まとめ記事(コンテンツ)

2013/02/22

MTの価値:補足(2):AT車の運転はMT車より退屈って?

FLAT6さんに触発されて、MTの魅力、ひいてはATとMTの違いについていくつかブログで述べてみました。

MTの価値について(1)プロローグ
MTの価値について(2)ATとの違いの真実
MTの価値について(3)色褪せない優位性

これらのキッカケでもあり、MTの存在意義について実に興味深く述べられているFLAT6さんのブログはこちらです。

MTとATの違いを考察する。(その1)
MTとATの違いを考察する。(その2)
MTとATの違いを考察する。(その3)
MTとATの違いを考察する。(その4)
MTとATの違いを考察する。(その5)

二人の表現方法は異なるものの、本質的には感じていること、言わんとするところは同じだと(少なくてもボクは(^_^;))思っています。

で、今回は3本にまとめたボクのブログですが、故にサラリと書き流してあまり深く述べなかったいくつかの部分を補足したいと思っています。

今回のタイトルは少し悩みましたが、MT車とAT車の対比で良く語られる以下の意見に関する話。
曰く

「AT車はクルマを動かしている実感に欠ける」
「MT車はクルマを動かしている実感がある」

なんてぇ意見です。

果たしてどっちがクルマを動かしている実感があるのか?という話ではありません(笑)。

どうしてこういった意見が交わされ、議論が起こるのでしょうか?という話です(^_^;)。

既に3本のブログで述べた通りで、MT車とAT車の違いは「エンジン回転数制御」と「クルマの速度制御」というドライバーの意識の違いを生み、その効果としてMT車の方がエンジンの味を素で味わえるメリットがある、というのがボク(と、FLAT6さんの)意見です。一方デメリットは運転操作がAT車に比べて煩雑となること、逆に言えばAT車は運転操作がシンプルであるが故に、楽であるとか、アクセル・ブレーキ・ハンドル操作により集中出来るメリットがあると言えます。

双方、メリット、デメリットはある意味、背反する関係にあって、各ドライバーが自身の価値観にしたがって好きな方を選べば良い。端的に言えば「道具としての利便性」なのか「玩具としての趣味性」かという話です。

しかしなぜか、冒頭に例示したような「クルマを動かしている実感」云々という言い方になるんですね。両者の優劣を語るかのようなそれは、あたかもAT車を卑下しているかのようにも聞こえます。

ボクは本編のブログで繰り返し述べた通り、MT車でもAT車でも、クルマを操る楽しさ(難しさ)は変らないと考えています。なぜなら四つのタイヤで動く(運動する)乗り物であることは同じだからです。

しかし実際、MT車とAT車の2台所有となって、前述の意見などを頭の片隅に運転をしていると、なるほど確かにMT車の方がクルマを動かしている実感とも言える印象がありました。

これは一体なんなんだ?

考えた結果、得られた答えがコレ↓です。

あくまで概念図ですが、縦軸に運転操作の難易度、横軸はクルマのスピードと思って下さい。「スポーツ走行度」と表現している理由は、絶対的な速度の高低とは一概に言えないからです。ジムカーナ等は低中速域、サーキットは中高速域と絶対速度に違いがあっても、運転の難易度は両者共に高くなる、という点をご理解頂きたい。
一般道の合法走行など、スポーツ走行度が低い(図の左寄り)場合のアクセル・ブレーキ・ハンドル操作の難易度は低く、より高いレベルのスポーツ走行(図の右寄り)になる程に、それらの操作の難易度はどんどん高まる、という関係性ですね。

で、注目頂きたいのがシフト操作です。スポーツ走行で難易度が多少高まるものの、それは早々に頭打ちとなり、それ以上に高まりません。この理由の大きな要因は「シフト操作はタイヤのグリップ力と直接関係が無い」からですが、一方このシフト操作は、一般道の走行などタイヤ性能に余裕がある領域に於いて、相対的にアクセル・ブレーキ・ハンドル操作より難易度が高いのです。

つまり、一般道に於いてドライバーにとり、シフト操作はアクセル・ブレーキ・ハンドル操作より存在感が大きいということが見えてきました。

或いはアクセル・ブレーキ・ハンドル操作は自動車の運転そのものであるという捉え方の方が自然かもしれません。それらは(当たり前ですが)不可欠な運転操作であるならば、ドライバーの意識としては「運転操作=シフト操作」に近い錯覚をもたらす可能性すらあります。

となれば成る程「MT車は運転している実感がある」という言い方(意見)は、そのドライバーの意識においてシフト操作の存在感の大きさを示すものと言えます。

そしてAT車ではその存在がゴッソリ無くなってしまうワケですから、残るのは必要不可欠なアクセル・ブレーキ・ハンドル操作だけあり、操作の難易度が低い(=存在感が薄い)となれば、「MT操作の喪失≒運転操作の消失」という印象を持つドライバーも居るかもしれません。

ただ、、、(^_^;)

もしそのドライバーにとって、シフト操作が意識の中で存在感が大きければ大きいほど、そのドライバーはシフト操作が下手クソって話になるんですがね(苦笑)。


ここからは余談ですが、以上の通りにAT車とMT車のドライバーに対する印象の違いを整理したら、マツダのSKYACTIV車に塔載しているi-DMの効果に想いが至りました。

i-DMはボクのブログで様々取り上げていますが、他社に良くある省燃費運転を判定する仕組みでは全然無く(苦笑)、運転操作を測定してドライバーの技量を点数化する、運転評価システムです。

このシステムはドライバーの操作によってクルマに生じた挙動、つまり荷重移動の良し悪しを見ていますので、良い点を取ろうとするとアクセル・ブレーキ・ハンドル操作に完璧が求められます。

ということは、、、
こういうことです。

一般道の走行であっても、速度の高低に関係なく、スポーツ走行と同様の高度な操作を求めるワケですから、ドライバーに対してそれらの運転操作の存在感は否応無く高まります。ボクはアクセラSKYACTIVを運転していて、シフト操作が無くなったにも関わらずNSXに負けず劣らず「運転する楽しさ」を感じること、そしてシフト操作に全く未練なく、マニュアルモードにしたい気分にもあまりならない理由を以上のように理解しました。

これはまた、i-DMが荷重移動を判定している点が非常に大きいと思いました。青ランプが点灯するということは、クルマに適切な荷重移動を与えられたことを示し、そうするとクルマは非常に合理的な(早い話が"良い")動きをするからです。

こんな側面から見ても、i-DMはやはりなかなか優れモノだと思った次第です(^-^)。
Posted at 2013/02/23 01:39:21

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