今回が試乗記の最終回になります。
乗ってみて感じたこと
試乗記というからには、今回がメインになると考えてあれこれと思いを巡らせていたのですが、3年前にシトロエンDS5に試乗する機会があり、試乗記としてブログに書いたことを思い出しました。参考までにと確認してみると、驚いたことに今回書こうと思っていた内容が、ほぼそのまま書かれていることが分かりました。なので手抜きではなく、真面目にその時の記載を、以下再掲したいと思います。
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エンジンと6速ATの組み合わせは非常にスムース。低速からなめらかに加速、言い換えればトルク等の盛り上がりや落ち込みなどメリハリは希薄。エンジン音も回転数相応で存在感を主張しないもの。ATはアイシン製とのことだが、以前のフランス車というかAL4程にはエンジンブレーキをきかせたりロックアップを維持しないような設定(お店の人曰く、それでもまだ他国車に比べると特徴を維持していると)。ブレーキもガチガチの踏力コントロールから、若干ストロークを効かせるような設定に。総じて普通のクルマに近づいたといえる。
ハンドリングは、軽めでやや粘りつくような感触、センター位置へ戻す力を常に感じる。なので、コーナーリングもスムースではあるが、ややスイッチ的な印象。乗り心地は総じて良し。サスペンションはバネであるが、柔らかく、かつ良く動くもの。特にダンパーの設定に優れているのか、道路の小さい不整や凹凸を上手くいなす。中速域でのフラットライド感にも優れる。このあたりは、ハイドラクティブにも通ずるシトロエンのサスセッティングの特長が良く出ていると思われる(依然ハイドロとは異なるが)。
(S60との比較)低速のマナーやスムースさでは、ATとDCTとの違いもあってDS5に軍配。ただし、パワー感やメリハリはS60の方が上と感じました。ステアリングはS60がよりスムースかつスポーティで明らかに優れている(実際、S60/V60のハンドリングはドイツ車にも負けてないと思います)。それに比べるとDS5は直進主体でゆったりと運転するロングツアラーの資質がより強く出ていると思います。乗り心地はDS5の勝ち。柔らかいのにフワフワしていないサスは、やっぱり良くできている。S60は、ボルボの特徴かもしれませんが、減衰力の強いダンパーと柔らかいバネの組み合わせで、一般道では路面の状態をDS5より強く伝えるような気がします。高速道路ではゆったり感が前面に出てきて両者近い乗り心地になりますが。
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DS5をピカソに読み替えるとそっくりそのまま当てはまるというのが今回の結論です。
あとあえてピカソにおいて追記すべきことを挙げるとすると、
・先にも書きましたが、着座位置がDS5などと比べると少し高く、運転感覚もややミニバンよりになっていると感じたこと(これも、運転しやすいなどポジティブな面もあり、一概に欠点とはいえない)。
・あくまでおそらくですが、ピカソの方がDS5より更に柔らかいサスセッティング。なぜなら、今回ピカソに試乗して、乗り物に弱い人だと場合によっては、乗り物酔いするのではないかな、と思ったが、それはDS5にはなかったように記憶しているので。
総合的にはDS5より、今回のピカソにより大きな魅力を感じたように思います。そして、その大きな部分はファミリカーとしてのより高い機能性にあるというのが結論です。
エンジン、サスペンション形式、大きさ、重さなどハードウェア的にはほぼ同じであるのでおかしな話ではないとは思いますが、3年の時間的な隔たりがあり、(内容を忘れて)全く独立して試乗したシトロエン車2台の印象がほぼ同じであるというのは、個人的には驚くべきことに感じました。他社のクルマで同様の体験をしていないので断定的な物言いは勿論できないのですが、シトロエンのクルマづくりには強い一貫性があるのではないかと、今回あらためて感じた次第です(タイトルの極私的~はこのような私的体験を元にしている故)。
まとめ
4回に渡る一連のピカソ試乗記における命題、「C4ピカソは理想的ファミリーカーであった先代C5の後継たる5ドアハッチバックなのか」について、私なりの答えを出して、今回のブログを締めくくりたいと思います。
仕様→YES
S60やC5と比較して、ミニバンよりむしろ5ドアハッチバック寄りのハードウェアと結論された。
エクステリア・インテリア→ほぼYES
エクステリアデザインはミニバン的だが、むしろミニバンの強みを取り入れつつ、本質は5ドアハッチバックであると結論された。しかし、それ故の限界も垣間見えた。
走行性能→YES
5ドアハッチバックであるDS5と同じであることからも支持された。
加えて、パノラミックサンルーフやフロントグラスによる全席の開放感、ミニバン的とも言える居住空間の使い方、クラス最大級の荷室などを勘案するならば、C4ピカソのファミリーカーとしての資質は極めて高いことは明白かと思います。
ということで、試乗した結果、自分の中ではC4ピカソの魅力がぐっと高まったというのが結論になります。S60に不満がある訳ではなく、状況的に買い替えは難しいのですが、気になるクルマとして、次期愛車候補リストの筆頭に置いておこうというのが私なりの答えになります。
最後に
試乗前後から、真剣にC4ピカソの記事を読み、またみんカラのオーナーさんのブログなどを眺めているのですが、唯一気になる(懸念する)のはやっぱりフランス車らしい、細かい不具合やトラブルとは無縁ではなさそうというところです。ディーラーの方からは、ドラブルの頻度は最近は劇的に減ったと伺っているのですが(C5を買う前も同じことを言われたような...)、やっぱり心配は心配です。ボルボ車の信頼性は国産車と同じくらい高く、5年間でほぼトラブルフリーなのですが、その結果、C5を所有していた時よりも、信頼性に対するハードルが上がっていることも事実です(昔ほど寛容になれない)。
この辺りをもう少しウオッチしつつ、購入機会を伺っていこうかなと考えています。

Carview 2014.12.24 レポート記事の掲載写真
後日追記~そうこうしているうちに、私自身が年を取って、また子供が大きくなり独立しつつあり、かつて程にはファミリーカーが必要とされなくなってきているという現実があります。もし、同じ乗り味が他のシトロエン車にもあるのであれば、そちらも選択肢に入ってくるのかもしれません。もし、この辺りの情報をお持ちの方はおられましたら、是非、ご教授ください(とはいえDS5は自分にはちょっと無理ですが)。
了
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フランス車 | クルマ
Posted at
2016/05/03 12:46:45