まとめ記事(コンテンツ)

2024/03/29

アイドリングでは、バッテリーは充電されない?(前編)


ネットを見ると、バッテリーに関して「エンジン始動時に大量の電気を使う」とか、「アイドリングではオルタの発電量が少なく、バッテリーには殆ど充電されない」といった誤った情報がよく目につきます。

では、どこが誤りなのでしょうか?


(1)バッテリーが減る一番の要因は暗電流(スターターは大して食わない)

JIS(D5301)に始動用鉛蓄電池と定められているように、バッテリー本来の仕事はスターターを回すことですが、スターターには確かに200Aぐらいの大電流が流れますが、ほんの一瞬です。
実際、東京都環境科学研究所が行った実験では、エンジン再始動時(温感時)の電力消費量は、ガソリン車で1回あたり平均0.23Wh≒0.02Ah相当です(電力消費量なので本来Whで表示すべきだが、ここから先は5時間率容量で馴染みのあるAhで統一する)

一方、暗電流による消費量は、(財)電池工業会によれば、10~30mAとして0.24~0.72Ah/日です。
どちらが少ないかは、誰の目にも明らかですね。

つまり、1日乗らないだけで再始動時のスターターの12~36回分も消費しちゃうのです。
逆に1回始動しただけでは、仮に冷間時始動として上記の4倍かかったとしても0.08Ahで、バッテリー容量の僅か0.2%しか減りません(小型の38Ahのバッテリーとして)

アフィブロ辺りだと、「クルマのエンジンを1回かけるだけで、バッテリーの10~20%が一度に消耗するといわれています。」などと平気で書かれていますが、この事からも、アフィブロが「いかに役に立たない糞情報嘘情報の宝庫であるか」がよくわかります。


(2)どのぐらい放置するとバッテリーが上がるか?

さて、1週間乗らなかった場合は、0.24~0.72Ah/日✕7=1.68~5.04Ahを消費します。
先の38Ahのバッテリーなら、放電率は4.4~13.3%になります。
これが3週間なら13.2~39.9%、更に6週間なら26.4~79.8%となって、最悪エンジンが掛からなくなります(一般に60~70%の放電で掛からなくなると言われているため)
もっとも、バッテリーは車載状態ではそもそも80%程度までしか充電されていないと考えるべきで、また最近の車は暗電流も増えているので(特に駐車監視とかつけた場合)、上記の計算よりもっと早く上がるかもしれません。

なお、電圧と充電率の目安は、以下の通りです(開放電圧)
13.0Vを仮に100%とした場合、12.2~12.35V=50%、11.9~12.05V=30%
経験的には、12V辺りでスターターを回すのがかなり辛い感じとなり、11.8Vではウンともスンとも言いませんでした。


(3)エンジン再始動時の消費電力をどのくらいで回収するか?

先の東京都環境科学研究所が行った実験では、エンジン再始動時の電力消費量は、始動後10~30秒以内に消費量の90%が充電されているそうです(温感時)
想像していたより、あっという間ですね・・・でも計算してみると、仮に0.02Ahの90%を10秒で回収したなら平均6.5Aの充電電流が、30秒なら平均2.2Aの充電電流が流れた計算になるので、納得です。

この充電電流の差はバッテリーの充電状況(受入れ性能)によるもので、始動直後はオルタとバッテリーとで電位差が概ね1.5V以上あるので10A以上の電流が流れますが、バッテリーがほぼ満充電なら、すぐに1~2Aぐらいに落ち着きます。


後編へ続く
Posted at 2024/03/29 09:54:59

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