサ類が冷え過ぎてしまってて本来の蓄電能力を出せずに立ち上がりに必要な電圧を確保できずPCが立ち上がらない症状。
これって‥
そもそもPCとATコンピューターとでは比較したらアカンのかも知れないけど…あまりにも3速ホールド病と症状が似て・・いゃ、やっぱり似すぎてるんとちゃうか‥?。
あ、
そう言えば
何か過去にコレを連想させるような事を書いていた方がいらしてたな~?
たぶん‥、みんカラ内‥だったと思うんですが‥それがATコンピューター絡みのブログだったか整備手帳だったか自分の記憶が曖昧なのですけど‥
今思えばその方はこの3速ホールド病の核心を突く事を書いておられました。
その方曰わく
[ATコンピューター内のコンデンサの主な仕事は変速に必要なニトロの役割・ようするに起爆剤]
だと
記憶が曖昧過ぎて文章は正確ではありませんがニュアンスは同じ意味だと思って下さい。
うん!
やっぱり病巣と発症原因の方向性はこれで間違ってないと思う。
今なら分かる!
この一説はすんげぇ~、どストライク突いてた!
答えは最初から散らばってたんだね~。
もう一度簡単に解釈すると
ATコンピューターの中でコンデンサの役割は各ギアへの変速スイッチであって
コンデンサ内部の容量抜けと低気温の影響でコンデンサ内に起爆に必要なニトロ(電圧)が確保できない状態ならば
起爆(変速)できないんだ!
で、コンデンサ本体が少し熱を持って辛うじて電圧を確保できるまでの間は何やっても変速ができず‥いわゆる3速ホールド病なる状態になるんでしょう。
しつこくおさらいすると
真夏にコンデンサは弱り
冬場に発症
しかし温暖な地域ではこの限りではなく発症と同時に重症化。
多分これで間違ってない筈。
8
あぁ…ATコンピューターの修理工程がなかなか進まない不思議な整備手帳になってしまいましたね~。次こそは本来の整備手帳に戻したいっすなぁ~‥(苦笑)
ただ、この病の根本的な問題はもっと深く‥。
ここから先は三菱とアイシンの大人の事情がチラチラ見え隠れしてるので本来の整備手帳と平行してまだまだ続きます。
最後Pになりましたが、ちょっとだけ本来の《栗鼠》の製作に取り掛かりましょうかね。
《栗》の得られた作業要領を元にはじき出した新兵器が
コレ!
道具が無ければ考えればいいねん!
金が無いのをアイデアで凌駕すべしが己のモットーなんで
どこの家にでもある家庭用品をATコンピューター用SSTに変化させるとかは自分の得意分野っす(笑)
《熱が逃げるならその逆を突くべし!》
①まず、ヤカンに湯を沸かしま~す。
②次にポリプロピレン製のタッパー風の弁当箱を用意して‥
(レンジ対応品なら耐熱140℃まで許容するよ)
③ヤカンの湯が沸騰したら火を止めてしばし待つ(90℃~80℃くらい)
④やけどに注意しながら弁当箱の中にお湯を7割程入れて蓋をする。
⑤弁当箱の上にATコンピューターを置けば作業準備完了~!
⑥弁当箱の蓋に伝わる熱気で→あっという間にアルミ板は加熱され続け→当然のように基盤も温められる=それが何を意味するのか分かるよね?
ん?どっかでパクってる?
あぁ、そうさ!そうさ!発想の根本にゃ~、ペヤングが浮かんださ!もっと言うならエースコックのイカ焼そばも浮かんだよ!(また逆ギレ)
だいたいATコンピューターとペヤングとのコラボなんて京都の某アホなオッサンにしか考えつかんのだ(笑)
そもそも自分からユルくてしょぼいアイデアを取ったら何も残らんしなぁ~‥(T_T)
最後に、みんカラの良い面はSNSなのにオープンサイトな所。
みんカラは沢山の人の協力でATコンピューター情報では他を圧倒しています。
誰でも閲覧可能なのを逆手に修理に興味のある方にはチャレンジできる環境は整えたいですね。
オクでは修理品も原価からするとまだまだ高価‥。
最近では原価数十円のコンデンサだけ落札者に送って作業要領の情報を教えるからウン千円ナリとか‥何ともケチ臭い新たな珍商法が出てきてますね。
自分が狙ってるのは価格崩壊ですので彼等とは真逆路線で行きまっせ!
おしまい
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