まとめ記事(コンテンツ)

2024/05/18

静電気とアルミテープチューン(前編)


以前、トヨタのGRエアロスタビライジングボディコート(アルミテープ)の提唱する理論を、流体力学の見地から検証しましたが、今回は静電気を焦点に話をします。

注)以下で使う「帯電」は、静電気による帯電を意味します。
帯電をそのまま訳すと、電荷を帯びると言う意味であり、広義には電荷の偏りである静電誘導等(※)を含む場合もあるようですが、ここでは含みません。


トヨタの理論は「空気は+の帯電をし、ボディも+の電荷を持つ。磁石の同じ極同士を近づけたときの反発力と同じことが起きて、本来ボディラインに沿って流れる空気が、ボディから剥離し、ボディと空気の流れに隙間ができて、その隙間のせいでクルマが上下左右に動き、不安定感や遊びの原因となる。」でした(モーターファンより原文ママ)

まず「空気は+の帯電をし、ボディも+の電荷を持つ」という行が明らかに変です。
理由は、走行により空気(=厳密には空気ではなく、空気中の塵や埃と思われる)とボディとの間で摩擦帯電が起きれば、どちらかがプラスでもう片方はマイナスに帯電しないとおかしいからです(電気量保存の法則)


↑帯電列(画像は、Electrical Informationより引用)


では、トヨタはなぜ「空気もボディも+の電荷を持つ」と言ったのでしょうか?
広報資料を書き写すだけの自動車評論家も、当然のようにそこはスルーしていたので、理由は解りません。

しかしトヨタが言うように「空気もボディもプラスに帯電している」のであれば斥力が働き、何もしなくてもボディに埃は付かないハズで、このコート剤を塗ることで帯電がなくなり「埃が付かなくなった」というユーザーの主張(個人の感想)とは矛盾します。

また、空気との摩擦帯電でボディが一瞬マイナス、あるいはトヨタの言うようにプラスに帯電しても、前回のブログで書いたように、タイヤがアースの役目を果たしている以上、埃の吸着はボディが帯電していたからではなく、重力(ドアよりも、ボンネットやルーフなどに多いのはそのせい)及び静電誘導によるものと考えられるため、埃が付かなくなった云々は典型的なプラシーボですが、いずれにしても「ボディも+の電荷を持つので、空気と反発し合う」は明らかな嘘。


つまりこれって、アーシングやコンデンサチューンと同じで、
またもや「前提が間違ってる」というパターン?

疑似科学って、こればっかだな・・・


(続く)


注釈
(※)たとえば、導体にプラスに帯電している物体を近づけると、正電荷による電場の影響を受け、導体表面側に負電荷である電子が集まる。
このとき導体がアースされていれば、(地球を含めた大きな導体となるため)導体内の正電荷はなくなり負電荷のみになる。

なお、不導体の場合は電子が自由に移動できないので静電誘導は起きないが、誘電分極が起きるので、結果としては同じ現象が起きる(不導体の表面が負電荷を帯びる)

Posted at 2024/05/18 18:27:22

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