スズキ、隠し玉のターボエンジン&5速MT搭載「アルト ワークス」を展示
(Car Watch、2015年10月28日)
スズキ「アルトワークス」公開! ターボ&5速MT搭載!
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2015年10月28日)
スズキ、アルトワークスを参考出品 ターボエンジン&5速MT搭載
(乗り物速報、2015年10月29日)
スズキ、アルトワークスを参考出品 ターボエンジン&5速MT搭載
(サイ速、2015年10月29日)
スズキ、クルマを操る楽しさを追求し、走りを磨き上げた 「アルト ワークス」を参考出品
(autoblog、2015年10月30日)
軽最強カリカリスポーツ!スズキ「アルトワークス」がいよいよ登場!【TMS2015】
(オートック ワン、2015年10月30日)
スズキ アルトワークスが復活!! 5速MT搭載で走る楽しさを演出
(新型車情報局、2015年11月1日)
スズキ「アルトワークス」が復活&実車公開:『ターボ×5MT』のスポーツ仕様で4WDモデルもあり!
(Ethical & LifeHack、2015年11月14日)

キタ━━━━━━━━!!!!

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素晴らしい…….*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*☆
さすがスズキ!
そこにシビれるあこがれるゥ!
10月29日から11月8日まで開催されていた、「
第44回 東京モーターショー 2015」。
そこで、スズキの隠し玉がお披露目されました。
漢(おとこ)の5MT!
レカロシート!
赤いブレーキキャリパー!
そして何より、「ワークス」ブランドの復活!
往年と同じフォントによるワークスバッジが、実に眩しい。
空気の読める人って大好き!

アルトターボRSの発売当初から、5MT仕様だの、「ワークス」名の復活だの、噂だけはありました。
それを裏付けるかのように、開発陣としては、「ターボRSが売れれば5MT仕様も出したい」と、半ば公的に語っていました。
ターボRSが
5AGS一択になったのは、単純に開発期間の短さと、より敷居を低くして多くの人に買いやすくするためと、AGSを前面に出すスズキ四輪部門の方針とが重なった結果。

そもそもAGSは、ギアボックスなど機構的にはMTと全く同じであり、単にクラッチ操作を自動で行っているだけ。
見た目はATやCVTと同じでも、それらとは根本から違う。
だから、その気にさえなれば、5MT仕様にするのは実は簡単なことなのだとか。

後は、やるかやらないか。
でも、僕としては糠喜びにならないように、噂はあくまで噂だと、話半分に聞いていました。
スズキ自身は公表していませんが、ターボRS、月販目標500台に対し、1000台売れたというデータもあり、順調な滑り出しだったようです。
以前も言いましたが、価格の安さは勿論のこと、同じ軽スポーツカーであるS660やコペンと上手く棲み分けが出来ているのが、明らかに功を奏しています。
消費税増税とか、国内市場縮小とか、若者の車離れとか、スポーツカー冬の時代とか、メーカーは色々言い訳を用意しています。
しかし実際には、斯くの如くターゲットを絞ってニーズを掴んでタイミングが合えば、売れる車は幾らでも造ることができるのです。
かてて加えて、10月29日にダイハツから発売された新車、
キャストスポーツの存在。
何よりこれが、ターボRSの更なる梃入れとして、ワークス復活を後押ししたであろうことは、想像に難くありません。
・アルトワークス復活の可能性をターボRSの売れ行きから考えてみた
(くるまン。、2015年6月15日)
・スズキ 新型 アルトワークス復活へ!? 発売時期は15年12月?
(同、2015年7月20日)
伝説のアルトワークス復活!中古車の価格はいくらぐらい?
(CarMe、2015年11月9日)
初代から現行5代目まで今買うべきアルトワークスはどれ?
(同、2017年7月13日)
こちらのウェブサイトでは、初代ワークスと、ワークス黄金期とも言える二~三代目の特集が組まれています。
懐かしいですね。

1987年2月、グラウンド・ゼロ。
ここが、ワークス伝説始まりの時。
初代の名前は、実はアルトワークスではなかったのです。
「
鈴木自動車工業 アルト・ツインカムターボ・ワークス」が正式名称。
ついでに、メーカー名も、カタカナ表記の「スズキ」ではまだなかった。
それまで軽自動車でスポーティな味付けの車は、なかったわけではありませんでした。
しかし初代ワークスは、ターボ、ツインカム24バルブ、DOHC、左右非対称セミバケットシート等々、本来踏んでゆくべき段階をいきなり飛び越えてきた。
そして、今も続く軽自主規制64馬力の原因を作った。
始祖にして究極。出発点にして到達点。アルファにしてオメガ。
僕の周りでも、上の世代の車好きにとって、ワークスは思い出の一台だったようです。
これで夜の峠を攻めたとか、普通車を余裕で打ち負かしたとか、武勇伝が出るわ出るわ…。
当時の若者たちの頼もしい味方だったのですね。
「ホットハッチ」という洒落た言葉はまだなく、しかしより過剰な「ボーイズレーサー」「ベイビーギャング」などと呼ばれていました。

