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2011年11月23日

146:アップサイジングコンセプト

146:アップサイジングコンセプト  昨今、環境問題を背景に省エネルギー性能の向上を目指したエンジンのダウンサイジングが技術的なトレンドになっています。我がS60T4に搭載されている 1.6L直噴ターボエンジンも、その流れに沿ったものといえます(ダウンサイジングについては過去のブログで自分の思うところを述べています)。

 で、話のとっかかりとして、ダウンもあればアップもあるということで、今回のブログの写真にはブガッティ・ヴェイロンの16気筒ターボエンジンを載せてみました。

 8.0L W16 クワッドターボ
 736kW(1001PS)/6000rpm
 1250N・m(127.5kg・m)/2200-5500rpm

 今や V12 気筒エンジンでさえ、生産している自動車メーカーが限られ、搭載される車種も一部フラッグシップモデルのみというのが普通です。その中で、上記ヴェイロンのエンジンは、気筒数も排気量もまさにアップサイジングで、おそらく燃費も極悪でしょう。 力が正義だといわんばかりに、そして環境性能を全く省みていないという点では、現代ではこのようなエンジンは受け入れがたいものなのでしょうが、単純にプロダクトとしてみた場合、(量産)自動車用エンジンの極北として、なんとも魅力的ではありませんか?

 さて、多気筒、大排気量、高出力のレシプロエンジンといえば、航空機用エンジン、特に攻撃用兵器のプラットホームとして高性能が一義的に求められる軍用機用のエンジンはまさにダウンサイジングとは対極にあると言えるかもしれません。

 たとえば、このネイピア・セイバー(Napier Sabre)は、イギリスのネイピア・アンド・サン社(Napier & Son、以下ネイピア)で第二次世界大戦直前に開発され、大戦中に生産された航空機用液冷H型24気筒レシプロエンジンです。以下、wikipedia からの引用になりますが、セイバーエンジンは、フランク・ハルフォード(Frank Halford)による先鋭的な設計で、180度V型エンジンを上下2段に重ねて連結したH型構成とスリーブバルブ機構を採用した。同時代の同級機の中で突出した高回転・高出力志向を持ち、最終発展型では3500馬力(ps)以上もの高出力を達成した、とあります。



 36.7L 24気筒 燃料噴射
 3,040 ps @ 4,000 rpm (離昇出力)


 以前、ダイムラーベンツのDB601エンジンと三菱の栄12型エンジンもブログで取り上げましたが、それら大戦初期のエンジンと比べてもそのアップサイジングぶりにはすごいものがあります。

 しかし、というか、やはりというか上には上がいるものです。「大きいことはいいことだ」といえば、やはり本家はアメリカ合衆国になるでしょう。以下は、プラット・アンド・ホイットニー R-4360 ワスプ・メジャー エンジンになります。



 同じく wikipedia からですが、ワスプ・メジャーはプラット・アンド・ホイットニー社のワスプシリーズの最終機種であり、同社のピストンエンジン技術の最高峰であった。ワスプ・メジャーは、星型の7気筒エンジンを4基直列につなぎ合わせた、四重星型28気筒エンジンであり、写真からもわかるように、シリンダーの角度を各列で少しずつずらし、緩やかな螺旋を描くようになっており、後列の冷却(空冷)の助けとしている、とのこと。性能はというと、

71.5L 過給式空冷4連星型28気筒(機械式+ターボ)
出力:4,300hp (3,210kW)


 とまあ、ヴェイロン搭載のエンジンの更に10倍近い排気量と倍近い気筒数を誇る、出力4000馬力を超える強烈なエンジンになります。重さだけでも1.7トンと普通乗用車の重量に匹敵するのです。レシプロエンジンのアップサイズは歴史的にはこのあたりが限界で、これ以降はレシプロからジェットエンジンへと移っていきました。しかし、ヴェイロンのエンジンにも非日常感を抱きましたが、自動車という縛りを外すと、そのヴェイロンのエンジンさえ、可愛く見えてしまうほどのものが、過去には存在していたということが、今回、実は一番書きたかったことではあります(笑)。

 さて、上記のような怪物エンジンが登場してから約 60 年が経過して、現代では、まったくの逆方向である少気筒数、小排気量へと向かっていってることはご承知のとおりです。6 気筒からいまや 4 気筒が主流になり、一部 2 気筒まで登場している始末。必要なパフォーマンスを維持しながらのダウンサイジングは、制約なしのアップサイジングに比べて、おそらく技術的には、はるかに難しいのでしょう。そう考えると、今各メーカーから続々と登場している新型のダウンサイズエンジンは、多気筒・大排気量・高出力エンジンに勝るとも劣らない、いや、工業プロダクトとしてはより上位のレベルにある、人間の英知の結晶と呼べるのかもしれません。
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Posted at 2011/11/23 14:43:06

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