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2012年05月16日

241:When the bough breaks (Saabの消滅に思う)

 Saabブランドの消滅は決定的なのでしょうか?以前にブログで新型9-5を話題にした際(こちら)も心配していたのですが、事態は悪い方向へ向かっているようです。破産申請の後も具体的な救済措置は未だに明らかにはなっていませんし、国内でも販売開始直後であった9-5が投げ売り状態になっているとのニュースも流れています。


(写真は新型ではなく自分のお気に入りの旧9-5)

 結構知名度が高い自動車ブランドであるSaabが消滅するとなると、自分の記憶としては2005年のローバー以来のことではないかと思います。ローバー消滅の時も感じましたが、クルマの歴史的な発展の経緯を系統樹的なイメージで捉えた場合、結構な太さといってもよい(Saabという)幹が折れるのは、多様性の維持の観点からは残念な気持ちを抱かざるを得ません。彼らの作ってきたクルマの出来栄えの程や、あるいはSaabという車の市場での受容度といった問題に係わらず、です。

 生物の世界においても、生物種の誕生と消滅(絶滅)は日常茶飯事です。特に微小な生物世界においては人間の把握していないところで、数多くの生物が種分化と絶滅を繰り返しているのだと思います。地球史的な視点でも、過去においてその時代に存在した生物種の95%以上が死滅するような破滅的な出来事(大量絶滅と呼ばれます)が繰り返し起こったことが知られています。

 こういった生物の絶滅は、勿論、ある意味で悲劇的であることを否定はできません。しかし一方で、ある存在の退場が新しい存在の参入と発展に繋がるという別の側面、むしろ積極的な価値を持ちうる出来事であるのも事実です。白亜紀末の隕石落下により前時代の覇者である恐竜が絶滅し、その後に哺乳類の拡散と発展の時代が訪れたことは、生物相の変遷の著名な例として取り上げることができます。

 とはいえ大型の生物種に限られるのかもしれませんが、生物の絶滅は避けるべきでありマクロには生物多様性はできる限り保持すべきであるというのが、現在の人類の視点からみた環境保護の考え方になります。ではSaabブランドの消滅という事実を生物とのアナロジーの視点で捉えた場合、我々はそのことを悲しむべきなのでしょうか?

 その答えはやはり「Yes」だと思います。Saab車はいずれ実体から人々の記憶へと変化し、そして独特の特徴の数々は完全に消え去ってしまうでしょう。それは残念なことです。しかし、ある自動車メーカーの消滅はもしかしたら、新たな存在の登場の契機となるのかもしれません。先に触れたローバーのクルマの一部は中国の自動車メーカーに引き継がれ、新たなクルマとして販売されている(いた)とのことです。かつては個性的なクルマづくりで知られたSaabの退場を悲しみつつ、欧州の自立した自動車ブランドとしての復活が叶わないのであれば、わずかな可能性ではあるものの、急速な勢いで成長する中国車やインド車の系統樹の幹の一部として新たな発展を遂げてくれることを密かに願ってやみません。


(写真はブログの内容とは直接関係しません)
ブログ一覧 | スウェーデン車 | クルマ
Posted at 2012/05/16 22:32:31

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この記事へのコメント

2012年5月16日 23:27
はじめまして。

yutty1325さんがブログで取り上げたように
Saabのことが取り上げられる日があと何日
続くのでしょう。
実際に所有されている方の気持ちは幾許な
ものなのか。

大きいもの、強いものが生き残るのではなく、
環境に適応したものが生き残る。。。
でも、「適応できない=不要」ではないはず。

当方のJaguarも絶滅の危機に晒されている
ような気がしてなりません。

そんな思いからおじゃましました。
これからも示唆に富んだブログを、
楽しみにしています。
コメントへの返答
2012年5月17日 23:55
JJB007さん、はじめまして。貴兄のブログは以前より興味深く読ませて頂いています。

