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イイね!
2013年02月15日

MTとATの違いを考察する。(その5)

前回で、MTとATで「全く異なるドライブになる」と言いましたが、ここにも重要なポイントが有りました。例えば、「仕事としての移動」運転と「車でのドライブを楽しむ」という具合に、運転にも違いがある、と言うことです。前者なら間違いなくATです。なぜなら使いたい神経は運転ではなく、結果の何か、、だからです。後者では、どうでしょう?。

ここが大事なクルマ選びのポイントにもなっているようですね。もちろん、ATではドライブを楽しめないと言うことではありません。MTがいざなう車の運転モードは、ATとは違う「人と車のコミュニケーションの世界」を提供してくれているのかも、ということです。


4、ボケ老人のためのMT?

私がMTにこだわる理由。それは、

①アクセルとタイヤのトラクションレスポンスがATでは得られないから。
これについては、現状DCTであれば、否定する理由にならない事が分かりました。また他のATにおいても、スポーツモードのソフト、ハード面での改良が進めば、ダイレクト感を高めてくることは期待できます。

ところが、
②走りを組み立てる「運転」を楽しみたい。
という、車を動かす、、ではなく、車を気持ちよく走らせるでもなく、「気持ちよく運転を楽しみたい」、そう、「車が主人公」ではなく「ドライバーが主人公」の走り、というドライブを求めるなら、実はMTという「クラッチを入り切りして」「シフトレバーを最適な速度段に入れる」という行為が、車と対等な対話をしている事になる。つまりコンピュータが自動で変えてくれる、、に置き換えられる、と思ったその自動化は、実はドライバーと車(エンジン)の対話を損なうことになってしまう。

ATでは運転が従動的、という点「ハンドル=位置、アクセル=加速、ブレーキ=減速」というスイッチャブルな操作に置き換わり「自動車の運転」を簡単にはしてくれた。けれども、運転を楽しむ=「エンジンの気持ち良いところを選ぶ」=最適なギアを選択する=という行為がやらされ感の段階を通り過ぎて、「回転数を選んで走る=エンジンを楽しむ、という領域まで来ると、それは苦ではない。
しかも、選んだギアでのエンジン回転があるところまで来ると、ドライバーの役割が回ってくる。「次はあなたの番」、、、と言うことでクラッチを切り、ギアを変えて、またクラッチを繋ぎ、アクセルを踏んで加速、、、また回転が吹け切ると「はい、あなたの番」というように、いちいち車とドライバーとが対話せざるを得ない。意識しようがしまいが、実はそうやって車に乗っている事に他ならない。 ところが、それだけなら、最初に戻るけれどDCTでギアを選んで走る行為となんら変わらないではないか?、という疑問がまた沸き上がる。この意識の違いは何だろう?。

ATとMTの違いは「自動変速」という違いだけれど、実は注目すべきは「変速」ではなく「動力の断・続」だったというところに辿りつきました。

トルコンやCVTのATの場合、感覚としては「1速のアイドリングから、例えば5速のレッドゾーンまでがあたかも1つの連続した広範囲なエンジン」となっており、意識は「速度」であって「回転数」ではない。

DCTの場合(2ペダルATも)、変速操作は人間が行うのではあるが、ギアを変える事は、上記ATと大差なく、例えば1速の回転が上まで行ったら、2速に入れて続けるわけだが、意識するのは「速度」半分、「回転数」半分という奇妙な感覚である。けれど突き詰めれば「速度」が主体で、それに合わせてギアを変えて行く、つまりギアは「変えさせられる」感が強い。なので、「じゃ、あんたやれば」とATモードにしてしまう(笑)。

これがMTの場合、意識するのは「回転数」であって速度ではない。エンジンの回転数を狙いの範疇に入れようとしている。そして、トップギアまで入れなくちゃ!、と思っている。ところが前が詰まっていると、望む回転数では、もうシフトアップ出来なくなるため、4速でホールド、、となったりする。

つまり、MTを運転する事は「エンジン回転数」を制御することで、結果として法定速度だったり、流れの速度に乗せている、、と言うことに過ぎないのではないか。なので、CVTがエンジン回転数をアクセルでコントロールできず、車速を「変速比」で変えられてしまうことに、非常----に違和感がある。あたかも別な意思を持った車に「燃費のいいとこ、俺が操ってやっから」とダメだしをされたかに思えてしまう。面白いエンジンの回転域に「回す」事を楽しもうとしているのに、それを奪うのがCVTである。なので、なんとスバルのDITのCVTには8速ステップモードが付いた。「それって、あんたはなぜCVTやってんですか?」とその「無段変速」というアイデンティティをどぶに捨てたような技術である。ところが、そうまでしたには意味があって、やはりそれだと「エンジンの回転数制御」をドライバーの役割として与えてくれるのである。こっちのほうが気持ちいい!(笑)。。

