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2015/08/04

ジムニーで一週間旅してわかったこと [ジムニー長距離ツーリングインプレッション]

ジムニーで一週間北海道をソロツーリングしてきた。


旅の詳細はフォトギャラリーに譲ることにするが、僕は今回、北の大地を2500km以上に渡りキャンプツーリングしながら、文字通りジムニーと寝食を共にし、ともに走った。
個人的に北海道にはこれまで何度か訪れているので、今回は特に目的地を決めずその日に気になった道を選び、時間になったら適当な野営場でキャンプするというスタイルでの旅となった。


ひょんなことからジムニーでの北海道ツーリングとなったわけだが、もちろん出発前に心配事がなかったわけではない。
小さすぎる排気量、屋根があかない(オープン乗りにとっては苦痛)、お世辞にも良くない乗り心地、ミニマムなキャビンスペース。
でも結論からいえば、旅が進めば進むほど、僕はこの660cc+5MTの古典的な軽四輪駆動への愛着が深まっていくことを実感していた。

またこの小さな車高の高いヨンクは、思いの外色んな人に印象を残したようだ。
この旅の中で、僕は何度となく"こないだ︎︎何処何処にいたジムニーの方"という声のかけられ方をしたし、このドロドロになった軽四を見て「ジムニーいいですね」という声を聞いた。


「ジムニーいいですね」

確かにジムニーはいい。
いかにも旅をするための道具という感じがする。
少なくとも、狭い日本の道を走るならこのスペースとサイズ、走破性には夢がある。


でも、夢だけで語るのが旅ではない。
北海道ツーリングをジムニーでという少し変わった方のために(普通の人にはレンタカーを勧める。何しろ快適だし、フェリーでの移送を考えても経済的だ)、長距離ツーリングのジムニーという観点での感想を記録しておこうと思う。


【この車の好きなところ】
■狭いが不便でない程度のスペース
 確かに最近のクルマに比べれば積載性は低い。
 天井は低いし、床は高い。
 でもバイクやオープンカーにキャンプ道具を積んで、かさばる一眼レフを載せ、さらにトレッキングの道具を詰めるだろうか?さらにソロ限定だがその気になれば、それらの荷物を外に出さずに中で寝ることすらできるのだ。

■︎文句ない走破性
 普段生活していて、ジムニーの四輪駆動モードに入れる機会がどれほどあるか。せいぜい雪上で使う程度か。
 さらに副変速機なんで下手すれば使う場所なんてないかもしれない。
 でも北海道の林道を突き抜けて山を越える時、ちょっとした段差を乗り越える時•••何の心配もなく乗り越えらられるのは心強かったし、積極的に林道や荒野に入っていける意味で、ジムニーでしか見られない風景がそこにはあった。
 さらにオフロードこそラインどりが重要。
 自分が路面と戦っている、そういう愉しみがこのクルマの運転には確かにある。
 豪快に段差や障害物を乗り越える時、豪快に揺れ動く車内で、「ああこのクルマは四輪駆動というか、四足歩行なのだ」と幾度となく感じた。

︎■思いのほか楽しいワインディング
 ジムニーで旅すると決めた時点でワインディングは諦めるつもりだった。
 ところが意外と楽しいのがジムニーでのワインディング。
 不足気味の排気量とタイヤグリップを、過重移動でコントロールしつつエンジンぶん回しながら後輪駆動のマニュアル車で駆け抜けるのは、他のクルマでは中々得られない情熱的な走りといえる。
 後続車がバイクやスポーツカーでないのならば進路を譲る必要は感じなかったし、前方にトラックがいれば性能の範囲内でワインディングを楽しめるという"いいとこ取り"なのもいい。

︎■出来の良い純正シート
 見るからに座り心地の悪そうなシートだが、その見た目と裏腹に適度なホールド性と硬さを兼ね備えた純正シート。
 個人的にはレカロシートへの換装の必要を感じなかった。
 実際、一日500km以上運転しても腰が痛くなるようなことはなかった。



【この車の好きになれないところ】
︎■軽すぎるパワーステアリング
 最近の乗ってるだけでアクビの出そうな大衆車ならこれだけ軽くてもいいかもしれない。
 その見た目と裏腹にジムニーのステアリングは水道の蛇口よりも軽い。
 やっかいなことに、ステアリングの中立地点でさえフラフラした遊びがある。
 基本的に乗り物というのは直進時に軽く手を添えるだけでいいものだが、この車は時々修正舵が必要となる。
 とはいえ、乗り始めてしまえばこっちのものだ(自転車に乗る時に絶えず修正舵を当てることを面倒がる人がいるだろうか?)

︎■クロス過ぎるギア、薄すぎる低速トルク
 時には高速道路に乗ることもあるし、登坂車線のない国道の急な坂道を上ることもある。(そんな時に限って後ろにバイクがいる)
 そんな時、もう少し低速トルクがあれば、あるいは高速巡行用に6段目のギアがあればと思わなくもない。

︎■わかっているけどひどい乗り心地
 走破性と引き換えに、ジムニーの乗り心地は一般的価値観でいう「あんたもモノ好きだねぇ」という部類である。
 北海道の路面にはしばしば過酷な気候からくる穴ぼこがあるが、これらを乗り越える度、ジムニーはドコッという突き上げと激しい左右への揺れを誘う。
 また一般的に道路というものは路肩に向けて少し傾斜しているものである。
 北海道の片田舎のもともと地盤が緩んでいるところや農耕車などの重量物が走る地域だと、かなり路肩側が沈んでいる。
 そんなところを嵩上げしたジムニーで走ると、ものすごく左側に傾斜した姿勢をとり続けることになる。
 だんだん自分の中での水平というものがよくわからなくなってきて、首も心なしか右に傾けたままになる。
 もし、あなたが真っ直ぐな人生を歩みたいなら、ジムニーに乗らないか、対向車のない限り出来るだけキープライトで走ることを勧める。

■︎もう少しどうにかならなかったのか、その気密性
 ロシアのジョークにこんな話がある。
 日本の技術者はクルマの気密性のテストのために、猫を一晩クルマの中にいれておく。
 次の日に、猫が窒息していたら、気密性が十分だと判断する。
 ロシアの技術者も気密性を試すために、猫を一晩クルマの中に入れておく。
 次の日に、猫がクルマの中にいれば、気密性は十分だと判断する。
 ジムニーは日本車だが、安心なことにネコは窒息しない。
 でも一晩経っても多分ネコは車内に残っている程度の気密性はあるだろう。
 でなければ車を内気循環にしてドアも窓を閉め切って走っていても、近くに海があり線路があり牧場があることに匂いで気付くはずがない。
 でもまぁ旅情を感じるには良いかもしれないね。



【あえて要望するのならば】
たとえばトランクを照らすライトを増設するとか、濡れても大丈夫なカーゴルームにするとか、傷つきにくい内装にするとか、荷物固定用のネットをオプション装備するとかしてくれるとありがたい。


【まとめ】
何がともあれ、長い旅をするなら、自分の好きな方法、好きなクルマで行くことが最も幸せである。
ジムニーより総合的にもっと優れた車は世の中にあろう。
もっとスマートに旅が出来る車も方法もあったはずだ。
だが僕にとってのジムニーは、不器用ながらも共に旅をし、かけがえのない思い出をつくるだけの価値がある相棒であった。
もしあなたが、クルマが路面と戦うのを共に愉しみたいと願い、外気との繋がりを感じる旅をしたいと願い、荷物をドサッと積んで時には雨宿りしたいと願うのならば、ジムニーはその相棒としてオススメできる。
Posted at 2015/08/04 23:56:15

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