クルマブランドの生き死にはかならずしもクルマの出来、不出来とは直結しませんよね。そうであれば●●●●はとっくに倒産...なんて冗談ですが。

Jaguarは、ランドローバーとともに上手く経営危機を乗り切ったのじゃないですかね?インド資本になったからといってクルマづくりの本質が失われる訳ではなく、むしろ余裕を持って良いクルマを作っていけるのではないかと。

ありがとうございました。
2012年5月17日 21:31
こんばんは。

サーブ、大好きでした(です、ですね)。
西武自動車がプジョー、サーブ、シトロエンを扱っていたころ、代車で9000に乗って感動したのを思い出します。

また、900や9-3のカブリオレは、米国西海岸で普通に通勤に使われているのを見て、いつか乗りたいと憧れていました。

新興国の力を借りてでも、ぜひぜひ復活してもらいたいですね。
コメントへの返答
2012年5月17日 23:59
9000に乗られたことがあるんですね。これは羨ましい。

昨年、米国ボストンに行った際には、900、9-3、そして9-5とびっくりするくらいたくさんのSaabが走っていました。ボルボより少し上級のわりとインテリの乗るクルマとして米国人からは愛されているようです。

何か独特に魅力がありましたよね。
ホント残念です。
2012年5月18日 19:09
はじめまして。
私もSAABは好きな車ですので、残念です。

SAABという会社は生き残るには規模が小さすぎる、という記事を読んだことがありますが、大規模な会社の大量に売れているクルマばかりになれば、クルマ好きにとってはなんとも味気ない気がします。

↑の方と同じく、どのような形であるにしても、生き残ってくれればと願います。
コメントへの返答
2012年5月18日 21:58
コーチビルダーやフェラーリのような極少量生産の高級車ビジネスでもなく、大衆車メーカーでもないという中途半端な規模がダメなんですかね~

ブランドイメージは一朝一夕にできるものではなく、何十年もかかって形作られるものかと思います。

Saabもしかりで、その伝統が失われてしまうのが一番残念です。
2012年5月19日 10:17
こんにちは。

SAABは両親がクラシック900を所有していたことがあって今でも好きなクルマです。今回の破綻の行く末が気にかかるところです。同じ北欧スウェ-デンのボルボ車ともまた違ったクルマづくりであり、ボルボよりも北欧らしさがあったように思われます(すごく理解しているわけでもありませんが)。

特にクラシック900はフロントウィンドウが湾曲しているのは付着した雪を落とすためであったり、A/Cやハザードスィッチ自体が大きいのは、極寒の地ゆえ大きなグローブをしたままで運転しても操作しやすいようになっています。まさに理にかなったクルマづくりをしているなぁとつくづく感心させられました。決して空力を追い求めたカタチではありませんが、SAABでは一番好きなモデルでした。

9-5もモデルチェンジをして間もないというのにこんな状態に陥り、メーカーとしても本望ではないと思われます。何としてでも復活を遂げてほしいメーカーであります。
コメントへの返答
2012年5月19日 17:08
コメントありがとうございます~

SAAB900は良いクルマでしたね(乗ったことはありません、見たことがあるだけw)。個人的にはSAABといえば900という感じです。

SAABらしさについてお教えいただきありがとうございます。知りませんでした。あのかたちの背景にはそういったデザイン上の意図があったのですね(ボタン類についてはボルボも同じ考え方ですが)。

それ以外にもイグニッションのキーの位置とか、ナイトビジョンとか、低圧ターボの早期導入とか、ボンネットの形状とか、おまけにインテリアの空気取り入れ口の形状とか、いろんなところが個性的でした。

中国、インドといった新興国でいっぱい勢いのある自動車メーカーが誕生し、その中から国際的にも通用するブランドも出てくるかもしれませんが、SAABのように確立したブランドイメージにまで成長するには長い時間が必要になると思います。

誠に残念ではあります。

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何シテル?   03/21 11:29
yutty1325です。シトロエンC5からの乗り換えで、ボルボS60に乗っています。下手の車好きです。ブログにはクルマを中心とした話題を取り上げていきます。
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