だいぶ時が経ってしまいましたが、友人とガンダム&S660の乗り比べをした際に感じた「S660の商品価値について」UPしたいと思います。
全く余計なお世話なのでしょうが、楽しみにしていた友人のS660に試乗することが出来ました。
一番立派なグレードのタンカラーの2トンシート(約230万円)。
さて、S660については兄が初代ビートを所有していたこともあって、実家のある阿蘇地方で楽しませてもらってました。初代ロードスター的な「非力だが楽しい」という魅力が有って、残念ながら今は実家でレストア待ち言うか、土にかえるのを待っている状態(;^_^A
代わって、何時でも買えるカタログモデルのS660は、販売数量と利益率を考えると恐らく企業としては「広報宣伝費」名目で穴埋めしているのではなかろうか?な気がしているのですが、継続販売がされているのはうれしい限りです。ではその商品性の中身をぜひ知りたいと思っていました。雑誌やネットでの開発経緯やリーダの考えを見聞きするたび、あまりいい印象が無かったのです。
それは「機械としての自動車の出来と、商品性の「魅力」の部分の構成はどうなっているのか?。ドライビングプレジャーをどう味付けしたのか、という点です。
初代ビートは恐らく開発陣の予想を超えて「設計した価値」ではなく、結果偶然出来た「価値」だったのかもしれない、、と思いますが、
兎に角エンジンが気持ちいい。
そのエンジンを楽しむためのシャシーが有る、、と言う感じでした。
狭い、という利便性は端から除外され、同等ですがエンジンは、環境、エコの点もあり、なかなか制約条件があって、そこは余り責められない点です。
では前置きはこのぐらいでインプレに。
車の作りは、軽自動車のレベルでなく、普通車の中、と言った感じ。ボディの立て付け、ドアなど20年は所有に耐える作りでした。
不満のないMTと、まぁ許容範囲のペダルレイアウト。シートのホールドもいいけれど、長距離旅にはやや向かない、ちょっとタイト。
エンジンを掛けて、ギアを入れて、走りだすまでの感動は、旧ビート比で30%ぐらい?。普通乗用車並みです。
クラッチつないで走り出すと、これまた旧ビート比で50%ぐらい?。そこそこ普通に走り出せるけど、ターボの過給を少し頂くとこまでもってゆくと普通に乗れるし、オーナならそこに「ピッ」とアクセル持ってゆけるでしょう、ほぼアイドルスタート可能。
そこから、普通にシフト早めの走りも出来るけど、少し引っ張って、3速中心までで公道走れば、ここは十分楽しく、旧ビート比60%。ターボのバンドがそこそこ狭く、と言うかギア比がそこそこクロスしてくれて、5と6が国道と高速用のODギアの感じで、頑張ってくれている気はする2速がもうちょい3速に近いと(あるいは高回転許容すると)、本格的に峠も行けるね、と言う感じ。
開発者が「全くビートの後継とは考えていない」と言っていたように、「ビートの魅力は軽のオープン」という物理構造以外、全く継承されていない。
では、どこをあるいは、何を目指したのか、という点は、残念ながら見出せませんでした。
①軽の感覚無く、走れる。
②自動車の絶対性能(走る、曲がる、止まる)は遥かに上。
③機械としてよく出来ている。
④オープンで小さくて、低くて、それなりに非日常感が楽しめる。
と言うところでした。なので「何が文句あるんだ!」と言われれば、
「ええ、よく出来ていて良いですね。」と答えます(;^_^A
で、これをどうすれば楽しく出来るか?。と考えた時、「ドライビングプレジャー」の方ではなく「旅の道具」、の方にはあれこれ浮かぶけれど、「操縦」の方には、余りアイデアが浮かびませんでした。なので、S660をパーソナルな相棒として、通勤と休日のドライブ、近県への旅行、といった「自動車」としての使い方の上で、「軽自動車維持費」とオープンの楽しさ、、ということなら価値あり、と言えます。また、サーキット走行でのワンメーク的な方の、のめり込みも有り得るかなと。
しかし、峠をコッソリあれこれ走って楽しめるかと言うと私的には「飽きるな」と言うものでした。その原因は、ドライバーを安全に「運転で楽しませる」哲学が入っていない気がすること。
個人的意見であり、正論ではないので、聞き流してほしいのですけど、公道の許容範囲で楽しい運転をする領域において、
「スタビリティが高すぎる」のです。今回の個体は純正でアドバンのネオバAD08Rを履いており、そのことも助長してるのですが「公道」では勝ちすぎだし、そのタイヤに合わせたシャシーセッティングがされているようで、何も起きませんし、かなり手前で遊ばされる感じ。ではその先はどうか??と詰めてゆくと、公道ではダメだよね、、と言う領域に。
またそこに至るまでのインフォメーションがリニアでなく、「ああ、この先はヤバイ」と経験値のある体が教えてくれる、、ということになり、全く過程が楽しめません。
普通の人は、もしそこまで攻めたらただのアンダーで膨らむだけだろうか?。そうではないのです、短いホイルベース間でのハイグリップのバランスで、左右トレッドの狭いシャシーをロールを抑えたセッティングで、荒れた峠を限界に持って行ったら??。
安全性を考えて、溢れるほどのスタビリティを与えたがゆえに、非力な(と言っても過給領域で、かつ適切なギアを選べば、それなりにトラクションコントロールできるパワーは有るのですが、いかんせん一瞬です。ぐぐぐーーと出せる幅が有りません。わてのバイクとトルクが同じ程度しかない)となると、慣性ドリフト状態の維持も難しく、リアのトラクション生かしたヨ~制御もターボと相まってなかなかに際どい感じです。
なので、「公道では普通に乗ってください」と言うことと、それを「振り回したいならサーキットに行ってください」という明確なメッセージと言えなくもない。現代若者のロジックの正しい設計なのかもしれない。
バランス点を中央で取ってしまった正しさの過ち(;^_^A
表題の件ですが、軽の枠を縛りとして、性能を求めてしまった所にボタンの掛け違いが合ったのでは?と言う気がしました。これが軽の枠が無かったら全く違ったでしょうし、軽の枠で追及するなら「軽の枠での楽しさとは?」が先に必要だった気がします。端的に言えばこのシャシーではターボの660CCは不足で、逆にそのエンジンの範囲で楽しいシャシーを目指すべきだったのでは?と言う気がします。
マツダのロードスターは、そこがキチンと出来ていた。
私だと、程よい中古見つけて、シャシーのロール剛性下げて、タイヤを60ぐらいにインチ落として、幅も185でいいんでないか?として、バネレート全体も落としつつ、比率ではリアをさらに落とすかな。そうやってセオリー以外の運転では、なまくらにして、荷重移動をシンクロさせたら、トラクションもかかる、、ようにしてもう少し対話が楽にするかな。
そうすると、普通に乗り心地も良くなると思うし。
もう一つの方向性は、エンジンをリッターターボでトルク1.7倍ぐらいに上げるか、CBR1000のエンジンに積み替えて1万回転を楽しむか、でしょうかね。
(ここが、エコ、環境で出来ればとっくにやってる、のカモですが)
そういうわけで、他のオーナの方もひょっとしたら目にするかもですが、好き放題書かせていただきました。車のクオリティは高く、道具性、オープン性を評価するならいい車だと思います。ですが、私には見かけの趣味性とドライビングプレジャーの商品性が全くシンクロしませんでした。旧ビートの中古が同じ品質で並んでいたら「ビートを買う」でした。
(;^_^A
Posted at 2020/12/20 00:33:28 | |
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