【画像あり】モナコのパトカー、かっこよすぎる件
(アルファルファモザイク、2012年6月9日)
Police KTM X-Bow R Ride : 2 Hot Laps Around Monaco !
(YouTube、2012年5月30日)
これはこれは、凄い車ですね。
軽さを突き詰めた結果、外装は必要最小限で、ルーフはおろか、フロントスクリーンさえありません。
剥き出しのカーボン、カナードやGTウイングやディフューザーやフェアリング、フルバケットシート、四点式シートベルト、整流板の形をしたバックミラーの支柱。
こんな車があったなんて、知りませんでした。しかもパトカーというのが更に凄い。
何だか、『トランスフォーマー スーパーリンク』の
レッドアラートを思い出しました。
パトカー云々というのを抜きにしても、単純にライトウェイトスポーツカーとして魅力的。
KTM X-BOW(クロスボウ)というのですね。覚えておきましょう。
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【SIS】オートバイの「KTM」が作ったクルマ!「X-BOW(クロスボウ)」
(autoblog、2010年5月31日)
プロフィールにも書いてある通り、僕はスポーツカー好き・クーペ好き・オープンカー好き・MT好きです。
重量級のマッスルカーも好きですが、どちらかと言えばライトウェイトスポーツ派。
純粋に速さだけを目指す場合は、重いほうが却って有利だったりします。
道路にカーブやアップダウンがあまりないか、あっても小さい規模で、ほとんど
等加速度直線運動が中心なら、加速させられた車重それ自体が加速を更に助長する。スキーだって、体重の重い人のほうが速いという理屈ですからね。
加えて、或る程度の重さがあれば、車の姿勢は安定するし車内も静か。
日産自動車 GT-R(DBA-R35)が標準グレードで1740kgというのは、本気になればもっと軽量化できるのに、あえて重くしてあるんだとか。
対してライトウェイトスポーツの場合、直線道での最高速アタックよりも、ワインディングロードをきびきび駆け抜けるのに適した思想です。
そこでは軽さ自体が武器になるから、徹底的な軽量化が計られる。大馬力・大排気量でなくとも程々に素性の良いエンジンを積み、それに軽量化したボディが負けないような補強と足回りを奢られ、機敏な挙動と走行安定性を目指して重量配分などのパッケージングを煮詰める。
圧倒的な力に物を言わせて走るのではなく、機敏に、軽快に、しなやかに走り回る為の車です。エンジンスペックの上から下までくまなく使い、車外の風景や路面状況を肌で感じ、ドライバーの文字通り手足となって人馬一体を体現する。
スペックや快適性(左脳)よりも、運転の楽しさ(右脳)を求めたのが、ライトウェイトスポーツです。サーキットや峠を攻めなくとも、普通に街中を流しているだけで気持ち良い。
軽さを突き詰めれば突き詰めるほど、ルーフはおろか、エアコンやヒーターさえも重量物だとして省かれるので、雨の日や暑い日や寒い日はどうすれば良いのか……だったら雨の日は運転しなければ良いし、暑さ寒さは自分の服で調節すれば良い。
快適装備であるラジオもカーナビも、安全装置であるABSやトラクションコントロールもエアバッグもないが……エンジンサウンドが快適なBGMであり、道に迷えば地図があるし、安全装置がないのなら自らの運転技術を磨けば良いし、そもそも暴走運転をしなければ良い。
鉄の外板が重いのならアルミで、それも重いのならカーボンで、それも重いのならプラスチックで。事故が起きたら確実に死ぬけど、それを承知で乗る人じゃなければ運転する資格はないし、そんな人にだけ見えてくる世界がある。
ひたすら割り切った作りです。日常使用には絶対に不向きですが、その潔さに惹かれます。
ライトウェイトスポーツというと、ロータス・カーズが有名ですね。
古くは
セヴン(スーパーセヴン)、最近では
エリーゼ、そして
2-Eleven…。
特に近年のロータスは、トヨタ自動車からエンジン供給されているお陰で、品質は抜群。
このセヴンのスタイリングは各方面に強い影響を与え、
BMW Z21・コンセプトや、
アウディ アーバンコンセプトといったフォロワーを生み出しています。
だが日本も負けてはいない。
ユーノス ロードスター(GF-NA)や
ABCC四兄弟は言わずもがな、更に上を行くライトウェイトスポーツが、ここ山形にあった。

それがこれ、
ケン・オクヤマ・カーズ K.O7ですね。
日本にも、普通の乗用車型をしていない、セヴン的な究極のライトウェイトスポーツが生まれる日が来るなんて…。
コンセプトは、シンプル・イズ・ベストの究極であり、素材の持ち味を引き立てる、寿司。ボディ両端のむき出しのステンレス外板が描く、ノーズからテールへかけて流れる上端の弧は、日本刀をイメージ。マグネシウムウィールは家紋をイメージ。他にも、地元山形の生産工場や職人に頼み、万年筆・櫛・七宝焼き・漆塗り・米沢織りといった日本の伝統工芸の応用技術を随所に施す。
一見すると欧州風の車ですが、その実日本的な美意識に基づいて作られた車です。
リトラクタブルヘッドランプやスイングアップドアなど、スーパーカー的な記号も盛り込まれていますが、それらはファッション性ではなく機能性から生まれた必然です。
ライトウェイトスポーツは、元々はお金のないバックヤードビルダーの為に用意された安価な
キットカーでしかなかったのが、それを逆手に取って見事に昇華してくれました。
そして初代ロードスターの世界的な大ヒットが、それまでスペック偏重主義だったスポーツカー界に革命をもたらした。
遂には、冒頭のニュースでは、世界の名立たるスーパーカーを向こうに回し、パトカーとして採用されるのですから。
今やスポーツカーにおける由緒正しい位置を占めています。