そういうわけで、自動変速、という技術は、「クラッチレス」になることで 人間の意識化から「エンジン回転数制御」という運転モードを奪ってしまうのである。2ペダルとは言え、DCTがMTと同じダイレクト感を持ち、安楽ATモードも備え、しかし峠ではマニュアルモードを提供してくれる理想のシステムであるはずなのに、マニュアルモードの場合は今度は「エンジン回転数制御」という運転モードを突き抜けてしまい、「絶対速度」「限界走り」追及モードに行ってしまう。もちろんそれはそれでMT以上の走りを得られるのだが、「運転の楽しみ、ドライブの楽しみ」という趣味モードではなく、「走り職人モード、仕事モード」世知辛い無駄削り運転になってしまう。そうなるから「あんた、やって!」とATモードに戻してしまうのである。

すると、違いは何か?。

結局「クラッチ」の存在に戻ってしまう。手だけで変速出来ると、走りの組み立てはMTに近い。何が違うのか?。やはり「左足」でクラッチを切り、一旦リセットする行為が不可欠なのだ。それは「指差し呼称」の様なものかも知れない。いきなりワンアクションで目的が終わる動作と、準備行為と動作、そして完了行為という 切る、入れる、繋ぐ、一連の動作は、人間の生理的な覚醒機能に影響を与えているとしか考えられない。でなければ、良く出来たDCTで、タコメータを見ながら、ここぞというところで電光石火でシフトダウンやシフトアップして走る満足感も持続するはずだが、、、残念ながら長続きしない。「あんた、やって」となるし、また実際任せて何の不都合もない。

もう一度、運転を振り返って見よう。

ATの場合。
⇒シートにすわり、キーを差し込む。ブレーキを踏んで、セルを回す。「キュ、ボッーブォン!」とエンジンが目覚める。DレンジにATレバーを入れて、駐車ブレーキを外してブレーキを緩め、アクセルを踏む。

そう!、エンジンを掛けた瞬間からもう、車は走れる状態。

MTの場合。
⇒シートにすわり、キーを差し込む。クラッチを切って、セルを回す。「キュ、ボッーブォン!」とエンジンが目覚める。ギアをローに入れて、駐車ブレーキを外す。そして「エンジンという心臓を、車に繋ぐ」緊張の一瞬。そう、車とエンジンが別なモノなのだ。エンジンが鼓動を始めた事。車を動かす事。この2つが分離していること。そしてその「クラッチ接続作業」という結構機械的に原始的な、そしてデリケートな、無意識だったとしてもちょっと緊張を要求する儀式を経て、車は動きだす。

「エンジン」を、常に意識して車に「動力を注入する」 という感覚が勝手にドライバーに流れるのだ。


なので、結局結論は、
①エンジンとドライバーの「あんたの番よ、私の番ね」というキャッチボールがしたい。
②ダイレクトな操作・制御性がほしい。
そのことによって、エンジン回転数制御型運転がしたい。

その為には、変速手段ではなく、「エンジンと車が切り離されている車が必要」ということだ。


機械が生き物だった時代のに運転を覚えた奴は、そう言った対話が濃厚な古い車との対話が、やっぱり「楽しい」のである。

ここで、ふと思った。「では、クラッチ有り、無しモード切換えDCTがあったらどうだろう?」と考えて見たが、頭の中のシミュレーションでは、やはりクラッチ無しATモードにしちゃうだろうな、と言うことだった。なぜか?。人間はものぐさだから、ボタンひとつで楽が出来るなら楽したい。逆に、うまく手動モードが生きるためには
(1)人間がやった方が、はるかに上手、、という結果が得られる時
(2)エンジンが官能的で、無駄にシフトして回転を楽しみたい時
という場合だけかな?。


さて、車好きには、「幅広い運転行為」の中で、自己満足(達成感)を得る事が出来る「ドライブ」が私のような50代後半は、必要になるのではないだろうかwww。筋力の衰えを補うには運動が必要なように、運転の楽しみには5感を生かして「身体を制御し、脳を考えさせ、」る 一定の負荷 を与える事が人間には必要な気がしている(ATでは勘違いで一度バックしているし(苦笑)。なんとなく本能的な欲求も感じているのです。


少々自虐ネタに終わりましたが、そういうわけで、BOXER-DieselのAWDに、せめてDCTがあれば。。。と思いつつ、無理だろうし、恐らくCVTでは「回転数制御モード」にならない。=仕事モードにしかならない気がしています。そういうわけで次期愛車は、何より好きな内燃機関が楽しめる、MT車になるのかなと。