僕が愛車を買うという話が持ち上がった際、父から
「お前もいい歳だし、そろそろ自分の車くらい買え。頭金は出してやる。
その代わり、スズキで、軽で、4WDで、ATにしろ」
という条件を突き付けられました。
その際、第三候補として考えていたのが、アルトワークスです。
時期としては、二代目後期型(E-CR22S)から三代目前期型(E-HA11S/E-HA21S)に当たります。
(余談ながら、第一候補は勿論キャラ、第二候補はカプチーノ、第四候補はセルボモード・SR-Fourでした)
この時期はワークスの爛熟期。
一過性と思われたハイパフォーマンスモデルは「アルトワークス」と名を改めて、正式にカタログモデル入り。
峠に、高速道路に、サーキットに、ラリーにと、アルトワークスは大活躍。
現在では客寄せパンダ的な立ち位置の軽ですが、当時は一定の利益が見込まれていた時代。
よって他社もアルトワークスに対抗し、続々と軽スポーツを登場させます。
ダイハツ工業 ミラ・TR-XX・アヴァンツァート-R、三菱自動車工業 ミニカ・ダンガンZZ(ダブルズィー)、スバル ヴィヴィオ・RX-R…。
そして、より本格的な
平成ABCトリオ(AZ-1&キャラ、ビート、カプチーノ)が、産声を上げた時代でもあります。
ワークスだけでなく、軽スポーツそのものの爛熟期でした。
そして、過剰とも思えるラインナップの拡充とパワーウォーズは、運輸省による軽の規格改正を招くこととなります。
(サイズの拡大、排気量の拡大、安全性の向上、4ナンバーボンネットバンから5ナンバーセダンへの登録移行、自動車税の増税、等々)

1998年10月7日。
先だって施行された軽自動車規格改正と、消費税導入と、物品税廃止が一通り定着し、ワークスも大きく姿を変えます。
四代目(GF-HA12S/GF-HA22S)、いわゆる「涙目ワークス」「新規格ワークス」です。
しかし、折からのバブル経済崩壊による不景気と、軽規格改正による安全性向上の弊害として、ワークスは大きくなり重くなります。
そのせいで、ワークスの持ち味であった「小型」「軽量」「ハイパワー」が相殺され、二~三代目の中古車が安く調達できることもあって、レースでも旧規格ワークスばかりが依然として持て囃される。
2000年12月5日のマイナーチェンジを機に、僅か2年という短い生涯を終えます。
悲運のワークスです。

2002年11月12日。
その後2年のブランクを経て、五代目ワークスを襲名したのは、アルトではなく畑違いのKeiでした。
その頃アルトは完全にエコカーや女性向けやスローライフカーへと舵を切っており、しかしKeiにはスポーティグレードがあったので、ワークスを受け継いだのは或る意味自然な流れとも言えます。
それでも、時代と、素材となった車種の特性に合わせて、黄金期のワークスに比べればマイルドな仕上がりに。
ドアが5枚あるのが、それを端的に象徴しているでしょうか。
と同時に、クロスオーバーSUVをオンロードスポーツに特化した車の先駆けとも言えるものになりました。
こちらは2009年9月30日に生産終了となり、これで以てワークスの血筋は一旦は途絶えることになります。

6年の時を経て、この度復活するアルトワークス。
ワークスとしては六代目であり、アルトワークスとしては実に15年振りの復活です。
だから、単なるスポーティモデルの追加というだけに留まらない、感慨深いものがあります。
しかしながら、要は、ターボRSのヴァリエイションモデルです。
エンジンは、より低燃費で快適な、
R06A。
後輪ブレーキは、リーディング・トレーリング式ドラムブレーキ。
ボンネットの大袈裟な吸気孔はなく、これ見よがしな縦置きインタークーラーも見えず、派手なスポイラーで武装してもいません。
3ドアでもありません。
イメージカラーも、渋い銀色。

それらの要素からして、アルトワークスを名乗ってはいるものの、直系の子孫とは言い切れないかも知れません。
例えるなら、四代目ワークスのターボie/sに近いでしょうか。
往時の過激さを体験した元オーナーや、現オーナーにすれば、優等生すぎて物足りないものがあるかも分かりません。
かつてのベイビーギャングも、すっかり大人になったのですね。
言い方を変えれば、ワークスの名を受け継ぐということは、それほどまでに重責だということ。
一応、モーターショーにおける参考出品、即ちコンセプトカーであり、これまた糠喜びするにはまだ早いと言えます。
しかし今すぐにでも発売されてもおかしくない出来栄えと、何より蘇ったワークスの名に、期待は高まる一方です。