
iPhone4S / iOS5 のキラーアプリとして搭載された、「Siri」は秘書機能アプリケーションソフトウェアであり、高度かつ洗練された自然言語処理技術により、人間からの質問に答える、推薦、Web サービスの利用などを行うことができます。英語にのみ対応ということで、ジャパニーズイングリッシュの発音に自信のある自分は最初からあきらめモードで、来年に予定されている日本語への対応を待つしかないのですが、その高性能ぶりは既に世界的に評判で自分としては期待が高まるばかりです。更にApple の最強のライバルといえる Google からも Siri に対抗する音声認識アシスタントアプリ(Majel でしたっけ?)の開発が公表されましたが、おそらく日本の企業もすぐに追随してくることは間違いないでしょう。
そんなわけで Siri のアシスタント機能は未体験ではありますが、こういった音声アシスタント機能が進化しクルマとの結びつきが強化されていくと、少なくとも日本における輸入車ビジネスは現在のままでは消滅するのではないかとの危機感をもったので、今回はそのことについて書いてみたいと思います。
輸入車に対する国産車のアドバンテージとして、ナビ機能の充実があげられます、ガラパゴス携帯と同じように国内のニーズに合わせすぎて過剰に特殊化した面もありますが、最近では、G-BOOK、インターナビ、カーウィングといった各自動車メーカーが提供しているように、インターネットにつながることで、さまざまなサービスを利用できるような体制が整いつつあります。こういったサービスは、未完成な部分もあり、利用に当たっての障壁はまだそれなりに高いのだと思うのですが、ここに冒頭に述べた音声アシスタント機能がより強化されて融合されることで、一気に使いやすいサービスへと進化し、例えばエアコンのように、クルマにとってなくてはならない普遍的な装備に近い将来なるのではないかと考えています。もう少し言葉を補足すると、Siri の機能はインターネットの接続が必要でありクラウド化されているのですが、現在はオペレーターによって対応されている、上記のG-BOOK等のサービスがクラウド化された比較的安価かつ高度かつ使いやすい IT サービスに置き換えられた場合、クルマの価値を画期的に高めることになるのではないかというのが素人考えではありますが私の予想です。
翻って輸入車においては、この部分は殆どの場合泣き所であり、純正であってもナビ機能だけをとってみても何かと使い難い、またはディーラーオプションで国産市販ナビをポン付けする、あるいはナビレスとしてユーザーが PND を購入するといった状況で、国産車のようなインターネットを利用したサービスの提供など思いもよらない状況です。とはいえ、今のところナビ関連のサービスの価値は、クルマそのものの魅力を凌駕するものではなく、輸入車の購入を決断した人の殆どは、「ナビは良くないけどクルマとしては国産車には変えられない価値がある」と考えたに違いありません(当然、私もです)。
しかしこのままいくと遠からぬ将来、音声アシスタントにより制御される IT サービスはなくては困る機能になり、そうなると同様の機能を備えていない輸入車は購入対象にすらならなく可能性がかなりあると思います。かといって自前でそのようなシステムを、といってもこのような情報サービスは国ごとのカスタマイズが特に重要であり、日本での販売規模を考えるとよほどのメーカーでないと、実用に足るサービス体制を構築することはできないのではないかと懸念するのです。
では残る解決策は、国内で当該サービスを持つ自動車メーカーとの連携ということになるのでしょうが、さて今後どのような展開を見せるのか興味深いところです。先般、ハイブリッド技術を核としたトヨタと BMW の提携が公表されましたし、日産とメルセデスの協力体制も進展がありそうです。現在は近未来のエネルギー・動力関係の技術提携が中心ですが、次はあるいは IT 関連での連携が取りざたされるようになるのではないかと予想します。
しかしそのような打ち手がうまく機能しなかったら、特に一部のドイツ車メーカーを除く大半の輸入車ブランドは、最悪の場合、日本でのビジネスはほぼ全滅となり、コアな信奉者を対象としたごく小規模のビジネスに転落することになるのではないでしょうか? 私の立場(というか希望)としては、当然、そんな事態になって欲しくはなく、いろんな海外ブランドのクルマを楽しめる環境であり続けて欲しいと強く願っています。
是非、必要な対策をしていただいて、絶滅だけはしないでください。
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Posted at
2011/12/17 20:08:01