「MT車は待っているのである。誰かがエンジンを掛けて、そしてクラッチを繋いでくれるその人を」

これで、とりあえずMTとATの違いを考察する」は完結。(でも、番外編を準備している(笑))
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Posted at 2013/02/15 00:14:38

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MTの価値について(3)色褪せない優位性 From [ 5台目のクルマ選び ] 2013年2月16日 19:40
この記事は、MTとATの違いを考察する。(その5)について書いています。 前回のブログを受けて、いよいよMTの価値について述べようと思ったところ、FL
vs AT 3) 最後まで書いてて到 ... From [ XGのページ ] 2017年10月21日 15:05
この記事は、MTとATの違いを考察する。(その5)について書いています。 前回の結論は、シフトポジションは、絶対だからMTみたいに書いたが、先達が「エンジンの回転数を制御する」と書かれており、2番 ...
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この記事へのコメント

2013年2月15日 0:36
ボクのトラックバックブログの(3)は、「こちらをご参照下さい。」の一文だけで良いですか?(笑)
コメントへの返答
2013年2月15日 0:42
えー、そりゃだめでしょう(笑)
楽しみにしてるのにw。 

やはりタッチさんの文章構成は非常に論理だって無駄が無くわかりやすい。 

私の場合、どうも情緒的で冗長になりがちでwww。
2013年2月15日 0:53
やっぱりダメか(^_^;)>ポリポリ

んじゃ一日、お時間を頂戴しますm(_"_)m。

どうやら本件に付いては、完璧に意見の一致を見たようです(笑)。
コメントへの返答
2013年2月15日 1:03
じっくり、やってください。

でも今回の分析は、結構斬新ではないでしょうか?。 ここまでうまく深く掘れた(ちょっと自賛(笑))MT論はお目にかかっていません。

自身も、「クラッチ」の存在がこれほどでかいとは、気付いていませんでしたよ。
2013年2月15日 7:25
おはようございます。初コメです。
7速DSGのVWと 5速MTのボクスターに乗ってます。

DSGはEG特性を選びますが、もしこの点を解決できれば、完全MTモードを付ければ解決かなぁとも
思ってます。
コメントへの返答
2013年2月15日 21:33
コメントありがとうございます。

ボクスターのMTとはうらやましいです。

おっしゃる「完全MTモード」とはいかなるものでしょう? 
良ければ、又どうぞ。

2013年2月16日 7:49
DSGのハードウエアはMTとほとんど同じですので、MTのギヤシフトを付けて、クラッチペダル操作でクラッチを両方OFFすればOKかと思います。簡単にできるんじゃないかなと思っています。
 やらないのは水野さんとかは危険だからとか言いますけど、技術者のエゴだけじゃないかなと。
コメントへの返答
2013年2月16日 9:28
説明ありがとうございます。

やはり、クラッチペダルを物理的に用意すると言う事なんですねw。了解です。

ただ、DCTの場合は2つのクラッチを交互に入り切りしますんで、これをメカニカルリンケージでクラッチペダルに持ってくることは無理(それこそ4ペダルになるw)なので、現実的にはスイッチタイプ(クラッチ側は電子制御で、入力のみ疑似クラッチペダルになるでしょうね。

そうすると、結局「心臓」を車に接続する、、という儀式が崇高なもの(笑)にならないので、駄目だと思いますよw。
2017年3月29日 0:36
突然失礼します。しかも、過去の投稿にさかのぼる無礼をどうかお許し下さい。

感動しました。この文章に出会えて良かった。
わたくしが、クルマを運転していて、
モヤモヤしていたものが、一気に晴れました。
本当にありがとうございます。

火をつけたら、たとえスローであっても
ずっと鼓動し続けなければ、死んでしまう
エンジンという獣を、
クラッチで、素足?で直接、制御?対話したかったのです。

DCTを含む自動クラッチは、
獣と私の間に常に介入し、直接触れさせてくれない。

モヤモヤはそういう事だと気付きました。
本当にありがとうございました。

感謝を伝えたくて止まりませんでした。
大変失礼しました。

コメントへの返答
2017年3月29日 1:01
コメントありがとうございます。

お目汚しな文章ですが、過去のエントリーを熱心に読んでいただきこちらこそありがとうございます。

人それぞれなのでしょうが、車の楽しさに「エンジン」の存在はひときわ大きい、と思うひとりです。 どんなエンジンでも可愛いのですが、中には本当に珠玉の、、と評されるエンジンが有ります。

そうなると、やはりエンジンと対話するという、エンジンを自分の側に置いた運転が、MTの本質かな、と思う次第です(^^)/。

そのカギは左足でつなぐクラッチ操作って意外な盲点ですよね。


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