夏と梅雨が合体したような、今年の異常気象ですが、なんとか少ししのげるようになって来ましたね。
この前の大雨で、浸水の可能性も出てきたので改めて、保険をチェック。岳父が無くなってから火災保険は切れていたので、改めて物色して入ることに。まぁ老後が送れればいいので現状復帰まで行かない半分程度のやつに入りました。
家屋の定期点検では、シロアリ防護処理が必要だとか、後5年後ぐらいには屋根の補修も、、考えねば、など。また、メル子は車検の準備で消耗品をポチって集め、9月の初め頃預ける予定、、と出費の話ばかりで、「あ~あ」です。
幸い、GSX-Rは再び魂入って絶好調で、気分は「この前の鈴鹿8耐!」って感じで興奮出来ます。これで少し走ると生き返り、帰って来ると抜け殻になります(;^_^A
今日は、奥さんとワンコサービスと雨の合間にちょっと夕方に走れれば、と考えていましたが、くたびれて躊躇。こういう時はあきらめが肝心。
30℃を切ってくれればだいぶマシですが、それでもしゃがんで立ち上がると立ち眩みがするので止めました。
今年になって、NUDAもチョイノリ1回で、エンジンは数回掛けて、充電も2回ほどやっているので、始動は確認してますがなかなか乗れずにいます。NUDAであれば、ルートを選ばず思いついたら走り出せますが、Rはルートを事前にイメージで走ると、気持ちよく走れる区間は短くて、どこを選んでもそれほど快適とは行きません。
ただ走るだけなら、問題ないのですけどね、せっかくならアレコレ試したいし、、。
今、昔の「RACERS」を読み返していて、TT-F1の頃から、リッタークラスへの変遷の時期までを興味深く勉強中。
中でもRVF(RC45)のくだりは興味深く、商業的開発と純粋な技術的開拓とのマッチング問題があり、中の人の個性とタイミングで法人としての道も大きく変遷して行ったのが分かります。 様々なメーカでも、そう言う「結局は人」に起因して誕生した「機械」がドラマを生んで来たことがわかりますし、そう言う歴史に感動することが、興味と郷愁とでもいうか、共感を閉じ込めた「機械」として、味わえることに大変ありがたく思います。
サーキットと公道というステージの違いが、パフォーマンスのハードルを変え、750ccから1000ccとなっても、十分なパフォーマンスが発揮できるように発展してきた先に現在のMotoGPがあります。しかし私としてはこれこそ「サーキット」でなければ味わえない領域があって、それはそれとして楽しめばよいのが、趣味の世界。
さて、公道でのパフォーマンスとしてもSSの750ccも有れば、これも十分逸脱した能力を持つレベルであり、私のもとに来た2005年式のGSXRは、その開発源流は、ホンダのCBR900系や、R1系にも負けないパフォーマンスとして開発されていて、加えて将来1000ccにシフトは決まっていたため、2000年頃にはこれをベースに1000ccを準備しておくという流れの中で開発されていました。
遡って、1991年頃、ホンダワークスは新たに始まるSBKレースで勝つように企画が始まり勝てるV4、商業的には直4のCBRと分かれており、都合よくコスト面と数量面で勝てるパフォーマンスの看板ラインと、市販ラインを分離していたわけですが、にもかかわらず'87年登場のRC30の後継たるRC45の開発は難航し、成績は芳しくなかった。その登場は’94年でしたが、環境は大きく変わって何でもOKのTT-F1時代とは違い、殆ど市販車ベースで戦えるかどうかの勝負となっていたため、ベースマシンのポテンシャルが何より大事。しかしそれを市販して一定数売らねばならない。その辺のいきさつも面白いが、バイクポテンシャルの向上で、タイヤの進化が追いついてこなかった当時の技術インフラの混沌も面白い。
その最大のネックは中速トルク有りすぎ問題。レース序盤はトップでも、中盤以降はタイヤを使い果たしてズルズル後退。というのが定番のありさま。
車では先行していたFIのノウハウもバイク用では使い物にならず、ライダーは「キャブに戻してくれ」と言われる始末。結局重たいクランクとフライホイールで、レスポンスを封印し、タイヤの消耗を抑えてトラクションを引き出す設定になって、ようやく活躍できるようになった。その開発方向性の知見が面白いのですが、開発を中古タイヤで実走し、タイムが落ちないようなセッティングを見つけるあたりは現場、現物主義の賜物ですね。
これが時を経て、今の公道で私が750ccが「趣味としてピッタリ」という話と整合して来る。
もちろん電子制御で6軸センサーとトラコンをつないでしまえば、この話も物理イナーシャのジャイロ質量の基本特性を除けば、問題は消える差異かもしれないけれど、右手のアクセルワークはドライビングやライディングで磨くものであって、ブレーキとアクセル操作技術込みで車体とは会話する、つまりライディングやドライビングの醍醐味と考えているので、これがON-OFFの「タイミング勝負」だけになるならそれはつまらない、だって趣味だもの。
と言うわけで、公道で使えるトラクションには限りがあって、それは物理的に100引き出せるとしても、現実にはブラインドや他の移動体との相互マージンを考えれば、ほとんど封印せざるを得ないレベルに市販車と言えども到達していたわけです。
なので、2000年中盤頃までのバイクパフォーマンスは、(インジェクション特性のマップを変えたモードセレクト以前の状態では、)ひたすらMAXを引き出す設定との折合いで開発がなされていたわけで、かつ、750ccと言えども最高出力追及型で、リッター200PS級の特性。となれば、下の回転域のトルクは細く、高回転型になり、軽いフライホイールでレスポンスは超敏感、、という結果に。
