ホンダ「N-ONE」(ターボ付き)がなぜ、女にウケたか
(ゆめ痛 -NEWS ALERT-、2013年8月12日)
言いたいことは分からないでもないけれど、微妙に眉唾な記事ですねえ。
確かに軽自動車オーナーは、女性であったり、地方在住者が主を占めるでしょう。
しかしどんなに「
本田技研工業 N-ONE(DBA-JG1/2)は女性層に売れた!」と声高に叫んだところで、具体的なデータを何一つ示していないではありませんか(;゚~゚)
それに、男女に限らず、
> 「黄色ナンバーだからってナメられたくない」
> 「信号待ちで登録車に負けたくない」
なんてこと、普通考えるでしょうか?
今時黄色ナンバーなんて珍しくとも何ともありませんし、軽だからヒエラルキーが下だなんて、バブル経済期の風潮を引きずりすぎていやしないでしょうか。
相当に前時代的、且つ自意識過剰。
今の軽はレベルが高いし、これだけ普及しているのだから、今更相手が軽だからって誰も煽ったり見下したりしやしませんて┐(´ー`)┌
現に僕も軽オーナーですが、一度もそんな経験はありませんよ?
と言うか、「信号待ちで負けたくない」って、あんた……。
街中でシグナルダッシュでもするつもりかよ? スピード違反や危険運転を暗に仄めかしてるぜ?
N-ONEが売れた理由は兎も角、女性は僕ら男が思う以上に、「ピンク色」「ファンシーデザイン」「丸型前照灯」に拘っていないような気がします。
いえ、勿論好きな人は好きでしょうし、そういった車は一定の支持を得ていますが、そういう人に限って、ゆくゆくはドイツ製高級セダンの助手席に座ることを夢見て、長くは愛用しないもの。
いわゆるパイクカーとしての需要です。
だから表面だけ飾り立てて中身が空っぽでも、一向に気にならない。
スズキ アルトラパンショコラなんて、通常モデルからフロントグリルを変えただけですからね。いえ、ショコラの場合元が元だけにまだ様になっているほうですが、些か無理のある女性向け車なんて幾らでもあります。
車としての基本性能を求める、或る意味マッチョで自立した女性は、そんな
スイーツ(笑)感丸出しの車など選ばないでしょう。
そんな見せかけだけの“女性への優しさ”など、勘の鋭い人は見抜くもの。
男もそうですが、あまりにも「君たちはこういうのが好きなんでしょ?」と媚びられると、逆に馬鹿にされているように感じるのが、人情というものです。
それよりも、取り回しのしやすさや、見切りの良さ、体格に合った疲れにくいシート、シンプルで認識しやすく操作しやすい計器類、使いやすい位置と大きさのレバー類、欲しい位置と欲しい高さに欲しい深さの小物入れがある、等々…。
そういった、男女の体格差や空間認識能力の違いや求める使い勝手を念頭に置いて開発された車を求めるものだし、またそれが賢い選択かと。
仕事柄何度か
トヨタ自動車 パッソを運転する機会がありますが、男には窮屈でも小柄な女性には丁度良いサイズと使い勝手なのだろうなと推察されます。
本当に“女性のことを考えて造った車”とは、そういうものです。
N-ONEが売れた理由に話を戻すと、個性的な外観はやはりあるでしょう(好き嫌いは分かれますが)。
往年のN360を知る人には懐かしく、知らない若い層には新鮮に映る。
目付きの悪い車が多数を占める中、個性を主張する丸型前照灯。
外装色が豊富で、陽気でお洒落なイメージ。オプションも豊富で、選ぶ楽しみがあり、純正でありながら「世界で一台、自分だけのN-ONE」を作れる。
それよりも、軽を欲しがる人はどんな層なのか、どこに住んでいる人が多いのか、何を求めているのか、具体的にどんな風に使っているのかを、研究した結果なのではないでしょうか。
造りもしっかりしており、実用性もあるので、デザイン優先で買っても案外飽きが来ない。どんなに見た目が良くとも、中身が貧相だったり使い勝手が悪ければ、すぐに嫌気が差しますからね。
内装も質感高く、しかし分かりやすい加飾や豪華さに頼ったものではないので、上位車種から買い替えても然程違和感がない。
ライバル車がコストカットのために色々と切り捨てていったのに対し、価格の上昇を恐れず、軽のハンディキャップを補う安全装置をふんだんに取り入れた。
Nシリーズとして他の軽と統一したことで、それぞれのキャラクターが鮮明になり、却って選びやすくなった。
当然、尖兵だったN-BOXの成功も、N-ONE人気を後押ししたことでしょう。
軽に限らず最近の流れはスポーティ路線であり、所帯じみたミニバンやハイトールワゴンへの一極集中が解消されつつあります。
その流行を開発段階のうちから逸早く取り入れ、F1の技術を投入し、走る・曲がる・止まるの基本性能も申し分ないものになった。「燃費さえ良ければそれで良い」とする閉塞感を、Nシリーズは打ち破ってくれました。
何もスポーツカーでなくとも、或る程度の走行性能は、ストレスない運転には必要ですからね(それ故に、N-BOXと車台を共有したことで車高がかさんでインパネシフトCVTのみになったことが、尚更惜しくもあるのですが…。でもまあ、N-ONEのキャラクター性を考えれば、これで良かったのでしょう)。
見た目に反し、芯となる部分では敢えて媚びず、スイーツ(笑)スイーツ(笑)していないところも、好感が持てます。
そして、イメージ戦略の巧みさ。
どんなに良いものを造っても、売り込み方が下手なら、誰にも見向きもしてもらえない時代です。
CMや広告など、やり方が上手いんでしょうね。
芸能人を用いたつまらない寸劇や、低燃費を訴えるものでもなく、あくまで車としての基本性能をアピールするものです。それも明るく楽しげに。
ホンダ N ONE (30秒CM) ホンダの軽 N360が生まれ変わって新登場
(YouTube、2012年10月25日)
2013 Honda N-ONE CM Japan 3 (ホンダN-ONE)
(同、2013年4月5日)
2013 Honda N-ONE CM Japan 4 (ホンダN-ONE)
(同、2013年6月7日)
およそ考え付くだけでもこれだけあります。
ミニバン的に使えるのは勿論、スポーティイメージでも乗れるし、またデザインがデザインなのでパイクカーとしてもあり。
色々な楽しみ方ができるのがN-ONEの良さだと思います。
・価格だけではない軽自動車選びを提案するホンダ、クルマに何を求めるか迫るVW
(nikkeiBPnet、2012年11月21日)
・静かさと快適で選ぶ軽自動車ベスト5
(clicccar、2013年8月9日)
Posted at 2013/08/18 19:12:01 | |
トラックバック(0) |
軽自動車 | クルマ