ただ、幸いそれでも脱出加速にあたり、最新のラジアルタイヤの進化も有って、バンク角45度前後では、結構アクセルワイドオープンでも何とか付いてくるグリップが得られるバランスに有るわけです。そのおかげで、超過敏なアクセルも割合安心して開けて行ける。
<SBK用のRVF:RC45>
<私の2005年式 GSX-R750>
1994年のワークスRC45のパフォーマンスをスズキは2004年GSX-R750の市販車でほぼ実現している。
・1994年全日本用RC45:160PS/14350rpm トルク8.65/11000rpm /164kg(半乾燥)
・2004年GSX-R_K4/K5:150PS/12800rpm トルク8.8/10800rpm /163kg(乾燥)
・市販車のRC45フルパワー:120PS/12000rpm トルク7.7/10000rpm/189kg(乾燥)
このような有様なので、めちゃ面白い。
これがリッタークラスにシフトした後は、トルクの大きさとパワーの大きさから、特に公道用タイヤでは、キャパを使い切る領域が多くなり、モード切替+特性(中速を出し切るどころか、絞って合わせる=トラコン装備が必須)で使うことに。
そのため、排ガスと騒音対策も有って、ECUはアクセル開度とは別のパラメータで噴射量を変えるような設定に。これは車も同じですが、バイクはもっと過激だったからおとなしくなった(特性がおとなしくなっただけで、パフォーマンスの過激度は下がっていない)。
そして、最近は車同様に、「スロットルバイワイヤ」化されて、乗り手の意思は「欲しい加速度?」のデジタルインプットであり、現実のパワーはバンク角と速度、加速度でマージン取った出力を出す。これをトラックモードにすると、タイヤのスリップ率に応じたパワーを保持する現代の最新トラコンがそれを決めてくれる。
つまり、走りの出力としてのパフォーマンス最大をバイク側が制御してくれる。ライダーは「どこまで出すか」を決めるだけになる。(すると多分、セッティングや装備重量が同じなら、ほぼタイムは均一化してくるだろう。)
なので、商業的なうたい文句は、各社ともにリッターSSは「サーキットで、云々」と、サーキットで走ってね、と言わざるを得ないのは何も【公序良俗】の成させる所、、と言うばかりが理由でもない。
私の場合は趣味だから、シフトワークやブレーキ、アクセル、その操作の熟練度全てが乗る楽しみの一つであり、バイクのエンジンと車体との会話手段なので、そこをECUにゆだねる気はない。せいぜい、CVキャブ程度の回転数と負圧に見合うだけの燃料をうまく吹いてくれればいい、という程度のインジェクションで十分なのだ。そのスロットルをひねる角度、角加速度は乗り手の技量で何とかするのだ。「乗りにくい」部分も旧車の醍醐味で、機械の言い分を乗り手が理解してカバーするのだw。
トラコンもABSも無いリッター200PS級エンジン。そして乾燥重量で見れば、パワーウエイトレシオ1.08の乗り物。加えてレスポンス重視で下はエンストしやすく、なんとも通好みの特性。いや~、戦闘車両的なやさしさの無い仕様でいいですね。公道で乗れる限界と言う気がします。
これがフルパワー仕様のリッターバイクだったら、アクセルは開け代を常に細心にしなければならないが、荒れた公道では手首を柔らかくしていても、段差とうねりで、つい、シャックリが出てしまう。この時、インジェクションの感度フィルタがもし過敏なら、ズルッとリアは流れてしまう、、ゆえに適度になまらして有るのだが。潜在パフォーマンスが過剰となった市販リッターは、そのマージンを見ながら開けて行く必要があった。なので最新型は6軸センサとトラコンが必須なのだ。
結果として、商業的にはトップパフォーマンス(カタログデータ)が見劣りしないびっくり数値をドーンと出すが(それは嘘ではない実力)、現実にそれを引きだして走れる公道は殆ど無い。ドライブモードはそのほとんどが、出せるトルクとパワーをどれだけ「殺すか」の制御であって、「死ぬほど引き出すモード」は騒音と排ガスと耐久性で封印してある。ある意味贅沢の極み。
狂暴なパワーを出せない理由は、ひたすらクローズドサーキットではない所を走るからであります。なので市販のリッターバイクはパワーを絞り出している、とは言っても現実の場面では余裕のよっちゃんに絞ってあり、排ガスもクリア燃費もそこそこでありながら、通常の走りでは低速トルクのある乗りやすいバイクとなっている。
しかし2004/5年あたりのアナデジインジェクションのGSX-R750は出場できるレースはレギュレーション上、リッターバイクと混走するしかなく(それでもスズキ開発陣は750ccで同等に走れるヤツに仕上げる!と言って開発していたらしいので、アイドリングも高ければ、発進時にエンストする軽量フライホイールで、ビンビンレスポンスとなり、最高出力を絞り出す高回転型になっている。
実際のレース用モデルとしては750CCエンジンベースのストロークアップで作り出したもので、レギュレーションが1000CCとなった2005年にSBKレースに投入され、ダントツの戦闘力を発揮したのがGSX-R1000/K5モデルだった。)
・2005年GSX-R1000_K5 :178PS/11000rpm トルク12.0/9000rpm /166kg(乾燥)
このスペック見れば、先のTT-F1仕様と比較してみても、もはやスリッピーで荒れた公道を走るには、いかがなものか、という代物なのが分かるでしょう。
<市販のGSX-R1000/K5>
そのようなわけで、我が「悪魔のナナハン」に乗ろうと考えて、どこかルートをイメトレすると、、、、「今日はコーヒー飲んでMotoGPの録画でも見よう」となるのでした、チャンチャン(;^_^A
(ちなみに、もはやこのジスペケR-750のポテンシャルを引き出すことはとてもできませんが、片りんを味わいながらしみじみ感動するにはおつりが来ます。いや~、楽しい。)